お洒落なイメージを持つ人も多い「バリスタ」。実際のバリスタが、どんな仕事をしているか知りたいと思っている方に、仕事内容やキャリアアップの道をわかりやすく解説します。 アジア人初の世界チャンピオンになった井崎英典さんの著書のほか、バリスタの仕事を知りたい方におすすめな本もご紹介!バリスタのやりがい、資格の取り方、どんな人がむいているのかなどがわかります。人を喜ばせる仕事をしたいという方は、ぜひチェックしてみてください。
バリスタの主な仕事は、カフェやバール(喫茶店)でコーヒーを淹れてお客様に提供すること。海外では「エスプレッソを淹れる職人」と捉えられている場合が多いです。
これだけだと単純な仕事のように聞こえるかもしれませんが、バリスタに求められる仕事は、思っている以上にたくさんあります。
コーヒーの他にもカフェラテなど、エスプレッソドリンクを美味しく作れる技術が必要な上に、コーヒー豆の産地や風味の特徴、どんな気分やシュチュエーションで飲むとよいのか……コーヒーに関する豊富な知識が必要とされるのです。
「一流のバリスタ」と呼ばれる人は、コーヒー豆を育てている農園にまつわるストーリー、それぞれのコーヒー豆と相性のいい食べ物まで把握し、一杯のコーヒーに対して値段以上の付加価値をつけて提供しています。
バリスタの仕事には、お客様を満足させるコーヒーを淹れることはもちろん、ラテアートの技術や美味しさを倍増させるトークスキルも必要です。
実際にバリスタの世界大会の映像をみていると、出場しているバリスタたちは、手を動かしながら相手の反応を確認し、お客様と目を合わせ話し続けています。まるでショーを見ているかのようですので、ぜひバリスタの仕事に興味のある人は映像もチェックしてみてください。
バリスタになるための国家資格はありません。しかし、コーヒーに関する技術や知識を証明する「資格」は存在します。
バリスタをめざす人向けの専門学校もあり、そこで勉強をすることも可能です。接客や飲食関係の専門学校にバリスタコースが設けられていることもありますので、興味のある方はぜひ調べてみてください。
また、就職先も大手のコーヒーチェーン店から個人経営のカフェなど、コーヒーを取り扱っている企業は多くあるので、間口は広いと言えます。中には、アルバイトから正社員を目指す人もおり、アルバイトとして働いている人も多くいます。スターバックスコーヒーの店員には、「大学生バリスタ」と呼ばれる方もいます。
バリスタとしての技術の高さが認められれば、自分の所属する会社や店舗の代表として、バリスタの全国大会(JBC)・世界大会(WBC)に参加することもできます。
そういった大会で注目されたり優勝することで、バリスタ業界の専門雑誌『バリスタ・マガジン』の表紙を飾ったり、企業の商品プロデュースをしたり……と、世界から注目されるバリスタとして仕事の幅を広げ、収入をアップしていくことが可能です。
そのような道を歩んでいる日本人のバリスタが、井崎英典さんです。井崎さんは2012年に史上最年少でJBC(ジャパン・バリスタ・チャンピオンシップ)優勝。その後も二連覇を果たし、2014年にはアジア人初のWBC(ワールド・バリスタ・チャンピオンシップチャンピオン)に輝いています。
「まずは美味しいコーヒーを自分で淹れてみたい!」という初心者や、直接仕事にする予定のない人にも読みやすい一冊。世界チャンピオンの目線でコーヒー豆について語られており、バリスタになるために役立つ風味の表現方法や基本的なテクニックが書かれています。
- 著者
- 井崎 英典
- 出版日
はじめにもお伝えしたとおり、バリスタとして技術が優れているだけでは一流にはなれません。
美味しいコーヒーを淹れるのは、もはや当たり前。一流のバリスタになるには「コミュニケーション能力」も必要です。
お客様が求めているものを察する力・人に活力を与える力・ホスピタリティが必要になってきます。ホスピタリティとは、簡単にいうと「おもてなしの心」のこと。ホテル業界やテーマパーク業界に興味がある方など、一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?
バリスタは、人を喜ばせたり元気を与えることを仕事にしたい人に向いているといえます。
一流と呼ばれる人気バリスタに近づくことができれば、先ほどご紹介した世界チャンピオン井崎さんのように、仕事の幅がぐんと増え、収入も増えるでしょう。その他にも、店舗の責任者を任されたり、専門学校でバリスタの講師になるなどキャリアアップの道は多岐に渡ります。
そんな「おもてなしの心」とビジネスの関係についてもっと知りたい方には、以下の本がおすすめです。異なる業態であるカフェとホテルに共通する「ホスピタリティ」について学ぶことができます。
「ホスピタリティ業界」とも呼ばれる接客業には、どんな人材が必要とされているのか?どんなことを大切にしなくてはいけないのか……といった、ホスピタリティの真髄を各企業のトップが語っています。
- 著者
- ["岩田 松雄", "高野 登"]
- 出版日
人々から信頼され、その日の気分を左右するほどの影響力があるというのも、バリスタの責任であり、やりがいだといえます。
イタリアでは「朝ごはんはカプチーノやエスプレッソを飲んで軽くすませる」という習慣がありました。
そこで顔なじみのバリスタに会うのを楽しみに、日課としてコーヒーを飲みにくるお客さんはとても多いのです。「自分に会うことで笑顔になってくれる人がいる」というのは、仕事の大きなやりがいの一つといえるでしょう。
「いつもの!」とオーダーを受けることも多いこの仕事。お客様の好みや好きな豆の種類、ミルクのスチーム温度や、好みの濃さなど、一人ひとりの好みを把握してこそ本物のバリスタなのです。
バリスタの仕事は世界中に存在します。もちろん、細かな仕事内容に違いはありますが「美味しいコーヒーとともにおもてなしの心を提供する」という目的は万国共通です。
海外で働くことに興味がある方は、英語やほかの語学をすでに勉強されているかもしれませんね。バリスタとして、世界で通用するためには英語の習得も必須です。日本でバリスタとして働く場合も、キャリアアップのチャンスが多い首都圏などは外国のお客様が多いので、英語は必要になります。
WBC世界大会では、英語でパフォーマンスをしなくてはいけないので、バリスタの技術と知識のほかに「語学」も頑張らなくてはいけません。
ここまでバリスタはどんな資格が必要か、どんな人が向いているかを中心に解説してきました。では、一杯のコーヒーが提供されるまでにどれだけの人々が関わっているのでしょうか。
バリスタはコーヒー豆を挽き、お湯を沸かし、ドリップして注いだコーヒーをお客様に出す……という最後の仕上げをする重要な役割です。
使用するコーヒー豆が出来上がるまでには、とてつもない労力と時間を要します。
こんなにも多くの人が「美味しいコーヒーを飲んで欲しい」と、ー生懸命に働いた最後の責任を負うポジションが「バリスタ」なのです。
少し難しい話になってしまいましたが、そういったコーヒーにまつわるバックグラウンドストーリーを伝えることもバリスタの仕事であり、農園の人々やコーヒーに関わる人々の想いを、代表して伝える重要な役割です。
コーヒーを飲む側も「そんなにも苦労して育ててくれたコーヒー豆なのか!」と感じて、価値や喜びが倍増します。この記事を読んでくださっている方の中にも、バリスタから似たような経験を提供されたことがある方もいるのではないでしょうか。
自分の技術に溺れることなく、美味しいコーヒーを一緒に作る仲間の「想い」をお客様に伝えたい!という強い気持ちを持つ人は、一流のバリスタになれるでしょう。
ビジネス書はちょっと……という方には、こちらの漫画がおすすめ。
- 著者
- むろなが 供未 花形 怜
- 出版日
- 2010-03-16
ローマで修行をした主人公が、日本でも本場のバール(イタリアのコーヒーショップ)文化を広めようとするも、なかなか思ったようにいかず、苦労しつつ成長していく物語です。
全10巻で完結しているため、サクサク読めるのもいいところ。個性豊かな来訪客の悩みを主人公がコーヒーを通じて解消していく点も読みやすさのポイントです。コーヒーの面白さや奥深さがリアルに描かれており、バリスタの勉強入門にもおすすめです。
「バイヤー」のとしての仕事に興味を持った方に読んでいただきたいのが、こちら。
ビジネス書ではありませんが、食品のバイヤーが「どんな仕事をしているのか?」「どんなやりがいがあるのか?」といった仕事のイメージを掴むヒントになるでしょう。カラーの写真が多く、百貨店のカタログをみている可能ような楽しさもある本で、眺めているだけでワクワクする一冊です。
- 著者
- ["NHK「世界はほしいモノにあふれてる」制作班", "NHK「世界はほしいモノにあふれてる」制作班"]
- 出版日
バリスタになるための資格とやりがい、キャリアアップの方法について解説してきました。
コーヒーに関わる仕事、ホスピタリティに溢れる仕事はバリスタだけではありません。
世界中を飛び回るビジネスに興味がある方は「バイヤー」に向いていますし、接客より裏方でコーヒーに関わりたい職人気質の方は焙煎士に向いているかもしれません。
人々に喜びや活力を与える仕事としてのバリスタ、興味が湧いたらぜひ街の「バール」にも足を運んでみてください。