「スマホを落としただけなのに」シリーズを解説!原作ならではの魅力とは【結末ネタバレ注意】

更新:2019.12.11

あらゆることに利用されるスマホは、今や生活の必需品。見当たらずヒヤリとした経験はないでしょうか。便利ではあるものの、個人情報の塊ですよね。 落としたという想像だけで血の気が引きますが、映画化された本作はスマホを落としたことから事件に巻き込まれてしまうサスペンス。この記事では『スマホを落としただけなのに』と、続編『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』の結末までの見所を解説いたします。ネタバレを含みますのでご注意ください。

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「スマホを落としただけなのに」シリーズが面白い!身近な恐怖を描く小説がまたも映画化!【あらすじ】

 

「スマホを落としただけなのに」シリーズは、志駕晃が書いたサスペンスホラー作品です。2016年『このミステリーがすごい!』大賞の最終選考で落選したものの、編集長の隠し玉として2017年に書籍化されました。

1作目『スマホを落としただけなのに』が好評となり、2018年11月には続編となる『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』が刊行されています。

本シリーズは、スマホやWi-Fiといった、身近なものから個人を特定され謎の人物に付け狙われてしまうという恐怖を描いています。さらに、そこに連続殺人事件や登場人物たちの過去が複雑にからみ合い、混迷状態になっていくのです。

個人が恐怖に陥れられるサスペンスホラーではなく、殺人事件や個人を付け狙う犯人を特定するという、謎解き要素も特徴です。 

本作は2018年11月2日北川景子主演で映画が公開されており、大きな話題となりました。また2作目を原作とした、続編映画も千葉雄大主演で2020年に公開されました。詳細や見所は映画公式ページ、または動画でご覧になってみてください。

スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼 - 映画・映像|東宝WEB SITE

『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』特報【2月21日(金)公開】

 

 


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作者・志駕晃とは

志駕晃(しがあきら)は、1963年生まれの小説家です。多彩な経歴を持つ作者で略歴を読むだけで、その器用さが分かるかもしれません。

彼は勅使河原昭として明治大学在学中に、漫画家デビュー。また、アルバイトをしていたことから卒業後の1986年にニッポン放送に入社しました。人気番組を複数手掛ける、プロデューサー、ラジオディレクターをしていました。

その後、48歳の頃から小説の執筆を開始。4作目となる『スマホを落としただけなのに』で作家デビューを果たしました。

2017年のデビューから精力的に活動しており、2019年8月までに5作を発表。社内でデジタルコンテンツ事業を担当していたこともあり、デジタル系の知識に造詣が深い様子。デビュー作『スマホを落としただけなのに』や、『あなたもスマホに殺される』では、その知識が存分に活かされています。 

一方で『オレオレの巣窟』や『ちょっと一杯のはずだったのに』などの、濃いキャラクターの登場する、小気味よい会話とコミカルな展開が楽しいミステリー作品も発表。作風の幅の広さを見せています。

著者
志駕 晃
出版日
2019-08-06

今回ご紹介する作品は、志駕のスマートフォンへの警鐘と、ミステリーを仕上げる能力が協力なタッグを組んだもの。代表作ということで当然ではありますが、彼の書籍を未読の方は、ぜひこちらから読んでみるのがおすすめです。

第1作『スマホを落としただけなのに』のあらすじ、見所

シリーズ1作目である『スマホを落としただけなのに』は、文字通りスマホを落としたことから、事件に巻き込まれていくところから始まります。

30代のOL稲田麻美は黒髪のストレートヘアが特徴の美女。ある日、恋人の富田誠がタクシーにスマホを落としてしまったことを知ります。そこで彼のスマホに電話をかけると、出たのは拾ったらしき知らない男。男は麻美にスマホを返すと言ってきます。

しかし、待ち合わせ場所に行っても男はおらず、スマホだけ返ってきました。安心していた麻美でしたが、スマホを拾った男はスマホの中にあった画像から彼女を気に入り、情報を入手して監視を始めていました。

そして麻美がSNSを利用し始めた時、知人に成りすまして近づいていきます。 

著者
志駕 晃
出版日
2017-04-06

その頃神奈川県の山中では、身元不明の白骨化した女性の遺体が次々と発見されるという事件が発生していました。捜査を担当している神奈川県警の毒島徹は捜査の過程で浮上した、波多野淳史という男を調べ始めます。

本作は、スマホを拾った謎の男、男に付け狙われる被害者となる麻美、事件を捜査する毒島という3人の視点で物語が進んでいきます。なぜ男が麻美に興味を持ったのか、麻美が体験する恐怖、そして事件の真相と物語が進んでいきます。

作品全体の見所は何といっても麻美が体験するネットの恐怖でしょう。

彼女は美女ではありますが、それ以外の部分では私たち読者に近い身近な人物です。彼女が徐々に事件に巻き込まれていく様子は、共感できるだけに背筋がヒヤリとします。

スマホからは個人の生年月日などの基本的な情報だけでなく、交友関係や過去など、実に様々な情報を得ることができます。自身で気を付けている範囲や、セキュリティソフトでは防げないことがあり、悪用されればこういった危険に巻き込まれることがあるのだと知ることができるでしょう。他人事ではない恐怖を感じさせられます。

第1作『スマホを落としただけなのに』の結末から感じられることとは

 

麻美はSNSを利用したことから孤立を深め、疑心暗鬼になっていきます。そして恋人も、友人も信じられないなか、犯人に足元をすくわれ、さらわれてしまいました。

絶体絶命の中、富田に助けを求めたところ、辛くも命は助かりますが、代わりにひた隠しにしてきた過去を暴かれてしまいます。

実は犯人は母親から虐待を受けていた過去があり、母親と同じ長い黒髪の女性に異常な執着を抱いていました。

過去にも何人もの女性を襲っていましたが、いずれも家族とは疎遠となり、捜索願を出されなさそうな身の上の女性ばかり。麻美もとある事情で家族と疎遠となっていることを知られ、狙われていたのでした。 

結末の見所は、麻美が抱えていた事情が明かされる場面ではないでしょうか。

麻美は命が助かった代わりに、隠していた過去を暴露されてしまいます。その事実は衝撃的なものでした。今回の事件だけでなく、過去の麻美もネットの被害者だといえる側面があったのでした。

誰でも情報を得られるという、便利なものではあるものの、個人の尊厳を傷つけることもある……。インターネットというもの自体が、現代社会では凶器なのだと感じられる結末です。 

 

著者
志駕 晃
出版日
2017-04-06

続編『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』のあらすじ、見所

 

ここからは続編『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』についてご紹介していきましょう。

神奈川県山中から複数の遺体が発見された、丹沢山中連続殺人事件。セキュリティ会社から転職し、神奈川県警の生活安全サイバー犯罪対策課に勤務する桐野良一は、その事件の犯人のパソコンを調べていました。ハードディスクを渡され、長谷川祥子という女性の情報を調べてほしいと指示を受けていたのです。

長谷川祥子は山中から遺体が発見された女性。遺体は死後3年から4年が経過しているものの、一連の事件の被害者だと想定されています。

しかし、長谷川に関する情報は見つからず、データを削除したような痕跡も見当たりませんでした。桐野は丹沢山中の事件を担当した刑事、毒島と捜査を進めるなかで、犯人に会ってみないかと提案されるのでした。 

一方、桐野の恋人である松田美乃里は、転職してから忙しさから会えなくなってしまった恋人に不安と不満を募らせていました。誕生日のディナーも仕事でドタキャンされてしまいます。

そんな時、彼女のスマホのデータを狙う男が現れました。彼はダミーのフリーWi-Fiを利用し、個人情報を自由に閲覧し始めます。

続編もネットを利用した犯罪と過去の殺人事件が絡んできます。視点も桐野、美乃里、美乃里のスマホの情報を狙う謎の男と、3人の視点で進むところも前作と同じところ。

しかし、大きな違いは前作の犯人が登場するという点でしょう。彼が過去の殺人事件の犯人なのか。それとも真犯人は別にいるものの、何かしらの関わりがあるのか……。先が気になる展開です。 
 

最大の見所は、犯人が殺人事件の捜査に協力する、という驚きの展開です。事件に関わっているのは、どうやらカリスマクラッカーMと呼ばれる男。そして前作の犯人はMのことも知っている様子なのです。

死刑囚が事件の捜査に加わるという前代未聞の展開。デジタル戦ということもあり、前作よりもさらに静かながら恐怖を感じさせる展開となっており、手に汗握ります。 

 

続編『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』の結末から感じられることとは

 

ストーリーは、丹沢山中連続殺人事件、美乃里に迫る謎の男、前作の犯人の供述などを軸に、さらに一見関係のない仮想通過流出事件も関わってきます。

その流出事件の救世主であり、犯人でもあるのではないかと言われているのが、ホワイトハッカーJK16。しかしMだと自称する人物から、JK16を殺して山中に埋めたという連絡がきます。

 

著者
志駕 晃
出版日
2018-11-06

 

結末の見所は、どんでん返しに続く、どんでん返し。重要だと思われていた真相が明かされるごとに、また新たな謎が出てきて、それぞれの事件の犯人が誰なのか、なぜその事件に関与したのかが、非常に入り組んでいます。

普段から人の言動や設定を疑いながら生活している人はあまりいないのではないでしょうか。しかしその「普通」だと考えがちな価値観が、本作では脆くも崩れ去っていくのです。
 

疑うことは、相手に対して失礼にあたるため、ためらうこともあるでしょう。しかし、疑うことで自分だけでなく、誰かの身も守れるはずです。人は善人だけではない。そう胸に刻む必要を感じさせる結末です。

映画化に際し、ぜひ原作を楽しんでみてくださいね。文字だからこそのトリックや展開に引き込まれること間違いなしです。 

映画作品が気になる方は、公式ページや予告動画で確認してみてくださいね。


 

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『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』特報【2月21日(金)公開】

 

 

 

続編映画と原作では、登場人物の立ち位置などが一部異なりますが、ストーリー展開は同じ様子。身近な物から忍び寄る恐怖と特大の謎を再び映像で堪能することができます。ただし、前作では結末で明かされた秘密の背景が多少異なったことから、今回も結末にある程度違いはあるかもしれません。

小説のほうは更なる続編『スマホを落としただけなのに 戦慄するメガロポリス』が2020年1月9日に発売予定。発売を楽しみに待ちましょう。

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