あの頃の「純粋さを取り戻したい」?私が子どもにオススメする本を読もうぜ。

更新:2021.11.18

あの頃の純粋な私はどこへ行ってしまったのだろう。 誰しもが一度はぶち当たるのであろうこの問いに。私はまさに今、ぶち当たってしまったのです。 そんなこんなで今回は、私が少年少女にオススメする「無垢な少年が成長していく物語」を。この本たちを読んで、あの頃の純粋な気持ちを取り戻そうではありませんか。

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あの日から、おセンチなメンタルで過ごしています。

どうも、21歳・大人(仮)・吉野シンゴです。最近、大絶賛おセンチです。何故だろう。

先週の私は、「何も無い」が溢れる町・北海道は中川町でのびのびと過ごしていたのですが(詳しくは前回の「困シェルジュ」記事をご覧ください)、そこで小学校の放課後児童クラブ活動「森の学校」に参加させてもらいました。

出典:「なかがわの森」Facebook

自然豊かが過ぎる中川町の森林で、小学校の子どもたちと一緒に薪づくり体験をさせてもらったんですけどね……とにかく、子どもたちが可愛い。

もうね、元気で・好奇心に溢れていて・素直で・でもちょっと見栄っ張りで……

思い返せば3年前に上京して以来、ちっちゃな子と触れ合う機会がほとんど無かった私は。久方ぶりに触れた子どもたちの見せた笑顔の眩しさに、たちまちノックアウトされてしまったのでした。

いつの間にか、子どもたちと遊んであげているのか・子どもたちに遊んでもらっているのか分からなくなっていたのはここだけの話なのです。たぶん後者だろうけど。

そして中川町から東京に戻ってきた私は、折しも叔母から子どもにおすすめの本を紹介してほしいと依頼されました。選書をしているうちに、ふと。そういえば最近は大人向けの本ばかり読んでいたなぁと思い至り、自分が小さい頃に好きだった本を何冊か読み返してみたんです。

そしたらもう、ノスタルジーが。襲い掛かってきやがった。私はすっかりおノスタ(センチメンタルとおセンチに対応するノスタルジーの略語です。いま私が考えました。元号変わるし今年の流行語大賞になると思います。)な気分に浸ってしまいました。

あの頃の純粋な私はどこへ行ってしまったのだろう。誰しもが一度はぶち当たるのであろうこの問いに、私はいままさにぶち当たってしまったのです。

そんなこんなで今回は、私が少年少女にオススメする「無垢な少年が成長していく物語」を選んでみました。この本たちを読んで、あの頃の純粋な気持ちを取り戻そうではありませんか。

サイテーの夏にこそ、少年は最高に大きくなる。『ぼくらのサイテーの夏』笹生陽子

オトナじゃないけど、何もできないコドモじゃない。

そんな少年の、ひと夏の成長を描いた物語『ぼくらのサイテーの夏』。

 

小学校の頃に国語のテストに出題されて好きになった小説です。そういえば私は、現代文の試験だけはとても良くできたものでした。

著者
笹生 陽子
出版日
2005-02-15

夏休み前、終業式の日。謎の同級生に[階段落ち]勝負で負かされ、ケガをし、さらに夏休みのプール掃除の罰まで課せられ……しかもよりによって、その謎の同級生と二人きりで……少年の小学生最後の夏休みは、サイテーのスタートを切りました。

しかし、 サイテーだと思っていたこの夏が、少年を最高に大きくしてくれたのでした。

友情・家族・社会……オトナでもコドモでもない「少年」が、生きる中で大切な事をまっすぐに見つめ直して成長していく姿に、胸が詰まる思いをすることでしょう。

サイテーをそのまま引きずるのも、サイテーをサイコーに変えるのも。全ては自分次第だということを「少年」から学べるはずです。

毎日が謎と発見に満ちていた季節を。『ペンギン・ハイウェイ』森見登美彦

街に突如として現れたペンギンと、お姉さんの謎。

たいへん頭のよい小学4年生の少年が研究することにしたのは、この「世界」。

 

こちらは最近はじめて読んで心に沁みちゃった一冊です。なんだいモリミー(森見登美彦)、阿呆大学生以外も描けるのかよぅ……。

著者
森見 登美彦
出版日
2012-11-22

郊外の街に突如として現れたペンギン。この不思議な事件には歯科医院のお姉さんの力が関わっていると知った少年は、この謎を解き明かすために研究を始めました。

 

大人になった今となっては当たり前のことも、小さな頃はすべてが謎。(……この小説では大人にとっても謎な事しか起こりませんが。)

少年時代は、毎日が謎と発見に満ちていたはずです。好奇心と想像力に溢れた少年の目には、毎日が新しく見えるものです。

大人になった今だからこそ、そんな季節を想い出そう。想像することを忘れてはいけません。

この記事を執筆している途中に気が付きましたが、これらの小説を読んだことによって私はおセンチになってしまったようです。あの頃の「純粋さを取り戻す」どころの話ではありませんでした。 
無垢な少年の成長は我々にとって劇薬です。容量用法お守りください。

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