5分でわかる男女雇用機会均等法!背景、内容、問題点などをわかりやすく解説

更新:2019.7.29

性別によって差別されることなく、職場で能力を十分に発揮できるよう定められた「男女雇用機会均等法」。1度は名前を聞いたことがあるでしょう。この記事では、制定された背景と目的、主な内容、改正の歴史、問題点などをわかりやすく解説していきます。おすすめの関連本も紹介するので、チェックしてみてください。

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「男女雇用機会均等法」とは。制定された背景と目的は?

 

その名前の通り、雇用における機会や環境を性別の差別なく確保することを目的とした「男女雇用機会均等法」。正式名称は「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」といいます。

前身は、1972年に制定された「勤労婦人福祉法」というもの。その後1986年に「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律」となり、1999年に現在の名称になりました。

日本では、高度経済成長期である1960年代頃から女性の社会進出が増え、女性労働者の数は1984年時点で1519万人に達しています。その一方で、仕事内容は単純作業に限定されていたり、男性の補助的な業務であったりと、差別的な扱いをされてもいました。

そんななか国連が、女性の地位向上を目指して1975年を「国際婦人年」と定めたことや、1981年に「女子差別撤廃条約」を発効し日本が1985年に批准したことなどから、流れが変わります。

日本国憲法の第14条で定められている「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されない」という理念にもとづき、労働者が性別によって差別されることなく、能力を十分に発揮できる雇用環境を整備することが求められるようになりました。

「男女雇用機会均等法」の主な内容をわかりやすく解説!

 

では「男女雇用機会均等法」の主な内容を見ていきましょう。

最重要なのは、「性別における差別の禁止」です。募集や採用、配置、昇進、降格、教育などにおいて、性別を理由に差別することを禁止しています。たとえば総合職や一般職などの職種によって、男女どちらかしか募集をしないことや、昇進の条件を男女で異なるものにすることなども禁じられています。

また福利厚生においても、性別によって待遇を変えることは違反です。結婚や妊娠、出産などを理由に不利益な取り扱いをすることを禁止しています。解雇はもちろん、契約を更新しない、降格させる、正社員をの非正規社員にする、減給するなどはすべてしてはけません。

「営業マン」「看護婦」「スチュワーデス」など、特定の性別を表す語句を含む職種の名前を用いることも禁止されています。

「男女雇用機会均等法」改正の歴史

 

1986年に制定された後、1999年、2006年、2016年と3度改正されています。

1999年の改正では、当初から課題とされてきた募集、採用、配置、昇進、降格にまつわる性差別をなくすために、事業主の努力義務が規定に加えられました。

2006年の改正の大きなポイントは、法律の性格が女性差別を禁止するものから、性差別を禁止するものへと転換したことです。これまでの「男女雇用機会均等法」には、女性を保護する規定はあったものの、男性を保護するものはなく、これが「逆差別」の要因になっているという批判があったことから、男女平等を原則とするものへ改められました。

2016年の改正では、「間接差別」の禁止が導入されています。間接差別とは、直接的な条件や待遇に差別はないものの、結果として一方の性に不利益が生じることです。例としては、募集時に身長や体重、体力に関することを要件にすること、転居が必要な転勤に対応できることを要件にすることなど。

また、妊娠や出産に関する保護も拡大されました。それまでも妊娠、出産、産前産後の休業取得を理由の解雇は禁止されていましたが、その他の不利益な取り扱いも禁止されます。

さらにマタニティハラスメントの防止措置を講じることが事業主の義務となり、セクシャルハラスメントに関しても、被害者からの相談に対応する環境の整備や防止措置を講じることが事業主の義務になっています。

「男女雇用機会均等法」に効果はあるのか。問題点を解説

 

「男女雇用機会均等法」が制定されて以降、女性の社会進出はますます進展し、2010年時点で労働者数は2329万人になっています。これは雇用者全体の42.6%にあたる数字です。

また昇進についても、1980年と比較すると部長職で1%から4.2%、課長職で1.3%から7%、係長職で3.1%から13.7%に増加するなど、ある程度の効果が出ていることがわかるでしょう。

一方で賃金については、男性労働者の給与額を100とした場合、女性労働者は一般職で69.3、正社員で72.1と依然として大きな差があります。

数度の改正を経た現行法でも、まだ課題として指摘される点は多いのが現状。主なものとしては既婚者と未婚者で待遇に差を設ける「婚姻上の地位を理由とする差別」、差別を解消するだけでなく女性を優遇する「ポジティブ・アクションの推進」、「男性への逆差別やLGBTへの差別に対する規定の強化」などが指摘されています。

男女の不平等を分析

著者
山口 一男
出版日
2017-05-25

 

2018年、世界経済フォーラムが各国のジェンダー不平等状況を調査し分析した「世界ジェンダー・ギャップ報告書」が発表されました。対象となった149ヶ国のなかで、日本は110位。先進7ヶ国と呼ばれるG7のなかでは最下位です。

細かく見てみると、初等および中等教育や出生率の分野では1位でしたが、労働所得、政治家、経営管理職、専門職などの分野でいずれも100位以下となっています。

本書では、これらのデータと最新の分析法を用いて、日本に「男女雇用機会均等法」があるにもかかわらず男女の格差が縮まらない理由を解説しています。

導き出された結論のひとつは、「生産性の低い長時間労働」でした。作中には数式も出てくるのでやや難しい部分もありますが、現代日本における働き方を見直すうえで、意識改革に役立つ一冊だといえるでしょう。

「男女雇用機会均等法」の実情

著者
石塚 由紀夫
出版日
2018-08-09

 

本書は、さまざまな立場で働く女性の声を集めたルポルタージュです。

正規なのか非正規なのか、未婚なのか既婚なのか、子どもがいるのかいないのか……境遇によって大きく環境が変わりますが、現行の「男女雇用機会均等法」ではそれらすべてをカバーできているわけではありません。働く女性のなかで、職場の女性活躍推進を実感できている人は20%にも満たないそうです。

実際に何が問題になっているのか、職場で最大限力を発揮するためには何をすればよいのかを客観的に考察していく一冊。男性も女性も読んでおきたい作品です。

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