「ブルーバックス」の読んでおきたい本おすすめ5選!科学や物理の名著たち

更新:2021.11.17

講談社が発行している理系分野の解説書「ブルーバックス」。大人も子どもも楽しめて、科学の難解なイメージを払拭してくれる作品が揃っています。この記事では、2000点を超える作品のなかから、特に名著と呼び声の高いおすすめのものを紹介していきます。

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そもそも「ブルーバックス」とは。スタートは一般向けの科学解説書

 

講談社が発行している「ブルーバックス」という新書シリーズをご存知でしょうか。一般の読者向けに、主に理系分野の話題を解説しているレーベルです。1963年に最初の1冊が発表され、2019年現在でその数は通算2000点以上。

「科学をあなたのポケットに」というキャッチコピーのもと、難解と思われがちな話題をわかりやすく解説していることから、大人から子どもまで幅広い層に人気のあるシリーズです。

当初は自然科学系列のテーマをとりあげたものをメインとしていましたが、近年では物理学や数学、生物学だけでなく、宇宙や医学、コンピューター関連などさまざまな分野を扱っていて、なかには漫画形式のものもあります。

 

長年読み継がれている「ブルーバックス」の名著『計画の科学―どこでも使えるPERT・CPM』

 

工程管理の手法として知られる「PERT(パート)法」を、成り立ちや歴史的背景とともに解説している一冊。仕事を効率的に進めるにあたり、科学的な手法をいかにして「計画」に組み込むのかが描かれています。

理解できるだけでなく、実践できるように落とし込んでいるのが特徴です。

 

著者
加藤 昭吉
出版日
1965-04-18

 

特筆すべきは、初版が1965年に発表されたということでしょう。当時は、「状態」「作業」「所要時間」を記したいわゆる「アローダイアグラム」という手法の黎明期。本書の内容は画期的だったことが想像できます。

現代においてこの手法は目新しさこそありませんが、にも関わらず多くの人に読まれていることからもわかるとおり、名著なのです。基本をしっかり押さえていて、簡潔ながらもこれ一冊で十分ノウハウを学ぶことができるでしょう。

 

読み物として楽しめる「ブルーバックス」『相対性理論の世界―はじめて学ぶ人のために』

 

アインシュタインの相対性理論について、初心者向けに解説した入門書です。

文系読者にわかりやすいようにイラストを交えつつ、物理学の歴史や宇宙、重力について記していて、読み物としての評価も高い一冊になっています。

 

著者
ジェームズ・A.コールマン
出版日
1966-08-25

 

相対性理論については、毎年数多くの解説本が出版されていて、「ブルーバックス」シリーズでみてもその数は20を超えています。本書はそのなかでも、1966年に発表されて以来、版を重ね続けている作品です。

相対性理論をいかにわかりやすく解説するかに重点を置いているため、数式などは最小限しか出てきません。教養として相対性理論を知っておきたい方にもおすすめです。最新のサイエンストピックが載っているわけではありませんが、基礎を学びたい方にとっては最適でしょう。

 

子どもと読むのにおすすめの「ブルーバックス」『子どもにウケる科学手品77―簡単にできてインパクトが凄い』

 

科学がカラクリになっている、身近なものを使ってできる手品を紹介している作品です。

コンセプトは、親が子どもに見せる科学手品。家の中にあるものや、公園、ファミリーレストランなど、費用もかからずにその場にあるものでできる手品ばかりです。職場や飲み会などで披露してもいいかもしれません。

 

著者
後藤 道夫
出版日
1998-11-20

 

本書のポイントは、科学手品が多数紹介されていることはもちろん、なぜそのような現象が起こるのかを文章でしっかりと解説してくれているところでしょう。子どもに手品を披露した後は、理論まで説明してあげると、理科や科学に興味を抱くきっかけになります。

一部仕込みが必要なものもありますが、習得にかかる時間は5分ほど。子どもも覚えられる簡単なものが多いので、一緒にチャレンジしてみるのもおすすめです。

 

記憶の仕組みを学べる一冊『記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方』

 

作者の池谷裕二は、脳研究者であり、薬剤師でもある人物。記憶を司る海馬や大脳皮質に詳しく、脳の健康や老化について研究を重ねています。

本書では、タクシー運転手の記憶力を例にあげながら、記憶力を高めるための科学的なアプローチを紹介。そもそも記憶力とは何なのかというところから、わかりやすく解説してくれています。

 

著者
池谷 裕二
出版日
2001-01-19

 

いわゆる暗記術などのハウツー本ではなく、あくまで脳科学的に、記憶を定着させるまでのメカニズムと、記憶力を高める方法を紹介しています。

たとえば歳をとると記憶力が低下するといいますが、本書ではベテランのタクシー運転手のほうが脳のとある部位が成長していることなどから、記憶力と年齢は関係ないとしています。一方で歳をとるとくり返し記憶しようとする「労力」が落ちるため、記憶できないことがあるんだとか。

脳科学の基礎知識とともに、記憶の仕組みを学べる一冊です。

 

「ブルーバックス」でも人気の物理学者による作品『新装版 四次元の世界―超空間から相対性理論へ』

 

作者の都筑卓司は物理学者として知られる人物。「ブルーバックス」シリーズをはじめ多数の著作を発表しています。科学の知識がなくても読むことができて、科学の驚きと面白さを教えてくれると評価をされています。

本書は、四次元空間から相対性理論まで、近代物理学のエッセンスを一般向けにわかりやすく解説した作品です。

 

著者
都筑 卓司
出版日
2002-08-20

 

多次元空間、超多時間理論、非ユークリッド空間など、物理学に触れていない人にとっては、あまり馴染みのない単語が登場し、読むのに躊躇してしまう人もいるかもしれません。

しかし本書は中学生以上の読者を想定して執筆していて、出てくる数式もわずかばかり。教科書レベルの知識があれば、8割方の内容は理解できるでしょう。文体や章立ても読みやすい構成で、しっかりと咀嚼しながら読み進めることができます。

タイムトラベルや、次元移動などを用いた小説を好む方にもおすすめしたい一冊です。

 

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