『リボンの騎士』はアニメだけじゃもったいない!サファイアが可愛い!

更新:2020.12.9

『リボンの騎士』は手塚治虫の代表作の1つであり、本作の主人公・サファイアは手塚作品のなかでも、かなり有名なキャラクターの1人です。「お姫さまが男装の麗人として悪と戦う」というストーリーは当時としては斬新で、少女向けのバトル漫画の先駆け的存在ともいわれています。 この記事ではそんな本作の魅力や、掲載元によって異なる点などをご紹介!ちなみに漫画アプリで無料で読めますので、そちらからまずはご自身でお読みいただくのもおすすめです。

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漫画『リボンの騎士』が面白い!意外な始まり、知ってました?

漫画が原作ですが、アニメも有名な本作品。その人気は高く、子供の頃にリアルタイムや再放送でご覧になった方も多いでしょう。実はアニメと漫画では、ストーリーや登場キャラクターが違うという事はご存じでしょうか。

まず、ストーリーの始まりが少しずつ違います。

アニメ版第1話では、王子・サファイアが謎の男たちから追われ、男か女か確かめようとされている場面から始まります。ところが漫画のプロローグは人間界ではなく、天界からのはじまり。

これ以降は漫画のあらすじです。

人間の子供は、天界で神さまから「男の子の心」か「女の子の心」のどちらかを与えられて性別が決まり、生まれてくるという掟があります。

サファイアは生まれる前に神さまから女の子の心を授かりました。しかし、その前天使の子供・チンクのいたずらで、男の子の心も与えられてしまったのです。こうして男女2つの心を持ってしまうことに。

神さまはチンクのいたずらに気づき、彼を人間として地上に遣わし、サファイアが本来持たなかったはずの男の子の心を取り戻して来るように命じます。

しかしチンクは本来の目的をおろそかにし、15年間もサファイアを見つけられず、地上をさ迷うことになるのでした。(アニメでは12年間です)そうしてようやく彼女を見つけたのですが……。

アニメ1話では後ほど明かになるサファイア姫の生まれた背景が、漫画では最初に明かされています。

この記事では、このような意外と知られていない事実とともに、漫画『リボンの騎士』の魅力をお伝えします!特にキャラクターの違いは大きく、驚く方もいるかもしれません。後述しておりますので、そこから読みたい方は目次からご覧になってみてください。

また、本作のなかよし版はスマホアプリで無料で読むこともできるので、説明よりはまずは原作を自分で読みたい、と言う方はそちらから読んでみるのもおすすめです。

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まずは、あらすじをご紹介

まずは、あらすじをご紹介
出典:『リボンの騎士』(なかよし版)1巻

まずは、先ほども説明したあらすじのその後について少々説明させていただきます。ご存知の方は飛ばしてしまって問題ありません。

チンクは、神さまの命令で探していた「男の子みたいな女の子」サファイアをやっと見つけます。では男の子の心を取り除けばそこで済むかと思いきや、事態はそう簡単ではありませんでした。

サファイアは王子として育てられていたのです!

女の子のはずなのに、どうして……。チンクは混乱しますが、自分の仕事をまっとうするため、彼女から男の子の心を取り戻そうと奮闘します。

しかし、それはあくまで天界の裏事情。サファイアは人間界で王子として生きなければならない理由があったのです。それはこの国の掟が理由でした。

サファイア国では女性は王位継承権を持ちません。そのため、生まれたのが王女であれば王の従兄弟・ジュラルミン大公の息子・プラスチックが王となります。

彼は悪臣と名高い人物で、彼に国を奪われては一大事。しかもその息子・プラッスチックは有名なボンクラなのです。

こうして国の将来のため、サファイアは王子として育てられました。剣も強く、乗馬も巧みな彼女は、賢く勇敢な王子として成長します。しかしジュラルミンとその部下・ナイロン卿は、彼女が王女なのではないかと疑って秘密を暴こうと暗躍します。

天使の思惑、サファイアの意思と恋心、国を巡る悪との戦い……。男と女、2つの心を持つ少女・サファイヤの、王子として生きなくてはならない運命との戦いは、どのような結末を迎えるのでしょうか。

サファイアが可愛い!戦う女性の先駆け!

作品の大きな魅力の1つ、それはやはり主人公・サファイアの可愛らしさです。
 

ヒーロー兼ヒロインでもある彼女は、強い正義感と勇気、そして剣の腕前を思う存分、発揮して戦います。そんなヒーローとしての一面、王子としての活躍もスマートですが、ヒロインとしての顔、女の子として恋を知った彼女はとびきり可愛らしく、また魅力的です。

サファイアが王女であるという決定的な証拠を掴もうと、あの手この手で仕掛けてくるジュラルミンとナイロン。彼らに隙を見せないように、大切な国と両親を守るため、勇敢で賢い王子として過ごす日々でした。

そんななか、サファイアは変装して訪問した復活祭で、隣国の王子・フランツと出会い、互いに恋に落ちてしまいます。恋心を自覚した彼女は、王子として振る舞う一方、女の子の心の発露を抑えきれないという葛藤を抱えながら、悪と戦うことになるのです。

それに対し、ジュラルミンとナイロンは、ついにサファイア暗殺まで企てていました。ところが彼女を狙った謀略は、なんと王の命を奪ってしまうのです。しかもその犯人とされたのは、恋慕うフランツ王子!

ヒロインであり、ヒーローでもあるサファイアは、復活祭で出会った「亜麻色の髪の乙女」に変装して、フランツ王子を牢から助けだします。ところが王子は乙女に感謝するも、投獄はサファイアの差し金だと誤解して、憎むようになってしまうのです……。

恋慕う相手に憎まれながらも、「亜麻色の髪の乙女」として名前は名乗らず、正体を隠し通すサファイア。切なさや愛情をにじませる美しい瞳、表情は健気で愛らしく、魅力的に表現されています。


手塚治虫のおすすめヒロイン漫画を紹介した<手塚治虫おすすめヒロイン漫画4選!素敵な女性に、アッチョンブリケ!>の記事もおすすめです。

著者
手塚 治虫
出版日
2015-09-18
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「少女クラブ」版と「なかよし」版があった!その違いは?

 

『リボンの騎士』には、実は4つの作品があります。

『リボンの騎士』原典である「少女クラブ」版、その続編で『双子の騎士』とされるストーリー、そして「なかよし」版の原作リメイク『リボンの騎士』、さらに「少女フレンド」版とされるストーリーです。 

『リボンの騎士』本編のストーリーは、「少女クラブ」版、そして作者自らのリメイク作品である「なかよし」版です。

「少女クラブ」版から約10年の後に発表された「なかよし」版は、描線から「少女クラブ」版とは異なります。登場人物やストーリー、国名や表記とさまざまな違いがみられ、主人公・サファイアの表記も、もともとは「サファイヤ」でしたが、「なかよし」版から「サファイア」となっています。

「少女クラブ」版のサファイヤは少年のように快活な性格。女性として素の場面でも、言葉遣いや表情からその様子がうかがえます。

それに対し、「なかよし版」では、王子としてふるまいつつも、女の子らしい側面が美しい絵柄で表現されています。実は可愛らしいものが好きだったり、リボンやドレスに憧れる心を隠していたり……。また、より少女漫画らしく表情や絵柄の美しさが際立つように再構築してあります。

ただ、どちらも「国のために王子として生きる」という運命にあらがう王女の姿は共通しているポイント。誤解からフランツに憎まれ、それでも捨てられない恋心に苦しむという葛藤が読者を引き込んでくるのです。

その他にも、海賊・ブラッド、女神・ビーナス、ウーロン候など「なかよし」版のみの個性的なキャラクターも多く登場。「少女クラブ」版を下敷きにしつつも独自のストーリーがテンポよくスピーディーに展開しています。

同じ『リボンの騎士』の話をしているのになぜか話が食い違う、ストーリーや登場人物が違う、そんな経験があるかもしれません。かつて読んだ『リボンの騎士』は、一体どの版だったのか、読み比べてみるのも面白いですね。

ちなみに『双子の騎士』は「少女クラブ」版の続編で、主人公はサファイアとフランツの子供、男女の双子・デージィとビオレッタを主人公としたストーリー。母となったサファイアが見られます。

また「少女フレンド」版はSF仕立てのストーリーで、25世紀の発明家・フランツが主人公となっており、手塚治虫は原案のみ、作画は虫プロダクション所属の北野英明が担当しました。

著者
手塚治虫
出版日
2012-11-22

示される献身……切ない愛の形。悪魔の娘・ヘケートの愛

示される献身……切ない愛の形。悪魔の娘・ヘケートの愛
出典:『リボンの騎士』(なかよし版)2巻

また、「少女クラブ」版と「なかよし」版で、大きくことなる要素の一つが、悪魔の娘・へケートの存在です。

「少女クラブ」版ヘケートは、乱暴者で手がつけられず、その父親・メフィストは、ヘケートを女らしく美しい娘にするために、サファイアの持つ女の子の心を奪って与えようとします。

一方「なかよし」版では、ヘケートの母親である悪魔・ヘル夫人は、大国ゴールドランドの王子・フランツと娘を結婚させ、ゴールドランドを手に入れるという野望の持ち主。そのために恋仲であるサファイアから女の子の心を奪って気持ちをなくしてしまおうと画策するのです。

お伝えしたいのは「なかよし」版のヘケートについて。こちらの彼女は奔放な心の持ち主で、母親の意思に反してサファイアの心を欲してはいません。自由のためフランツに協力し、母に奪われたサファイアの心を取り戻そうと活躍します。

しかし、明言はされませんが、ともに行動するうち、フランツへ何らかの好意を抱いてしまうのです。それでも彼女は、フランツと結ばれるべきは、愛し合っているサファイアだという姿勢を一貫して崩しません。

そして強引に結婚式を挙げさせようとする母をあざむき、フランツを連れて逃亡しますが、ヘル夫人の追撃から逃れることはできませんでした。

最後には天使・チンクの助けを得たフランツとともに、母親を倒します。しかし母が死ねば、彼女に造られた存在であるヘケートの命もそこまで。フランツと結婚するために造られた彼女は、そんな自分の存在を正しくないと、母とともにその命を終えてしまいます。

そして最後には、きっと醜い姿に変わってしまうから、と言って、自分の最期を見届けさせず、フランツを送り出すのです。心根の優しい悪魔の娘、その献身は愛に充ちていて、心に残る存在なのです。

小悪魔的な美しい顔と、心が放つ深い愛情や潔さ。フランツに強い恋心を抱き、執拗に追い求める「少女クラブ」版のヘケートとのギャップも相まって、かなり印象的なキャラクターとして魅力を放ちます。 

それぞれの違いはぜひ作品でご覧ください。

アニメと漫画の違いは?

アニメと漫画の違いは?
出典:『リボンの騎士』(なかよし版)2巻

超有名な名作アニメ『リボンの騎士』。実は少女が主人公の日本のテレビアニメとしては、横山光輝の『魔法使いサリー』に次いで史上2番目の作品なのだとか。フジテレビ系で1967年4月から放映され、全52話完結となっています。

アニメ版もストーリー、登場キャラクターともに漫画と多くの違いがあります。特にアニメオリジナルの国や敵の登場する終盤の展開は、まったく異なるもの。

天使・チンクの年齢が漫画よりも低いこと、サファイアの性格がおてんば的、など細部を挙げればキリがありませんが、なかでもサファイアの想い人・フランツ王子は大きく異なります。

漫画では生真面目で誠実な美青年として描かれていますが、アニメ版では、遊び人風のそつがない性格をした少年となっているのです。

実はこれ、「スター・システム」によって作者の他作品『少年探偵ロック・ホーム』のキャラクターである「ロック・ホーム」がフランツ王子に扮しているのです。

スター・システムとは、演劇などの興業分野でスター選手、人気の高い人物を起用し、その人物の参加を大前提とした作品製作・チーム編成・宣伝計画・集客プラン立案などを総合的に行っていく方式のこと。

転じて、漫画などで同一作家が同じ絵柄のキャラクターをまるで俳優のように扱い、異なる作品中で様々な役柄として登場させる表現スタイルも「スター・システム」と呼ぶようになりました。日本の漫画分野では、手塚治虫が初めてこの手法を用いたとされています。

アニメ版として作者がデザインしたフランツ王子。ストーリー上でもサファイアとは気の合ういたずら友だちという関係です。

彼は、ジュラルミンからサファイアの性別を探るように頼まれていたため、彼女が女の子だと察しています。また、展開上投獄されていないため、サファイアを憎むというくだりもないのが漫画との違いです。 

フランツ王子はアニメと原作どちらから先にチェックしていても、違いにビックリしてしまうキャラクター。原作とアニメで、真面目な王子と遊び人風王子という、まったく逆のベクトルで魅力的です。アニメ版を見る際は、この大きな違いに注目するも面白いでしょう。

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漫画『リボンの騎士』の結末はどうなる?【ネタバレ注意】

 

ジュラルミンとナイロンの謀略が結果的に王を殺し、王位継承問題の末に国を追放されてしまったサファイア。王妃とともに棺桶塔に幽閉されますが、脱出方法を見つけ、塔を抜け出し顔を隠して「リボンの騎士」となって悪政に苦しむ人々を守って戦います。

その後も、とある目的から彼女の女の子の心を奪おうと狙う悪魔・メフィストの襲撃、亜麻色の髪の乙女の正体に気づき始めたフランツとの交流、救出に向かった母の消息が知れない悲しみなど、波瀾万丈な運命に翻弄されます。

そして、長きに渡るすれ違いの末、ついに思いが通じたサファイアとフランツ。しかし、さらに新たな試練が訪れます。

サファイアは、メフィストに女の子の心を奪われ、男の子になってしまうのです!恋心がなくなった彼女は、フランツの想いを受け入れません。戸惑うフランツ、そしてチンクは、己の使命を果たす時と知ります。

フランツとの恋の行方は……?仇敵・ジュラルミンとナイロンとの対決は?さまざまな想いが交錯しながら、物語はクライマックスへと向かいます……。

 

 

複雑に絡まり合い展開していくストーリーは、意外な最後を遂げる人や、大変身を果す人物もいます。

戦う少女、男装の麗人、恋と冒険、アクションと謀略。少女漫画の枠を越えて、今なおたくさんの魅力で読者を惹き付けて止まない本作品の結末は、いつの時代に読んでも、新しい気づきを与えてくれます。

けれど、やはりサファイアの幸せを眺める.幸福感が、本作を読む一番の醍醐味。読めばきっと、サファイアに恋をしてしまうこと間違いなし。永遠のヒロインと、ヒーローのひとつの形が、ここにあります。

著者
手塚 治虫
出版日
2016-03-12
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たくさんの方々から愛され続けている作品の魅力を、発表された雑誌ごとの違いを元に、お伝えしてきました。筆者が昔サファイアに恋をした気持ちを一緒に感じていただけたら幸いです。

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