5分でわかるリーマン・ショック!原因と影響、サブプライムの仕組みをわかりやすく解説

更新:2020.3.10

2008年に起こり、世界各国の経済に深刻な影響をあたえた「リーマン・ショック」。この記事では、原因やサブプライムローンの仕組み、世界と日本への影響などをわかりやすく解説していきます。関連するおすすめ本も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

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リーマン・ショックとは。概要を簡単に解説

 

2008年9月15日、アメリカの投資銀行「リーマン・ブラザーズ」が経営破綻しました。負債総額は6000億ドル、日本円に換算すると約64兆円に達した、アメリカ史上最大の企業倒産です。

そのきっかけは、2007年にアメリカで生じた住宅バブルの崩壊です。低所得者向けの「サブプライムローン」が不良債権化し、「サブプライムローン」を買い取って証券化していたリーマン・ブラザーズの経営が一気に悪化したのです。

リーマン・ブラザーズの経営破綻を受けて、世界中に金融危機が拡大したことを「リーマン・ショック」といいます。金融不安が拡大し、投資家たちが相次いで資産を投げ売りした結果、さまざまな資産価値が急激に下落しました。アメリカドルの下落や消費の冷え込みにつながり、世界中の景気後退を招きます。

日本でも、日経平均株価が1万2000円台から6900円台まで大暴落。10月18日の6994.9円は、1982年以来の安値となりました。

 

リーマン・ショックの原因は?サブプライムローンの仕組みも解説

 

「リーマン・ショック」が発生する直前の2007年頃まで、アメリカでは住宅バブルが拡大していました。住宅購入に多くの資金が投下されるなか、主に低所得者に「サブプライムローン」が貸し付けられます。

通常、ローンの貸し付けをする際には、借主の信用調査がおこなわれます。一般的に信用力を超える融資はなされないのですが、「サブプライムローン」は通常の審査にとおらないような信用力の低い人に対し、高い利子をつけることで貸し出しをおこなっていました。

一見無謀にも見えますが、住宅バブルが続いている間は、返済が不履行になっても住宅を差し押さえれば元本を回収できる見込みがあると考えられていたのです。

借りる側も、住宅価格が上昇している間にローンを組んで住宅を購入し、その後住宅を売却すれば差益を得ることが可能。高いリスクを抱えながらも、「サブプライムローン」は拡大を続けていったのです。

そんななかで、リーマン・ブラザーズをはじめとするいくつかの投資銀行が、投資商品としての「サブプライムローン」に着目。「住宅ローン債権担保証券」として証券化し、他の安定した商品と抱きあわせてリスクを軽減させた投資商品として販売したのです。

さらに投資銀行は、アメリカ最大手の保険会社「AIG」に依頼して、「サブプライムローン」を含む投資商品に保険をつけました。これを受けて、格付け企業が高い評価を与えたため、世界中の投資家が証券を購入していったのです。

多額の資金が「サブプライムローン」に流入し、利益を見込んだ銀行は、「サブプライムローン」をより高リスクな借主にも貸し付けるようになりました。

しかし、2006年から2007年にかけて住宅需要が一段落し、住宅価格が上昇しなくなります。その結果、「サブプライムローン」の返済が滞り、不良債権化するものが続出。リーマン・ブラザーズをはじめとする投資銀行の経営悪化につながるのです。

さらにその被害は、証券を購入していた投資家たちにも広がります。高く格付けされていたにもかかわらず投資商品が不良債権化したため、投資家たちの間に「信用不安」が生じたのです。

その結果、次々と資産の投げ売りがおこなわれ、世界的な株安に発展しました。実体経済にも波及し、「リーマン・ショック」となったのです。

 

リーマン・ショックの世界と日本への影響

 

まだ売却していない「サブプライムローン」債権を保有していたリーマン・ブラザーズ、そして元本保証が実施できなくなったAIGなど、大企業が相次いで経営破綻した「リーマン・ショック」。

ヨーロッパでも各国の財政状況が悪化します。さらにユーロ加盟国は独立した経済政策を実行できないため、回復にも時間がかかりました。2009年には「ギリシャ危機」が発生し、ポルトガル、スペイン、イタリアなどにも金融危機が波及。ユーロ危機に発展していきます。

日本では、三菱UFJフィナンシャル・グループが、リーマン・ブラザーズと同じく経営危機に陥っていた「モルガン・スタンレー証券」に救済融資を実施。さらに日本政府がIMFに1000億ドルの融資をするなど、鎮静化をはかります。

一方、円が安全と見込まれて買われたことから、急激な円高に。その結果輸出が鈍化し、日経平均株価は6000円台まで下落しています。株安は実体経済にも影響を与え、2009年の求人倍率は「0.45」に低下。深刻な就職難も問題になりました。

 

渦中の人物にインタビューをした迫真のノンフィクション

著者
アンドリュー・ロス ソーキン
出版日
2014-02-07

 

「リーマン・ショック」に携わったさまざまな人物が、何を考え、どのように行動したのかを緻密な取材をもとにまとめた作品。上下巻で刊行されているノンフィクションです。

取材対象はなんと200人ほど。リーマン・ブラザーズのCEOや、FRBのバーナンキ議長、投資家のウォーレン・バフェット、ウォール街のトップたち……500時間以上かけておこなったインタビューから、「リーマン・ショック」の全体像が浮かびあがってくるでしょう。

登場人物が膨大なため相関関係は複雑ですが、面白さは折り紙付き。「リーマン・ショック」そのものを知ることはもちろん、渦中の人物がどのように行動するのか、普遍的なテーマで読むこともできる作品です。

 

「リーマン・ショック」の当事者が語る一冊

著者
篠原 尚之
出版日
2018-02-23

 

作者の篠原尚之は、「リーマン・ショック」当時、財務省の財務官やIMF副専務理事を歴任した人物。本作では、日本がどのように「リーマン・ショック」に対処していったのか、その交渉過程を振り返っています。

事実関係を積みあげる文章は、派手さこそないものの、政策決定の過程がよくわかるものです。当事者が語るからこそ、リアリティも抜群。「リーマン・ショック」の実態に迫ることができる一冊です。

 

「リーマン・ショック」から何を学べるか考える一冊

著者
出版日
2014-03-21

 

「日経新聞」にて、経済部や国際部、証券部などの記者たちが連載していたものをまとめた作品。彼らがそれぞれの観点で「リーマン・ショック」を振り返り、その問題点や反省点について論じていきます。

「リーマン・ショック」に端を発した金融危機を鎮静化するため、各国はさまざまな対策をとりました。中央銀行は巨大な民間リスクを引き受けるようになり、その影響は現在にも続いています。

日本も例外ではありません。この状況が次の危機にどんな影響をおよぼすのか、今後の動向を考えるうえで有益なヒントを与えてくれるでしょう。

 

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