ドラマ化原作『病室で念仏を唱えないでください』あらすじと押さえておきたい3つの見所

更新:2021.11.20

伊藤英明主演ドラマ化され、話題となった『病室で念仏を唱えないでください』。主人公は、救急センターで働く医師であり、僧侶でもある、松本照円(まつもとしょうえん)。僧侶である彼が、医療現場で命と向き合う様子を描く「異色の医療漫画」です。 病院内での人間関係に苦戦しながらも、さまざまな患者の生きるか・死ぬかの場面に、正面から向き合っていく松本と周りの人物たち。彼らが日々戦いを強いられる話は重くなりがち……。しかし、決して完璧ではない松本の人柄も相まって、時にユーモアを交えながら、時に一緒に悩みながらも、一気読みしてしまう作品です。今回は、そんな本作の見所を最新巻まで紹介します!

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『病室で念仏を唱えないでください』が面白い!【あらすじ】

 

子どもの頃から、主人公・松本は「生死に意識的だった境遇」にありました。

たとえば、幼馴染を誘って魚釣りに行った日は、その幼馴染の命日に……。幼馴染は、松本の目の前で溺れて、亡くなってしまったのです。泳げなかった松本は、ただ名前を呼ぶことしかできませんでした。

また小学生の頃に、その幼馴染の母親がガンで亡くなってしまうのです。

そんな辛い経験をした松本は、幼馴染を成仏させるために「僧侶」になることを決意。また人の命を救うために「医師」になりました。これまでの経験と強い想いから、目の前の命を救うことに人一倍熱い気持ちがあり、緊急救命医として働いているのです。

僧侶でもあるので、霊安室での枕経や、終末期が近い患者の心のケアなどの仕事も兼任しているため、日々忙しく働いています。時には時間を惜しむあまり、法衣のまま患者の処置にあたることも。
 

そんな松本を中心に、「生きること」について考えさせられるヒューマンドラマです。

 

作品の見所:生臭坊主?松本の俗っぽさと男らしさ

本作の主人公の魅力は、なんといっても「医師&僧侶」という肩書を持ちながら、私たちの身近に感じられる存在であることでしょう。

松本は、幼馴染の死を間近に見たことで、自分にできることは何なのか?と常に考えています。そのため、患者や仲間に仏の道を説いて、うとましく思われる場面も多々あるほど。

しかし、一般的な男としての「煩悩」もしっかり持っています。お酒が好きで、女性の水着姿に興奮することもあり、後輩をキャバクラに誘う場面も……。

著者
こやす 珠世
出版日
2013-04-30

松本は、超がつくほどのマジメな部分、仏の道を説くもそれが見当はずれだったり、煩悩にまみれていたりする俗っぽい部分を兼ね備えているのです。そんな人間くさいところが彼の魅力。ドラマでは、伊藤英明がどのように表現するかも楽しみですね。

伊藤英明は数多くの作品に出演しており、二枚目も三枚目もこなす俳優です。僧侶や医師としての真剣な姿と、普段の俗っぽい姿を上手に演じ分けてくれるのではないかと、共演者の中谷美紀も期待の声を寄せているそうです。

作品の見所:生と死を、医療従事者の目線から描く

作品の見所:生と死を、医療従事者の目線から描く
出典:『病室で念仏を唱えないでください』2巻

 

救急センターで働いていると、生と死のギリギリの状態で、病院に運ばれてくる患者も少なくありません。本作のメインは、「命が救える」医師としての目線でストーリーが描かれます。

2巻で、くも膜下出血で運ばれた男性も、まさにその状態でした。今まで働きづめだった58歳の男性。自宅で倒れていたところを奥さんが発見し、病院に運ばれてきたのです。

これまでの病歴と今回の症状を見ると、手術をしても、寝たきりや植物状態になる可能性が高い状態。しかし、このまま放っておくのは「死を待つ」ことを意味します。

松本は、医療従事者として死をただ待つことはできず、生への可能性にかけて手術することを決めました。日々、救急センターでは、このような選択を迫られているのでしょう。

人間の命がかかっている、緊迫した現場での「生死を分ける選択」は非常に難しい……。そこで働く松本たちがどのように戦っているのか、臨場感のある描写から読みとることができます。

 

作品の見所:生と死を、僧侶の目線から描く

作品の見所:生と死を、僧侶の目線から描く
出典:『病室で念仏を唱えないでください』3巻

本作は、「僧侶」の目線から生死が描かれる展開も見所です。

病院から謹慎処分を受けた松本は、心を落ち着かせるために、寺でお経を唱えていました。そこで経験することになるのが、檀家さんであり、松本も面識のある90歳を超えたおじいさんの死でした。

「家族に看取ってほしい」という本人の希望もあり、自宅で訪問診療を受けていました。そして、最期が近くなったので、お寺にも連絡があり……。

僧侶として自宅に訪問した松本は、病院で治療されながらではなく、家族の声を聞きながら息を引き取っていく姿を見ます。そして、それこそ「人間本来の姿ではないか?」と思うようになるのです。

僧侶として、そのおじいさんの最期を見届け、枕経を唱える松本。普段は医師という職業柄、患者を治すことに懸命になる彼ですが、「生に執着することは果たしていいことなのか?」と、自分を見つめ直すきっかけになります。

僧侶だからこそ、「あるがままの姿」で死ぬことも幸せであると気づき、さらにどう生きるべきかについて考えます。僧侶の目線で描かれる死からは、普段の緊迫感のある様子とは、また違った生死の学びを感じられるでしょう。

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救急センターは病院内の1つの課であり、そこですべての処置をするわけではありません。運ばれてきた患者を他の科で検査してもらったり、その後の処置を任せたりしないといけないのです。

しかし他の科には、すでにそれぞれ患者がいて、救急センターの依頼を快く受け入れてくれない場合もあります。

とくに、一刻を争う状態で処置をする救急センターと、難しい症例に対して、時間をかけて高度な手術を成功させようと動いている心臓外科とでは、患者に対しての想いも取り組み方も違ってきます。

それでも、病院内が1つのチームとなるように連携しなければ、患者にとって最良の治療にはならないのです。

著者
こやす 珠世
出版日
2018-11-30

救急センターでの仕事にも慣れ、後輩が入ってくるなど、時間の経過が感じられるなかで、松本は自分の考える治療と、違う形を目指す医師と出会います。この出会いによって、自分はなぜ医師になったのか、病とどう戦っていくのか、死をどう受け入れていくのかを考え続けていくことになります。

「人の世で迷うことは仕方がねえ。
迷う事を糧にして生きてゆくしかねえんだ」
(『病室で念仏を唱えないでください』第5巻より引用)

松本が同僚に向けた言葉は、彼自身に言い聞かせている言葉なのでしょう。

医師としても僧侶としても、はっきりとした答えが出ないこの問題。もともとの志を持ち続けていけるのか、どういった医師になっていくのかが、5巻とそれ以降の見所です。

『病室で念仏を唱えないでください』2020年ドラマ化!放送日も決定!

 

本作は、2020年1月17日からドラマの放送がスタートします。

キャストも発表されており、主人公・松本照円を伊藤英明、同じ救急センターで働く三宅涼子(みやけりょうこ)を中谷美紀、そして松本と反発し合うこともある、エリート心臓外科医・濱田達哉(はまだたつや)をムロツヨシが演じる予定です。その他にも、片寄涼太や唐田えりかの出演が決まっています。

がっしりした体つきと高身長の伊藤英明は、医師としても僧侶としても迫力満点です。またドラマ化にあたり、原作者のこやす珠世は、「低い声での読誦と坊主頭」をお願いしたそうです。

豪華キャストで、この異色作がどう映像化されるのでしょうか?

さらに詳しい情報を知りたい方は、金曜ドラマ『病室で念仏を唱えないでください』公式サイトがおすすめです。

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