『キューティーハニー』は言わずと知れた、美少女戦士漫画の大御所。金髪碧眼の美少女、如月ハニーが犯罪組織と戦う、変身アクション作品です。 アニメ作品も話題になり、「~この頃 はやりの女の子 お尻の小さな 女の子~」で始まる主題歌を耳にした人も多いでしょう。アニメ以外にもメディアミックスが盛んな作品ですが、実は漫画の連載は約半年、アニメも2クールで終了しているのです。 短期間の掲載、放映にもかかわらず、なぜここまで人気となりえたのでしょうか。名作に関する意外な7つの事実をご紹介いたします。
『キューティーハニー』は、永井豪と彼が運営するプロダクションが生み出した、漫画、アニメ作品。当初の2作品が終わったのちも、複数回アニメ化や実写映画化されているほどの人気です。誰しもその名は聞いた事があるのではないでしょうか。
しかし実は漫画は連載が半年で終わっており、アニメについても2クールしか放映していなかったというのをご存知でしょうか?
本作については、実は知っているようで知らない、意外な事実がたくさんあるのです。この記事では名作に関する驚きの情報をいくつかご紹介します。
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まずは本作のあらすじを振り返ってみましょう。すでに知っているという方は飛ばしてしまっても問題ありません。
さて、本作の主人公は金髪碧眼の美少女、如月ハニー。実は彼女、人の4倍もの身体能力を発揮することができる、半生体のアンドロイドです。この設定、意外とあやふやになっていた方も多いのではないでしょうか。
科学者である父、如月博士の悲願で完成した彼女は、山の中にあるミッション系の全寮制高校へ転入します。しかしその折、謎の集団に襲撃され、命を落としてしまう博士。
実はその理由は、ハニーにありました。
彼女の体内には空気中の元素を瞬時に組み合わせて物質を作り出す世紀の発明が内蔵されています。それが犯罪結社である豹の爪(パンサークロー)にとっては、喉から手が出るほど欲しいお宝だったのです。
ハニーは自身の身体を守るため、「愛の戦士キューティーハニー」に変身し、刺客と戦うことになります。
変身シーンでは、一度全裸になるため、セクシーなアニメとしても注目を集めた本作。実写映画などメディアミックスも盛んですが、2020年には本作を原作とした舞台「Cutie Honey Emotional」も上演されます。
原作を見たい!となったときに、アニメは少々値がはりますが、漫画であればすぐ読むことができるので、懐かしくなったらまずは漫画を読んでみるのはいかがでしょうか?
- 著者
- 永井 豪
- 出版日
- 2013-12-20
本作は、メディアミクス企画として始まった作品でもあるため、様々な媒体で映像化されています。1973年にテレビアニメの第1作が放送。その後タイトルや細かい設定などを変え、続編やリメイク作品が制作されています。ここでは、それぞれのメディア化作品、特色や見所などを見ていきましょう。
1973年の第1作『キューティーハニー』は、やはり元祖といえる存在。特に話題になったのは、夜8時30分枠放送にもかかわらず、全裸になるセクシーな変身シーンです。その後の変身ヒロイン物に、大きな影響を与えました。
その後、1994年に再度、OVA『新キューティーハニー』としてアニメ化。第1作から100年後の設定となっています。4話で終了予定だったものの、人気から12話まで作成。かと思えば制作会社がつぶれたことにより、8話で打ち切りとなった波乱の作品です。
つづいて1997年から放送された『キューティーハニーF(フラッシュ)』は、少女向けの要素が濃い作品。お色気要素はありつつも、恋や友情、ライバルの登場など、美少女戦士物らしさが際立ちます。ハニーの設定も一部変更されており、彼女の少女らしさが見られるのも、本作の魅力でしょう。
『Re:キューティーハニー』は、実写映画のスピンオフOVA。後述する、2004年公開の実写映画版の補足のような内容なので、合わせてみるとより世界観を深く知ることができます。
『Cutie Honey Universe』は、2018年放送のテレビアニメ。状況に合わせて姿を変えたハニーを、全て別の声優が演じることで話題となりました。
また、豹の爪の幹部であるシスタージルが、ハニーの相棒ジュネとして暗躍するというのが、本作のポイント。激しいアクションシーンと、ハニーやジルの葛藤が大きな魅力です。
作品によって傾向は違いますが、全作品を網羅したいなら、やはり第1作から順番に触れていくほうがベスト。違いをより強く感じることができるでしょう。
それぞれの特色でいうと、美少女戦士物が好きな方は「F」、スタイリッシュで現代的な世界と、若干の百合要素を堪能したい方は「Universe」がおすすめです。
アニメの次は、実写版についてご紹介していきましょう。映画2作とドラマ1作が制作されています。
2004年に公開された映画『キューティーハニー』は、庵野秀明監督、佐藤江梨子主演。倖田來未の主題歌カバーが人気となりました。本作はハニメーションという手法で撮影されており、スピーディーな映像が魅力の一つ。
ハニーがOLだったり、親友の夏子が警察官だったりと、大人の設定になっており、一味違った世界を堪能することができます。また、アニメの章でもご紹介したスピンオフOVAも発表されているので、映画を見た方はそちらもおすすめです。
2007年10月から放送された『キューティーハニー THE LIVE』は、原幹恵主演の実写ドラマ。ハニーの他に、ユキやミキといった名前の色違いの女性に変身できるヒロインが登場するのが大きな特徴。少女の群像劇ではあるものの、高レベルなアクションシーンは見応え十分。お色気要素はありつつも、人間ドラマで見せてくれます。
2016年10月に公開された『CUTIE HONEY -TEARS-』は、A.T、ヒグチリョウが監督、西内まりやが主演を務めました。ダークな雰囲気が特徴で、設定も現代ではなく環境汚染によって居住可能な地域が激減したという、近未来の日本が舞台。
ハニーは如月瞳という名前で、豹の爪が登場しないのも特徴の一つです。アメコミのような、独特な世界観で描かれるハニーを堪能できます。
実写版はどれも原作と設定が違う部分があります。世界設定だけでなく、ハニーの衣装も、それぞれの作品で大きく異なっているのも見所の一つ。映画『キューティーハニー』はピンクで可愛らしく、原作に近いのが「THE LIVE」。「-TEARS-」は黒を基調としており、ダークな世界観でシリアスな空気を醸し出します。
実写なので、画に力があり、どのヒロインのバトルが見たいかで何を見るのか決めるのがいいかもしれません。
先ほどもお伝えしましたが、本作は、メディアミクス作品。アニメと原作漫画が同時進行で作成されていました。意外と知らなかったという方も多いのではないでしょうか。
漫画がアニメ化する際、雑誌やwebなどである程度連載され、人気が出たらアニメ化されるという流れが多いですよね。本作は、アニメ制作会社の企画部長から、夜7時台放送の少女向けアニメの原作を作ってほしいという依頼からスタートしたのです。
他作品とのコンペで、7時台での放送はならなかったものの、土曜夜8時台での放送が決定。少女向けから、少年や青年層をターゲットに、お色気要素満載の方向に転向されました。企画段階で漫画化されていたわけではなく、雑誌の連載は、アニメ放送とほぼ同時期の1973年9月1日号から始まっています。
後世に残る名作は、長期連載されているものが多い、というイメージがあるのではないでしょうか。漫画しかり、アニメしかり、国民的作品といえば何年、場合によっては何十年と続き、さまざまな年齢層の視聴者から愛されているものが多いですよね。
『キューティーハニー』も多くの世代が知る人気作品ですが、実は放送も連載も長く続いたわけではありません。アニメは2クール、漫画連載も約半年ほどで終了しました。
現代まで続く支持があるにもかかわらず、なぜ短期間で終了してしまったのか。それは、本作の大きな魅力の一つでもある、ハニーの変身シーンにあります。
ハニーが全裸になる変身シーンは設定に基づいており、お色気要素ではあるもの、卑猥な印象ではありません。しかし放送局より、裸のシーンが多いのはよろしくないと問題視されるようになり、2クールでの終了が決定してしまったのです。
漫画版の短期間で連載が終了した明確な理由は公開されていません。PTAなどからの苦情があったのでは?、という噂も流れています。やむを得ず、連載を打ち切らざるを得なかった、との説が有力視されているのです。もったいない!
そんな、魅力であり、物議をかもすハニーの変身シーン。アニメではそれが理由で打ち切りになったのでは、と説明しましたが、実はそれでも無難なほう。漫画では変身する際のトラブルも発生するのです。
たとえば長時間全裸だったり、いろいろな部分まで見せてしまったりと、際どい描写が多くあるのです。ハニーは生身の人間に近い心を持っていますが、なぜか羞恥心はあまりなく、作中でも恥じらいは、どんどん薄れていきます。
ハニーの変身シーンに強いこだわりを持つ原作者、永井豪はエロコメディの元祖ともいえる『ハレンチ学園』の作者でもあります。赤塚不二夫に止められたというエピソードは、この『ハレンチ学園』を描く以前のこと。
- 著者
- 永井豪とダイナミックプロ
- 出版日
- 2018-06-29
永井豪が『じん太郎三度笠』を描いた際、主人公が殺し合いを始めたりと、健全ではなかったことに赤塚不二夫が大激怒。直接注意を受けたのだとか。そこで色事に関しても指摘されたそうです。
ところが、永井豪は止められた部分に活路があるのではと考えました。そうしてダメ出しされた要素を、てんこ盛りに盛り込んで作られたのが『ハレンチ学園』。以降、永井作品にエロチックな要素は欠かせないものになり、結果ハニーの変身シーンもどんどんと過激になっていったのです。
連載期間は極端に短かった本作ですが、ハニーは永井豪作品のいたるところに登場しています。というのも、自身の作品のキャラクターを別の作品へ移植するのが好きだった永井。原作者が自らおこなうコラボという、贅沢を味わえます。
『激闘伝説』では、全裸で覆面姿のけっこう仮面というキャラクターとの対決が描かれたり、『あばしり一家』のキャラクターとたびたび共演をしたり、あちこちで活躍しています。
なかでも『マジンガーZ』との共闘は、かなり異色。空中元素固定装置でマジンガーZを生み出し、巨大ロボ戦をするという、なんともダイナミックな展開。「マジンガーハニー」が見られるのも、永井豪の遊び心ゆえなのでしょう。
- 著者
- 永井豪とダイナミックプロ
- 出版日
- 2018-01-10
本作最大の魅力は、何といってもハニーの愛らしさ。そもそも全裸の変身シーンというだけで、男の夢とロマンが凝縮されていることはうかがえますが、永井豪本人もハニーを男の願望がすべて詰まった存在、と語っています。
スタイル抜群の美少女であり、アンドロイドゆえに年齢を重ねることはありません。ハニーの愛らしさ、瑞々しさは永遠に損なわれることはないのです。
そして、彼女は人間の4倍もの身体能力を持っており、弱きを助け悪と戦う正義感も持っています。男性に守ってもらえる状況が女性の理想ですが、永井豪曰くそれは男性も同じなのだとか。ハニーは、男性が甘えられる強さを持ちながら、美しさも堪能できる、まさしく理想の存在なのです。
漫画版の最終回は、「俺たちの冒険はこれからだ!」という、続きを予想させるような終わり方になっています。
黄金仏像を豹の爪が狙っていると知ったハニーは、仏像に変身して敵のアジトに侵入。大幹部シスタージルと激しい戦いをくり広げ、勝利します。その時、アジトには新たな声が響き渡り、豹の爪の首領が現れて……。
最終的にパンサークローを壊滅させたわけではないので、ハニーの戦いはまだ続く、という続編を期待するような内容なのです。まさかの人物の死など、意外な展開もありますので、詳細は本編でご覧ください。
同じくアニメや映画でも、シスタージルやそれに相当するキャラクターとの戦いを描いて物語が幕を閉じます。しかし彼女の戦いが終わったという明確な描写はされていないものもあり、どこかでハニーは闘い続けているのだろうかと想像が膨らむ終わり方なのです。
賛否両論あるラストかもしれませんが、どこかで戦っているのを想像するのも夢のある終わりなのかもしれませんね。
ちなみに、なかでも特殊な終わり方なのが、アニメ「キューティーハニーF」。なんと3年後にハニーが子どもを産むのです。娘を守って戦う母親としての彼女を見ることができるのです。
ここまで本作に関する様々な要素を見てきました。半年で連載終了になってはいますが、ここまで人気となったのは、やはりハニーの可愛らしさにあるのでしょう。
作者本人も愛ある発言をしていますし、原作以外にたくさんの作品があるというのも、リメイクしたくなるようなキャラクターだということを裏付けしているでしょう。
やはりその魅力は原作が一番強いのではないでしょうか。ぜひ気軽に手に入れられる漫画でその魅力を実感してみてください。
- 著者
- 永井 豪
- 出版日
- 2013-12-20
有名な作品だからこそ、知らないことがたくさんあります。『キューティーハニー』にも知られていない事実があり、驚いた読者の方も多いのではないでしょうか。さまざまな顔を持つハニー同様、1つの作品から生まれたとは思えないほど多くの顔と魅力を持つ本作。作品に触れれば、ハニーに魅了されること間違いありません。