荒木健太郎の雲愛がすごい!雲研究者で気象庁の研究官のおすすめ本を紹介!

更新:2021.11.18

雲研究者の荒木健太郎。彼の著作からは、雲への礼賛と畏敬の気持ち、そしてたっぷりの愛情を感じることができます。子どもから専門的に気象を学ぼうとしている人まで、さまざまな人におすすめの本を紹介していきます。

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雲研究者・荒木健太郎とは

 

1984年生まれ、茨城県出身の荒木健太郎。雲の研究者として知られています。慶應義塾大学の経済学部に進学したものの中退し、気象庁気象大学校に進学。2008年に卒業し、新潟や銚子の地方気象台で予報や観測業務に従事しました。2019年現在は気象庁気象研究所の研究官を務めています。

専門分野は、雲科学およびメソ気象学。「メソ」というのは気象現象の大きさで、ひとつの台風や集中豪雨、積乱雲などの小規模な現象に焦点を当てているものです。特に荒木は、豪雨や豪雪、竜巻などの現象をもたらす雲の仕組みを研究し、防災や減災に繋げることを目指しているそう。

また一般の読者に向けて、雲の魅力を伝えたり、仕組みを教えたりする書籍も多数執筆。気象現象を身近に感じられるとして、人気を集めています。

雲に魅了され、雲漬けの日々を送っている荒木健太郎の、雲愛あふれる作品をご紹介していきましょう。

 

荒木健太郎の研究がよくわかるおすすめ本『雲の中では何が起こっているのか』

 

宇宙から地球を撮影した写真を見ると、無数の雲が地球を覆っている様子が確認できるでしょう。雲の中には水や氷の粒が複雑に動いていて、地球の天気に大きな影響を与えているのです。しかし雲には、まだまだ解明されていない謎がたくさんあります。

そもそも雲はどのようにしてできるのか、どんな仕組みなのかなど基礎的なことから、気象の変動と雲の関係まで、わかりやすく解説した一冊です。

 

著者
荒木 健太郎
出版日
2014-06-23

 

数式など難しい表現は使っておらず、イラストを多用しているので、とっつきやすいでしょう。学術書ではなく、「雲の楽しみ方」を教えてくれる作品です。ただ内容は専門的な分野にも踏み込んでいるので、気象学の勉強にも役立ちます。

特に荒木健太郎の専門である、竜巻やゲリラ豪雨、雷、豪雪などの災害と雲の関係については詳しく解説。地域防災などに興味のある方にもおすすめです。

本書を読めば、空を眺める際の意識が変わるでしょう。

 

荒木健太郎が贈る雲へのラブレター『雲を愛する技術』

 

「子どもの頃はよく空を見上げていたんだけど、最近は全然見てなかった」こんな話をよく聞きます。みなさんは覚えているでしょうか。いかにも夏という感じの、青空に映えるモクモクした雲の壮大さを。みなさんは見たことがあるでしょうか、激しい雷雨の過ぎ去った空にかかった、心打たれるような美しい虹を。」(『雲を愛する技術』より引用)

雲のあれこれを「恋愛」にたとえ、ユーモラスに語った作品です。毎日目にする身近な存在であるにもかかわらず、実はわからないことが多い雲。恋愛にたとえるのは言い得て妙ですが、これだけの愛情を注げるのは荒木健太郎だけかもしれません。

 

著者
荒木 健太郎
出版日
2017-12-14

 

本書の魅力は、なんといってもカラー写真が豊富なこと。美しい雲や空の様子は眺めるだけで楽しく、その壮大さに魅了されます。解説が必要な部分にはかわいい手書きのイラストが用いられていて、容易に知識をつけることができるでしょう。

またメディアでたびたび話題になる「地震雲」にも言及。荒木健太郎は、雲への愛が足りていないために起こった流説と断言し、雲が地震の前兆になることはないと主張しています。

さらに、雲の名前にまつわる説明も見どころのひとつです。「波状巻積雲」や「乱層雲」など、これまでただ「雲」として認識していたものが見分けられるようになると、より愛情が深まるのではないでしょうか。

 

写真もきれい!雲の世界を楽しく学べる一冊『世界でいちばん素敵な雲の教室』

 

たくさんの種類があり、見るたびに姿を変える雲。本書は、雲との出会いを「一期一会」とし、そんな出会いをより楽しめるように執筆された作品です。

まるで写真集のようにページいっぱいに美しい写真が広がっていて、眺めるだけであっという間に時間が過ぎてしまうでしょう。

 

著者
荒木 健太郎
出版日
2018-04-08

 

本書の特徴は、荒木健太郎の専門分野である雲の仕組みや、さまざまな気象現象について、シンプルな1問1答形式で解説しているところです。

Q虹はどんな空で出会えるの?
A雨上がりの太陽と反対側の空です。(『世界でいちばん素敵な雲の教室』より引用)

タイトルに「教室」とあるとおり、わかりやすいだけでなく読者の興味をひく解答がされています。また本書に掲載されているQRコードを読み込むと、荒木健太郎本人による解説動画を見ることも可能。本書を読めば、きっと雲の世界に魅了されるはずです。

 

荒木健太郎と小沢かなが、雲の一生を描いたおすすめ絵本『せきらんうんのいっしょう』

 

空を愛する漫画家の小沢かなと、荒木健太郎がタッグを組んで生まれた絵本です。

積乱雲が生まれ、発達し、消えていくまでの流れを、雲の目線に立って物語形式で描いています。かわいらしいイラストもたまりません。ついつい積乱雲に感情移入して、ワクワクしたりホロリとしたり、優しい気持ちになるお話です。

 

著者
荒木 健太郎
出版日
2018-07-20

 

積乱雲の一生は波乱に満ちています。世界一の雲になりたいけれど、なかなか壁(対流圏上部の対流圏界面)を超えることができません。そんな時、積乱雲はかつて、自分を支えてくれた存在(冷気流による暖気の持ち上げ)を思い出すのです……。

もう無理だと思った時、一体何ができるのか。大人が読むと、積乱雲から人生が見えてくる物語です。

また巻末には、積乱雲の詳細な解説や、災害を引き起こす積乱雲の見つけ方なども掲載。子どもの防災教育にも役立つでしょう。

 

荒木健太郎が雪の子を描いた絵本『ろっかのきせつ』

 

「ろっか」は、冬の空で生まれた雪の女の子。本書は、彼女が雪結晶のお友達との出会いと別れを経験しながら、自分自身に向き合うストーリーの絵本です。

雪を降らせる雲の特徴や雪結晶の分類、雪結晶を観察する方法も掲載。写真も多数収録されています。冬に読みたい一冊です。

 

著者
荒木健太郎
出版日
2018-11-30

 

ろっかはお友達と一緒に楽しい日々を過ごしていたのですが、やがて春になると、お友達はどんどん姿を消していきます。ろっか自身も溶けはじめ、やがて消えゆく運命を前に、彼女は「なぜ生まれ、どうして地上に降りてきたのか」を自分自身に問いかけます。大人が読んでも、涙腺が緩くなってしまうシーンです。

雪結晶の形は、気温や水蒸気の量によって決まるそうで、形状を見れば空の状態がわかるんだとか。「天空からの手紙」という表現もロマンチックです。

巻末には、雪結晶を自分で作る実験方法も写真付きで掲載。興味をもった方はぜひ挑戦してみてください。

 

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