「週刊少年ジャンプ」で連載された大人気漫画『約束のネバーランド』。 そのなかにはキーとなるさまざまな伏線があり、物語を面白く、複雑にしています。この記事では、1巻から最終20巻までの間に張られた伏線について、丸ごと解説していきます!伏線を知れば、きっとあらためて漫画を読み直したくなるはずです。 ただし、かなりのネタバレを含んでおりますので、未読の方はぜひご自身で読んでからこの記事を読んでいただければと思います!
まずは簡単にあらすじをご紹介しましょう。ご存知の方は読み飛ばしても問題ありません。詳細に知りたい方は、最終巻までの流れを解説した記事もあるので、こちらをご覧ください。
『約束のネバーランド』 最終回までの展開をネタバレ解説!相関図も【2021年最新版】
アニメや映画も公開となった人気漫画シリーズ『約束のネバーランド』。ミステリーやサバイバル、ヒューマンドラマと様々な側面を見せる名作の中身を、物語のはじまりから結末まで解説します。
物語の始まりは、ひとつの孤児院から。元気いっぱいでいつも明るい「エマ」、頭脳派でクールな「レイ」、朗らかで優しい「ノーマン」。孤児院の子どもたちと、世話をしてくれる「ママ」と一緒に暮らしていました。
しかし、彼らはある事件をきっかけに、自分たちが「身寄りのない孤児院の子ども」ではなく、「農園で育てられた鬼の食料」であることを知ります。そして、孤児院(農園)の外は、実は鬼の住む世界。「食料」としてではなく、人間として人間が住む世界へ行くために。そして鬼と結んだ「約束」を結びなおすために、エマたちは農園を脱出し、鬼たちのいる世界へ向かうのですが……。
『約束のネバーランド』は、 3人の主人公を中心に物語が進んでいく脱獄ファンタジー。魅力のひとつはやはり、伏線です。
鬼との戦いの裏で、人間と鬼それぞれの歴史、思惑が明かされていき、大昔に結んだ両者の「約束」に結実していくのです。
今回は、その伏線で重要なものを過去から17巻まで、ひとつずつピックアップして解説。伏線を知れば、きっとあらためて本作を読み返してみたくなること間違いなしですよ!
- 著者
- 出水 ぽすか
- 出版日
- 2016-12-02
主人公のエマ、ノーマン、レイの3人が暮らしている孤児院「グレイス=フィールドハウス」では、たくさんの子どもたちと、世話をする「ママ」が一緒に暮らしています。12歳になるまでに里親が見つかり、子どもたちは孤児院を出ていくことになっています。
子どもたちとママが幸せに暮らす場所……と思いきや、この「孤児院」、実は、「農園」と呼ばれるもの。
エマ、ノーマン、レイをはじめとした子どもたちは、この世界に住む「鬼」に食べられるための「食料」で、農園で飼われていたのです。里親が見つかって孤児院を出る、というのは真っ赤な嘘で、子どもたちは順番に出荷され、鬼たちに食べられてしまっていたのです。
この事実を知ったエマ、ノーマン、レイの3人。農園を脱出し、人間たちの暮らす場所へと逃げることが、彼らの最初の目的となるのです。
孤児院(農園)編は、1〜4巻まででご覧いただけます。
- 著者
- 出水 ぽすか
- 出版日
- 2017-07-04
農園でエマたちを育てていた「ママ」は、どういう仕組みで農園の管理を任されているのでしょうか。
ママの仕組みは、本作3巻でGF農園にママの補佐として派遣されたシスター・クローネの口から語られます。
GFをはじめとした農園では、12歳まで生き残った女子は、出荷され鬼に食べられる以外にもうひとつの道があります。それが、農園の飼育監、つまりママになる道。
ママになるための条件は2つ。農園で一定以上の成績をおさめることと、ママからの推薦を得ること。これを満たせば、出荷され食べられるか、ママを目指して生き延びるかどちらかの道を選ぶことができるといいます。
ママを目指す道を選ぶと、心臓にチップを埋め込まれます。農園から一歩でも出ればそのチップが反応し、心臓が止まるという仕組み。そのためママたちは農園から出ることが許さないのです。
- 著者
- 出水 ぽすか
- 出版日
- 2017-04-04
GF農園のママを務めているイザベラの正体は、本作GF農園編における非常に大きなカギになります。シスター・クローネから明かされたママの仕組みによれば、イザベラも、もとは農園の出身者。
5巻で明かされるイザベラの過去の回想シーンからは、エマたちと同様、イザベラも脱獄を考えたことがある人物のようです。
しかし、彼女が選んだのは、脱獄でも、出荷でもなく、「ママ」になる道。農園で一緒に暮らしていた「レスリー」という男の子と親友だったものの、彼が鬼に食べられて死んでしまったことを知り、「彼の分まで生きよう」と決意してママの道を選んだようです。
また、イザベラに関する伏線として忘れてはいけないのが、イザベラとレイが親子だという点。レイは自身が胎児だったころの記憶を覚えていますが、胎児の頃によく聴いていた子守唄がありました。この子守唄は、実はレスリーが考え、イザベラに教えてくれた唄。イザベラしか知らないはずの子守唄をレイが知っている……。それは、イザベラがお腹の中にいたレイに歌って聴かせてくれていたからだったのです。
子守唄をきっかけに、ふたりは互いに親子だと確信。GF農園編ラストでレイが脱獄するときには、イザベラに向かって「ママ」ではなく「お母さん」と言います。我が子が鬼の住む世界へと脱獄していく姿を見送るイザベラは、母の愛を感じられる優しい表情を見せています。
レイの母親がイザベラだと判明しましたが、父親は一体誰なのでしょうか?
結論から申し上げますと、レイの父親については情報がありません。
胎児だったころからの記憶があるレイによれば、一番最初の記憶は温かい水の中。イザベラの子守歌は聞こえていたようですが、断片的な記憶の中に父親らしき人物は出てこなかったと言います。レイが「親の顔なんてわからない」と語っていたことや、イザベラが人工授精で妊娠した描写から、レイも父親については全くわからないのでしょう。
また、レイには誕生日が2つあると噂されてきました。5巻で唐突に主要キャラ3人の誕生日が公開された際、「レイの誕生日は1月15日、しかし本当の誕生日は別にある」と書かれてあったのです。これにはファンも驚き、ネット上で様々な議論がなされました。しかし、レイの誕生日に関する情報は明かされないまま、最終回を迎えてしまったのです。
なぜ原作の白井カイウ先生がこんなことを言いだしたのかわかりませんが、何かしら重大な秘密が隠されていそうですね。
- 著者
- 出水 ぽすか
- 出版日
- 2017-09-04
子どもたちが孤児院だと信じ暮らしてきた場所が、鬼の食料を育てるための農園だった……、という衝撃の事実から物語は始まりますが、実は食べられる人間にはランクがありました。
エマたちがいたGF(グレイス=フィールドハウス)は、最高級ランクの人間を育てあげる農園。なかでもエマ、ノーマン、レイは数いる子どもたちのなかでも「特上」にランク付けされています。
その違いは、脳の発達ぶり。つまり、「頭の良さ」が大きく関係しています。エマ、ノーマン、レイの3人は、孤児院(GF農園)で毎日行われるテストで常にほぼ満点を取る優秀ぶり。もちろん運動神経も抜群です。こうしたことから、3人は「特上」ランクと位置付けられているようです。
ちなみに、GFのほか、高級ランクの人間を生産する農園は3つ。GB(グローリー=ベル)・GV(グランド=ヴァレー)・GR(グッドウィル=リッジ)という農園が存在しています。
ほかにも農園は存在していますが、多くは「安価量産型」。6巻50話で、安価量産型の農園について、ソンジュという鬼がこのように話しました。
「劣悪な環境でただ生かし太らせ出荷する
そこで生まれた人間は言葉も解さない
名前もない 意志などない」
(『約束のネバーランド』6巻50話より引用)
人間の脳の発達具合で人間のランクが大きく左右されることが分かります。
- 著者
- 出水 ぽすか
- 出版日
- 2017-11-02
「鬼」という生き物については、細菌に似た何かが分裂を繰り返すうちに突然変異し誕生・進化したものであり、食べるものを変えて進化を遂げてきたものたちだということが明らかになっています。
では、そもそもなぜ鬼は人間を食べるのでしょうか?この疑問は、14巻120話のノーマンの言葉で明らかになります。
「奴らはヒトを食べなければ、あの姿も形も保てない」
(『約束のネバーランド』14巻120話より引用)
彼らは人間を食べることで、人間に似た高度な知能や言葉を得ているというのです。
つまり、人間を食べることができなければ、鬼は鬼の姿を保つことはできず知能も言葉も失い野に帰る……これが鬼の正体であり、鬼が人間を食べる理由だったのです。
生体に関しては14巻にさらに詳細に描かれていますので、ご覧ください。
- 著者
- ["出水 ぽすか", "白井 カイウ"]
- 出版日
GF農園編の最後に出荷されて姿を消してしまったノーマンですが、実はその後、生きのびていました。9巻でふたたび登場したノーマンがいた場所は、とある施設。食用児に対して日々さまざまな研究がなされている場所でした。
ノーマンをGF農園から引き取ったのは、現ラートリー家の当主であるピーター・ラートリー。彼の研究を手伝う、という名目でノーマンが送り込まれた施設は、「ラムダ7214」という農園でした。
鬼の5つの貴族とラートリー家が手を組み、作られたその施設は、鬼が求める質の良い量産肉や多種多様な高級肉をありとあらゆる手段を使って生み出している試験農園だったのです。
ノーマンの口からは「食用児の実験場」と語られ、品種改良を目的とする毎日のテストや数々の投薬を受けていたといいます。その過程で筋肉の異常な発達や変則的な成長を見せる子供たちが増え、ハヤトの人間離れした足の速さや、ザジの力の強さといった副産物を生み出していました。
しかし、いいことばかりではありません。投薬実験を受けていた食用児たちは皆、特定の試験薬が原因で起こる致死性の薬害と発作が起き、長くは生きられない体になっていたのです。仲間達には頼れるボスでいたいため、実験体ではなかったと言っていたノーマンも、18巻でエマたちに発作の症状が進行していることを告げました。
- 著者
- 出水 ぽすか
- 出版日
- 2018-06-04
GF農園編から、子どもたちの脱獄にヒントを与えるなどさまざまなシーンで登場する「ウィリアム・ミネルヴァ」という謎の人物。エマたちが最初にその名を見つけたのは、農園の図書館でのことでした。
高級農園には図書館があり、子どもたちはその本を読むのも日課のひとつとしていました。そこで出会った本の著者が「ウィリアム・ミネルヴァ」。本の中で、子どもたちに孤児院の正体や、脱獄を示唆するようなモールス符号などを使ったヒントを散りばめていたのです。
ミネルヴァからのヒントをもとに、エマたちは脱獄を決意。脱獄後に目指す場所などもすべて、ミネルヴァが残したヒントを手がかりに決めてきました。
9巻冒頭、その目的地のうちのひとつ、ゴールディ・ポンドへ1人連れ去られた形で到着したエマは、そこにいたルーカスに案内され、抜け穴から鍵のかかった扉にたどり着きます。エマの持つミネルヴァのペンで開かれたそこには、ゴールディ・ポンド、つまり金色の池が広がっていました。
池に浮く建物の中に設置されていたのは、エレベーターと電話。その電話からは、録音されたミネルヴァの声が再生され、自身の正体と目的を語りました。彼の本名は、ジェームズ・ラートリー。ピーター・ラートリーの兄であり、かつて1000年前に鬼たちと契約を結んだ末裔だったのです。
1人の人間として食用児の存在を憂いていた彼は、せめて自ら未来を選択できるように、さまざまな細工を施して逃げ道まで用意していました。
このエレベーターも本来は人間の世界に行き来できるものでしたが、その策略に気付いた者の手によって阻まれてしまい、一族に追われる身となった彼は、エマたちがこの録音を聞いている頃には死んでいるだろうと言います。
「しかし、これは敗北ではない」と言い切る彼は、エマたちに逃げる道を複数用意していました。人間界へ来たいのであれば支援者を送るし、約束を壊したいなら鬼たちと全面戦争を起こせばいい、またどちらでもないなら、「7つの壁」を探し、望む未来を叶えてほしいと力強く語りました。
頼るべき彼がもうこの世にいないことに一時は悲しんだエマでしたが、まだ希望があることを胸に、立ち向かっていきます。
脱獄のため、エマは「全員で脱獄するか」「4歳以下の子供たちを農園に残すか」、選択を迫られます。
そこでフィルに事情を説明し、判断を任せると「待てるから置いて行って」と返答。なんと、フィルはずっと前から農園に違和感を抱いていたのです。
そもそもフィルのスコアは1巻の時点で195点。その後もスコアを伸ばし、2巻10話では平均して200点を取るほど…。エマたちの脱獄後もフィルはスコアを伸ばし続け、その頭の良さはエマ、ノーマン、レイに匹敵するほど。クローネとの鬼ごっこでも、最後の5人まで残っていたのです。しかし、12巻でピーター・ラートリーの手下・アンドリューと接触してから安否不明に…。
その後、112話でアンドリューがフィルの名を口にしましたが、ここでもフィルの安否は不明。ファンの間ではフィルの死亡説が囁かれるようになりましたが、ようやく175話でフィルが生きていたことが判明したのです。
では、フィルがアンドリューと接触した際、何を話したのでしょうか?
実はフィルとアンドリューがどんな会話をしたのか分かっていません。アンドリューがエマの名前を知っていたことから、ただ単にエマの情報を聞きに行っただけかもしれませんし、フィルがエマの名前以外口を割らなかったのかもしれません。
しかし、アンドリューが何を目的にフィルと接触したのか、なぜフィルがママに監視されていたのか、未だに謎に包まれているのです。
- 著者
- ["出水 ぽすか", "白井 カイウ"]
- 出版日
『約束のネバーランド』では、物語のなかの世界の造りが重要になってきます。
エマたちは当初、自分たちが暮らすGF農園を出れば人間たちに会えると思っていましたが、実はGF農園の外は鬼たちのいる世界。森には野生の鬼が棲み、村や集落もすべて鬼の暮らす場所です。エマたちが暮らしている世界は、「鬼」と「食用児」が住む世界だったのです。
では、人間たちはどこにいるのか。その真相は、6巻47話で、鬼であるソンジュから語られます。
「はるか昔に”鬼”と人間が結んだ約束
これにより世界は二つに切り分けられ
二つの世界は断絶した」
(『約束のネバーランド』6巻47話より引用)
世界がまだひとつだった頃、突然変異で進化を続けた鬼は、しだいに人間を狩り食べるように。そして人間もその狩りに対抗するため武装し、鬼に反逆するようになっていきました。
両者間で争いは絶えず、多くの犠牲を出す日々。その争いに終止符を打つために鬼と人間の間で交わされた約束が……。次のセクションで詳しく説明します。
- 著者
- 出水 ぽすか
- 出版日
- 2017-11-02
エマたちが農園を脱走した直後の森で出会う不思議な鬼、ソンジュとムジカ。6巻では、鬼であるのに人間を食べることはせず、エマたち脱走者を救ってくれます。
ふたりは、人間を食べないと姿形を保っていられないという鬼とは異なる、特別な存在。人間を食べずともその姿は変わらず、知能も言葉も失うことなくそのままという超特異個体です。
エマたちに対してふたりは「自分たちは宗教上の理由で人間を食べない」と話していました。特にムジカは生まれてから一度も人間を食べたことがないそう。
実は、ムジカは、物語のキーとなる重要な存在。「邪血の少女」と呼ばれる彼女の血を飲めば、自身も人間を食べずとも鬼の形を保っていられる超特異個体になれるというのです。
人間を食べなくとも知能と姿が変わらないということは、ほかの鬼にとっては一大事。かつてその血を恐れた鬼の王や貴族たちの策略により、病毒だ、汚れた血だと忌み嫌われ、一族は殺されてしまいます。ムジカは、その生き残りという非常に稀有な存在。
18巻ではさらに、ソンジュがレグラヴァリマ、つまり女王の弟であることが判明します。
かつて民の心の支えとして、時には神の声を伝え政治を助けていた寺院。「約束」以降力を失い都の端に追いやられてしまっていた彼らでしたが、ソンジュは先生の先生から教わっていた信仰心を貫き、ムジカを連れて王家から逃げていた過去がありました。
エマたちがソンジュという鬼から聞いた、人間と鬼が取り交わした「約束」は、「互いに互いを狩ることはしない」そして「互いの世界を棲み分ける」というものでした。
ですが、どのようにして人間と鬼の住む世界を分けたのだろうか……そんな疑問が残りますよね。
それは、鬼と人間が、「全ての鬼の頂点に立つ存在」とされる鬼と決めた約束により叶えられたものだったのです。「全ての鬼の頂点に立つ存在」である鬼は、「七つの壁」を超えた場所にいるとされている鬼。この鬼(作中では「あのお方」とも呼ばれる)に対して、人間と鬼が1000年前に約束を交わし、世界を2つに分断してもらったのです。
GP編では、解決法としては3つの選択肢があるとミネルヴァは伝えています。
ひとつは、ミネルヴァが用意していた「人間の世界へ行くエレベーターを使うこと」。すでにピーター・ラートリーの手によってGPにあったエレベーターは使えなくなっていましたが、高級農園であるGF・GV・GB・GRにもエレベーターがあるとミネルヴァは話します。
もうひとつは、鬼と戦い、鬼と人間との間で決めた「互いを狩らない」という約束を破ること。
そして最後は、「七つの壁」を探すこと。つまり、その先にいる「あのお方」に会い、約束を結び直すということ。
この世界が鬼と人間、そして鬼・人間と「あのお方」との約束で創られていることが分かり、それを結び直すもしくは壊すことで、食用児たちは人間の世界へと行けることが分かったのです。
ここまでさまざまなシーンで登場した「七つの壁」。本作における非常に大きなカギでもあります。その真相は、16巻でエマとレイが明らかにします。
真相がわかるのは、エマとレイが「あのお方」に会いに行くシーンでのこと。
まず北へ10里 つぎに東へ10里
つぎに南へ10里 つぎに西へ10里
天へ10里 地へ10里
砂の間で矢が止まり 日が東へ沈むとき 地が哭き壁は現れる
彼と我らを隔つもの 即ち七つの壁なり
(『約束のネバーランド』16巻136話より引用)
すべて同じ距離であれば元の場所に戻ってしまいますが、ここでレイとエマは気づきます。「前後左右上下」の6つと、「時間」を合わせた7つの限界を超えた場所が七つの壁ではないかと。つまり、「物理的限界=時空」を超越すれば、その先にたどり着けるのではと考えたのです。
では、時空を超越するためにはどうすればいいのか……それも16巻で明らかに。鬼のムジカやミネルヴァをはじめさまざまな人物が口にしてきた「七つの壁」の正体は、エマとレイにより解き明かされました。
では、七つの壁へはどのように行くのか……?それは、12巻で登場した「クヴィティダラの竜の目で昼と夜を探すべし」という言葉がキーワードのようです。15巻でエマとレイは七つの壁へと入っています。
その後、16巻でエマだけが「昼と夜」の場所にたどり着くことに成功しました。
- 著者
- ["出水 ぽすか", "白井 カイウ"]
- 出版日
16巻では、エマのみがあのお方と対面しました。そこは夜空のような水面と、太陽が照らす空が存在する、幻想的な空間でした。そして、そこでついに、背後に鬼のような竜のような形をした謎の生物をひかえさせた、あのお方と出会います。
そこでエマは彼に対して約束を結びなおしに来た、と告げるのです。
「食用児全員で人間の世界へ行きたい
それを最後に二世界の行き来を完全に不可能にして」
(16巻142話より引用)
それに対して、望みを言う側は、何か対価を払わねばなりません。
果たしてエマに告げられたごほうびは何だったのでしょうか?
その真実が明らかとなるのは、最終巻である20巻です。
約束を履行するために食用児たちが集まったのは、GF(グレイス=フィールドハウス)の地下にある金の水に浮いた島でした。
ラートリー家が行き来する際や物資の運搬に使われていたここで、あの方に約束履行の意思を伝えれば、エマも他の農園の食用児も全員生きて無事人間の世界へ行くことができると言います。
しかし「ごほうび」が何だったのか気になるフィルや他の子供たちは、エマが何をあげることになるのか尋ねます。
それに対してエマは、「ごほうびは何もいらない」と言われ、この1000年奪われてきた食用児が代償だったと語りました。
そんなはずないと疑うレイやノーマンを含む子供たちに対してエマは、こう答えます。
「どんな不安も困難も みんなと一緒なら乗り越えられるから
明るい未来に していけるから
行こう!」
(20巻178話より引用)
そして約束が履行されました。
目が覚めたフィルが見渡すと、人間の世界が広がっています。やっと来れたことにみんなで喜びを分かち合うのも束の間、そこにエマがいないことに気がつきました。
やはり「ごほうび」は存在していたーーー。なぜエマの嘘を見抜けなかったのかと自分を責めるレイとノーマン。
実は、本当のごほうびは、エマの家族だったのです。
これまでのきおくも このさきのつながりもなにもかも
きみのせかいから きみのかぞくをもらう
それがごほうび
のぞみはかなえる そのかわり
きみはもうにどと かぞくにはあえない
(20巻179話より引用)
そうして1人、雪に覆われた島で目覚めたエマ。自身の名前もどこから来たのかも思い出せないまま、そこに1人で住むおじいさんに拾われて暮らすことになりました。
対するレイたちも、エマの捜索を進めていましたが、この広い地球からたった1人の人間を探し出すことは、途方もなく至難の技。
そして、生きているのか、本当に人間の世界に来ているのかも分からず、何の手がかりも見つからないまま、2年の月日が過ぎようとしていました。
決められた運命だとしても、覆してみせる。諦めずにエマを探し続けるレイたちは、果たしてエマと再会することができるのでしょうか?
- 著者
- ["出水 ぽすか", "白井 カイウ"]
- 出版日
エマとレイが仲間とともにミネルヴァの情報を元に脱走を続けるなか、別軸でノーマンは力をつけ、食用児たちのための楽園をつくるまでに。彼は名前を「ウィリアム・ミネルヴァ」と名乗り、この世界の秩序を壊し鬼を殲滅するため、ある鬼と同盟を結びます。
その相手は、元貴族・旧五摂家の一員であったギーラン卿(五摂家とは、王家に仕える貴族の鬼)。知性があり、かつては自分の富を貧しい鬼たちに分け与えるやさしさを持っていました。
しかし、自らの利益しか考えていないほかの五摂家と王家により、その知性の高さを疎ましく思われ、一族全員が野良落ちの刑に。人間を食べられず、知能も姿も退化し、野良鬼になってしまいました。
それから700年、ギーラン卿は五摂家と王家に復讐すべくずっとその機会を狙っていました。それに目をつけたのが、ノーマンです。
ノーマンはギーラン卿との同盟を締結。ギーラン卿が復讐できる機会を作り、五摂家・王家と戦わせ、潰しあってもらうように仕向けます。自分たちの手を汚さずに強い鬼を減らすという作戦だったのです。
目的のために手を組んだ両者ですが、ギーラン卿は女王・レグラヴァリマに惨敗。ノーマンたちはギーラン卿との戦いで再生能力が落ちているレグラヴァリマに攻撃し続け、ついにレグラヴァリマに勝利します。
その後、レグラヴァリマには核が二つあったので苦戦しますが、これまでたくさんの命を摂取してきたレグラヴァリマの体は限界を迎えていて…。ノーマンが思い描いた結末とは異なりますが、ついに女王・レグラヴァリマを下し、鬼の世界に革命が起こるのでした。
- 著者
- ["出水 ぽすか", "白井 カイウ"]
- 出版日
エマがムジカから「お守り」として手渡されたペンダント。エマたちはこのペンダントに幾度となく助けられますが、ペンダントに一体どんな効果があるのか分かっていません。
ムジカは、食用児の解放を目指すエマに七つの壁を探すように話し、ペンダントを贈りました。その後、子供たちは七つの壁にたどり着きますが、『あのお方』と会えたのはペンダントを持っているエマだけ。この時、エマ本人もペンダントが一体何なのか考えていますが、結論は出ませんでした。
恐らくこのペンダントには、持ち主が強く望んだものを見せたり、求めるものを授ける効果があるのでしょう。その証拠に、記憶をなくしたエマと子供たちを引き合わせてくれましたよね。
しかし、作中ではこのペンダントの効果は明らかになっていません。
ラムダ7214に引き取られた後、仲間を集めて鬼のせん滅を開始したノーマン。優しいエマやレイのために自分は悪になると決め、鬼の生態を調べるため、食用児を解放するため、農園を襲撃して鬼を虐殺して回ります。
その最中、ノーマンはアイシェを育てた鬼を殺してしまいます。鬼に育てられたアイシェにとって、親同然の鬼を殺したノーマンは憎むべき相手。ノーマンはアイシェをアジトに連れ帰りますが、アイシェはノーマンを殺す機会をうかがっていました。
その後、エマとレイのおかげで考えを改めたノーマンは、アイシェに鬼語で何かを囁きます。すぐにその意味を理解したアイシェは、驚きながら拳を握りしめました。
では、この時に何を言ったのでしょうか?実はノーマンの言葉は作中で明らかになっていないのです。
しかし、最終話でノーマンが「今のところアイシェにも殺されていない」と語っています。このシーンから考えると、ノーマンがアイシェに言った言葉は「いつでも僕を殺していい」ではないでしょうか?
もしそうだとしたら、あの時アイシェが拳を握っていたのも、最終話でのノーマンの言葉も、すべて辻褄が合います。
- 著者
- ["出水 ぽすか", "白井 カイウ"]
- 出版日
人間を食べない鬼がいたり、鬼に復讐を誓う鬼がいたり、鬼側につく人間がいたり、全ての鬼の頂点となる存在がいたり……。鬼と人間が結んだ「約束」の世界の中で、さまざまな鬼や人間が存在しています。
それぞれの位置関係や状況を把握しておけば、もっと『約束のネバーランド』が面白くなるはず。ぜひ物語に散りばめられた伏線をチェックしながら本作を読み進めてみてください!
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ストーリーを楽しむ上で欠かせないポイントのひとつ、設定。伏線がすごい漫画はそのポイントをうまくつかみ、読者を想像もつかない世界に連れて行ってくれます。そこで今回は読者の想定を上回る伏線回収がすごい漫画をいくつか紹介していきたいと思います!