臼井儀人に関する6の事実!「クレしん」映画で声優デビューしていた!?

更新:2020.12.15 作成:2018.12.22

代表作『クレヨンしんちゃん』の作者で有名な漫画家。4コマ漫画やショートギャグ漫画を得意としており、一見するとほのぼのしているのに、実はチクリとした毒のある作風が魅力です。 今回は、そんな臼井儀人の知られざる経歴や、多彩に活躍するマルチな素顔、「クレしん」以外のおすすめ漫画などについてご紹介したいと思います。

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臼井儀人を紹介!代表作は『クレヨンしんちゃん』

 

臼井儀人(うすい よしと)は、静岡県静岡市生まれ、埼玉県春日部市育ちの漫画家です。本名は1字違いの臼井義人(よしひと)。生年月日は1958年4月21日で、2009年9月11日に、51歳の若さで亡くなりました。既婚者であり、子供は娘が2人いるそうです。

主な経歴としては、埼玉県立春日部工業高等学校を1977年に卒業後、デザイン学校を中退。この前後でスーパーマーケットでアルバイトをして生計を立てますが、これが後に作品に反映されることに。

その後、広告関係の会社に入社し、POP作りなどをおこないます。そして、その仕事のかたわらで応募した作品が入賞して、29歳の時に漫画家デビューを果たすのです。

 

クレヨンしんちゃん : 1 (アクションコミックス)

臼井儀人
双葉社

 

代表作『クレヨンしんちゃん』は、1990年に「週刊Weekly漫画アクション」で連載が開始され、1992年にTVアニメ化、1993年にはアニメ映画化もされました。アニメ化の影響は計り知れず、一過性のブームに留まらない日本を代表する作品となります。
 

作風は、ほのぼのしたなかに毒のあるネタが特徴。作品は、4コマ漫画などのギャグがメインです。漫画家としての活動の他にもアニメ挿入歌の作詞や、NHK「みんなのうた」の楽曲に映像を提供するなど、マルチな才能を発揮した作家でした。

彼が不慮の事故で2009年に亡くなった際には、その訃報に多くの人が悲しみました。同業者である漫画家・ちばてつやによって、思いやりのある優しい性格の人柄だったことが、後に語られています。

 

事実1:「クレしん」は出版社を救った!?

 

『クレヨンしんちゃん』の原作は、1話から数話で完結するギャグ漫画です。1990年の連載開始からずっと、双葉社から発行されています。

今では日本の漫画アニメ業界の顔ともいえる本作は、双葉社にとってはなくてはならない作品。同社には「クレヨンしんちゃん編集室」という専門の部署があり、集室長の鈴木健介(2017年時点)はインタビューで、「クレしん」がなければ会社もなかったかもしれないと語っています。

 

著者
臼井 儀人&UYスタジオ
出版日
2012-07-13

 

そんな本作ですが、2009年に臼井が亡くなったことで、双葉社にも激震が走りました。残された遺稿の掲載後の対応で遺族とも協議した結果、アシスタントを中心とした臼井儀人&UYスタジオ名義で『新クレヨンしんちゃん』が開始されることになりました。

最初は臼井なしのスタッフで作品を書き続けることに不安もあったそうですが、実際に作品を書いてみると、周りから寄せられたのは感謝の言葉だったそうです。

臼井亡き今も、その想い、そして作品はしっかりと受け継がれています。

 

事実2:映画に本人役で出演していた!?

いうまでもなく臼井儀人は「クレしん」の作者ですが、彼自身をモデルにした漫画家「よしいうすと」が、「クレしん」には何度か登場しています。作中では酷い目に遭うのがお約束ですが、もちろん臼井本人とは関係ありません。

クレヨンしんちゃん : 2 (アクションコミックス)

臼井儀人
双葉社

実は、このよしいうすとの他に、アニメでは臼井が本人役の声優として出演しているエピソードがいくつかあるのです。映画では1997年『暗黒タマタマ大追跡』から1999年『爆発!温泉ワクワク大決戦』までの3作に、「マンガ家」として特別出演しています。

これらの作品を観る際には、ぜひチェックしてみてください。

事実3:名作「戦国大合戦」誕生を決定づけた臼井儀人の言葉

初期を除く原作、アニメにおける『クレヨンしんちゃん』の作風は、ホームコメディ、あるいは幼稚園児の型破りなギャグ作品として知られています。しかし、映画版では普段のギャグテイストから一転して、感動的なドラマが描かれることも少なくありません。

特に2001年の『嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』、続く2002年の『嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』は、シリーズでも屈指の名作と評判です。「オトナ帝国」では昭和のノスタルジーと未来を象徴する子供の対立が、「戦国大合戦」では骨太の時代劇と人間ドラマが主題となっています。

クレヨンしんちゃん : 3 (アクションコミックス)

臼井儀人
双葉社

この2本は、今でこそ感涙必至と高い評価を受けていますが、当時の制作現場では賛否両論あったそうです。映画であっても「クレしん」のラストはおバカな締めくくりであるべきであり、特に「戦国大合戦」では視聴者を悲しませる展開があってはいけないという意見もありました。

そんななかで、両作を担当した原恵一監督は悩み抜いた末、臼井に判断を仰いだのです。

すると、映画に対してフラットに関わっていた臼井は一言「このままでいい」とGOサインを出したのだそう。「クレしん」だから、と型にはまることなく物語性を優先したからこそ、この名作が生まれたのです。

事実4:サザンオールスターズの大ファン!

臼井儀人は、桑田佳祐率いるサザンオールスターズの熱烈な大ファンでした。あまりにもサザン愛に溢れた結果、「クレしん」の作品中に歌詞を登場させるほどです。

たとえば、しんのすけが儚く恋に破れてしまった時など精神的に成長するような場面では、「希望の轍」や「あなただけを ~Summer Heartbreak~」の歌詞が引用されています。特に後者は、アニメスペシャルで特別なエンディング曲としても流されました。

クレヨンしんちゃん : 4 (アクションコミックス)

臼井儀人
双葉社

他にも、ひろしが気分よく歌う鼻歌だったり、車の場面でかける車内音楽として、あちこちでサザンオールスターズのネタが散見出来るのです。また、本人がアニメに声優出演した際には、カラオケで熱唱したこともあります。

サザンオールスターズ側もこのことを知っており、臼井が亡くなった時には、桑田佳祐が追悼をおこないました。

事実5:最期は不慮の事故で……

 

前述したように、臼井儀人は2009年に死去しています。

彼は登山が趣味で、2009年9月11日に荒船山へ、日帰りの予定で出発。登山口へ向かって以後の消息が不明となり、遭難したものとして捜索されました。そして8日後、滑落死体が発見されてヘリコプターで回収したところ、現場の状況から臼井本人と判明したのです。

事件性はなく、死因は不安定な足場で眼下をデジタルカメラで撮ろうとしたところ、誤って転落したものとされています。年齢は満51歳、享年52歳でした。

ちなみにインターネットでは臼井の遺書という画像が出回っていますが、これは彼の遭難がニュースになった時に描かれた悪戯とのこと。

 

事実6:臼井儀人が生んだ名言が深い!

「クレしん」といえば、印象的な名言でも知られています。そこで作者本人の言葉や、作中キャラクターの台詞から、印象的なものをご紹介したいと思います。

小さな子どもは、何をするか、何を言うか、予想もつかないところがあります。
(中略)そのあたりを面白く表現したかったんです。
(「Weekly漫画アクション」2007年8月7日号インタビューより引用)

まさに「クレしん」の面白さの核心を突いた言葉でしょう。予想不能な子供の言動のおかしさを、しんのすけというキャラをとおして表現したかったことが窺えます。

著者
臼井 儀人
出版日
2007-07-13

 

オレの命に代えてもしんのすけを助ける!!
(『クレヨンしんちゃん』第8巻より引用)

映画『ブリブリ王国の秘宝』の原作で出てくる台詞。ちゃらんぽらんなサラリーマン・野原ひろしが、息子のピンチに頼れる父親の一面を見せるのが、普段の落差も相まって感動的でした。

人生いろいろあるさ
(『クレヨンしんちゃん』第46巻より引用)

これは、ひろしが同窓会で再会した女性に言った言葉です。バツイチとなった初恋相手への複雑な心境が、短い言葉のなかに見て取れます。シンプルながら、酸いも甘いも噛み分けた大人ならではの名言でしょう。

 

臼井儀人のおすすめ作品1:『すくらんぶるえっぐ』

 

臼井といえば、『クレヨンしんちゃん』がとにかく有名です。同作は、今でこそファミリー向けのタイトルという風に認知されていますが、当初はブラックなネタが多数出ていました。

そんなブラックジョークが好きな方には、『すくらんぶるえっぐ』がおすすめ。これは臼井の初期4コマ短編集となっていて、国民的人気漫画である「クレしん」では考えられないエグいネタが満載です。

 

すくらんぶるえっぐ 1 (アクションコミックス)

臼井 儀人
双葉社

 

たとえば、準レギュラー的に何度か描かれるヤクザの組長家族の話では、普通の感覚を持った年頃の娘がネタ振りをするのですが……その娘に甘い父親の組長が現れて、毎回必ず薬物オチとなります。

自宅の庭に野鳥が来るのも、母親との馴れ初めも、家庭の彩りたる花瓶も、なぜかすべてが薬物に繋がります。どういうことかは、実際にご覧ください。

さらに下ネタも豊富です。露出狂の意外(?)な実態や、異性あるいは同性の秘めごとを面白おかしく脚色したり、その種類も幅広くなっています。全部が4コマでしっかりオチているのは、さすがの才能といえるでしょう。

やや不謹慎と捉えられかねないエピソードもいくつかあるので、そこはご注意ください。

 

臼井儀人のおすすめ作品2:『だらくやストア物語』

 

彼の作品でもう1つおすすめしたいのが、こちらです。

本作は彼の商業デビュー作であり、『クレヨンしんちゃん』の前身ともいえる作品となっています。

舞台となるのは、全国展開している「だらくやストア」という名のデパート。その北春日部店です。春日部といえば「クレしん」なので、地理的な意味でも原型といえるでしょう。

本作で、彼のスーパーでのアルバイト経験が活かされていると考えられます。

 

だらくやストア物語 1 (アクションコミックス)

臼井 儀人
双葉社

 

お客に店員、さまざまな人が集まる大型ストア。本作では、そこで日夜くり広げられるデパートでの悲喜交々が描かれています。特定の主人公はいませんが、北春日部店の藤枝店長に何度もフォーカスが当たるので、レギュラーといえるかもしれません。

4コマの内容としては、作者自身の体験が反映されたもの。店のあるあるネタとしてデパートの研修、売り場のあれこれ、季節ごとのセールなどが出てきます。

ちなみに、この「だらくやストア」の創業者・二階堂信之介が、『クレヨンしんちゃん』の主人公・野原しんのすけの原型です。正確には、二階堂信之介の半生で出てきた子供時代の描写から、しんのすけは生まれました。しかし苗字も違えば、生い立ちも異なるので、同一人物というわけではありません。

本作の未収録エピソードは『すぅぱあ・みっくす』『臼井儀人こねくしょん』各巻にも収録されています。「クレしん」の原典が気になる方は、それらも合わせてご覧になってみてください。

 


いかがでしたか?「クレしん」作者について、詳しく知ることが出来たのではないでしょうか。残念なことに臼井儀人は急死してしまいましたが、その作品の面白さは、いつまでも色褪せることがありません。