『ジョジョの奇妙な冒険』第5部「黄金の風」に登場するキャラクター、ナランチャ・ギルガ。華奢で小柄な見た目とは裏腹に、持ち前の度胸と小回りの利くスタンド能力で戦います。その反面、頭がよくないのは残念なところ。しかし、それには彼の生い立ちに理由があって……。 2018年から放送のアニメ版でも、目覚ましい活躍を見せてくれるナランチャについて、ご紹介しましょう。フーゴとの関係は、まさに見所です。
第5部「黄金の風」の登場人物。アニメ版の声優は、山下大輝です。名前はイタリア語の古語「Narancia」に由来していて、意味は「オレンジ」。
髪型はやや伸び気味の短髪を、大きなヘアバンドでまとめています。ぱっと見で少女にも見えるため勘違いする人もいるようですが、性別は男性。小柄でかわいいと、女性からも人気があります。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1997-02-01
1983年5月20日生まれ、年齢は17歳です。血液型はAB型。身長は当初170.5cmとなっていましたが、後に公式プロフィールで164cmにあらためられています。好物はシンプルなピッツァ・マルゲリータとオレンジジュースで、逆に辛い食べ物は全般的に駄目なようです。
ギャング組織「パッショーネ」の構成員で、ブチャラティの部下。実は、フーゴに次ぐ古参。頭はいまいちですが腕っぷしは抜群であり、決める時には決めるイケメンキャラなのです。
2018年から放送のテレビアニメ版でも活躍していますが、このアニメでは原作の補完が意欲的にされているのが魅力。ズッケェロとの戦いでナランチャがミスタやフーゴと踊った「ギャングダンス」が、まさに最たる例です。不思議と病み付きになるBGMと、その独特な振り付けが話題となりました。
ナランチャとフーゴは、ブチャラティのチーム内でも特に深い関わりのあるキャラです。後述する生い立ちでどん底にいたナランチャが、初対面のフーゴとブチャラティから人間扱いされたことで立ち直り、そのことをきっかけに後に組織に入団します。
こいつにスパゲティを食わしてやりたいんですが
かまいませんね!!
(『ジョジョの奇妙な冒険』50巻より引用)
残飯を漁っていたナランチャをレストランへ招き入れたフーゴのこの一言が、彼の入団に繋がったのでした。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1996-11-01
ナランチャの方が年上ですが未就学のため、時々フーゴが算数などの勉強を見ることもある様子。ただ、ナランチャが簡単な九九の掛け算でも計算違いを起こし、そのあまりに酷い答えに逆上したフーゴによって喧嘩が起こることもしばしば。
フーゴが彼の頬にフォークを突き刺し、それに対してナランチャがナイフを向けての血みどろの争いくり広げます。それだけ派手な喧嘩をしても最終的には仲直りをし、なんだかんだ仲よしなのが彼らの面白いところなのです。
仲がよいといえば、途中から参加するボスの娘・トリッシュとも、ナランチャは仲良しの様子。気が合うのか、姉弟(兄妹)のようなやりとりがたまに見られます。
フーゴについては以下の記事で詳しく紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
パンナコッタ・フーゴの7の事実をネタバレ!本当はスパイの敵キャラだった?
『ジョジョの奇妙な冒険』第5部「黄金の風」に登場するキャラクター。理知的でハンサム、おまけに柔和な紳士という一見完璧な人物ですが、1度キレると手に負えない二面性のあるキャラ。しかも、キレるスイッチは簡単に、そして急に入ります。2018年から放送のアニメ版でも活躍していました。 今回は、そんなフーゴについて詳しくご紹介。途中でチームを離脱することになった驚きの理由、そして、その後を描いた小説版の内容とは? また、下のボタンのアプリから読むことができます。
彼のスタンドは、ラジコン飛行機に似た遠隔型スタンド「エアロスミス」です。機銃と爆撃で遠距離攻撃が出来るうえ、二酸化炭素レーダーで敵の索敵も可能という強力な能力。ラッシュ攻撃時には「ボラボラボラボラ」という掛け声を挙げます。
初めて本格的な活躍が描かれるのは、単独でおつかいに行った時に出会ったホルマジオとの対戦でした。
ホルマジオのスタンド「リトル・フィート」は、対象を小さくする能力。ナランチャやホルマジオ自身が小さくなったり、そのせいでネズミや蜘蛛に襲われたりと、トリッキーな戦いが面白いエピソードでした。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1997-02-01
最後は、周りを炎で燃やすことによってレーダー探知を封じたホルマジオが、逃げ切って終わり……かと思われましたが、
『炎』がでかすぎるってんならよォォ――ッ
もっとでっかくしてやるぜェ~~~~ッ!!
(『ジョジョの奇妙な冒険』51巻より引用)
火の勢いを煽り、ホルマジオの小ささを逆手に取って炙り出したナランチャの執念勝ちに終わりました。
おバカキャラとは思えない、なんともかっこいいシーンです。
ナランチャには悲惨な過去がありました。
彼は庭師の家庭で生まれた子供でしたが、幼少期に母親を眼病で亡くし、父親からは育児放棄(ネグレクト)されて育ちます。両親の愛情を知らないまま、幼少時を過ごすことになるのです。
やがて父への反発心から、不良仲間とつるむようになります。もちろん、学校になんて行きません。そんな彼ですが、なんとある日、濡れ衣を着せられて少年院に入れられてしまうのです。しかも、それは信じていた仲間によって仕組まれたものでした。
さらに、そんななか出所と前後して左目を患います。そして、母親同じ病で死ぬと思い込み始めるのです。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1997-06-01
信じていた仲間に裏切られ、父親はあてにならず、野良犬同然の生活を送っていたところ……なんとフーゴの引き合わせで、彼はブチャラティと出会います。
ブチャラティはナランチャの人生で、初めての人間扱いをし、真摯な態度で接してきた大人でした。「学校へ行け」と本気で怒ってくれたのも、ブチャラティだけだったのです。さらに治療費を出してくれ、そのおかげでナランチャの目は完治したのでした。
その感動と恩義から、ブチャラティは彼のヒーローとなったのです。
スクアーロとティッツァーノは、ブチャラティチームが組織を裏切ったことから、ボスによって送り込まれた刺客です。
スクアーロのスタンドは、サメのような遠隔スタンド「クラッシュ」。水場ならどこにでも潜み、瞬間移動を駆使しながら目標を引きずり込むという暗殺向きの能力です。
もう1人のティッツァーノは「トーキング・ヘッド」という、対象の舌に取り付いて嘘しか言わせなくするスタンド使いでした。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1998-03-01
クラッシュによって攻撃されるだけでも手一杯なのに、トーキング・ヘッドによって思っていることの逆しか言えないため、助けも呼べない状況に追い込まれるナランチャ。
敵の正体を探ろうと、クラッシュの行動範囲である水が存在するトイレで「ムーディー・ブルース」を発動させ始めたアバッキオを止めるため、口が使えないナランチャは自ら用を足すという暴挙に出て、アバッキオの行動を封じます。
いくら仲間をかばうためとはいえ、用を足しながら「覗いてくれ(本当は『覗かないでくれ』と言おうとしている)」と言うシーンは、まさに衝撃的でした。ジョルノのアシストもありましたが、最終的にナランチャは単独で狡猾なスクアーロとティッツァーノのコンビを撃破します。
ひるむ…………と! 思うのか……
これしきの…………これしきの事でよォォォオオオオ
(『ジョジョの奇妙な冒険』57巻より引用)
喉を食いちぎられる重傷を負いながらも、トドメを刺したナランチャ。仲間に助けを求められない状況のなかで勝利を掴んだその姿は、激アツでした。
彼はラストバトルの直前に、ボスことディアボロのスタンド「キング・クリムゾン」の能力によって、鉄格子に突き刺されて死亡し、退場します。
戦いが終わったら故郷に帰って学校に通い、本場のマルゲリータを食べたいと言っていた矢先でした。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1999-03-01
ラストバトルでは、ある事情から体と魂の入れ替わりが起こっています。ディアボロは意外な人物の体に潜り込んでいましたが、ナランチャのスタンドがあると、レーダー探知で気付く可能性がありました。そのため、真っ先に始末したのでしょう。
目を離した一瞬の隙をついて起こった、あまりにも呆気ない出来事。そんな最期を遂げたナランチャは、その後ジョルノのスタンド能力によって草花に覆われました。そしてジョルノは、彼の遺体にこう語りかけるのです。
君は……ここに…おいて行く……
もう誰も君を……
これ以上傷つけたりはしないように…………決して……
だが君を必ず故郷に連れて帰る
(『ジョジョの奇妙な冒険』62巻より引用)
ジョルノが誓ったように、決着後には、きっと故郷へと帰ったことでしょう。
最後にナランチャの名言、名場面ベスト5をご紹介しましょう。彼は幼さのあるキャラなので、少年らしい無邪気なセリフから、熟練の使い手もゾッとするような肝の据わったものまで、バラエティ豊かな言動が魅力です。
『ホッチキス』だあ――ッ!
ハハハ
でも マンガ本閉じるみてーに
ちゃんと止まってらァーッ
(『ジョジョの奇妙な冒険』50巻より引用)
傷跡をホッチキスで止める応急処置を見て、ナランチャが言ったセリフ。医療用ホッチキスというものもあるので意外と理に適っているのですが、「マンガ本みたい」という感想に彼の幼児性が感じられます。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1998-01-01
ジョルノ!
2+2は5だッ! 3×3は8だッ!
わかる? ジョルノ?
オレの言いたい事 君ならわかるよな?
(『ジョジョの奇妙な冒険』56巻より引用)
スクアーロとティッツァーノ戦で言った名(迷?)言。敵スタンドで真実が言えなくなったなか、必死に自らを襲っている異常さをアピールしました。しかし、いざ「大丈夫か」と聞かれたら、敵スタンドのせいで「うん大丈夫」と返してしまう、シリアスな笑いのシーンとなりました。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1997-11-01
あれッ! 急に目にゴミが入った!
見えないぞッ よくわからないぞッ!!」
(見ていない! オレは見てないぞ
なあーんにも見てないッ!)
(『ジョジョの奇妙な冒険』55巻より引用)
ギアッチョ戦の後に言った名(迷?)言です。ナランチャは、治療をするジョルノと、その治療を受けるミスタの姿を見て、何やら誤解した様子。コミカルな場面ですが、否定的な反応ではなく気を遣う辺りに、彼の思いやりが感じられます。
ブチャラティィィィィィィィィィ
行くよッ!オレも行くッ!
行くんだよォ─────────ッ!!
オレに「来るな」と命令しないでくれ──────ッ!
トリッシュはオレなんだッ!オレだ!
トリッシュの腕のキズはオレのキズだ!!
(『ジョジョの奇妙な冒険』56巻より引用)
ブチャラティが組織への裏切りを決めた直後です。1度はついて行くことに躊躇したナランチャですが、実の親から裏切られ、傷付いたトリッシュを目にし、こう言ってクロールで追いかけてきました。自らの過去と彼女の境遇を重ね合わせた、彼にしか言えない名言です。
必死で泳ぐ姿に、普段ポーカーフェイスのアバッキオすら口元をほころばせているように見える、まさに名場面でした。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1998-03-01
ボラボラボラボラボラボラ(中略)
ボラーレ・ヴィーア(飛んでいきな)
(『ジョジョの奇妙な冒険』57巻より引用)
これぞ、ナランチャの代名詞にして決め台詞。狡猾なスクアーロとティッツァーノを知力でもパワーでも上回り、かっこよく決めました。彼も戦士であることがはっきりとわかる名場面です。
いかがでしたか?ナランチャは呆気ない最期を遂げたことが、非常に惜しまれるキャラでした。故郷で年齢相応に過ごす姿を一目見たいと、ファンなら誰もが思うでしょう。