「人の目を気にしない生活」を選んだがゆえに「人の目が異様に気になる」。 「ユニークな人になりたい」けど「常識はずれな人にはなりたくない」。 「普通なんてない」といいながら「平均が気になる」。 変わった人だねと言われることに喜びを感じつつも、その裏の裏まで気になってしまう……自意識過剰を順調に育てて来た筆者が送る、「自分との戦い」ならぬ「自分との痴話喧嘩」に悩むあなたにおすすめの新書、ご紹介します。
以前の仕事では求人広告の原稿案などを作ることも業務の一部だったため、募集要件のヒアリングなどをすることが多かった。
求人広告の一番の目的ともいえる「どんな人を求めているのか」について書くのは、ただ馬鹿正直にリストを載せればいいという訳ではなく、「高いスキルを求めていることを匂わせつつ、募集したくなる文面にする」という一見矛盾ともとれるような内容を考える必要があって散々悩んだ記憶がある。
その中で、最近よく求人広告でもてはやされている言葉が「論理的思考力のある方」だ。
「論理的思考力」が論理的に説明されていないので、ともすれば非常に抽象度の高い、矛盾したスキルでもある。特に、よっぽど論理性に特化した業務(コンサルとかリサーチャーとか研究職とか)などでなければ、「論理的思考力」は「感情的にならずに筋の通った説明を上司にできる人」くらいのゆるい要件である事が多い。
人事考課の項目に「論理的思考」とかがあると、「こいつの話、なんかいっつもわかりづらいんだよなー」という感情的思考に基づいて判断されてしまう、なんてこともきっと世の中では多々起こっている。
「論理的」という言葉に若干の抵抗を覚えつつある、そんなあなたにおすすめしたい一冊がある。
- 著者
- 岡田 美智男
- 出版日
- 2017-06-14
「え、ロボット?論理的な何かのかたまりじゃーん」というのはあるけれど、むしろ論理的に「論理的でない事の魅力」みたいなのを熱く語ってくれる本である。
「論理性」がなくて悩んでいる人におすすめするなら、「論理的思考ができるようになるハウツー本」てきなビジネス書を選ぶべきなのだろうが、いかんせんビジネス書の筋肉ムキムキ感が苦手だ。
むしろ「論理的」たることが苦手であれば、それを自分の強みにすればいいのではないかと思う。
「弱さを武器に」という言葉がある。
なんとなく青春じみていて、自己啓発くさい言葉ではあるが、この本を読むとイメージが変わる。
たとえば、掃除機ル◯バ。(本書の中では社会的配慮から「ルンル」という仮の掃除機とされている)
猫がのっかったり格闘したりする動画でも話題だが、その「ペットらしさ」がネタになることが多い。フラフラと床を這い、電池が切れれば弱々しくその動きを止める…一昨年にリリースされた機能では、なにかエラーが発生する携帯に「助けを求めている」通知がくるらしい。
私も廉価版のパクリ版みたいな奴を使っているのだが、ついつい電源をいれるとその後の動きを目でおってしまう。
そして、「ル◯バユーザー」あるあるとして有名なのが、「床を自動で掃除するためのものなのに、床を自分で片付けておく必要がある」というジレンマである。
以前、不動産の情報誌を作る仕事に携わっていたのだが、よく「戸建VSマンション」の話し合いをする機会があった。そのなかで、「戸建は階段あるからル◯バかけられないのよね」という話があがり、ル◯バのおそるべき存在感を認識させられた。ペットの話じゃないが、その事由で物件を選ぶ時代がやってきたのである。人間ありきのバリアフリーはなかなかすすまなくても、そんな理由でバリアフリーになる時代なのかもしれない。
- 著者
- 星 新一
- 出版日
- 1999-06-01
それでいうと「きまぐれロボット」の時代が来たとも言い換えられるのだと思う。
あらすじなどはぜひ
星新一のおすすめ作品9選!代表作『ボッコちゃん』以外のショートショートも
から読んでいただきたいが、「欠陥」があることが、使い手のためになるロボットの話である。
この本自体は、「人の手を借りないといけない」あるいは「機能が少ない」ことが魅力的なロボットたちの開発までの道のりを描いたものである。しかしそれが、ただの開発秘話として単調なもので終わらないのは、うまく自分の気持ちを論理的に伝えられない「モジモジ君」なる研究生のエピソードを交えられているからである。
論理的にこの本の面白さを伝えるのはなかなか厄介なので、ぜひ手にとって読んでみてほしい。
困シェルジュ
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