『ドロヘドロ』という漫画をご存知でしょうか。18年という長期間にわたって連載し、アニメ化も決定している作品です。魔法などが出てくるファンタジーな内容ながらグロテスクな要素、迫力のバトルシーンなどもあり、独特の世界観で根強い人気を誇っています。 今回の記事では、そんな『ドロヘドロ』のあらすじや5つの魅力、登場人物をネタバレ有でご紹介。これを読んで、あなたも隠れた名作を手に取ってみてはいかがですか?
カイマンは、魔法によって頭を爬虫類に変えられたうえに、記憶を失ってしまいました。主人公ながら、謎の多い人物の彼は自分の記憶と本当の顔を取り戻すために、奔走します。
彼が住んでいるのは「ホール」と呼ばれる町。この町とドアでつながっている「魔法使いの世界」には、さまざまな能力を持った魔法使いが住んでおり、彼らはホールにもやってきます。そして魔法の実験台として、時にホールの人々を襲ったりするのです。
そんななかでカイマンは、自分が爬虫類に変えられたのは魔法使いのせいだとして、彼らを狩って手がかりを探しているのでした。
- 著者
- 林田 球
- 出版日
カイマンと行動をともにする女性・ニカイドウは、ホールで飲食店を営みながら生活しています。カイマンを介抱した縁で、彼の記憶を取り戻す手伝いをしている人物です。自分のせいで親友を殺してしまったという過去を持つ彼女は、カイマン同様、謎の多い人物といえるでしょう。
一方、魔法使いの世界には、煙という強力な魔法使いをボスにした組織が存在。彼らは、カイマンとニカイドウにとっても、因縁のある相手なのでした。
果たして、カイマンは本当の顔と記憶を取り戻せるのでしょうか。そして、ニカイドウの過去とは……。
本作の主人公。顔を爬虫類に変えられ、記憶を失っている男です。魔法が効かない体と、高い戦闘能力の持ち主。普段はガスマスクをして、ナイフと銃剣を使って戦います。
自分を爬虫類にした魔法使いを、ニカイドウとともに捜索中。病院でアルバイトをしながら、ホールにやってきた魔法使いを狩って、手がかりを探しています。
不気味な見た目で、容赦なく魔法使いを殺していきますが、餃子が大好物だったり、おばけを怖がったりするなど、子どものような一面も。親しい人物に対しては、非常に人懐っこい性格の人物です。
カイマンと行動をともにする女性で、徒手格闘の達人。普段はホールで「ハングリーバグ」という食堂を経営しています。場所が悪いのと、カイマンが餃子の代金を払わないのが理由で、あまり儲かっていません。
そんな彼女は、実は魔法使いであり、そのことを隠して生活しています。
そしてこの設定が、本作において重要な要素。なぜ魔法使いであることを隠しているのか、過去に何があったのか、要注目です。
ホールで、魔法使いの研究をする人物。見た目は少年ですが、これは魔法使いによって実験台にされたためであり、実年齢は60歳ほどです。
研究室には魔法使いの標本が溢れているなど、まるでマッドサイエンティストのようですが、「魔法被害者病棟」を設立して治療をおこなうなど優しい一面もあります。この研究を始めたのは、彼の妻の体調が悪かったときに、自分にも何かできないかと思ったことがキッカケでした。
ちなみに、彼の妻は意外な形で登場します。
魔法使いの世界で、圧倒的な実力を誇る「煙ファミリー」のボス。対象をキノコに変える魔法を操り、作中でも最強クラスの強さを誇っています。
キノコを盾や鎧にしたり、相手の体にキノコを生やして殺したりするなど、汎用性の高い能力です。ためらうことなく人を殺しますが、下っ端である藤田の話を聞いたり、部下のために戦うなど、ボスとしての器を兼ね備えています。
ややナルシストなところがあり、自分を主演にした映画を作った過去も。ちなみに、その内容は彼にとって都合よく変えられていました。また、キクラゲという犬(猫?山羊?)を溺愛しており、キクラゲと話すときは「〜でチュね」という赤ちゃん言葉になるなど、意外な一面もあります。
カイマンに殺されかけたところを、藤田に助けられた少女。もともとは冷静な性格でしたが、あることをきっかけにボケ担当になりました。
藤田のことを慕っており、恋愛感情を抱いているよう。本作は登場人物がペアになっていますが、藤田と恵比寿のペアは本当の兄妹のようで微笑ましく感じられるでしょう。
彼女の魔法は相手をトカゲに変える能力で……。
煙ファミリーの下っ端で、物語冒頭、仲間である松村をカイマンに殺されます。そのことからカイマンに復讐を誓っており、常に葬式用の靴を身に着けています。
ケムリを弾丸にする能力を持っていますが、ケムリの量が少ないためほとんど役に立ちません。出世欲があるわりには卑怯な性格で、他人を身代わりにすることも。しかし、恵比寿と行動をともにするうちに成長していきます。
煙ファミリーの掃除屋で、組織に敵対する者を抹殺していきます。心臓を模したマスクをしており、武器はハンマー。作中では最高レベルの強さを誇り、カイマンでさえ歯が立ちませんでした。なんでもバラバラにする魔法を使い、人間を生きたままバラバラにします。
マスクをしているときは不気味なイメージですが、素顔は爽やかな青年。人を殺すことにためらいはありませんが、命の恩人に対しては、ホールの人間でも義理をとおすなど義理堅い一面があります。
心のパートナーであり、煙の従兄弟の掃除屋。マスクをしていると筋骨たくましい男性に見えますが、素顔は銀髪赤目の美女です。煙ファミリーのメンバーですが、なぜか煙を毛嫌いしています。もともとは心と対立していましたが、ある事件をきっかけに彼を慕うようになりました。
彼女の魔法は修復系で、人体が欠損しても治すことができます。心はこの能力で傷を治してもらうのが当たりまえになっているので、強いにも関わらず戦闘のたびに死にかけています。
ファミリーの一員で、ローストチキンのマスクをかぶっている魔法使い。写真や人の記憶を基に、「命ある人形」を作り出す魔法を使います。
性別は男性ですが、なぜか魔法で外見を女性にしているらしく、その美少女ぶりは軽く衝撃的です。ぜひ最終巻でご確認ください。
終盤の敵組織である、十字目の新入り。カイマンの強さに惚れ込み、行動をともにします。十字目のメンバーはほとんどが金目当てですが、彼だけは弱者を救うという理想を持っています。
本作の特徴は、独特な世界観です。
あらすじだけ聞くとよくある能力バトル漫画ですが、登場人物はほとんど全員がマスクをしており、流血表現も多々あります。魔法でのバトルといっても、他の作品にあるようなものではなく、一見すると戦いに利用できないような魔法も多く登場するのです。
また、ニカイドウをはじめとしたキャラクター達が強すぎるので、魔法を扱った内容なのに、肉弾戦の迫力が満点なのも特徴的。バトルシーンも注目要素となっているのです。
そんな独特な雰囲気の本作ですが、登場人物は、皆ひょうきん。人が死んだり流血沙汰が起こったりしてもあまりシリアスになりませんし、動揺もしません。グロテスクな表現があっても暗い雰囲気にはならないという、異色な作品なのです。
さらに、その設定も独特で「ホール」と「魔法使いの世界」という区別があります。この2つを行き来して、登場人物は活躍するのです。そして物語の冒頭から数々の謎があり、終盤にかけての伏線の回収も見事なのがポイント。
独特な世界観の本作を、ぜひ楽しんでください。
本作の大きな見所は、やはり魔法によるバトルでしょう。それだけ聞くとよくある能力バトル漫画のようですが、本作は、他の作品とは一線を画しています。
本作の魔法は、
など……一見すると強くなさそうなものばかり。しかし、それらがキャラクターの個性と相まって力を発揮し、独自の世界観を作り出しています。
多くの謎がある本作ですが、魔法もその1つといえます。実は魔法使いであるニカイドウ。そんな彼女の魔法が、本作においての大きな謎、そして鍵となる要素となのです。
登場人物たちは、この魔法に苦しめられたり、利用したりしながら謎に迫っていきます。ぜひ、それぞれの能力に注目しながら、読み進めてみてください。
本作はグロテスクな描写が多いですが、決して暗い内容ではありません。
なかでも、ところどころに挟まれるブラックジョークには要注目。登場人物もひょうきんな性格をしている者が多く、残酷な場面でも明るく振る舞います。
キャラクターがペアになって行動することが多い、本作。なかには恋愛関係に近い人物もおり、そのやり取りが見ていて面白いです。なりゆきで野球をする回など、肩の力を抜いて楽しめる内容も多々あります。
なかでも恵比寿はお笑い要員としては重要な存在です。藤田とパートナーになりたいと思っていましたが、餃子でお腹を下していた間にそのチャンスを失ってしまう姿は可愛らしいです。
ニカイドウを始めとした、女性キャラクターが美女ぞろいなのもポイント。男子読者からの人気も高いです。また普通だったらお目にかかりたくない2メートル超えのゴキブリ・ジョンソンがかわいく見えてくるのが不思議なところ。「ショッキング!」と話すところも、なんとも愛嬌が感じられるでしょう。
18年という長きに渡って連載された本作は、果たしてどのような結末を迎えるのでしょうか。
- 著者
- 林田 球
- 出版日
- 2018-11-12
本作の最大の謎は、カイマンの正体でした。彼はなぜトカゲの頭になって記憶を失ったのか。それを探るために物語が進みますが、1つの謎が解けると新しい謎が出てきて、読者を飽きさせません。
終盤では、なんとカイマンも魔法が使えるようになります。そして、それは意外な能力でした。今までのカイマンの言動が、伏線になっていたといってもいいでしょう。
物語の序盤では「魔法使いVSホールの人々」という構図で争っていましたが、終盤では強力な敵が出現し、登場人物が総力戦で戦います。マスクをしていたキャラクターの素顔が明らかになったり、登場人物がパワーアップしたりと、二転三転する展開から目が離せません。
さまざまな謎についても、最終巻ですべての伏線が回収されることとなります。ホールの人々、魔法使い達、そしてカイマンとニカイドウの運命とは……。
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映像化は不可能と言われていた『ドロヘドロ』は2020年1月からはTOKYO MXから放送されました。2021年現在NETFLIXでも配信されています。
主人公・カイマンに声を吹き込むのは、名探偵コナンで元太の声を演じ、高い演技力を評価される高木渉。相棒・ニカイドウは、今年二十歳になったばかりの今後活躍が期待される近藤玲奈が演じます。
その他のキャストやPVは、公式サイト・アニメ『ドロヘドロ』で確認できます。2021年2月現在NETFLIXでも配信されているので気になる方はぜひご覧ください。
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