小和田哲男のおすすめ本4選!明智光秀の関連書籍を中心に紹介!

更新:2021.11.21

「麒麟がくる」をはじめ、数々のNHK大河ドラマの時代考証を担当する小和田哲男。戦国時代を語らせたら、彼の右に出る者はいないとまで言われる歴史学者です。今回は、そんな小和田の書籍のなかから、明智光秀に関連したものを中心におすすめのものを紹介していきます。

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小和田哲男とは。大河ドラマの時代考証を担当する歴史学者

 

歴史学者として知られる小和田哲男。日本中世史、なかでも戦国時代研究の第一人者です。

1944年生まれ、静岡県出身。家族や親戚から「先祖は武田四天王の馬場信春だ」と聞かされて育ったため、歴史に興味を抱いたそうです。高校1年生の時に歴史部を創設。当時顧問の先生から勧められたのが、高柳光寿の『明智光秀』でした。

早稲田大学で歴史を学び、博士課程を修めた1972年。初めての著書『“国盗り物語"の旅 道三と信長の遺跡をたずねて』を発表します。その後は静岡大学で教鞭をとるかたわら、次々と日本史関連の書籍を出版していきました。

やがてNHKのドキュメンタリー番組「その時歴史が動いた」や、教育テレビ「NHK高校講座 日本史」などで解説を務めるように。これを機に大河ドラマ「秀吉」「功名が辻」「天地人」「江〜姫たちの戦国〜」「軍師官兵衛」「おんな城主 直虎」「麒麟がくる」などで時代考証を担当しています。

ではここからは、そんな小和田哲男が手掛けた歴史本のおすすめを紹介していきます。

「麒麟がくる」の時代考証をした小和田哲男があらためて語る『明智光秀・秀満』

 

明智光秀の出生から最期までを追い、その生涯を解説した作品。最終的には、なぜ彼が「本能寺の変」を起こしたのか、その動機と背景に迫っていきます。

また光秀の娘婿である秀満の実像にも触れています。

著者
小和田哲男
出版日
2019-06-14

 

2019年に刊行された、小和田哲男の明智光秀に関する新たな研究成果が詰め込まれた作品です。

小和田は古文書にとどまらず、一般研究者のさまざまな学説にまで丁寧に目を通し、情報をアップデート。過去の自説にも囚われない姿勢で、あらためて明智光秀について語っているのが特徴です。

明智光秀は、実は出身地すら定かではない、謎に包まれた人物。一体どんな生涯を送ってきたのでしょうか。本作では光秀を、「勝者によって貶められた敗者の最たる例」とし、温厚で情に厚い人柄だと評しています。

また真面目な彼は、織田信長からパワハラまがいの圧力を受けていたそうで、それゆえに「本能寺の変」については信長の非道阻止説を唱えています。さまざまな学説が飛び交うなかで、小和田哲男の立てる仮説に説得力を感じる一冊です。

光秀研究の進捗を実感できる『明智光秀と本能寺の変』

 

日本史上最悪の謀反人と烙印を押された明智光秀。しかし歴史は勝者が作りあげるもので、彼のイメージは、豊臣秀吉の命によって書かれた『惟任退治記』や、江戸時代に入ってから作られた創作物による可能性が高いことがわかってきました。

既存の史料も丹念に読み解けば、その印象も変わるはず。徹底した史料検証をとおして、小和田哲男が新たな視点で明智光秀像を描いた一冊です。

著者
小和田 哲男
出版日
2014-11-06

 

1998年に刊行された『明智光秀―つくられた「謀反人」』を改訂したものです。2014年に新たに発見された「石谷家文書」についても触れられています。「石谷家文書」は、岡山県にある林原美術館に所蔵されているもので、「本能寺の変」に関係する長宗我部元親の書状などが見つかり「歴史をくつがえす大発見」とされました。

また、小和田は以前から明智光秀の「織田信長の非道阻止説」を唱えていますが、その理由が丁寧に解説されています。

信長は正親町天皇へ譲位を強要し、皇位の簒奪を企て、正親町天皇から国師号をもらった快川紹喜を焼殺。さらに太政大臣である近衛前久に対して暴言を吐き、宣明暦を廃止し尾張暦を使うよう口出しするなどの暴君っぷりだったそう。こうした信長の行動が光秀を謀反に向かわせたんだとか。

ただ本作では、自身とは異なる学説も平等に紹介していて、小和田の学者としての姿勢にも好感がもてるでしょう。

小和田哲男が戦国武将たちの手紙から歴史を紐解く『戦国武将の手紙を読む―浮かびあがる人間模様』

 

伝達手段が限られていた戦国時代、武将たちは多くの手紙をしたためていました。

本作では、彼らの自筆の手紙を写真で紹介し、原文、翻刻、読み下し、現代語訳、解説の順で掲載。手紙が書かれた経緯や歴史的背景も丁寧に説明しています。

著者
小和田 哲男
出版日
2010-11-01

 

2010年に刊行された小和田哲男の作品。手紙から戦国時代の歴史を学べる解説書です。

明智光秀や豊臣秀吉、織田信長の手紙はもちろん、幼い甥の景勝へあてた上杉謙信の流麗な手紙、27歳で討ち死にした森長可の遺書など、個性あふれる筆跡を眺めるだけでも楽しめるでしょう。筆まめ大将といわれた毛利元就の手紙は、読みごたえのある長いものになっています。

どんな文字を書いていたのかを知るだけで、戦国武将たちのことを少し身近に感じられるはず。歴史に興味がわいてくる一冊です。

永久保存版!小和田哲男が監修した『戦国の合戦と武将の絵事典』

 

最初の戦国大名といわれる北条早雲からはじまり、「関ヶ原の戦い」に勝利した徳川家康が天下人となるまでがイラストと図解で解説された絵事典です。

各大名の戦略、武器、城、縁戚関係などが、1項目につき見開き2ページでコンパクトにまとめられているので、わかりやすいでしょう。

著者
高橋 伸幸
出版日
2017-04-01

 

2017年に刊行された高橋伸幸の作品で、小和田哲男は監修を務めています。高橋は雑誌「歴史人」の創刊編集長としても知られる歴史探偵家です。

主要な武将の年齢が一目でわかる年表や、戦国大名の身長比較、取った首の扱い方、幼名や通称一覧、数十年おきの版図変還地図など、興味深いテーマが盛りだくさん。

戦国時代というと弱肉強食のイメージが強いですが、パステルカラーが基調のイラストは目に優しく、表紙にもあるとおり見ているだけで楽しめるでしょう。戦国時代の小説やドラマを見る際に、手元に置いておくのもおすすめです。

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