ジャパニーズ・マフィア、いわゆるヤクザの世界は、任侠を重んじる姿や仁義を切る姿勢によって支えられています。そんな世界に警察官が潜入した様子を描いているのが『土竜の唄』。ギャグシーンあり、お色気シーンあり、そして仁義を貫く胸が熱くなるシーンありのヤクザエンターテイメントともいえる作品です。 そんな本作は、笑えるだけではなく「犯罪者集団」でもあるヤクザの名言が胸に響くと話題になっています。今回は、実写映画版で堤真一が演じ好評を得た、忠義に篤い男・クレイジーパピヨンの名言を紹介します。
本作の主人公はクレイジーパピヨンではなく、交番勤務の警官・菊川玲二です。ひょんなことから日本一凶暴なヤクザ集団・数寄矢会(すきやかい)の潜入捜査を担当することになりました。
そんな彼が潜入することになった数寄矢会の傘下の一つ、阿湖義組(あこぎぐみ)の若頭を務める実力者が、クレイジーパピヨンこと日浦 匡也(ひうら まさや)。玲二の兄貴分となる人物です。
「パピヨン」とはフランス語で、蝶を意味する単語。蝶が好きなことと、部下に対しても残虐な行為をする性格から「クレイジーパピヨン」(以下、パピヨン)と呼ばれています。読み進めるうちに、少しずつ判明していくのですが、じつはこの「蝶」にも深い意味があります。
玲二は潜入捜査のため、裏カジノに訪れます。ピンチに陥りつつも根性で切り抜けたかと思いきや、玲二は潜入捜査で来ていることを忘れ、パピヨンと義兄弟の契りを交わしてしまい……!?
そんなことから、玲二は「ヤクザの道」を指南されることになります。
警察官である玲二にとって、パピヨンは敵対する相手。しかし玲二は、パピヨンとともに過ごすことで、徐々に尊敬の念を抱き始めるのでした。
これからパピヨンの名言を紹介していきますが、もうすでに『土竜の唄』を読みたくなっている人がいれば、無料の漫画アプリ「マンガワン」から読むことおすすめします。下のボタンからダウンロードが可能なので、ぜひ利用してみてください。
残虐でありながらも、人を惹きつけるパピヨン。彼の名言から、その魅力を紹介していきたいと思います。
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パピヨンと玲二が義兄弟になってから、初めて食事をともにする機会が訪れます。食事も終わるころ、パピヨンはある姉妹を「快気祝いだ」と呼びつけました。
美人姉妹に鼻を伸ばしている玲二をよそに、姉を抱き始めるパピヨン。そして一言。
「何してんだ兄弟、やっていいんだぞ。」
美人姉妹の妹・紅葉は自ら横たわり、甘い瞳で玲二を誘います。意を決して彼女の服に手を掛けたとき、パピヨンはこういうのでした。
「ヤクザってのは
一度女を抱いたら、
虜にしなきゃいけねぇんだ。」
(『土竜の唄』3巻より引用)
一口に抱くと言っても、男気を感じられるセリフです。ヤクザだけでなく、男子全般が心がけることなのではないでしょうか。
なんとこの姉妹は、登場してから一度も嫌そうな顔をしません。風俗で働いているわけでもなく、パピヨンに心酔しているからこそ祝いの席に同席したことが伝わります。
その証拠に、彼に抱かれている姉は、終始頬を染め、悦に浸る表情を浮かべています。
彼は女性を抱くときも、覚悟を決めていることが伝わります。「一夜だけでいい」そんな気持ちでは、相手を魅了することができないことをこのセリフから教わることができます。
阿湖義組の組長から、親子盃を貰うことになった玲二。この儀式を終えることで、正式な組員となるはずでした。しかし儀式直前、敵対する軍団・蜂乃巣会(はちのすかい)の一員にハメられてしまいます。
自分が盃をもらい組員になったら、全面抗争は避けられないと察した玲二は、パピヨンに話を白紙に戻してほしいと申し出ます。
謝る玲二に対してパピヨンは言い放ちます。
「組長(オヤッさん)が下ろす
親子血縁の盃をいらねえだと?
じゃあ、死ねや。」
(『土竜の唄』8巻より引用)
一見するとなんともヤクザらしいセリフですが、この盃には深い意味があったのです。
組織の組員は、血縁関係も何もない、言ってしまえば赤の他人同士。
しかしアウトロー作品を見ると、多くの場合彼らは組員が傷つけられることを赦しません。組長の侮辱などもっての外、という印象を受けます。
そんな彼らの理由は、パピヨンのセリフで理解できるでしょう。
「アカの他人が肉親以上の絆を
契(ちぎ)る事だ。
貰うとかやめるとか、
そんな軽いモンじゃねぇ。
この絆は、決してちぎれねぇ。」
(『土竜の唄』8巻より引用)
絆の強さ、この世界に足を踏み入れた覚悟が伺えます。
だからこそ、相手を信用する気持ちも強いのでしょうか。パピヨンは盃を断ろうとする理由を、玲二に問いただします。嘘は吐けないと悟った玲二は、蜂乃巣会にハメられたこと打ち明け、その上で自分だけで乗り込むと断言します。
その姿を見たパピヨンは、玲二の言葉と気持ちを信じ、そのまま組長に電話をかけました。そして……儀式の日に蜂乃巣会との全面戦争に突入することを報告します。
全面抗争を恐れない彼らの姿を見て、盃の儀式は、対立する組との戦いよりも大切なものだと、この世界の肝の大きさを身を以て痛感させられた玲二。パピヨンにとって、玲二は契りを交わした弟分。「俺たちがいるだろ」と言わんばかりのパピヨンの姿にしびれます。
少しずつ、ヤクザの世界を知っていく玲二。外側からでは見られないヤクザの内面に触れ、捜査も少しずつ進むのですが……。普段は単純な玲二が少し複雑な表情を見せるとき、潜入捜査の難しさを思い知らされます。
借金をしながら行方不明になった男がいました。行方が分からないため、男の両親に肩代わりさせることになった玲二たち。
男の実家に到着し、そこで見たのは……築年数を重ねた平屋の家と、畑仕事から帰ってきた老夫婦の姿でした。
パピヨンが借金を踏み倒している相手に容赦がないことを、玲二は知っています。夫婦に暴力を振るおうとしたときには、自分が止めなくてはと決意した矢先。思いがけない光景を目にすることになります。
「実はお宅の息子さんに、
これを渡すように
言われて来た者です。」
(『土竜の唄』9巻より引用)
そう言いながら、財布から200万円を出し、老夫婦に渡すパピヨン。驚く彼らに、男から伝言を預かったかのように「迷惑ばかりかけてすまなかった。生活費の足しにしてくれ」と伝え、その場を立ち去りました。
肩代わりさせようとしていた相手に、なぜポケットマネーで大金を渡したのかと玲二は問います。そこにはパピヨンなりの考えがあり……。どんな考えかは、ぜひエピソードを読んでみてください。頑張ってきた人が報われるような、そんな優しい考えに心が救われます。
その後「兄弟の親は生きてるのか」と玲二が聞くと、パピヨンは返事をすることはなく美輪明宏の『愛の贈り物』を歌います。
その歌がパピヨンの人生を表しているのかは定かではありませんが、さまざまな人生を乗り越えてきたことを思わせます。
このエピソードには名言が多数ありますが、そのどれもが深い人間力を感じられます。ここだけでは紹介しきれない、パピヨンの懐の大きさや魅力を感じられるエピソードです。
どんどん仲を深めていく玲二とパピヨン。しかし彼は潜入捜査できていることを忘れてはいけません。敵対する相手であり、玲二が敬愛を示す相手……パピヨンの良さを知れば知るほど、胸が苦しくなっていきます。
玲二は捜査のため、薬物の取引に潜り込むことになりました。表向きは、阿湖義組の組長の指示ということになっています。
暴力団と薬物の関係は、遠いものとは思えません。しかしパピヨンは、麻薬に手を染めることを激しく嫌います。
しかし玲二は「組長から依頼されたことなので断ることができなかった」と言い訳します。パピヨンは、そんな玲二を諫(いさ)めるのでした。
「言い訳は、"損"しか生まねぇぞ。」
(『土竜の唄』20巻より引用)
言い訳をすることで、どんどん自分の価値を下げていくことを教えてくれます。
仕方のない状況とはいえ、本来は曲がったことが大嫌いな玲二には、グサリと心に刺さったのではないでしょうか。
そしてこのエピソードではパピヨンが薬を嫌う理由と、蝶に拘るきっかけとも取れる過去が明かされます。薬物に溺れることの怖さ、周りの人間がどんな感情を抱くのかも教えてくれるでしょう。
1位を飾るのは、「兄弟」となった彼らの絆が垣間見えるシーンで発せられた一言です。
最強の暗殺集団からの刺客に不意を突かれ、銃で撃たれたパピヨン。とどめを刺されそうになり、どうにか玲二が阻止するのも束の間、次の瞬間には手榴弾が投げ込まれました。
爆発寸前、怪我を負っているパピヨンを玲二がかばいます。しかしパピヨンは、最後の力をふり絞り、逆に玲二を守るのでした。
爆風とともに血だらけになるパピヨンの背中。吹き飛ぶ両足。
目はうつろになり、口から大量の血を吐くパピヨンに、「死ぬな」と声を荒げる玲二。しかし、すべて自分への報いだと、静かにその状況を受け入れます。
そして意識を失う寸前、玲二にこう話すのです。
「背中の蝶は、
まだ飛んでいるかい。」
(『土竜の唄』13巻)
パピヨンの背中を確認すると、そこには血だらけになり、鮮やかだった羽がズタボロになっている蝶の姿がありました。玲二は涙を流しながら、悟られないように言います。
「飛んでるよ、
かっこよく飛んでるぜ」
(『土竜の唄』13巻)
「そいつぁ、よかった」とつぶやき、パピヨンは意識を失うのです。
どんなことでも、自分のしてきたことに責任を負うパピヨン。そして、死を目前にしても恐れず玲二を守る姿、そして玲二に感謝し、気遣う姿。そこには、一言で表すことができないかっこよさがあります。信念を貫くパピヨンの生きざまに、胸を打たれます。
真っすぐでかっこいい、パピヨンらしさが溢れる名言を集めました。
芯がぶれることない彼の生きざまに、グッときた方もいるのではないでしょうか。普段の狂った様子から、真剣な表情に変わったときのギャップも魅力的なキャラクターです。
そんなパピヨンに導かれるように、玲二も少しずつ立派なヤクザに成長していきます。しかし、彼の本分は潜入捜査。兄弟の契りを結んだとはいえ、玲二は警察官である以上、パピヨンに真実を告げるときが訪れます。
話数を追うごとに、玲二の潜入捜査も進んでいきます。ヤクザを一斉検挙できるのか、それとも、このままヤクザとして生きていくのか……これからの展開に注目です。
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『土竜の唄』最強キャラクターは誰だ!?強さを数値化して比較!パピヨンは……
『土竜の唄』は警察官である玲二が、ヤクザへの潜入捜査(モグラ)を命じられることから始まる任侠漫画です。2014年に実写映画化もされた本作。俳優の生田斗真が、主人公・菊川玲二を体当たりで演じていたことでも話題になりました。 漫画版では、潜入したヤクザの世界の熾烈な闘いがくり広げられていました。力と力のぶつかり合い、驚きの奇襲などが描かれています。バトル漫画好きには絶対に読んでほしい作品です。この記事では、闘う彼らの強さを独自の視点で解説していきます!