日本でも選挙権が18歳に引き下げられ、より一層、若者への政治教育が重要視されるようになりました。この記事では、民主主義や選挙の仕組みなど、政治の基本がわかるおすすめ本を紹介していきます。どれもわかりやすく、初心者や学生でも手にとれるものばかり。社会人の方の学び直しにも役立つでしょう。
日本の政治に関する制度や仕組みについて、わかりやすく解説した作品です。
たとえばニュースでたびたび目にする「通常国会」「比例代表制」「審議会」など、言葉自体は知っているけど実際にどういうものなのか説明できない人も多いのではないでしょうか。
憲法と法律の違いや、衆議院選挙と参議院選挙の違いなど、間違いやすいものも丁寧に記述しています。政治の初心者はもちろん、学び直しをしたい大人にもおすすめです。
- 著者
- 馬屋原 吉博
- 出版日
2018年に刊行された馬屋原吉博の作品。作者は、中学受験を控えた子どもたちに社会科を教えるカリスマ講師です。
全8章で、政治、憲法、国会、内閣、選挙、裁判所、地方自治、社会保障の基本をそれぞれ解説しています。各章の最後には、中学入試で実際に出題された問題も掲載されていて、知識を定着させながら読み進めることができるでしょう。
説明がまどろっこしくなく簡潔にまとめられている点と、ややこしい部分は図やイラストを用いて説明してくれているのが魅力的。過不足なく、公正な立場で事実を記している点も評価できるでしょう。
お笑いジャーナリストという肩書きをもつ、たかまつななの作品です。
作者は、選挙権が18歳に引き下げられた2016年、「お笑いの力で政治に関心をもってもらいたい」と株式会社「笑下村塾」を設立。本書は実際に高校生が受講した講座を書籍化したものです。
- 著者
- たかまつ なな
- 出版日
学校では詳しく教えてもらえない民主主義の仕組みや、選挙の意義を、テーマごとに1時間目から6時間目まで振り分けて解説していく構成です。
ユーモアのある文章でお笑いの要素を取り入れつつ、政治にまつわる素朴な疑問や、選挙に行かないことで生じる不利益を解説していきます。最低限の知識と心構えを身につければ、政治や選挙に参加することがいかに重要かがわかるはず。政治や選挙はなんだか難しい、という考えも覆されるでしょう。
難しい漢字にはルビがふられていて、かわいらしいイラストも多用しているので、小学生からでも読むことができます。これから政治に参加する人に読んでもらいたい一冊です。
政治ってなんだろう、と思った時に手にしてもらいたい作品。日本と世界を比較しながら、政治や選挙について説明してくれているので、グローバルな視点で考えられます。
日本で選挙権が20歳から18歳に引き下げられた背景を踏まえつつ、選挙の参加方法や有権者がもつ義務と権利などを解説。世界の歴史とともに語られており、日本の未来を考えさせてくれる内容です。
- 著者
- 藤井厳喜
- 出版日
2916年に刊行された、国際政治学者の藤井厳喜の作品です。世界の歴史と、日本の政治や憲法、法律などを解説していきます。さまざまな国の状況を知ることで、日本独自のお国柄や体制が見えてくるでしょう。
噛み砕いた文章は非常に読みやすく、またバランスがとれていて偏りがないため、日ごろ本を読まない人でも止まることなく読み進められるはず。歴史上の出来事や人物には注釈もついているので、事実を整理しながら知識を身につけることができます。
本書に書いてあることは、「これだけは知っておきたい」といういわば常識や教養といえるもの。社会人にとってもよい復習となるでしょう。
首相と大統領の違い、政治家と官僚の関係、日本国憲法の内容……答えられるでしょうか。
これから社会人になる人にも、すでに社会人になっている人にも知ってほしい、政治に関する知識を基礎から学べる一冊です。
- 著者
- 池上 彰
- 出版日
テレビ番組などでもおなじみのジャーナリスト、池上彰の作品です。政治に興味のない人でも読みやすいようにと、身近な疑問を導入にして紐解いていきます。全5章で構成されていて、民主主義制度、普通選挙、連立政権、裁判員制度などの初歩的な知識を教えてくれる内容です。
なかには総理大臣の日常や国会議員の給料など興味深いテーマも。図がたくさん挿入されているので、文章だけでは混乱してしまうような情報もひとつひとつ整理しながら読み進められるでしょう。
いまの日本では、政治の知識は普通に生活しているだけではなかなか身につかないもの。本書を読むと、そんな政治がいかに私たちの生活に密接に関係しているかがわかり、選挙の大切さを実感できるはずです。
日本の政治を体系的に解説していく作品です。
国民は国の主催者=本人であり、政府を代理人にして利益の実現を図るという考えにもとづき、課題や統治の仕組みなどを紹介していきます。
- 著者
- ["久米 郁男", "川出 良枝", "古城 佳子", "田中 愛治", "真渕 勝"]
- 出版日
全4章に分かれていて、政治の理論や地方自治、国際政治、デモクラシーなどを多角的な視点で解説。文章とともに統計などのデータを見つつ、政治学の分野ごとに知識を深堀していきます。
国民が「本人」で、政治が「代理人」という一貫した関係をもとに話が進んでいくのでわかりやすいでしょう。語りかけるような文章で難しい言葉も使っておらず、高校生から読めるはずです。
政治とは、人によって受け取り方が異なるもの。なるべく客観的に、そして包括的にその仕組みを教えてくれる貴重な一冊です。豊富な文献も紹介されているので、その分野についてさらに知りたくなった時にも着手しやすくなっています。
内閣の広報官をしていた作者が、現場のリアルな状況を描いた作品。
国民と総理大臣の間にある壁、東日本大震災当時の様子などを、当事者にしかわからない視点でさらけ出しています。
- 著者
- 下村健一
- 出版日
作者の下村健一は、ニュースキャスターとして報道番組に携わった後、2010年から約2年間、内閣広報室審議官を務めた人物です。本書では作者自身のメモにもとづき、保身することなく当時の状況を描いています。
菅直人首相の選出と参議院選挙における民主党の惨敗、東日本大震災、菅首相の退陣と野田佳彦首相、という大きく3つの時期に分けることができるでしょう。民主党が抱えていた問題や、首相の意図が国民に伝わらない構造的な問題、さらにはマスコミや記者クラブ制度の問題などが浮き彫りになっていきます。
注目すべきは、やはり東日本大震災当時の状況です。あの時官邸では何がおこなわれていたのか、震災・津波・原発という同時に発生した3つの事案にどう対応したのかが明らかになります。冷静な筆致ながら臨場感はたっぷり。政治の裏側を知ることで、興味をもつきっかけにしてみてください。