5分でわかる登録販売者!社会人からの転職がしやすい?資格試験や年収などを解説

更新:2021.12.4

薬局などで見かける「登録販売者」。自分自身の健康を管理し、判断しながら自己治療・自己服薬を進めていく際、頼りにされる専門職のひとつです。 登録販売者は専門資格のため、生涯働ける仕事のひとつでもあります。資格取得には通信講座もあるので、社会人からの転職もしやすく、全国どこでも働くことができます。この記事では、仕事内容や活躍の場、薬剤師との違い、年収や資格取得のための勉強法まで解説していきます。

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登録販売者の仕事内容、年収について

 

登録販売者の仕事内容

登録販売者とは、2009年の薬事法改正によって新設された、一般用医薬品を販売する専門資格です。医薬品は大きく次の2つに分けることができます。

  • 医療用医薬品:医師もしくは歯科医師が処方する薬。処方箋をもとに薬剤師が調剤する。処方薬とも呼ばれる。
  • 一般用医薬品:薬局、ドラッグストアなどで購入できる薬。市販薬とも呼ばれる。

登録販売者が販売できるのはこのうち一般用医薬品であり、3種類のうち第2類医薬品および第3医類薬品です。

薬剤師との違い

◾️薬剤師とは

薬剤師とは、薬剤を取り扱う専門職のことを指し、調剤や医薬品の供給、薬事衛生に幅広く携わる職業です。従来は医薬品を販売することができるのも薬剤師のみでした。

また、薬剤師になるためには薬学部にて6年間修業した後に国家試験に合格する必要があります。 

◾️登録販売者とは

これに対し登録販売者は、薬剤を取り扱う専門業務の中で、「医薬品の販売」に特化した専門職であり、各都道府県で実施される公的な資格です。

しかし、処方箋に基づき調剤をおこなったり、一般用医薬品の中で最も副作用が生じる恐れが高い第1類医薬品を販売することは薬剤師の業務に当たります。 
 

ですが、普段の生活でよく購入されるような風邪薬や鎮痛剤は90%以上が第2類医薬品または3類医薬品です。薬剤師不足が現状の今、医薬品販売業で活躍できる場は多くあります。2015年より実務経験がなくても資格が受けられるようになったため、どなたでもチャレンジすることができます。

登録販売者の年収は?

勤務先の業種や年次にもよりますが、登録販売者の平均収入は次のような数字が目安となります。

  • 月給20万以上、時給1100円以上
  • 正社員であれば月給1~2万円の資格手当、パートアルバイトでは時給200〜300円の資格手当
  • 正社員の平均年収300万~400万円

入社後、資格取得によって収入アップが叶ったり、一度取得すれば生涯有効な資格なので出産・育児後に希望地域の職場に再就職が可能というメリットもあります。

登録販売者が活躍できる場とは?

薬局やドラッグストア

ドラッグストアは、医薬品以外に医薬部外品や健康食品も扱っているので、ヘルスケア全般に携わりたい方におすすめの職場です。医薬品に関する相談を受けたり服薬指導をする機会もあるでしょう。

家電量販店やホームセンター

日用雑貨類を扱うお店で医薬品が販売されるケースも増えています。各売り場によって商品群に詳しい店員が配置されている大型店では、医薬品販売のプロとしてやりがいを感じられる機会も少なくないと思われます。 
 

コンビニエンスストア

登録販売者がいないと販売できないため多くはありませんが、こうしたコンビニは増加傾向にあります。コンビニは地域に密着した存在なので、地域の人々の健康医療に貢献したい方に適した職場の1つです。

エステ、健康食品を扱う美や健康関連のお店など

本業と併用したり事業拡大のために登録販売者資格を活用するケースもあります。

漢方薬を扱うカウンセリング薬局、エステティックサロンでサプリや医薬品を取り扱う店舗、鍼灸院で医薬品の販売もおこなう院などがあげられます。

登録販売者試験の受験資格は?通信それとも独学がいい?

登録販売者として従事するには、各都道府県が実施する年に一度の試験に合格した後、都道府県知事から登録を得ることが必要になります。

受験資格に実務経験は必要?

従来は受験資格に実務経験が必要でしたが、2015年の制限緩和により不要となりました。よって、希望する方はどなたでも受験が可能です。 

ただし、店舗の運営や医薬品の管理など任される店舗管理者になるためには、直近5年間に2年以上の実務経験が必要です。
 

専門学校に通学と費用の目安

資格試験に合格するための具体的な方法をみていきましょう。 

1つ目は、専門学校です。 

医療介護福祉系の専門学校や資格スクールにて、登録販売者用の講座が用意されています。通学コースでは、相場は約6万円ほどです。直接講師に質問ができたり、自宅学習のサポートサービスも付いている学校があるなど内容が充実しています。

また、通学することで学習する環境に強制的に身を置くことになり、目標を共有する仲間と学ぶことでモチベーションの維持がしやすい点もあります。  

通信講座の受講と費用の目安

自宅やカフェなど好きな場所で自己学習することが苦でない方には、通信講座は選択肢の1つです。費用の相場も約3~5万円と、通学の場合より抑えることができます。 

紙のテキストが送られてきて問題演習や添削課題など進めていくケースもあれば、DVD教材やオンライン教材を中心に学習するケースもあります。

どのような手段が自分に合っているか、よくよく比較しながら選ぶとよいでしょう。  

独学と費用の目安

最後に、自分で市販の参考書、過去問などを活用して独学で取得する場合についてご説明します。 

2つ目の通信講座のように自分のペースで好きな場所で学習することが得意な方や、自分で計画を立てスケジューリングすることが苦手ではない方にお薦めの方法です。 この記事の2ページ目で、実際にどんなテキストがあるのかをご紹介します。

かかる費用は教材費だけのため、人によりますが、2000円~1万円台で済む場合がほとんどです。

登録販売者試験の内容は?合格率について

登録販売者試験の内容は?

試験問題は全てマークシートで記述形式はありません。 

前半と後半各2時間ずつ、計4時間で全120問に回答するため、1問あたり2分の時間を使うことができます。出題範囲は下記の通りです。 
 

  • 第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識 20問
  • 第2章 人体の働きと医薬品         20問
  • 第3章 主な医薬品とその作用        40問
  • 第4章 薬事関係法規・制度         20問
  • 第5章 医薬品の適正使用・安全対策     20問

第3章の「主な医薬品とその作用」は最も問題数が多く、難易度も高くなっています。合格ラインは全体で7割の正答が求められ、分野ごとには各都道府県の定める一定の得点率が必要となるため、まんべんなく学習する必要があります。

資格試験の合格率は?

登録販売者試験の合格率は、全国平均で約43.9%(2019年度)です。問題内容や受験者数が地域ごとで異なるため合格率は地域差や、開催される年によって差が見られます。たとえば東京都登録販売者試験の合格率を見てみましょう。

2019年:26.0%
2018年:35.4%
2017年:42.7%
2016年:32.4%
2015年:40.6%

参照:東京都福祉保健局

東京での試験でも20%台〜40%台とかなり差がみられます。合格率だけをみると難しい試験だと思ってしまいますが、試験は基本的に知識を問われるものです。ですのできちんとした対策をおこなえば、合格はそう難しくないでしょう。

また全国での合格率を見ると、2019年で最も合格率が高いのが北海道の62.4%。次に宮城県の62.1%、その次が秋田県の60.5%となっています。東北で開催される試験は合格率が高くなっています。

資格試験合格までの道のり〜独学の方のための勉強法〜

勉強期間や時間は?

個人差がありますが、まず短期集中型と長期じっくり型とで分かれます。

短期集中型:1~3カ月、1日あたり3時間以上確保できる場合
長期じっくり型:半年~1年間、1日あたり1~3時間ほど確保できる場合

最短で1カ月の勉強期間で合格する方もいますが、個人的には最短でも2カ月は用意しておくことをおすすめします。

勉強方法

こちらでは、筆者が実際に合格した際の勉強法や、周りで合格した方たちの情報をもとに整理した勉強法をご紹介します。

 

  1. メインの参考書を1冊、多くても2冊までにしぼり、まずは一周読む
  2. 過去問と解答を用意し、出題されやすい箇所と形式を理解しながら参考書を併読する
  3. 2と同様の方法で、受験予定の過去問を最低3年分おさらいしてみる
  4. 重要な箇所がわかった状態で、今度は初回より丁寧に参考書を読む
  5. 過去問を、今度は解答を見ずに解いてみる
  6. 4~5の繰り返しで本番に備える

 

1.メインの参考書を1冊、多くても2冊までにしぼり、まずは一周読んでみる

流し読みで大丈夫です。慣れない用語、表現を追い始めると進まなくなるくらい情報が膨大なので、試験内容の構成と各章の内容をざっと把握することがまず目標です。 

2.過去問と解答を用意し、出題されやすい箇所と形式を理解しながら参考書を併読する

一周読んだだけでもう過去問に?と思う方もいらっしゃるかもしれません。  

登録販売者試験の出題範囲は広く、医薬品分野の初学習者からすると不慣れな内容ばかりです。  

特に独学の場合、真面目に1からテキストを理解しようとノートをとったり整理していくと時間ばかりかかり疲れてしまいます。

「ここが出題されやすいんだ」「マーク形式の選択肢はこんな風に出されるんだ」といった傾向をつかみながら、正答が正答である理由を参考書の該当箇所を参照しながら読み進めていくことで、意欲と時間を浪費せずに済みます。この際に参考書や過去問に書き込んだり、マーカーを引いて整理していくと頭に残りやすくなります。  

3.2と同様の方法で、受験予定の過去問を最低3年分おさらいしてみる

過去問と解答は、各都道府県のHPで無料で手に入ります。また、出題頻度に注目して全国の過去問から抜粋し解説をつけている問題集も販売されているので、そういった教材を使用する方法もあります。最低でも3年分はやってみましょう。  

4.重要な箇所がわかった状態で、今度は初回より丁寧に参考書を読む

過去問を解きながら、重要箇所に書き込んだりマーカーを引いた参考書は、初めて流し読みした時とは別もののオリジナル参考書となっているはずです。出題頻度が高いところを中心に、理解できるか確認しながら読んでみましょう。 

5.過去問を、今度は解答を見ずに解いてみる

2、3で使用した過去問を今度は解答を見ずに解いてみます。答え合わせをし、間違えた問題は解答と参考書を参照して理解するようにします。

6.4~5の繰り返しで本番に備える

過去問を繰り返し解くのが大切

独学学習者にとって、最もコストパフォーマンスがよい教材は過去問です。  

専門学校に通ったり、通信講座で教材を手にしている学習者と比べ、独学の学習者は試験の要点や全体像を自ら把握していく必要があります。

余力がある場合は3年分以上、または他の都道府県分も取り組んでみると、より知識が安定します。

独学で登録販売者試験に合格したい方におすすめの参考書①

著者
["ユーキャン 登録販売者試験研究会", "ユーキャン 登録販売者試験研究会"]
出版日

通信講座で有名なユーキャンから出版されている、要点をしぼったテキスト兼過去問題集です。オールカラーで図解やイラストが豊富なため見やすく、短期集中型の勉強法で知識を身に付けたい方におすすめです。

出題頻度によって過去問や内容が200題に厳選されているので、最初から要点を中心に学習することができます。7割の合格ライン以上を目指したい方は、サブテキストをもう1冊用意したり出題頻度が高くない問題含め学習するとよいでしょう。

独学で登録販売者試験に合格したい方におすすめの参考書②

著者
節子, 藤澤
出版日

厚生労働省の『試験問題の作成に関する手引き』(平成30年3月)に準拠している、出題範囲を広く丁寧に網羅しているテキストがこちらです。筆者はこちらとHP上の過去問を利用しました。

テキストの分量こそありますが、全ての内容が公式情報の手引きに準拠して網羅されているので辞書のように使うこともできます。医薬品の成分名、生薬名といった暗記に骨を折る項目も巻末の索引から検索できるようになっています。 
 

メインテキストとしておすすめの1冊です。 

 

独学で登録販売者試験に合格したい方におすすめの参考書③

著者
ネットパイロティング(株)登録販売者試験対策チーム
出版日

最後に、通信講座並みに映像とテキストでフルサポートしてくれるのがこちらです。

学習開始段階の教材はもちろん、受験間近に受けられる予想模試までついています。DVD付で独学でも講義を受講しているかのようなわかりやすさがあり、文字だけの独学で苦戦してしまう学習者には嬉しい教材セットです。 

制作したのは、試験合格後に登録販売者が継続して利用することになる、e-learningシステムの教材制作を担うネットパイロティング。定評があるe-learningの教材をつくっている会社の試験対策セットであるという点も、安心できるポイントですね。 
 

登録販売者は、医療、健康に関する基本的な知識を身につけられるだけでなく、キャリアアップや収入アップにつなげることもできる専門資格です。 
実務経験や学歴は不要で独学でも十分に挑戦可能です。ですので社会人になってから転職先の候補のひとつとして考えるのもよいかもしれません。 
資格を持っていれば全国どこでも働くことができるので、生活スタイルに合わせた働き方がしたい方にはぴったりの資格でしょう。興味を持った方はぜひ、挑戦してみてください。

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