こぶしファクトリーの広瀬彩海です。 新生活が始まる時期ですね。いかがお過ごしですか? 私は4月24日に発売のシングルに向けて、準備を頑張っています。 そしてそのリリースが終わればすぐに単独ホールコンサート。素敵なことが重なる時期で胸が高鳴ります。 そんな春は、花粉症、新生活の始まり、慣れない環境、引越し、暖かい気候。 全てが重なって何となく行動力が落ちる気がします。 そんな時におすすめする作家さんは、気持ちがピリッと引き締まるようなミステリー作家、東野圭吾さんです。 王道ミステリーと言えば真っ先に名の挙がる彼の、イッキ読み必至の3冊をご紹介します。
- 著者
- 東野 圭吾
- 出版日
- 2016-11-01
東野圭吾さんには珍しい恋愛小説。読み始めは、短編集かと思いながら読み進めますが、最後にしっかりと全てが繋がる、さすがとしかいいようのない作品。
主に登場人物は8人で、一人ひとりそれぞれに焦点が当てられながら物語が描かれて、最後にひとつになるというもの。普段のミステリー小説では、いい意味で無駄なことはせずに、トリックや巧妙に張り巡らせた伏線で面白さを提供するといったイメージですが、本作品はいつもと内容が違うということもあり、クスッと笑ってしまうような部分もあります。
そして何より、現代に寄り添った恋愛の描き方なので、特に若い男性などは共感できる方も多いのでは?と感じます。
リアルな男女関係の中に東野圭吾らしいハラハラ感がプラスされてゴンドラではなく最早ジェットコースターのよう……という冗談はさておき、この疾走感溢れる恋愛劇に、イッキ読み間違いなしです。
- 著者
- 東野 圭吾
- 出版日
- 2016-08-26
複雑な家庭の話。義父が危篤になり、失踪した異父弟を弟の妻と探す。
その中で明かされる家族の謎。話が膨らんでいくというよりは、家族の中の謎を深く解き明かしていくような物語の進み方。
母、そして、2人の父が残した謎とは。そして、弟はどこにいるのか? なぜ姿を消したのか?
東野圭吾さんらしい数学的なエッセンスが多く散りばめられている小説。ミスリードがミスリードを呼ぶ展開に衝撃を受けます。一見、東野圭吾らしいと思えるこの小説ですが、じっくりと読んでみると意外と新しい部分が見えてきます。
その中に、謎や事件の提示が少ないというものがあります。家族について細かく幾つか謎が浮かんでくるものの、大きな謎が少ないです。その中で、不安な気持ちを掻き立てられ、ハラハラしながらも読み進めてしまう物語の豊かさは東野圭吾さんの腕前が物を言わせます。
『危険なビーナス』について詳しく知りたい方は、<小説『危険なビーナス』がドラマ化!相関図アリであらすじや見所を結末まで紹介>の記事もご覧ください。
- 著者
- 東野 圭吾
- 出版日
- 2018-05-30
こちらは最近映画化で話題となった小説。こちらも上に記載した『危険なビーナス』同様、家族の物語ですが、本を開く前からまったく違った印象、雰囲気を受けます。
愛する娘が不慮の事故で脳死判定を受けてしまう。脳死を突きつけられる家族の話。私は脳死という現実に直面したことはありませんが、生と死に向き合いたくない、向き合いきれない気持ちは、誰もが感じたことのあるものなのではないでしょうか。
私は先日、曾祖母を亡くしました。年齢は優に百をこえており、死因は老衰でした。幸せな人生の終え方だとも思えましたが、曾祖母のまぶたが動いたように見えた瞬間がありました。
私ももう今年20歳ですので、人の身体が死後でも動くことは知っています。ですがそんなことを知っていても、やはり死に向き合うというのは恐ろしく、酷なことです。
そんな中、愛する家族の胸に手を当てて、鼓動が聞こえるのに。死んでなんかいないのに。そんな状況に直面した時、どうしたらいいのか。生きるとは、死ぬとは、なんなのか。
日本、そして世界に問題提起するかのような壮大なテーマで、家族を題材にしている分、胸が苦しくなりますが、最後まで読み進めることをおすすめします。