小説『危険なビーナス』がドラマ化!相関図アリであらすじや見所を結末まで紹介

更新:2021.11.23

東野圭吾の小説『危険なビーナス』は謎の美女と弟の失踪の謎に迫るミステリー。2020年10月スタートでドラマ化が決まり、主演は妻夫木聡、突然現れる謎の女を吉高由里子が演じます。謎の解明はもちろん、2人の恋の行方にもご注目。この記事では、原作小説のあらすじや登場人物、見どころなど紹介していきます。

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『危険なビーナス』が2020年10月ドラマ化!原作のラブサスペンス小説をネタバレ紹介

 

『危険なビーナス』の原作は東野圭吾によるミステリー小説。主人公の伯朗(はくろう)のもとに突如美しい女性が現れます。彼の弟・明人の妻で楓と名乗り、彼の失踪について助けを求めます。彼女に惹かれながらも、弟の謎の失踪の裏にある遺産問題や伯朗・明人の実家である八神家について真相に迫っていく物語です。

ドキドキのミステリーとともに伯朗と楓の関係も見どころの1つ。弟の妻でありながら、伯朗は美しい彼女に翻弄されるのです。ライバルの出現による恋心の結末や彼女の正体など、最後まで見逃せません。

本格的ミステリーも恋模様も味わえる『危険なビーナス』は2020年10月にドラマ化。主演キャストは妻夫木聡と吉高由里子という豪華な組み合わせ。どちらも第一線で活躍する大人気俳優です。初共演の2人がどのような演技を見せるのか注目です。

 

 

 

妻夫木聡が主演、吉高由里子がヒロイン!登場人物とキャストを紹介

 

『危険なビーナス』でメインの登場人物となるのが手島伯朗と八神楓の2人です。

手島伯朗は獣医の独身男性。真面目で誠実な人物です。幼い頃に母親が八神康治と再婚しますが、異父弟の明人が生まれてからは身の置きどころがなく八神の名を捨て獣医の道へ進みます。

彼を演じるのが妻夫木聡です。高校生の時から読者モデルとして活躍。その後1998年にテレビドラマ『すばらしい日々』で俳優デビューします。彼の出演映画はアカデミー賞を受賞するだけではなく、世界映画祭にも出品されています。日本を代表する実力派俳優の彼は、TBSの日曜劇場枠では2004年の『オレンジデイズ』以来、16年ぶりの主演です。

一方のヒロインは八神楓。元CAで美人、明るくて華やかな女性です。しかし突然伯朗の前に現れ、怪しい一面を見せる姿も。楓の魅惑に惹かれてしまう伯朗ですが、2人の関係は一体どうなるのでしょうか。

八神楓を務めるのは吉高由里子。2007年の映画『虹とピアス』でブレイクを果たし、数々のテレビドラマや映画に出演します。朝ドラ『花子とアン』のヒロインも務めました。バラエティ番組ではキュートな一面を見せるなど引っ張りだこの女優です。


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ドラマ『危険なビーナス』では伯朗と楓の恋愛模様に注目!

弟の失踪から一族のとてつもない謎が明らかになる『危険なビーナス』。スリリングなミステリーがこの作品の醍醐味ですが、実写化に際しては伯朗の恋も見どころの1つです。

原作の小説では伯朗が楓を想う場面があらゆる箇所に出てきます。楓は初めての会話で「お義兄様っ」と呼ぶぐらい人懐っこく、とても華やかで美人という役柄です。伯朗は弟の妻だと認識しながらも、惹かれていきます。

Sっ気のある楓に、振り回される伯朗。2人のやりとりは小説でも見所となっています。楓は明るく美しいだけでなく、知的で弁の立つ人物です。女性に弱い伯朗が、いいように楓に言いくるめられてしまったり、魔性がゆえの行動に誘惑されてしまう場面は、実写化でも必見です。

ドラマでは伯朗の恋心はどのように描かれるのでしょうか?そして、夫の明人が行方不明になっているにも関わらず冷静であったり、護身術が得意で身のこなしがスマートな楓。読者もまた伯朗とともに、彼女のミステリアスな部分に引き込まれてしまうでしょう。

結末のシーンも印象的ですので、実写化に期待がかかります。待ちきれないという方は、ぜひ原作でチェックしてみてください。

豪華キャスト揃いの『危険なビーナス』。鍵を握る登場人物を相関図で紹介!

ドラマ『危険なビーナス』では妻夫木聡や吉高由里子以外にも豪華なキャストが揃っています。このセクションでは物語の鍵となる登場人物たちをキャストとともに紹介していきます。

まず、伯朗の恋のライバルとなるのが八神勇磨。勇磨は八神家の養子で経営者の完璧な男性です。しかしながら嫌味を言う一面もあり、伯朗も被害を受けたとか。女性にも積極的で、楓にアプローチする姿に伯朗はジタバタしてしまいます。

クールな演技が魅力のディーン・フジオカが勇磨を演じます。アジアを活動拠点とし、日本でもブレイク。朝ドラ『あさが来た』などで話題になりました。

伯朗が働く動物病院の助手が蔭山元実。常に冷静沈着ではっきりと発言する強い女性です。伯朗は以前に心を奪われたことが。この役を演じるのが、スタイル抜群で自身のインスタグラムも話題の中村アンに決定。多くの若者が憧れる大人の女性・中村アンにピッタリの人物かもしれません。

最後に注目したいのが、伯朗の弟である八神明人。明人は何かの理由で失踪してしまいます。幼い頃から優秀で八神家の遺産を継ぐ人物。演じるのは染谷将太。子役として7歳から活動を始め、2020年の大河ドラマ『麒麟がくる』では織田信長を演じる人気急上昇中の俳優です。ミステリアスな雰囲気を持つ染谷将太はどのように明人を演じるのか、見どころの1つになっています。

他にも八神家ほかの複雑な親族が多数登場する本作。ストーリーを追うにつれわかりづらくなってしまいますので、こちらの相関図を参考にあらすじを読み進めてみてください。

※名字の表記がない人物は「八神」姓です。

『危険なビーナス』の簡単なあらすじ

主人公は獣医の手島伯朗。ある日、診察中に一本の電話が掛かってきます。その女性は八神楓と名乗り、伯朗の弟・八神明人の妻でした。知らされていなかった弟の結婚に驚く伯朗。さらに明人が失踪したと言うのです。

楓は伯朗に助けを求め、明人からの伝言で彼と伯朗の父である八神康治の見舞いに行くことに。その時八神家の親族会に招待され、伯朗は彼らの遺産相続問題についても知ることになります。

明人の失踪の原因は何なのか、八神家が所有する莫大な遺産は関係しているのか。さらに伯朗は自分自身の過去を思い巡らすとともに、八神家の秘密が次々と明らかになります。彼と楓が謎に迫っていくミステリーです。

著者
東野 圭吾
出版日

ここからは、原作小説のさらに詳しいあらすじを起承転結の4ブロックに分けて解説していきます。相関図ネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。

起承転結で『危険なビーナス』のあらすじを解説【起】:弟の失踪、そして楓との出会い

池田動物病院で助手の蔭山元実とともに働く獣医の手島伯朗は一本の電話を受け取ります。相手は弟・八神明人の妻だと名乗る女性でした。彼女は明人が失踪したと言います。

伯朗と明人は異父兄弟だったのです。伯朗が幼い頃に父・手島一清を病気で亡くします。母・禎子は看護師で画家だった父を支え続けました。やがて病院を経営する八神康治と再婚。しかし伯朗は新しい家族に馴染めず、大学進学を機に一人暮らしを始めて八神家からは距離を取っていました。

明人の妻・楓は海外で彼と出会い、そのまま結婚に至ったと言います。ところが明人はすぐに書き置きを残したまま音信不通に。そのメッセージには「父の見舞いを頼む」と書いてありました。

伯朗は八神家と再会するのは禎子が亡くなった時以来。康治の病室へ行くとそこには彼の妹・波恵の姿がありました。彼女から親族会に招待され、伯朗と楓は八神家に足を踏み入れることになります。

その前に楓の希望で伯朗の叔母・順子を訪ねました。叔父・憲三は学者で数学を研究しています。楓たちはすっかり仲良くなり、徐々に伯朗も彼女と打ち解けていきます。

起承転結で『危険なビーナス』のあらすじを解説【承】:八神家の莫大な遺産

ここからさらに登場人物が複雑になりますので、「豪華キャスト揃いの『危険なビーナス』。鍵を握る登場人物を相関図で紹介!」に掲載の相関図を参考にご覧ください。

親族会に招待された伯朗と楓は八神家の屋敷に着きました。そこには親族の支倉隆司、祥子、百合華、八神牧雄、佐代、勇磨の姿が。

祥子は前当主・八神康之介の異母妹で、夫の隆司は経営者です。その娘が百合華でデザイナーをしています。彼女はかつて明人に恋をしていました。八神牧雄は祥子の兄で研究者です。そして佐代は康之介の愛人でクラブのママ、勇磨はその間に生まれた子です。

食事後、遺産のことで話し合いになります。康之介は八神家の莫大な遺産はすべて明人に譲ると遺言を残していたといいます。しかし全員が納得いかず、話題は康之介のコレクションに。推定1億円以上の遺産である彼のコレクションは屋敷に保管されていました。

伯朗は紛れ込んでいた禎子の遺品から一清の作品集と思われるアルバムを目にします。驚くことに伯朗の頭から消えない一清の最後の絵『寛恕(かんじょ)の網』の写真があったのです。

その後、伯朗と楓は順子たちの家を訪ねます。

伯朗は以前、楓が明人から聞いた康治のサヴァン症候群の研究と奇妙な絵『寛恕の網』が関係しているのではないかと考えていました。憲三に絵について尋ねると、幾何学の概念「フラクタル図形」が含まれていると言います。さらに禎子の遺品から実家のアルバムがなくなっていたことにも気づきます。

起承転結で『危険なビーナス』のあらすじを解説【転】:謎の絵とサヴァン症候群

明人の失踪と一清の絵や禎子が何か関わりがあるのではないか。そう考えた伯朗は禎子の実家の跡地に向かうことにします。ところが、そこには存在しないはずの家が建っていたのです。

実は隣人が康治から管理を頼まれていました。隣人曰く、明人が残してほしいと康治に進言したと言います。彼はずっと母親の死に疑惑の念を抱いていました。

さらに伯朗は屋敷での禎子の遺品発見時、「気を付けた方がよい」と言った佐代のもとへ。彼女の言葉が気にかかっていたからです。実は佐代は禎子と同級生でかつて一清の治療のために康治を紹介したことがわかりました。

またネットで見つけた一清と同じような絵の画像の持ち主に会いに行きます。描いた人は持ち主の夫で、康治から治療を受けており、後天性サヴァン症候群と告白されたと語りました。

康治の研究は天才脳をつくる可能性が見出されていたのです。

そして勇磨の協力もあり、伯朗と楓の3人は牧雄の家に向かいます。牧雄は康治との研究について語りました。

彼らの研究は電気刺激を脳に与える治療でした。しかし副作用が出たことがわかり、その症状がサヴァン症候群らしきものでした。一清の不思議な絵はその力から生み出されたものだったのです。そして伯朗が幼い頃に目にした動物実験もこの研究の一環でした。

しかし、康治は慎重で研究から手を引くことに。研究のデータは未だ消えたままでした。3人はこのデータの隠し場所はやはり禎子の実家しかないと、探しに行くのです。

起承転結で『危険なビーナス』のあらすじを解説【結】:禎子の死の真相!結末をネタバレ!

こちらのセクションでは、結末を最後までネタバレありで解説していきます。本を実際に読んで真相を知りたいという方はご注意ください。

禎子の実家をもう一度探っていると、勇磨が天井裏からレポート用紙の束を見つけます。ところが、前回この家で天井裏を確認した時にはなかったはずのものです。彼らが帰ろうとした時、何者かが家に侵入しました。

追ってみると、正体は伯朗の叔父・憲三でした。

彼が研究報告書の持ち主だったのです。彼は数学者として一清の『寛恕の網』に興味を持っていました。絵を手に入れるためかつてこの家に侵入しました。その際に禎子と遭遇してしまいます。そして、彼女は絵を守るために憲三と揉み合いになり、頭を打って亡くなってしまったのです。

時が経ち、伯朗たちも探していると聞いて確かめたくなった憲三は、報告書をおとりに絵の在処を確認しようと企んでいたのでした。

憲三は罪を被って自殺するため、家ごと燃やそうと火をつけます。彼らは必死に逃げようとしますが、絵の在処に心当たりのあった伯朗はなかなか避難しようとしません。そこで燃え上がる炎から手を差し伸べたのは、失踪していたはずの明人でした。

明人はすべて伯朗に語ります。帰国した際に警察から自分を狙う人間がいると告げられたと。狙われる理由はわからないものの、康治の死期が近いことや、禎子の死と何か関係があるのではないかと考えました。そこで潜入捜査をすることになり、女性刑事の楓に妻として協力してもらったのです。

衝撃の真相判明後すぐに、康治は亡くなりました。明人は勇磨とともに八神家を立て直そうと決意し、一方伯朗は院長から動物病院を継ぐことになりました。

小説『危険なビーナス』の魅力は原作者・東野圭吾ならではの謎!絵画に秘められた「サヴァン症候群」や「素数」とは

『危険なビーナス』では、弟の失踪の謎とともに八神家の秘密も見逃せません。注目すべきものは『寛恕(かんじょ)の網』です。「寛恕」とは、心がが寛大で思いやりがあるという意味の言葉。伯朗の父・手島一清が最後に残した絵でした。

人間の手では描けそうにないほど、緻密な幾何学模様が特徴。実はこの絵には、数学上の問題が多く関係しています。伯朗の叔父で数学者の憲三は、「フラクタル図形」が含まれているといいます。幾何学の概念の1つで、レース模様に似ているとか。

また、重要なのが「ウラムの螺旋」が絡んでいることです。「ウラムの螺旋」とは、数字をある規則に従って並べていき、「素数」だけを黒丸に置き換えて残りの数字を消すと、奇妙な図形のようなものができること。

この絵が生み出されたことには、「後天性サヴァン症候群」が関係しています。一清は脳腫瘍を患い、治療の一環として康治のから脳に対する電気刺激の実験を受けていました。しかし、ある日発作を起こし頭に「ウラムの螺旋」が浮かぶようになったと言います。

そして奇妙な図形が見られる『寛恕の網』を創作しました。一清は「後天性サヴァン症候群」と告げられ、後天的に偉才な能力を授かっていたのです。

このように数学や科学も本作の1つのテーマ。東野圭吾の作品には頻出のテーマですので、彼の作風が好きな方や理系の学問に精通した方にとっては非常に興味深い小説です。ぜひ書籍でじっくり味わってみてはいかがでしょうか。

著者
東野 圭吾
出版日

原作者・東野圭吾のミステリーが人気の理由は登場人物らの個性!『ラプラスの魔女』など実写化多数

『危険なビーナス』の作者である東野圭吾は大人気ミステリー作家です。大学卒業後、一般企業に勤めるかたわら小説を書きます。1985年に『放課後』で江戸川乱歩賞を受賞、以降小説家に専念することに。

不調な時期もありましたが、『名探偵の掟』『秘密』でブレイクします。その後、数々の作品を手掛け、人気作家の不動たる地位に。

東野圭吾の作品はその多くがドラマ化や映画化されることでも有名。『白光夜』『手紙』『秘密』『マスカレード・ホテル』など、小説と映像作品のどちらをとっても名作となっている作品が数えきれないほどあります。

また、数学や科学が主題となる作品が多いことも東野圭吾ならでは。「ガリレオ」シリーズ、「新参者」シリーズ、『ラプラスの魔女』などは映像化もされました。

著者
東野 圭吾
出版日

人気の要因は、登場人物一人ひとりが個性的なこと。推理小説は難しいという印象を持つ方もいるでしょう。しかし登場人物たちの個性が際立っていれば、繋がりが持てて読みやすくなります。

東野圭吾による『危険なビーナス』も登場人物一人ひとりの性格がはっきりと見え、スラスラと読めます。ぜひ2020年10月スタートのドラマとともに原作小説も手に取ってみてください!

『危険なビーナス』は弟の失踪の裏に考えもしない様々な出来事が隠れている、スリリングなミステリーです。2020年10月スタートのドラマには原作小説とはまた違った魅力があるかもしれません。ぜひドラマと一緒に原作小説をお楽しみください!

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