旅に関するエッセイおすすめ6選!絶対に面白い、旅行に行った気分になれる本

更新:2021.11.20

旅先での経験は、非日常であるがゆえにずっと記憶に残って消えないもの。稀代の作家たちも、その経験を本としてまとめています。この記事では、旅行に行った気分になれるおすすめのエッセイをご紹介。きっと一緒に旅行に行った気分になれますよ。

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旅と本をとおして「生き方」を教えてくれるおすすめエッセイ『国境のない生き方: 私をつくった本と旅』

 

14歳でヨーロッパをひとり旅、17歳でイタリアに留学し出産、シリアやポルトガル、アメリカでも暮らしたことがある漫画化のヤマザキマリ。彼女の人生は、膨大な本と旅、そして出会いによってつくられたそうです。

文字どおり地球上のさまざまな場所で生きてきた彼女が綴るエッセイです。

著者
ヤマザキ マリ
出版日
2015-04-01

 

2015年に刊行されたヤマザキマリのエッセイ。『テルマエ・ロマエ』で一躍有名になったヤマザキですが、本書を読むとかなり波乱万丈な人生を送ってきたことがわかります。

そもそも14歳でヨーロッパをひとり旅することになったのは、母親が友人に会いに行こうとしていたものの行けなくなったため、代わりに娘を行かせたからだそう。個性豊かな人に囲まれていることはもちろん、ヤマザキマリの行動力にも驚かされるでしょう。

本書は、そんな彼女の「生き方」が綴られた、まるで指南書のようなエッセイです。旅をして訪れた国での経験と、彼女が旅のお供にしてきた本が紹介されています。膨大な知識と教養の深さにも驚くはず。刺激的でバイタリティにあふれた一冊です。

ゆるーくお遍路歩きをしてみた人気エッセイ『だいたい四国八十八ヶ所』

 

「四国を一周してみたい」「いっぱい歩きたい」というゆるい理由から、お遍路を始めた作者。寄り道をしながら、歩いて八十八ヶ所をまわります。

信心は薄め。それでも道中は足にできたマメ、台風などに悩まされ、時には難所にぶつかることもあったそう。お遍路の実態を語ったエッセイです。

著者
宮田 珠己
出版日
2014-01-17

 

2011年に刊行された宮田珠己のエッセイです。タイトルに「だいたい」とついていることからもわかるように、全体的にゆるい雰囲気を醸し出しているのが本作の魅力でしょう。

四国のお遍路といえば、修行地を辿りながら、空海ゆかりの寺院を巡礼するというもの。しかし宮田は、信心からお遍路をするのではなく、「四国を一周してみたい」「いっぱい歩きたい」などという想いから実行しています。

自由に寄り道をして、道中ではなんとカヌーで川下りも。そんな作者の姿から、堅いイメージのあったお遍路の印象が変わるのではないでしょうか。それでも各寺院では読経をし、「だいたい」と言いつつも八十八ヶ所すべてをめぐった後の考察は納得感のあるもの。お遍路という一風変わった旅もいいなと思わせてくれるエッセイです。

20代の女性が単身で2年間旅をした記録エッセイ『インパラの朝』

 

ユーラシア大陸からアフリカ大陸へ、旅に出た作者。2年という歳月をかけ、47ヶ国をめぐって出会ったのは、イメージとはかけ離れた世界の人々の姿です。

トラックやバスの故障、体調不良、治安の悪さなどさまざまな問題が降りかかりますが、それでも作者は自分の感覚に従って、旅を続けます。

著者
中村 安希
出版日
2013-01-18

 

2009年に刊行された中村安希の作品。26歳から2年間をかけて、単身で世界を旅した記録をまとめたエッセイです。

なるべく節約をするために、物価が安く、なおかつ陸続きの国を選ぶ作者。ユーラシア大陸からイスラム圏の国々をとおり、中近東からアフリカ大陸へ向かいます。女性がひとりで入国できない国では、なんと偽装結婚まで。そうまでして旅をしたかった彼女は、何を見て、何を感じたのでしょうか。

淡々とした冷静な文章だからこそ、事実がダイレクトに伝わってくる一冊です。

圧倒的な自転車旅!笑えて泣けるアドレナリン全開のおすすめエッセイ『行かずに死ねるか!』

 

占い師から、「あなたは順風満帆な人生を送る」と言われたことをきっかけに、「運命なんて変えてやる」と会社を辞め、自転車で世界一周することを決意した作者。

いざ旅に出てみると、強盗に身ぐるみをはがされたり、病気にかかってしまったり。その一方でかけがえのない出会いがあったり、絶景に身動きがとれなくなるほど感動したり……。7年半という歳月を費やした、壮大な旅の記録です。

著者
石田 ゆうすけ
出版日
2007-06-01

 

2003年に刊行された石田ゆうすけの作品です。「チャリダー(自転車乗り)」として旅をすることの面白さや、旅先での経験が飾らない文章で綴られています。

笑い、泣き、喜怒哀楽の感情を全力でぶつけてくる文章が魅力的。出会いもあれば、悲しい別れもあるのですが、それでもただひたすらにペダルを漕いで旅をする力強さとバイタリティに心を動かされるでしょう。

7年半という、大旅行。圧倒的なスケールの大きさを体感させてくれるエッセイです。

村上春樹が7つの旅を語るエッセイ『辺境・近境』

 

山口県の無人島から、モンゴルやメキシコ、ニューヨークまで。村上春樹が経験した7つの旅がまとめられた旅行記です。

距離が遠くてなかなか行くことのできない「辺境」と、近くてもなかなか行くことのできない「近境」が、写真を交えながら綴られています。

著者
村上 春樹
出版日
2000-05-30

 

1998年に刊行された村上春樹の作品です。

特に印象的なのは、モンゴルを訪れる場面。村上は『ねじまき鳥クロニクル』で、モンゴルと満州国の国境線をめぐる紛争「ノモンハン事件」を扱っていて、これをきっかけに現地を訪れることになったのだとか。ノモンハンで見たもの、感じたことを丁寧に描いていて、その独自の視点と感性は読者に刺激を与えてくれるでしょう。

その一方で、香川県で讃岐うどんを食べ歩きしたり、無人島で虫と闘ったりと、バラエティに富んだ内容も魅力的。村上春樹の小説を読んだことがない人でも楽しめます。

「食」に注目して旅をして、世界を見つめ直すエッセイ『もの食う人びと』

 

人が生きるうえで、「食べる」という行為は切っても切り離すことができません。しかし世界には、「食べる」ことすらままならない人がいるのも事実です。

本書では、世界各国を旅しながら、人々が何をどんな表情でどのように食べているのか、「食べる」を中心に旅を綴ったエッセイです。

著者
辺見 庸
出版日

 

1994年に刊行された、作家でありジャーナリストでもある辺見庸の作品です。

現地の人々と同じものを食べることをモットーにしていて、バングラデシュでは残飯を、チェルノブイリではなんと放射線汚染されたものまで食べるのだから驚き。けっして「グルメ」ではないことは明らかですが、それでもそこで生きている彼らは、食べなければ生きていけないのです。

日本がめぐまれている現状と、当たり前のことが実は当たり前ではないということを痛感させられるでしょう。世界の実情に深く鋭く斬り込んだ一冊です。

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