『ジョジョの奇妙な冒険』第5部「黄金の風」は、シリーズ屈指のバトル、そして名キャラが魅力です。裏社会の人物を中心に展開するストーリーは、他シリーズと比べても暗く、重い内容。そのため、敵味方ともに死亡するキャラが圧倒的に多いという特徴もあります。 そこで本記事では、ストーリー上で死亡するキャラを紹介しつつ、その名言やスタンド能力についての考察をしていきます。下のボタンのアプリから読めるので、興味を持った方は是非、ご覧ください!
『ジョジョの奇妙な冒険』(通称「ジョジョ」)は、ジャンプ系漫画を代表する荒木飛呂彦の作品です。1987年に始まった第1部から数えて、 シリーズ通算1億部という途轍もない売上を記録しています。
今回ご紹介する第5部「黄金の風」は、イタリアが舞台。 主人公ジョルノ・ジョバァーナがギャング組織「パッショーネ」に入団し、腐敗した組織を内側から変革すべく、多くの刺客やボスと正義のために戦うというのが大まかなあらすじです。
2018年から放送のテレビアニメ版も基本的には同様のストーリーですが、3クールという長期に渡って丁寧にアニメ化されたため、ところどころで内容の補完が入っているのが魅力的でしょう。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
5部のジャンプ誌上での連載時期は1995年から1999年ですが、作中で描かれている時期は2001年。1つ前の第4部ともクロスオーバーしていて、5部冒頭ではジョルノを探す目的でやってきた4部の登場人物・広瀬康一が登場しました。
ちなみに5部のロゴやデザインにテントウムシをモチーフにしたものが多く見られますが、これはジョルノの象徴です。「ジョルノ」とはイタリア語で「太陽」を意味する言葉で、テントウムシも「太陽」に関わる虫だからと考えられます。
物語は途中まで、ボスの娘を守る任務を任せられたブローノ・ブチャラティ率いる「護衛チーム」と、ボスに繋がる情報を探す裏切り者の集団「暗殺チーム(ヒットマンチーム)」が旅路の中でデッドヒートをくり広げるという内容。
中盤以降、今度はある事情からボスに見切りを付けた護衛チームが組織と敵対し、「ボス親衛隊」と戦っていくことになります。
5部の魅力の1つに、このバラエティ豊かな敵によって展開される熾烈なバトルが挙げられるでしょう。死力を尽くした戦いは、いずれも名勝負。5
部はこうしたギャング同士による抗争、生死を賭けた陰惨なストーリーが続きます。実際の時間としては一週間ほどしか経過していない短い物語なのですが、その物語の激しさ故に最後まで生存するキャラが著しく少なくなっているのです。
登場人物は漏れなく濃いキャラばかりですが、今回はこの熾烈な戦闘中に死亡し生き残りの叶わなかった多くの者達にスポットライトを当てて、名言・名シーンとあわせてご紹介していきましょう。
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パッショーネの構成員の1人。5部の敵キャラとしては初めて登場した人物です。顔にナイフを刺された後遺症で常に右目が潤んでおり、それが「涙目」という通り名の由来となっています。
ジョルノに上納金を収めさせようと恐喝して暴力を振るおうとした挙句、彼のスタンド能力によって重傷を負いました。その後は入院中に組織によって始末されたようです。戦闘シーンがないので、スタンド使いかどうか不明。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
いい友情関係ってのには 3つの『U』が必要なんだなあ………!(中略)
1つ目はな………「うそをつかない」だ
2つ目は「うらまない」…
そして3つ目は 相手を『敬う』…
いいだろ? 友情の 3つの『U』だ
(『ジョジョの奇妙な冒険』47巻より引用)
ジョルノに話しかけた時の名言です。彼がギャングではなく、またこのシーンが強請の現場でさえなければ、発言自体はかなりよい内容でしょう。反面教師にしたいものです。
ネアポリス地区を担当する幹部。常識外のサイズを誇る、超肥満体キャラです。それは、主人公ジョルノが最初、ベッドと見間違うほどでした。刑務所に収監されていますが、組織の巨大権力で司法に手を回し、何不自由ない好き放題の生活を送っています。
彼は、ジョルノの組織入団試験に際して登場。そして、試験の最中に彼のスタンドが起こした出来事によってジョルノが激怒します。そして最後はジョルノによってバナナに変えられた拳銃を食べてしまい、自ら頭を撃ち抜いて死亡しました。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
スタンドは、遠隔自動操縦のブラック・サバス。影から影へ移動する力があり、物理攻撃に対してはほぼ無敵です。捕まえた人間の魂に、スタンド能力を引き出す「矢」を突き刺す(才能がなければそのまま死ぬ)のが主な仕事でした。これによって能力者を選別して、組織に入れていたわけです。
人が人を選ぶにあたって 最も大切なのは『信頼』なんだ
それに比べたら 頭がいいとか才能があるなんて事は
このクラッカーの歯クソほどの事もないんだ…
(『ジョジョの奇妙な冒険』49巻より引用)
ジョルノの入団試験にて、ポルポは信頼の大切さを説きました。非常に頷ける話ですが、言葉ほど彼自身は人を信頼しておらず、また無関係の人間の尊厳を無視した非道さが目立つので、この名言を台なしにしています。
ボスの娘トリッシュを狙って登場した、暗殺チームの1番手です。
彼は護衛チームの隠れ家を特定するため、1人で街に出てきたナランチャのつけていましたが、相手の警戒が強かったことから尾行を断念。姿を現し、スタンド能力を駆使した戦いへ突入しました。
頭脳プレーで護衛チームの居場所を掴むも、覚悟を決めたナランチャのスタンド「エアロスミス」の一斉攻撃の前に死亡。
スタンドは、切りつけた対象を小さく出来る「リトル・フィート」です。パワーはありませんが、自分や他人を小さく出来るトリッキーな能力でした。この能力のせいで、ナランチャはネズミやクモなどの動物を相手に戦う羽目になります。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1997-02-01
他のヤツは この能力の事をくだらねーという…
ククク……ま…
「くだる」「くだらねー」…ってのは
所詮…ここの使い方ひとつさ…
能力ってのはな…
(『ジョジョの奇妙な冒険』51巻より引用)
ナランチャに能力を仕掛けた時の独白です。どれだけ貧弱で扱いにくい力でも、工夫しだいで脅威になるということを有言実行してみませました。
2番目に登場した暗殺チームの1人。
潜伏場所がバレた護衛チームは安全に場所を移すべく、ジョルノ、フーゴ、アバッキオの3人がボスの指示にあったポンペイ遺跡へと向かいます。そんな彼らの前に現れたの、がイルーゾォです。
スタンドは鏡の中に別世界を作り、自分や他人を任意で引きずり込む「マン・イン・ザ・ミラー」。イルーゾォはこの力で狡猾に立ち回り、ジョルノらを1人ずつ分断して優位に立ちます。
しかし、フーゴのスタンド「パープル・ヘイズ」の殺人ウイルスに犯されて、跡形も残らず死亡。まれに見る悲惨な最期でした。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1997-04-01
『マン・イン・ザ・ミラー』
オレだけが 外に出る事を許可しろォォォォ――――ッ
うおおおががががが
だが! ウイルスは許可しないィィィィィ――ッ
感染した部分は 出る事は 許可しないィィィィィィィ――――ッ!!
(『ジョジョの奇妙な冒険』52巻より引用)
鏡の中で殺人ウイルスに感染し、片手を犠牲にして脱出を図った時の名言です。助かるためとはいえ、実行には痛みと覚悟が必要であり、凄まじい気迫が感じられます。
後述するペッシとコンビを組んでいる兄貴分。暗殺チーム第3の刺客です。
フィレンツェ行き超特急に乗車するため、ネアポリス駅に来た護衛チームを待ち構えていました。車内で護衛チームを見失った彼は、列車全体に無差別攻撃を敢行します。
スタンド能力は、射程範囲内の生物の老化を早める「ザ・グレイトフル・デッド」。パワーはありませんが、能力自体が非常に危険なスタンドです。彼は温度差で男女を区別し、ターゲットのトリッシュへの攻撃を緩和していました。
それに気付いたブチャラティ達は、氷で体を冷やしながら反撃へと出ます。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1997-06-01
ブチャラティとの直接対決では紙一重のやりとりの末に、走行する列車から転落。その後、瀕死状態で攻撃を続けるという凄まじい執念を見せました。結局力尽きますが、最期の最期まで信念を貫いた名悪役です。
「ブッ殺す」と心の中で思ったならッ!
その時スデに行動は終わっているんだッ!
(『ジョジョの奇妙な冒険』53巻より引用)
行動不能だったミスタにトドメを刺した時に語った持論であり、行動原理です。彼が単なる見かけ倒しの悪役ではなく、信念のある敵だとわかる名言でしょう。
プロシュートの弟分で、暗殺チームでは下っ端の様子。
当初はプロシュートとの対比で詰めの甘い部分ばかりが目立ちましたが、プロシュートの最期の覚悟を見てから急激に成長。気高い強敵へと変貌しました。
ブチャラティとも互角以上に戦って追い詰めますが、最後の最後でゲスの道に堕落し、バラバラにされて死亡します。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1997-06-01
能力は釣り竿状のスタンド「ビーチ・ボーイ」です。物体を透過する釣り針と釣り糸で標的を追尾し、釣り上げて体内から攻撃します。糸への攻撃は釣り針のついた対象へと返り、能力者のペッシにダメージはありません。この能力の攻略が勝敗に大きく関わりました。
わかったよ プロシュート兄(あに)ィ!!
兄貴の覚悟が!
「言葉」でなく「心」で理解できた!
(『ジョジョの奇妙な冒険』53巻より引用)
ブチャラティから瀕死の重傷を負ってもなお、スタンドを解除しなかったプロシュート。それに気付いたペッシは、甘えを振り切った強敵となりました。こうして悪役も主人公側と同じく成長するのが、「ジョジョ」の醍醐味なのです。
年老いた組織の幹部。ボスを崇拝しており、組織には忠実で有能な人材でした。スタンド能力は持たない一般人です。
彼はブチャラティの幹部昇進と、ボスの指示でトリッシュの護衛任務をチームに与えるために登場しました。その機密保持のため、最後には一行にメッセージを残して自殺します。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1997-09-01
ボスのおかげで わしは十分に充実した
実り豊かな人生を楽しませてもらったよ
何ひとつ 証拠は残せない
後かたづけは……………
何も知らないわしの部下にまかせてある
(『ジョジョの奇妙な冒険』54巻より引用)
この言葉を残して自ら拳銃の引き金を引き、任務に関わる事物を隠滅しました。この一件からは、ボスのためには命を賭けるギャングの厳しい世界と、秘密厳守という組織の非情さが感じられます。
プロシュートとペッシの後を引き継ぎ、護衛チームの追跡をした暗殺チームの1人。
スタンドはパソコン型の「ベビィ・フェイス」。思考能力を持つ臨機応変な自動追尾スタンドを作る、凄い能力です。
前準備として対象のDNAおよび母体となる一般女性を用意したうえで、いちいち教育しなければいけないというデメリットがあります。手間がかかって振れ幅もありますが、結果としてとんでもなく凶悪なスタンドとなりました。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1997-09-01
メローネ本体は、攻撃をスタンドに任せて安全な場所で見守っていましたが、最後はベイビィ・フェイスの破片を利用したジョルノの自動追尾攻撃を受けて死亡しました。
ディ・モールト
ディ・モールト(非常に 非常に)
良いぞッ!
(『ジョジョの奇妙な冒険』54巻より引用)
ベイビィ・フェイスが順調に育っていることから、興奮気味にこう発言。意味や戒めこそ読み取れませんが、ファンが日常使いするには非常に使い勝手のよい名言でしょう。
リーダーを除けば、暗殺チーム最後のメンバーです。
護衛チームの目的地を特定し、ボスからの指令でヴェネツィアのサンタ・ルチア駅に車で向かうジョルノとミスタを襲撃しました。
スタンドは、周囲の空間を極低温で凍らせる「ホワイト・アルバム」。能力を応用して水分子を凝固させて、スピードスケートのスーツのように堅牢な鎧としてまとっています。
遠距離攻撃を反射させる「ジェントリー・ウィープス(静かに泣く)」という技もあり、この攻防一体のスタンドは物理的に攻略するのが困難な強敵でした。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1997-09-01
当初凄まじい冷気で2人を圧倒しましたが、ミスタの自滅覚悟の攻撃と、ジョルノの前に敗北。鉄柱に延髄を貫かれるという惨い最期でした。
『根掘り 葉掘り』……ってよォ~~~
『根を掘る』ってのは わかる………(中略)
だが『葉掘り』って部分はどういう事だああ~~~~っ!?
葉っぱが掘れるかっつーのよ――――――ッ!
ナメやがって この言葉ァ 超イラつくぜぇ~~~~ッ!!
(『ジョジョの奇妙な冒険』54巻より引用)
護衛チームを車で追跡中だったギアッチョが、思わず激昂したシーンです。ブチキレ過ぎて車まで破壊していることから、アブないキャラなのが一目でわかりました。
ボス親衛隊で、裏切った護衛チームへ真っ先に派遣された2人組のうちの1人です。コンビでは攻撃役を担当しています。後述するスクアーロとはまるで恋人関係のようです。主に作戦立案を担当していた様子。
スタンドは、他人の舌に取り付いて対象に嘘の言動を強制させる「トーキング・ヘッド」。攻撃力は皆無に等しいですが、1度ハマれば集団を壊滅させるポテンシャルを秘めています。瞬間移動可能なクラッシュのサポートがあれば、どんな相手にも取り付くことが可能です。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1998-03-01
最初はナランチャを操って優位に立ちましたが、結局ナランチャの覚悟の前に敗北。それでもスクアーロの最後の攻撃を成功させるため、ティッツァーノは自らの血でクラッシュのための道を作り、身を呈してエアロスミスの一斉射撃を防いで絶命しました。
ほんのちょっぴり………
予定どおりでは なかったが………
「勝利」にはかわりがない
オレたちの「勝ち」には……な
(『ジョジョの奇妙な冒険』57巻より引用)
エアロスミスの攻撃からスクアーロを庇った時の一言です。自分が犠牲になってでも、コンビの勝利をもぎ取るという執念が感じられました。敵方にも絆があることを伺わせた、印象的なコンビです。
ヴェネツィア市内でブチャラティのチームを襲った、ボス親衛隊の一員。
スタンド能力は水から水へと瞬間移動をするサメ型のスタンド「クラッシュ」です。液体であれば何でも移動可能らしく、スープや血液にも移動していました。液体の体積に比例して大きさが変化し、食いついた対象を連れてワープすることも可能です。
ブチャラティのチームを翻弄しましたが、最終的にジョルノのアシストを受けたナランチャによって戦闘不能となりました。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1998-03-01
こんな………圧倒的な『精神力』………(中略)
こいつらをつき動かす………
まるで希望があるかのような精神力は い…一体?
(『ジョジョの奇妙な冒険』57巻より引用)
ナランチャとの正面対決で完敗した彼が、意識を失う前に言った言葉です。ナランチャだけでなく、ジョルノ達の精神的タフさが浮き彫りになりました。
暗殺チームのリーダーです。ブチャラティ達を追ってサルディニア島に潜入していた彼は、ディアボロに派遣されたドッピオと遭遇し、交戦状態に入りました。
暗殺チームは組織乗っ取りのためボス暗殺を狙っていたのですが、実はドッピオがボス=ディアボロ本人であり、リゾットはそうと気付かずに核心に迫っていきます。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
能力は、磁力を操作する群体スタンド「メタリカ」。鉄分を操作して対象の体内に金属の刃を生成したり、磁力で砂鉄をまとって周囲の風景に溶け込むなどの奇襲攻撃を得意とします。
彼はドッピオにほぼ勝利していたものの、奇策にはまって、何も知らないナランチャのエアロスミスの機銃攻撃で死亡。もしもここでリゾットが勝利していた場合、物語の結末は大きく変わっていたでしょう。
オレはおまえに………
近づかない
(『ジョジョの奇妙な冒険』58巻より引用)
リゾットはドッピオをただの少年と侮らず、最大限の警戒を払っていました。冷静沈着で底知れない用心深さの窺える名言です。
ブチャラティの部下の1人です。
本当は正義感のある警官でしたが、社会の汚職に染まって身を持ち崩し、ブチャラティとチームメンバーだけを信用する偏狭な男になってしまいました。新入りのジョルノにはもっとも手厳しく、最後まで実力を認めませんでした。
能力は、指定した時間と場所にいた人物に変身し、行動を再現するスタンド「ムーディー・ブルース」。戦闘には不向きですが、追跡や探索で絶大な効果を発揮する珍しいスタンドです。
アバッキオはこの能力でボスの正体にいち早く迫りましたが、そのせいで先手を打ったディアボロによって暗殺されます。死の直前、彼はムーディー・ブルースで再現したボスの顔を石碑に刻印し、ブチャラティ達にヒントを残しました。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1998-08-01
オレって人間はな…………
くだらない男さ
なんだって途中で終わっちまう
いつだって途中でだめになっちまう…………
(『ジョジョの奇妙な冒険』59巻より引用)
まだ自分が亡くなったと気づいていない状態で語った、彼の本心です。普段強気な発言が目立つ彼には珍しく、初めて弱音を吐いた瞬間でした。
直後アバッキオは、会話をしていた警官から思いがけず賞賛されます。そして、今レストランで会話している状況の異常さに気付くと同時に、その警官がアバッキオの汚職があったせいで殉職してしまった先輩警官だと気付くのでした。
アバッキオ おまえはりっぱにやったのだ
そしておまえの真実に『向かおうとする意志』は
あとの者たちが感じとってくれているさ
(『ジョジョの奇妙な冒険』59巻より引用)
一連のシーンには5部のテーマ性がダイレクトに反映されており、シリーズでも指折りの感動的な場面となりました。
ボスの切り札の1人。親衛隊かどうかは不明です。元医者の危険思想の持ち主。
ローマのコロッセオへと向かうブチャラティ達を危険視したボスは、急遽切り札であるチョコラータとセッコを動員して、街全体に無差別攻撃を開始させました。
スタンド能力は、人体に寄生し、一定の高度が下がると宿主を殺す性質を持ったカビを撒き散らす「グリーン・デイ」。1度放出したカビは条件に従って発動し、無差別かつ広範囲に無制限に広がっていくという、凶悪極まりない能力です。
カビはブチャラティのチームメンバーも侵食し、一時は危険な状態にまで追い込みましたが、最後はミスタとジョルノのコンビ攻撃に破れました。ジョルノのゴールド・エクスペリエンスによる「ジョジョ」史上最多ラッシュ攻撃によって、ゴミ収集車に叩き込まれて死亡します。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1999-01-01
強者は弱いやつらを支配してもいい資格があるのだ
いや……
他人を支配しなくてはならない宿命が 強い者にはあるのだ…
(『ジョジョの奇妙な冒険』61巻より引用)
これは、チョコラータがセッコの携帯電話に残した留守番メッセージです。一見、フランスの社会的地位などの保持には責任が発生するという考え方をもつノブレス・オブリージュ(貴族の義務)精神に通じる名言ですが、他人の死に愉悦を覚える最悪の快楽殺人鬼の言葉なので、まったく共感出来ません。
チョコラータとともに投入された、ボスの切り札。当初チョコラータと挟撃をおこないますが、途中でチームと別行動を取り始めたブチャラティを追跡していきます。
スタンド能力は、地面を液体のように変化させる「オアシス」。地面を泳いだり、物体を引きずり込んだり、地面の液状化を利用した反動攻撃が可能です。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1999-01-01
水面下ならぬ地面下での、ブチャラティのスタンドとセッコによるダイナミックな攻防は、まさに必見。ブチャラティの大胆な反撃に遭ったセッコは、形勢逆転のために人質を取るのですが、結局はそれが原因となって撃沈。チョコラータと同じく、ゴミ収集車に叩き込まれる最期となりました。
知ってんだよオオォォッ!!
国語の教師か
うう…うう… うおお おっ おっ おっ オメーはよォォォォ
(『ジョジョの奇妙な冒険』61巻より引用)
ことわざを思い出せなかったセッコが、敵のブチャラティから指摘されて、逆ギレした時のセリフです。凶暴なのにどこか幼児性のある彼のキャラクターを、よく表した名言でしょう。
第3部にも登場したスタンド使いです。
彼はスタンド使いを生み出す危険な「弓と矢」を回収していましたが、その過程でディアボロに敗れ、表舞台から姿を消します。しかしブチャラティチームがディアボロと対立してることを知り、協力者として名乗り出て、ローマのコロッセオで彼らを待っていました。
が、よりによって最初に現れたのがディアボロで、ポルナレフはブチャラティと合流する前に力尽きてしまうのです。
彼の本来のスタンド能力は剣士のようなスタンド「シルバー・チャリオッツ」ですが、その後「矢」の力で「シルバー・チャリオッツ・レクイエム」に進化。
チャリオッツ・レクイエムはすべての生物の精神を入れ替えるという恐ろしい力をもったスタンドでした。しかも、それは、まだ前奏曲(プレリュード)に過ぎず……。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1999-01-01
ポルナレフは肉体的には死亡しましたが、亀のスタンド使いココ・ジャンボの能力にしがみつくことで、幽霊の状態で生存(?)しています。
その階段に足をかけるんじゃあねぇ――――ッ!
オレは上! きさまは下だ!!
(『ジョジョの奇妙な冒険』61巻より引用)
ディアボロとの戦いで見せた力強いセリフです。負傷して衰えているとはいえ、戦士の勘は健在。かっこいい戦闘シーンが見られました。この名言は、3部DIO戦のセルフのオマージュになっています。
ブチャラティの部下で、護衛チームの1人。
能力はラジコン飛行機型スタンドの「エアロスミス」です。機銃掃射や爆撃による遠距離攻撃を主におこない、二酸化炭素によるレーダー探知も可能という便利な能力。
ナランチャはストーリー上では、ホルマジオやスクアーロ、ティッツァーノなど、 一筋縄ではいかないトリッキーな相手との戦闘が目立ちました。ブチャラティチームで唯一の遠距離スタンドであるため、独特な戦闘が魅力的です。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1998-03-01
ラストバトルまで生存していましたが、チャリオッツ・レクイエムによる精神入れ替え後に、ディアボロの暗躍によって密かに始末されました。断末魔もない、あまりにもあっけない最期でした。
ボラボラボラボラボラボラ(中略)
ボラーレ・ヴィーア(飛んでいきな)
(『ジョジョの奇妙な冒険』57巻より引用)
ナランチャの代名詞にして、決め台詞。ストレスの溜まるスクアーロとティッツァーノ戦において、最後に決めた爽快な一撃でした。
ディアボロの第2人格、ヴィネガー・ドッピオ。
ディアボロが、サルディニア島に向かったブチャラティチームの追跡に派遣したのが彼です。実はディアボロ本人であり、誰も信頼しない彼が自ら追跡するための措置といえるでしょう。
ディアボロと違い、気弱で優しい性格。自分自身のことは、ボスの忠実な部下であると信じています。彼自身にスタンド能力はありませんが、ディアボロの許可でキング・クリムゾンを一部使うことが可能です。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1999-03-01
さびしいよォォォォ………ボス
いつものように 電話ください…………
待ってます……
(『ジョジョの奇妙な冒険』62巻より引用)
ラストの「矢」の争奪戦で肉体と魂が入れ替わった際、ミスタの銃撃によって死亡。常に電話の形で指示を受けていた彼は、最後までボスを慕って連絡を待ち続けました。
組織末端のチームリーダーで、後に功績を認められて幹部になった男です。
不正の横行するイタリアで、社会の暗部たるギャング組織が逆に正しいものだと信じていましたが、いつからか信じていた組織すら彼の精神に反する行為をおこなっていることを知り、矛盾と憤りを感じていました。
そんななかでジョルノに共感し、組織浄化のために密かにボス暗殺の機会を伺っていたのです(暗殺チームは利権目的でボスを狙っていたので、ブチャラティと相容れることはありません)。
ディアボロが娘であるトリッシュを見殺しにする身勝手な男であることを知って、最終的に組織を裏切りました。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1997-06-01
スタンドは、触れた物体にジッパーを生み出す「スティッキー・フィンガーズ」。ジッパーは物体の切断や接着が可能であり、戦闘において応用範囲の広い能力でした。
「矢」をめぐる最後の攻防戦では、ブチャラティはチャリオッツ・レクイエムの謎に気づき、ボスによる「矢」の入手を防いでから、ジョルノにすべてを託して昇天。1度はボスによって死亡したはずだったのですが、強靭な精神によってゾンビとなり、自らの死体を動かし主人公が霞むほどの活躍を見せました。
『任務は遂行する』
『部下も守る』
「両方」やらなくちゃあならないってのが「幹部」のつらいところだな
覚悟はいいか? オレはできてる
(『ジョジョの奇妙な冒険』53巻より引用)
男女問わず、思わず惚れる最高の名言。このセリフから、ブチャラティの精神的強さだけでなく、凄まじい覚悟と自信が感じられます。
劇中すべての元凶。組織のボスにして、物語のラスボスです。
ボスことディアボロは、トリッシュ護衛任務のラストでブチャラティを待っていました。しかしブチャラティたちが任されていたのは、実は娘を保護する任務ではなく、ディアボロ自ら確実に娘を始末するための護送だったことが判明するのです。
このことを知って、ブチャラティは組織への裏切りを決断しました。
スタンド能力は、任意の時間を飛ばす(スキップさせる)人型のスタンド「キング・クリムゾン」。近未来の予知をおこなう「エピタフ(墓碑銘)」という能力ももっています。
その強力なパワーに加えて未来を予知できることで、不都合な未来が見えるたびにその時間を飛ばして、裏社会に君臨し続けてきたのでした。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1999-01-01
物語の最後には、スタンドを進化させる「矢」の争奪戦でジョルノに敗れ、ジョルノの進化したスタンド、ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムの餌食となりました。
その効果によってディアボロは死という究極の結果に到達することなく、永久に死の間際の苦痛を味わい続けることになります。過程を無視して、都合のいい結果だけ選んできた男に相応しい末路といえるでしょう。
これは「試練」だ
過去に打ち勝てという「試練」と オレは受け取った
人の成長は……………未熟な自分に打ち勝つことだとな…
(『ジョジョの奇妙な冒険』61巻より引用)
ブチャラティを欺き、一足先にローマのコロッセオに辿り着いたディアボロは、かつて葬ったはずのポルナレフと再会しました。その数奇な巡り合わせを試練にたとえて、克服を宣言したのです。これこそ名言。言ってるのが、作中最大の巨悪でなければ……。
ソルベとジェラートの2人は、暗殺チームの一員です。カルネは、ボス親衛隊でした。この3人は劇中で死亡していますが、主だった活躍はなく、セリフすら存在しません。
カルネはサルディニアに向かおうとするブチャラティらの前に現れ、何かする前にミスタによって撃ち殺されます。しかし実は自動スタンド「ノトーリアスB・I・G」の使い手で、彼は死ぬためだけに登場したのです。
ノトーリアスは物理攻撃がほぼ効かず、本体も死亡しているので、事実上対処不能のスタンドとして描かれました。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1999-05-01
ソルベとジェラートに至っては、厳密にはストーリーに登場していません。暗殺チームのなかで、過去にディアボロに粛清された例として回想されただけです。 ただ、その末路は非常に印象的で、ホルマリン漬けにされた「輪切りのソルベ」はボスの残忍さの象徴として、読者を震え上がらせました。
ソルベとジェラートもおそらくスタンド使いのはずですが、能力は不明。同性愛を疑われるほど仲がよかったらしく、スクアーロとティッツァーノのようにお互い補完し合う能力だったのかもしれません。
いかがでしたか?5部は敵であっても壮絶な生きざま死にざまを迎える人物が多いので、善悪は別にして、とても印象に残るキャラが多いです。原作やアニメでも、そんな部分に注目しながら観賞するとより楽しめることでしょう。