昭和に一躍ブームになったアニメ「クリィミーマミ」。本作はその主人公マミと同じ芸能事務所の先輩アイドルだった綾瀬めぐみを主人公にしたスピンオフです。 当時のファンなら懐かしさを感じるとともに、大人だからこそ共感できる物語を楽しめる内容です。この記事では、大人気のアニメの放映から30年以上の時を経て話題を集めるスピンオフ漫画の魅力をご紹介します。下のボタンからダウンロードできるスマホアプリでよむこともできます!
本作は、昭和の時代に少女たちを虜にしたアニメ『魔法の天使 クリィミーマミ』で主人公・マミの同じ事務所の先輩で、かつての看板アイドル・綾瀬めぐみに焦点を当てた物語です。
めぐみは、社長の立花慎悟と一緒に事務所を大きくしようと誓って努力を重ねてきたのに、突然、花形アイドルの座を射止めたマミに嫉妬心や焦りを感じている人物。原作を知る方には、時に先輩らしく、時にちょっと邪魔をしようとしていたあの子だといえば通じるでしょうか。
マミへのライバル心、立花との関係への焦りを感じながら、よき先輩として振る舞おうとするめぐみに共感できる本作。複雑な彼女の心情を丁寧に描き出すとともに、めぐみの当時のアイドル生活を違った視点から知ることができます。
- 著者
- 三月えみ
- 出版日
- 2019-06-20
- 著者
- 三月えみ
- 出版日
- 2014-12-20
本作の作者・三月えみは、BLをメインに活躍する漫画家で、2010年に『庖丁☆男子!』でデビューし、作品としてその後も『結んで、ほどいて、キスをして』『ハートの鍵を手に入れろ!』などを刊行し、オリジナルBL同人誌「藍と金」も手がけています。
作者の特徴は、とにかく画力が高いこと。手足がすっと長く、健康的でキュートな女の子や、すっきり系から甘いマスクまで多様なイケメンを描くのも得意です。
この作品ではアニメのマミを忠実に再現しながら、めぐみの心情が表情によく現れるタッチで描いています。もともとのファンも、原作のアニメ制作会社であるスタジオぴえろの雰囲気がよく出ていると評するほどの出来栄え。普段の作画とは異なる世界観なのに完成させる腕前に脱帽させられる作家です。
原作の「クリィミーマミ」はわずか10歳の少女の優が魔法で変身して、ちょっと大人になり美しくてキュートなアイドルとして大人気になるというシンデレラストーリーです。ひょんなことからアイドルになった彼女がスターの階段を駆けあがっていく様子に一緒になってドキドキする内容でした。
本作は、その原作を彼女に追い越されたともいえる、めぐみの視点から描いています。彼女は人一倍の努力家。もともと冴えない見た目でしたが、そこからメイクやダイエットに歌と、並々ならぬ努力をし、一躍時の人となったのでした。
しかしマミの登場で、もともと人気に陰りが出ていた彼女への期待は一気に下がってしまいました。運命的な星のもとでスターになったマミと、努力のすえにスターとなっためぐみ。大人になった今だからこそ共感できるアイドル漫画になっています。
- 著者
- 三月えみ
- 出版日
- 2019-06-20
また、めぐみの視点から描かれるというのは共感だけでなく、原作の舞台裏をのぞき見しているかのような面白さも味わえます。
めぐみは先輩づらをして、ファンに対するスターの責任をマミに諭すなど、かっこいい一面を見せる一方、マミに焦りを感じて困らせようとしたこともありました。たとえば磯浜ビーチでマミとめぐみのジョイントコンサートを開いたときには、マミと素人のデュエットを企み、彼女の正体である優を指名したりしました。
当時の視聴者であれば、どうなることかとテレビ画面にくぎ付けになった記憶が、本作を読みながら蘇ってくるはず。しかしマミは、スモークに本当の自分のフィルムを映し出して、同じ人物なので当然ですが、息ぴったりのデュエットを果たしたのです。
こうしたマミの活躍の裏を見ると、当時のワクワクした気持ちがリアルに思い出せるはず。めぐみの切ない心境とともに、昔の思い出に浸れる良作です!