手塚治虫おすすめヒロイン漫画4選!素敵な女性に、アッチョンブリケ!

更新:2021.11.23

マンガの神様、手塚治虫。数多くの傑作、名言、登場人物たちを生み出しました。今回は、可憐な少女から大人の女性まで、魅力的なヒロインにたちにスポットを当てた手塚作品を4点、ご紹介します。

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マンガの神様、手塚治虫とは?

手塚治虫(1928年11月3日 – 1989年2月9日)は日本の漫画家であり、アニメーター、アニメーション監督でもあります。幼いころから漫画やチャップリンの喜劇映画、ディズニー映画などに触れ、アニメ監督を夢見ていました。

また、「漫画から漫画の勉強するのはやめなさい。一流の映画をみろ、一流の音楽を聞け、一流の芝居を見ろ、一流の本を読め。そして、それから自分の世界を作れ」とも言っており、彼の作品にも宝塚文化などの影響があるといわれています。手塚の作品の魅力の幅は、こういったところにもあるのかもしれませんね。

1946年、大阪版『少国民新聞』に連載した『マアチャンの日記』でデビューして以来、第一線で活躍し続け、晩年の病床でも鉛筆を握り続えていたといわれる手塚治虫。生涯で700タイトル以上もの作品を残しており、死後もその人気は衰えず続々と再刊されています。

少年・青年漫画の印象が強いですが、『リボンの騎士』に代表されるように、少女漫画を描いていた時期もありました。手塚は自身を、漫画において時代の流れに合わせ、転向を繰り返す転向者、と称しています。その上で「戦争だけはご免」とし、反戦テーマを扱い続けたのでした。

手塚治虫の代表作!『リボンの騎士』

少女漫画初の「戦う少女」であり、手塚20代の代表作『リボンの騎士』。幼少のころから親しんだ宝塚歌劇団の影響を強く受けた作品で、主人公サファイアのモデルとなったのも、元宝塚歌劇団の淡島千景です。

天使チンクのいたずらで、男の心と女の心を持って誕生したサファイア。王室の正嫡の女児として生まれますが、男性だけが王位継承権を持つという国の決まりのため、王子として育てられることに。成長したサファイアは「リボンの騎士」となり、国にはびこる悪と立ち向かいます。お姫様が男装の麗人として戦うのは、当時の少女漫画としてはかなり斬新な設定でした。

著者
手塚 治虫
出版日
2009-10-09


「だけどこの国には悪いたくらみやしきたりが多すぎます。それがなくなるまで、ボクは男の子ですよおかあさま」(『リボンの騎士』より引用)

自分は男性だと、強く生きるサファイアの決意が感じられるセリフです。女性に求婚されたこともあるほど凛々しいサファイア。しかしサファイアが「男性」であるかというと、そうではありません。かわいい服を着てみたいと思ったり、ドレス姿を満喫したりもしています。

たとえば亜麻色の髪の乙女に変装したサファイアは、ショートカットで力強い普段の様子とは全く異なっています。この姿の時に出会った、永遠の恋人フランツ王子。彼との関わりも、本作の大切な軸となっています。

ヒーロー、そしてヒロインとして強い心で内側から輝くサファイアを、本作でぜひお楽しみください。

『リボンの騎士』について詳しく知りたい方は<『リボンの騎士』はアニメだけじゃもったいない!サファイアが可愛い!>をご覧ください。

悪女を通して見る人間社会とは?『人間昆虫記』

手塚はペンネームに「虫」を入れるほど大の昆虫好き。そんなことを象徴したような本作『人間昆虫記』。人間社会を昆虫社会に模して描く作品で、2011年にはドラマ化もされています。

著者
手塚 治虫
出版日
2012-04-12


主人公十村十枝子は、あらゆる方面で才能を発揮する女性。物語は、彼女の芥川賞授賞式の日、別の場所で臼場かげりという女性が自殺したところから始まります。十枝子が受賞した作品の元は、なんとかげりの考えていたものだったのです。実は十枝子はかげりに限らず、才能のある人物に近づいては、その人物の才能を完璧に模倣し、自分のものとしてきました。相手を破滅させてでも自分の中に吸収し、脱皮するかのように変化し続ける彼女の生き方とは……。

本作で十枝子は、才能溢れる天才と噂されています。しかしその実態は幼稚で、依存心が強く周りを信じられない、哀れで孤独な女性。欲望のままに突き進む彼女は、すがすがしささえ感じられます。しかしどれだけ奪おうと結局は満たされない切ない悪女十村十枝子を、とくとご覧あれ。

元祖「ボクっ娘」も登場!『三つ目がとおる』

古代の人類三つ目族の末裔写楽保介と、親友の和登千代子が一緒にオカルト事件を解決していく怪奇SF作品『三つ目が通る』。少年漫画での手塚の復活を印象づけた作品でもあります。

著者
手塚 治虫
出版日
2010-02-10


主人公の写楽保介の額には、三つ目族の証「第三の眼」があります。危険だと判断され、幼少期にそれは絆創膏で塞がれました。普段は幼稚で無邪気な性格の写楽ですが、ひとたび絆創膏が剥がれると性格は一変。三つ目族の頭脳や能力を兼ね備えた、冷酷な悪魔のプリンスに変身するのです。そんな写楽が唯一頭の上がらない人物が、親友で想い人の千代子。

「やいてめーら。いつになったら写楽クンへのいやがらせをやめるんだ」(『三つ目が通る』より引用)

上のセリフからもわかるように、正義感が強く男勝りで面倒見が良い千代子。男性用一人称「ボク」を使う元祖「ボクっ娘」でもあります。

「なぜ1ばんにボクにあいにこなかった!?」(『三つ目が通る』より引用)

拗ねながらも、まっすぐ伝える可愛い千代子にも注目です。

手塚治虫の圧倒的人気作品『ブラック・ジャック』

天才外科医の物語が描かれた本作。現在まで続く医療漫画ジャンルの金字塔ともいえる作品です。聞いたことはあるが読んだことはないという方は、一度は読んでみる価値があるでしょう。

幼いころ、母親と共に爆発事故に巻き込まれた主人公間黒男。後に無免許の天才外科医ブラック・ジャックとなる彼の全身の傷跡は、この事故のときについたものです。どんな怪我や難病も治療し、代わりに法外な料金を請求する。アウトローな彼を中心とした人間ドラマが魅力の、圧倒的人気を誇る作品です。

著者
手塚 治虫
出版日
2010-06-11


ヒロインのピノコも、初登場のエピソードでは、自分を殺さないという約束でブラック・ジャックの手術を受け入れます。実はピノコは、双子の姉のこぶの中にばらばらに収まった状態で登場したのです。姉側はこれを処分して欲しいと言っていましたが、ブラック・ジャックは内臓などをつなぎ合わせ、組み立てることに。以来ひとりの家族であると共に、優秀な助手であり、ピノコ曰く奥さんでもあります。

医者を題材とした作品ではありますが、現実の医療とはかけ離れた設定が出てくることもしばしば。手塚自身「医療技術の紹介ではなく、医者の使命とは患者の治療なのか幸福なのかそのジレンマ」と語っているように、作品テーマは「生命の尊厳」に近いのかもしれませんね。

苦悩するブラック・ジャックの傍らで、いつも明るいピノコはかけがえのない存在です。重めの話であっても、ムードメーカー的な彼女の存在で場が和みます。彼女の有名なセリフ「アッチョンブリケ」はピノコが作った言葉で、その言葉事態に意味はありません。驚いたとき、感動したとき、頬に手を当てて叫べば完成です。

「ピノコお小遣い欲ちぃ」「百万ぐらいどうかちら?」
「ピノコね先生愛ちてゆ…」「先生いまはひとりぼっちじゃないわよね」
(『ブラック・ジャック』より引用)

ピノコのキュートな見た目で、思わず笑ったり、深いと思わせたりするセリフの数々。彼女の前では多少コミカルな動きにもなるブラック・ジャック。持ちつ持たれつでお互いを支え合う二人を、ぜひ漫画でご覧になってくださいね。

手塚治虫の生み出した数々のヒロインたち。普遍的な魅力でいつまでも愛される魅力的な彼女たちに、漫画を通して出会ってみませんか?

『ブラック・ジャック』が気になる方は<『ブラック・ジャック』5分でわかる10の意外な事実!天才無免許医の謎を解く!【ネタバレあり】>の記事もおすすめです。

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