こんにちは。モノブライトのギター、松下です。師匠達も走るほど忙しいと言われる師走ですね。少し早いですが年末年始は皆様実家などに帰られるのでしょうか? 今回は「家族の形」がテーマの4冊です。
僕もまた町田康さんの話し手のような独特の文体にハマった一人です。ただ風景を描写するのにも想像力を掻き立てられるリズムのいい文章が心地よくて最高。タイトルにあるように夫婦の関係が夫目線でコミカルに描かれているのですが、自分が著者と同じミュージシャンというところもあってすごく憧れる生活です。ただなんでもないことを言い合って互いにズレて怒っては笑い、他人に自分を見ながら飽きることなく毎日が続いていく。なぜ一緒に居るかという考え(平和ボケですよねそーゆー感覚)は頭の片隅にもないような暇に暇しない2人の愉快な生活。
- 著者
- 町田 康
- 出版日
- 2001-04-25
以前にもオススメした山本文緒さんの小説で2組の夫婦を題材に結婚生活の男女のズレをじわりじわりを描いていくような物語です。1冊目とは対照的な切り口で、ズレの根本とはなんなのだろう、結婚の意味とはなんだろうと思うような作品です。お互いの結婚への幻想なのか固定概念・先入観なのか、ひたすら人間の(おそらく解決しない)心の内側の謎そのものがジメジメと描かれているような気がします。でもそれは考えればものすごくこの本が現実的であるということかもしれませんね。ハッピーエンドやカタルシスもなくこの作品、要はかなりそのまま人間をえぐってきます。
- 著者
- 山本 文緒
- 出版日
- 2013-06-21
もう一冊、町田康さんの本をご紹介。こちらは猫との生活を綴っております。所々にその猫たちの写真も載ってます(我が家の猫に激似の猫がいる!)。明らかに猫と会話しているやりとりに癒されながら腹を抱えて笑うのはもちろんのこと、きっとあなたはこの本の思いがけない起承転結に泣きます。断言します。必ず泣く。猫と生活した人ならわかると思いますが、彼・彼女らは人間から見てドライとウェットのラインを好き勝手に行ったり来たりしながらあくまで自分たちの生活をしている。それがたまたまとある家の中なのだけど猫も犬も家族だと思います。人間だって喋らなくてもわかることがあるのだから、相手が猫だとしてもそれは変わりはない。
- 著者
- 町田 康
- 出版日
- 2010-04-15
東野圭吾さんの新刊が出ましたね。ゲレンデもの(?)は以前にも数本書かれています。こちらは2010年刊行、合わせても楽しめます。主人公である父親は元プロスキーヤーで、そのレッスンを受けた娘もまたプロスキーヤーでこれからの日本の未来・秀才と評される。しかしどこの家族にも秘密がある、父親はいつか話さなくてはならない十字架を背負って育ててきたのです。と、ここまででネタが分かったぜという方もいるかもしれませんが、この物語、それだけでは終わらないのです。このへんが流石と言ったところですね。愛を選択する父親の苦悩、そしてその決断とは!
- 著者
- 東野 圭吾
- 出版日
- 2013-02-13
本と音楽
バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。