僕の家族は父・母・兄で登場人物は以上(少し後に新メンバーで加入した猫一匹)。物心ついた時から親戚が遠方にいた為に世間的に親族が集まるべき行事が皆無だったからか僕には家族以外に親族間という感覚がありません。その反動のせいか漠然とそういったものに憧れがありますが、もはやそこに血の繋がりがあるかないかも意味はないです。ひどく動物的かもしれませんが血が繋がっているから家を出るのだし、他人だから一緒に長く過ごすパートナーに成るのだと思う。考えれば両親2人はもともと他人である。定期的に来る大小さまざまな家庭内外のイベントで毎日をでこぼこ生活しながら、引き続き今日も2人はあーだこーだ言い合っていると思う。お恥ずかしい話ですが僕はまだひとり身なので、両親の何かを超越した他人同士の人間愛というところの本当の姿には気づいてないでしょう。その日が来たらきっと僕は号泣すると予想している。
ということで、今回は家族の形をテーマに4冊ご紹介させていただきます。
暇に暇しない夫婦の愉快な生活
僕もまた町田康さんの話し手のような独特の文体にハマった一人です。ただ風景を描写するのにも想像力を掻き立てられるリズムのいい文章が心地よくて最高。タイトルにあるように夫婦の関係が夫目線でコミカルに描かれているのですが、自分が著者と同じミュージシャンというところもあってすごく憧れる生活です。ただなんでもないことを言い合って互いにズレて怒っては笑い、他人に自分を見ながら飽きることなく毎日が続いていく。なぜ一緒に居るかという考え(平和ボケですよねそーゆー感覚)は頭の片隅にもないような暇に暇しない2人の愉快な生活。
リアルな結婚生活
以前にもオススメした山本文緒さんの小説で2組の夫婦を題材に結婚生活の男女のズレをじわりじわりを描いていくような物語です。1冊目とは対照的な切り口で、ズレの根本とはなんなのだろう、結婚の意味とはなんだろうと思うような作品です。お互いの結婚への幻想なのか固定概念・先入観なのか、ひたすら人間の(おそらく解決しない)心の内側の謎そのものがジメジメと描かれているような気がします。でもそれは考えればものすごくこの本が現実的であるということかもしれませんね。ハッピーエンドやカタルシスもなくこの作品、要はかなりそのまま人間をえぐってきます。