「エヴァンゲリオン」は、アニメと新劇場版でどう違う?完結編の見所も考察!

更新:2021.11.30

世界的人気を誇るアニメ作品「エヴァンゲリオン」。聖書に由来する謎めいたストーリーや、巨大兵器と謎の怪物による迫力のバトル、胸に刺さる登場人物の関係性が魅力的です。 本シリーズは、映画、アニメ、漫画とありますが、主に2021年に最終作の公開が迫る映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』と、テレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』がそれぞれ異なる特徴をもった軸となっています。この記事では、この2作品を比較しつつ、違いや今後の展開などを考察していきます。

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そもそも「エヴァンゲリオン」の「アニメ版」と「新劇場版」の関係は?

1995年にテレビで放映されたアニメ作品、『新世紀エヴァンゲリオン』(以下、「アニメ版」)。意味深な設定とストーリーが評判を呼び、『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』などに次ぐ、第3次アニメブームを巻き起こしました。

当時は謎本や考察本のたぐい、「エヴァンゲリオン」用語が旧約聖書に由来していたことから聖書関連書籍が飛ぶように売れて、社会現象にまでなっています。

この大ブームを受けて、「アニメ版」の最終回を作り直す形で劇場版(以下、「旧劇場版」)が3本制作されました。

まもなく完結編の公開が迫っている「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズ(以下、「新劇場版」)は、アニメ版と旧劇場版を1から再構成(リビルド)する企画としてスタートしました。

そのため「アニメ版」と「新劇場版」はほぼ同じの世界観を持ちながら、細部の設定と中盤以降の物語の展開に違いがあります。この記事では、両者の違いを具体的にご説明していきます。まずは共通点からご紹介しますので、違いから読みたい方は目次から飛んでください。

ちなみに本作には「漫画版」の作品も存在しますが、基本的には「アニメ版」をなぞったストーリーなので、今回は説明を省略しております。気になる方は漫画を読んでみてくださいね。

著者
貞本 義行 カラー・GAINAX
出版日
1995-08-29

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「アニメ版」「新劇場版」共通のあらすじ

 

「アニメ版」と「新劇場版」の違いを説明する前に、まずは共通するあらすじをご紹介します。
 

時は西暦2015年……。母親を亡くし、父親とは離れて暮らしていた主人公の碇シンジは、特務機関NERV(ネルフ)を指揮する、父ゲンドウの部下を名乗る葛城ミサトに呼び出され、第3新東京市を訪れます。

シンジが第3新東京市に着くのと前後して、謎の巨大な敵「使徒」が出現して大パニックとなりました。実はゲンドウがシンジを召集したのは、シンジをこの使徒と戦う人型巨大兵器エヴァンゲリオン(以下、エヴァ)初号機のパイロットにするためでした。

急すぎる展開にシンジは混乱して尻込みします。しかし同世代の少女・綾波レイが重症を押して出撃させられそうになるところを目撃し、戦うことを決意しました。

シンジにとっても、そしてネルフにとっても初の使徒実戦は、エアヴァ初号機の暴走という予想外の結果に終わりました。勝利を収めたものの、得体の知れないエヴァに不気味な印象が募ります。

使徒との戦いのなかで人と関わり、思い悩むシンジ。彼の心境とは裏腹に、戦闘は激化し、彼は守るべきものの重さを自覚していきます。

一方、前線の戦いとは別に、極限状況を利用した陰謀が密かに動いていくのでした……。

 

まず「エヴァンゲリオン」が作品間で共有する基本的な設定

まず「エヴァンゲリオン」が作品間で共有する基本的な設定
出典:https://amzn.to/3awHqc8

先ほど共通するあらすじをご紹介しました。ここからはさらに詳しく、「アニメ版」と「新劇場版」共通する設定をいくつかご紹介していきましょう。

まず「エヴァンゲリオン」の世界では2000年に「セカンドインパクト」と呼ばれる大災害が発生しました。使徒の起源に関わるジャイアントインパクトを1度目として、2度目に大変動が起こったという設定です。

このセカンドインパクトは表向き、南極に隕石が落ちたことで起きたとされています。しかし実はそれは偽の情報で、人類が使徒と接触したために起こった出来事でした。

使徒とは、人類の脅威となる謎の巨大生命体。遺伝子構造が人類と99.89%まで一致――つまり、意思疎通の不可能な怪物でありながら、人類と近似した生物なのです。この奇妙な符合が「エヴァンゲリオン」の物語に不気味な魅力を与えています。

使徒は全部で10数体登場し、それぞれが異なる姿形と固有の能力を持っています。使徒同士は似ても似つきませんが、すべてに共通する特徴として、通常兵器を無効化する「ATフィールド」を持っていること、なぜか第3新東京市を目指して現れるということが挙げられます。

正確にいえば使徒が目指しているのは第3新東京市ではなく、その地下中枢にある特務機関NERV(ネルフ)本部です。

ネルフとは使徒の襲来を予期して編成された、国連直属の超法規的組織。日本に本部が置かれており、その総司令官を碇ゲンドウが務めています。ネルフとゲンドウは使徒迎撃用の決戦兵器として、エヴァを極秘建造していました。

このエヴァは一見すると巨大ロボットにしか思えませんが、実は有機生命体です。メカのように見える部分は装甲板で、中身は非常に人体に似ています。作中では人造人間とも呼ばれています。

エヴァはセカンドインパクトで人類が初めて接触した使徒を参考に、コピーして作られました。そういった経緯から、使徒の展開する絶対的な防御壁ATフィールドを中和、貫通することが可能な唯一の兵器です。

これ以降、本題である「アニメ版」「新劇場版」の違いをご説明していきます。

「エヴァンゲリオン」「アニメ版」と「新劇場版」は微妙な違い?それが徐々に大きな意味を持つ!

ここからはいよいよ「アニメ版」と「新劇場版」の違いを説明していきます。

2作品は同じようで、明確に違う物語にするという意図の元に制作されています。そのため当初はほとんど誤差のような違いしかありませんが、徐々に決定的な違いが露わになっていきます

たとえば一部の固有名詞。 「アニメ版」のヒロインの1人、惣流アスカ・ラングレーは、「新劇場版」において式波アスカ・ラングレーに変更されています。

変えられた理由ははっきりとわかっていませんが、どうやら作中の立ち位置や役割が、「アニメ版」と異なるということを、名前の変更で表したようです。 

ちなみに惣流も式波も、旧日本海軍所属の艦艇「蒼龍」と「敷波」に由来し、作中のほとんどの登場人物の苗字も同様の法則で名づけられています。

そしてエヴァの名称にも差があります。「アニメ版」ではエヴァの機体名は「漢数字+号機」という法則がありました。

しかし「新劇場版」の2号機(弐号機から変更)以降はこの法則が当てはまりません。ナンバリングの重複が起こることも(4号機とMark.04のように)。 

こちらの変更についても、おそらく「アニメ版」と「新劇場版」で、エヴァ各機の成立の由来が異なるという表現なのでしょう。

さらにエヴァと敵対する使徒にも、違いがあります。「アニメ版」では使徒の総数が17体(最終的に18体)だったのに対し、「新劇場版」では13体しか登場しません。使徒についてはこの他に大きな違いがあるので、詳しくは後述します。

また「アニメ版」では使徒の目的が、実はネルフ本部地下に封印されている第2使徒リリスと融合することである、という情報が一部の人物以外には伏せられていました。

しかし「新劇場版」はリリスの存在が一般職員にも周知されており、使徒とリリスの接触による「サードインパクト」を防ぐことがネルフの存在意義であると明確化されています。

「新劇場版」の完結編で明らかになるかもしれない違いとしては、エヴァ操縦者とリンクするコア=母親の魂、という設定があります。「アニメ版」ではパイロットの実母がコアに入っていないと、パイロットとエヴァがリンクできないという設定でした。

「新劇場版」3作目までの時点では、母親の魂に関する描写は出てきていません。

著者
株式会社カラー/庵野秀明
出版日
2019-06-07

「新劇場版」でのポイントとは?新要素!再構成から未知の物語へ

「新劇場版」でのポイントとは?新要素!再構成から未知の物語へ
出典:https://amzn.to/2TKq6um

前述の微妙な違いを踏まえて、「新劇場版」で重要になる「アニメ版」との大きな違いについてご紹介していきます。

まず目につくのは、やはり「新劇場版」だけの新要素でしょう。その筆頭が「新劇場版」2作目「破」から登場する新キャラクター、真希波マリ・イラストリアスです。苗字はやはり、旧日本海軍の駆逐艦「巻波」に由来しています。

マリは戦線離脱したアスカの補充要員として、2号機に搭乗します。それ以前に、こちらもやはり「新劇場版」だけに出てくるエヴァ仮設5号機にも乗っており、後に8号機のパイロットにもなります。おそらく作中でもっとも多くのエヴァに関わる人物といえます。

なぜか正規パイロットのアスカよりも2号機に詳しく、ネルフのユーロ支部所属で独自の思惑の下に行動してる様子が見られます。またマリが仮設5号機に乗っていたころは、ネルフ北極基地にて第3使徒を封印する任務に就いていました。

彼女に関する要素はほぼすべてが「新劇場版」だけのものなので、いずれ本編中で隠された思惑が明かされるかもしれません。

つづいて気になるのが、使徒。見るべきポイントは、総数の変化だけでなく登場順や展開が「アニメ版」と乖離していくところでしょう。

「アニメ版」の第1使徒はアダムでしたが、「新劇場版」では渚カヲルとなっています。「最後の使者」カヲルは「アニメ版」の終盤に登場するキャラクターによく似た使徒ですが、それが最初の使徒になっているところに制作者のなんらかの意図が感じられます。

「新劇場版」のカヲルは1作目のラストから現れて、2作目や3作目のキーマンとなりました。作中の展開で死んでしまったようですが……?

カヲルは元々意味深な発言をするキャラクターでしたが、シンジと直接会う前から執着しており、「今度こそシンジを幸せにする」という旨の発言もありました。

このカヲルの言動から、「新劇場版」は「アニメ版」と似て非なる世界ではなく、「アニメ版」からループしているのではないかという考察がされています。

カヲルは最後には、第1使徒から第13使徒に存在を書き換えられ、「フォースインパクト」のきっかけになってしまいました。「アニメ版」および「旧劇場版」の場合は、サードインパクト発生から人類保管計画が発動した時点で終わりました。

このあたりになると、「新劇場版」はもはや「アニメ版」および「旧劇場版」とは、まったく違う話であることが痛感させられます。

『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』の見所を考察!

シン・エヴァンゲリオン劇場版 特報2.5

 

 

3作目「Q」公開から8年が経過し、2020年「新劇場版」4作目にしてついに完結編「:||」が公開される運びとなりました。今や遅しと公開が待ち望まれていますが、そのストーリーについてはほとんどわかっていません

3作目にあわせて公開された完結編の次回予告では、マリの乗る8+2号機(大破した2機の使えるパーツをかけ合わせた機体)が量産化されたMark.06と激闘をくり広げていました。しかし製作期間が伸びていることからまったく違う展開になる可能性があります。

完結版の確かな情報は、今のところ2019年7月6日に、世界同時上映イベント「0706作戦」で公開された冒頭10分の映像だけです。

その映像では、赤城リツコ率いる反ネルフ組織WILLE(ヴィレ)が、荒廃したパリで「ユーロネルフ第1号封印柱復元オペ」なるミッションをおこなう様子が描かれました。そこへ邪魔するかのようにネルフの奇怪な量産型エヴァ(?)が割って入り、マリの8号機が応戦しました。

リツコらの様子から推察すると、2作目から3作目までは14年もの開きがありましたが、完結編は3作目ラストからほとんど経過していない時間軸の物語となるようです。この他の情報はまったく不明で、展開を予想することは困難となっています。

ただ、完結編の正式タイトル『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』から展開を予想することができます。

「エヴァンゲリオン」原作者にして総監督の庵野秀明は、2014年に特撮映画『シン・ゴジラ』を公開しました。このタイトルの「シン」には、「新」や「真」、あるいは「神」という複数の意味が含まれているとのことです。完結編の「シン」も、同じような意図が込められているはずです。

「:||」は楽譜で使われる記号の一種で、反復(リピート、やり直し)を表すものです。さらに完結編には「続、そして終。非、そして反。」とのキャッチコピーがつけられています。

これらタイトルとキャッチコピーから考えると、完結編は「まったく新しい劇的なことが起こる。そして終わりであって終わりではない」ということが読み取れます。

矛盾するようにも思えますが、新劇場版がループ世界だとするなら、ループは終わるが劇中の世界は続いていく……といった解釈も可能でしょう。

いずれにせよ、どういった結末となるのかは実際に見てみるまではわかりません。期待に胸を膨らませながら、完結編を楽しみに待ちましょう。

『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』は2021年3月8日公開予定です。

エヴァンゲリオン公式サイト

「エヴァンゲリオン」は最初のアニメが放映されてから約25年の月日が経過しました。それにもかかわらず、「エヴァンゲリオン」は未だに色褪せない面白さと解けない謎が残る名作です。アニメだけでなく漫画版や小説などのスピンオフ作品も素晴らしいものばかりなので、そちらの方もぜひ読んでみてください。

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