漫画「コハエース」シリーズの読む順番を紹介します。本作は、作画・経験値、原作・TYPE-MOONの作品。ゲームメーカーTYPE-MOONを主に取り上げ、作品の垣根を越えた夢の共演を、脱力必至のネタで笑いに変えるパロディ漫画となっています。
『コハエース』は2011年に10周年を迎えたTYPE-MOON(以下、本編にならって型月)の10周年記念漫画として始まりました。型月デビュー作『月姫』から琥珀と遠野秋葉がメインパーソナリティとして登場し、Fateシリーズや『魔法使いの夜』など型月由来の登場人物が入り乱れる3コマ漫画が基本スタイルです。
本来は10周年記念の一発ネタだったはずなのですが、2019年7月現在も連載は続いており、なぜかOVAの1エピソードや2016年の年末特番で2度もアニメ化されています。さらに近年は人気スマホゲーム『Fate/Grand Order』(以下、FGO)の登場キャラやシナリオの元ネタになることも多くなり、型月ファンの注目を集めるようにもなりました。
『コハエース』は、いわゆる「終わる終わる詐欺」の常習犯であり、1巻分の話がまとまるころに最終回を迎えては、リニューアル改題するという厄介な作品です。似たタイトルばかりなので、後から読み始めると非常にわかりづらい状態となっています。
そこで『コハエース』を読み進めるのにおすすめの順番を各シリーズの刊行順にわかりやすくご紹介します。
- 著者
- 経験値
- 出版日
- 2012-06-23
進行役の琥珀と秋葉が10年前にタイムスリップし、『月姫』の知名度調査を始めるという突拍子もない話からスタート。『月姫』が世に出た2000年から、連載時点の2011年までの出来事を振り返っていきます。
彼女たちは『月姫』に出てくるヒロインなので、こともあろうか出演者(?)が知名度を聞いて回るというのが面白いところ。琥珀が聞いて回る通行人も、どこかで見たことのあるキャラばかりなのが読んでいて楽しいです。
型月といえば今や一大ブランドと化していますが、最初は同人ゲームサークルだったということを知らない方も多いのではないでしょうか? 本編からは口コミで人気の広まった当時の空気感がわかるので、当時を知る人も思わず懐かしくなるのでしょう。型月がいつまでも新作を出さない、という危険なネタも魅力です。
- 著者
- 経験値
- 出版日
- 2013-06-26
2作目からは過去の作品ではなく、現在および発売予定の作品のネタ比率が高くなっています。
たとえばFateシリーズの人気キャラ、通称セイバーことアルトリア・ペンドラゴンは、人気だけに様々なバリエーションがあります。連載当時ですら同じ顔が4キャラほど存在し、それぞれがメインカラーをもじって青セイバー、黒セイバー、赤セイバー、白セイバーなどと言われていました。
なんとそんな状態をパロって、セイバーを大量に登場させるというネタが出てきます。幼馴染みセイバーに義理の妹セイバー、宇宙から来たセイバーに、よくわからない成長をした大人セイバー。セイバーがゲシュタルト崩壊を起こし、わけのわからないことになります。こんな滅茶苦茶さもシリーズのみどころ。なお、宇宙セイバーは後に公式となります。
- 著者
- 経験値
- 出版日
- 2014-07-10
3年目に突入したシリーズ3作目。
これまでちゃらんぽらんなパロディネタ、サブカルの時事ネタが大半でしたが、ここで突然『Fate』のストーリー漫画に転換しようという話が出てきます。そもそも3コマ漫画でストーリーが成り立つのか、どこまでが本気でどこまでが冗談かわからないのが本作の恐ろしくて面白いところです。
差し当たって原作者に当たる奈須きのこと武内崇に新しい英霊(Fateは有名な英雄が英霊として召喚されます)を打診したところ……パロディ漫画『コハエース』のためだけに、桜セイバーこと沖田総司が生み出されたました。ライバルは魔人アーチャー・織田信長。
そこから「帝都聖杯奇譚」なる構想が練られるのですが、この時は設定だけで、まだ成立はしません。この設定は後にFGOに逆輸入されるので、ファンなら抑えておきたいところです。
- 著者
- 経験値
- 出版日
- 2015-09-10
4作目になってもノリと勢いはまったく衰えません。連載誌繋がりで『艦隊これくしょん』のコラボネタを連発し(当時は型月もエイプリルフールネタにしてました)、もはや型月漫画なのか『艦隊これくしょん』漫画なのか収拾のつかない有様に。
ストーリー漫画路線は一体どこへ行ったのかと忘れかけたころに、謎の新キャラが登場。「Fateを終わらせる」と豪語する魔神セイバーです。『コハエース』は全編デフォルメのギャグ漫画ですが、魔神セイバーの出現で大ピンチとなります。魔神セイバーはFateキャラが束になっても敵わない強敵で、『コハエース』のおちゃらけた作風でなければかなり絶望的な展開です。
青セイバーの窮地に一致団結するのは、本作らしからぬ感動の名場面かも? こうした少年漫画のお約束を抑えた熱い盛り上がりも本作のポイントです。
- 著者
- 経験値
- 出版日
- 2016-11-10
シリーズ5作目にして一大転換が起こります。これまで散々引き延ばされていた「帝都聖杯奇譚」が実際に始動し、独自のストーリーが始まるのです。
時は太平洋戦争末期。異変が起きる帝都東京を舞台として聖杯戦争が勃発します。桜セイバーとそのマスターとなった琥珀が、日本陸軍やドイツ第3帝国の暗躍する戦いをどう切り抜けるのかが見所でしょう。
坂本龍馬、岡田以蔵、あるいは最近ゲームに登場した森長可などの人気キャラが勢揃いします。一部違いもありますが、FGOで実施された同名イベントの実質的原作です。
従来通りの3頭身デフォルメキャラ、3コマなのは相変わらずながら、きちんとシリアス展開かつFateっぽいテイストになっているのが驚き。絵柄さえ気にしなければ真面目な面白さを味わえます。
『コハエース』シリーズとは独立しているので、FGOが好きという方は『コハエースGO』から読むのもおすすめです。
- 著者
- 経験値
- 出版日
- 2018-01-09
驚きの最終回、意味深な引きで終わった「帝都聖杯奇譚」。このままストーリー路線が続くと思わせて、シリーズ6作目『コハエースDX』ではパロネタ多数の平常運転に逆戻り。いつも通り過ぎて逆に安心感すら覚えます。
とは言っても、連載継続でマンネリを防ぐため、ダイナミックなてこ入れが行われます。もちろんギャグですが。
流行りの異世界転生に便乗し、過去のブリテンに飛ばされた青セイバーが、選定の剣を抜くところから始めようとします。しかし、そこには黒や白や宇宙人や水着や槍……とにかく青セイバー以外のセイバーも呼ばれていたのです。
セイバー全員がアーサー王伝説の本人なので、騎士王が大量にいるというある意味チート状態。きちんとやればまっとうな話になりそうですが、これをパロネタで消費してしまうのが『コハエース』です。ヤケクソ気味の滅茶苦茶展開が面白くて必見。
本作は『Fate』シリーズに特化した『ぐだぐだエース』として現在も連載が続いています。続きが気になる!という方はぜひそちらも合わせてご覧ください。