新企画「フリースタイル書評バトル-芸人編-」をホンシェルジュで開催します。芸人におすすめの本を紹介し合ってもらう執筆バトル!皆さまからの投票で、今後「連載」の権利を獲得する芸人が決まります。(※投票はすでに終了しました) 第1回は「今、ラジオが面白い芸人」です。芸人によるラジオは、深夜ラジオ番組の王道。エピソードトークや本音の言葉が聴けるのが魅力で、今もなお伝説の番組が生まれ続け人の心を惹きつけています。そんなラジオが面白い彼らの、エンタメのルーツはどこにあるのか気になりませんか?
今回本をおすすめする芸人は、深夜ラジオでも活躍中のこちらの4名。(芸歴順、敬称略)
ラジオが面白いと注目を集める4名は、どんな作品に影響を受けたのでしょうか?
なお誰がどの本を紹介しているのかは、投票期間終了まで公表しません。ただ、あなたの1票で、連載の権利を獲得する芸人が決まります。
投票は、誰が書いたのかに縛られず、純粋に紹介する文章だけでおこなってください。
【企画概要】フリースタイル書評バトル-芸人編-とは?
【投票方法】Twitterフォームから(投票は締め切らせていただきました)
記事を読んだ皆さんには、投票でこのバトルに参加していただけます。
記事の1番最後にも同じ投票フォームを用意していますので、ぜひ記事を全て読み比べてから投票してみてください。
投票終了後にこの企画を知ったという方は、「自分だったらこの作品に投票した」などと想像しながら読んでみてください。
<結果発表を見たい方はこちら!>
それでは早速、バトルの開始です!
私がポテトチップスのコンソメ味やのりしお味を気軽に選べるのは、横でうすしお味が優しい顔をして「元気にやってるみたいね、まぁ時々は帰って来なさいよ」と言ってくれている気がするからだ。小川洋子さんの本は小説を選んでいる時の私をいつもそんな感じで見守ってくれている。
この『最果てアーケード』という小説は、「誰にも気づかれないまま、何かの拍子でできた世界の窪み」のような小さなアーケード商店街で配達係のアルバイトをしている16歳の「私」の物語である。本には10本の小説が収められており、それらが全て繋がっているというまさに商店街を表している構成となっている。
アーケードにある輪っか屋、レース屋、ドアノブ専門店、勲章屋、義眼屋など「この専門店誰がくるんだよ!どんなの?」という大喜利のお題に対する回答のようなお店のチョイスがとても素敵だ。そして「私」は「一体こんなの、誰が買うの?」とちゃんと思っている。それでも何かを求めてそのアーケードに立ち寄る人達は存在する。変わったものを売っている変わった人と変わったものを求める変わった人ばっかりだ、変なの!と思ってしまう。
しかし、読み進めていくうちに、あれ?このアーケード行ったことあるような……という感覚になってきて、読み終えると、ふんわりとした自己肯定感に包まれる。たとえ自分の持っているものが「一体こんなの、誰が買うの?」と思えたとしても、この世界にはそれを必要とする人がいるんだよな、同じようなことを考えてる人もいる気がするし、と思えてくる。
1人でネタを考えている時、あーあどうしたもんかな自分は、もう今日はやめようかな、と思ってしまったら『最果てアーケード』の人達のことを思い浮かべる。するともうちょっと頑張ってみようという気になるのだ。
- 著者
- 小川 洋子
- 出版日
歴史漫画が注目されている今だからこそオススメしたい漫画が、僕にはある。それが『猛き黄金の国 道三』だ。
主人公は斎藤道三。あまり聞き馴染みのない名前かもしれないが、織田信長の妻・帰蝶の父。大河ドラマの『麒麟がくる』で本木雅弘さんが演じた役だ。(ちなみに、帰蝶役が川口春奈さん。無敵だなこの親子。)
とにかく、これまであまりスポットが当たらなかったこの斎藤道三の生涯を、『サラリーマン金太郎』の作者・本宮ひろ志先生が描いた全6巻完結の漫画!もう読みたくなったでしょ?もちろん、史実とは異なる点はあるかもしれないが、そんなの度外視してこの道三の魅力をみんなにぜひ知ってもらいたい!あと歴史って漫画だと入ってきやすいから学生にも読んでほしい!実際僕もこれ読んで歴史に興味を持ったので。
道三という人は、僧から油売りを経て、美濃(今の岐阜県南部)の国主を追い出し、自分が国主になったことから美濃の蝮と呼ばれた男。もう下克上の権化。ジャイアントキリングの化身。相当なキレ者なんだけど、周りを巻き込む力もすごい。自然とこの人について行きたいと思える人。マイナビとかであるじゃん?理想の上司ランキング。この時代にあったらぶっちぎり1位だよ斎藤道三。内村さんをも脅かす人物。
口も達者で敵も自然と認めてしまう魅力的な話術。僧侶と問答で言い合うシーンがあるんだけど今で言えばフリースタイルダンジョンだよね。R-指定vs呂布カルマ戦を彷彿とさせた。呂布カルマが「もう言うことないわ。やっぱこいつ強い。」って、R-指定を認めた時のあの感じ。1巻の冒頭だからすぐ見てほしい。ラスボス道三いけるんじゃない?圧倒されるよ。
とにかく人の心を打つ力で天下を取れた人なんだよ。その生きざまをみんなに見てほしい!で、この道三が唯一恐れた人物が織田信長。だから道三は、当時大うつけと周りから呼ばれていた男に娘を嫁がせたわけなんだけど、その信長がそのあと道三の意思を継いで天下統一に邁進していくのカッコ良すぎないか?
道三と信長互いに認め合った者同士の熱い想いが見えるラストもぜひ見てほしい。男も惚れます。
- 著者
- 本宮 ひろ志
- 出版日
この本を読み終わったあと、僕は外に飛び出した。なんだかとても走り出したくなったのだ。この衝動を、この胸のドキドキを、なんて言えばいいんだろう。僕はこの作品からロックンロールが聴こえた。
落ちこぼれ男子校に通う主人公の「僕」たちが、高校3年生を迎えた今年、とある作戦に頭を悩ませる。それは厳重な監視のうえ強面のヤツらががっちりガードするお嬢様女子高の文化祭へどうやって突入するか。病気で入院してる友達ヒロシのために、主人公の僕はクラスの仲間たちと一緒に、奮闘する。しかしその作戦には様々な問題が立ちはだかって……といった内容。
「君たち、世界を変えてみたくはないか?」
(『レヴォリューション No.3』より引用)
きっかけは生物教師・米倉の一言。退屈な日々を繰り返す「僕ら」は感電する。
彼らは、世の中が作った世界に、一発風穴を開けようとする。世界をまるごと変えることは出来ないが、ひと泡だけでもふかせようと。
昔のように、学生運動や戦争など、与えられた物語のない彼ら。さらには、現代の物語である学歴にも縁がない彼ら。
彼らは、自分たちで物語を作るしかない。無から有を創りだす、人間の、若者のエネルギー。主人公たちのそのエネルギーは、本から溢れ出して、それは読んでる僕にも伝わって、その熱は伝染して、僕を真夜中に走らせた。それは明らかにこの本がロックンロールを鳴らしたのだ。
とにかく胸がすかっとして、気持ちいい。仲間や先生、いろんな個性的な登場人物。一人ひとり抱きしめたくなる愛着のわくキャラクター達。こんなクラスにいたかった。僕は32歳ですっかり大人だけども、読んでるうちにすっかり17歳だった。何度でも何度でも、青春を。立ち止まって今をもがいてる人全員に読んでほしい。ほら、走ろうぜ。
- 著者
- 金城 一紀
- 出版日
- 2001-09-30
皆さん、はじめまして。突然ですが、これを読んでくれているあなたは本をどちらで購入しますか?私は書店で買うことが多いのですが、今の時代はインターネットで購入されている方も多いのではないでしょうか。
しかし、実は身近にもうひとつ、本がたくさん並んでいて手軽に購入できる場所があります。そうです。「コンビニ」です。第三の男、第三のビールに続く、「第三の書店」コンビニ。私は、「コンビニに置いてある本」をテーマに本を選ばせていただきました。
テーマをコンビニ本に決めた私は、早速家から徒歩1分のファミリーマートへ向かいました。思えばいつも何気なく入店するコンビニに明確な目的を持って入ることは、どうしても食べたくなったカレーまんを探し求めて徘徊した何年か前の寒い夜以来のことです。
入店して本のコーナーを眺めると、ああ、ありました、ありました。「悪魔の雑学108」、「最新!眠れなくなる宇宙の話」、「可愛すぎる東南アジア旅行記」というようなネーミングセンス。ひと目で「これコンビニで買っただろ!」とわからせる独自のアイデンティティを確立した本がずらっと並んでいます。しかしそれらは「少し空いた時間に、気軽に素早く読める」ことに特化した面白そうな本だといえます。
そのなかでも私が心惹かれ今回読ませてもらった本は、「オール新作 読み切り漫画『缶詰』」(正式名称は『別冊 思い出食堂 缶詰』)です。
コンビニという老若男女すべての人が利用する場にそぐわない、「缶詰」だけをテーマにした漫画が全30本収録されているという、ストライクゾーンを絞りに絞った1冊に心奪われました。
しかし、なぜ缶詰は、こうも心ときめかせる存在であるのでしょうか。大量に並んでいるガチャガチャや、池袋駅にあるランチパックショップ、レトルトカレーなど、開けてみないと中身がみえないものに、私は似たようなときめきを覚えてしまいます。
そんなことはさておき本の内容ですが、この本ではひとつの缶詰をテーマにした10ページの漫画が30本、計30缶以上の缶詰が紹介されています。
シーチキン缶から高級たらばがに缶、帝国ホテルのコーンスープ缶に、コンビーフから自衛隊の缶めしまで、非常に幅広いラインナップの缶詰が紹介されており、ページをめくるたびにわくわくさせてくれるのですが、私が思うこの本の一番の特徴は、思わず「こうきたか!」と唸らせる、「缶詰×ストーリー」の掛け合わせにあります。
短編漫画なので内容に触れてしまうとかなりのネタバレを引き起こす恐れがありますので、いくつか簡単に紹介をさせていただくと、
などなど……って恋ばっかりじゃねえか!!!!
「さけ缶×死んだ親父との思い出」や、「たこ焼き缶×熱い友情」などもありましたが、 8割は恋です。もう、この本では缶詰がキューピッドになってみんな恋愛しまくってます。
「缶詰を缶切りで開けるのは、フタが綺麗に取れた瞬間、手の込んだ料理を作り終えたのと同じ達成感に包まれる。」
というニュアンスの名言も出てきますが、そんなものおかまいなしに、とにかく恋です。酒とかあんまり出てきません。「みかん缶×離婚」といった別れの話まで出てくるほど、恋です。やはり、缶詰も恋心も、開けてみないとわからないといったところなのでしょうか……。
ちなみに私はこんなこと言ってますが恋愛モノが大好きなので、あっという間に1時間でとても楽しく全て読み終えました。恋で悩んでいるあなたにぜひ手に取っていただきたい、オススメの1冊です。
- 著者
- アンソロジー
- 出版日
どの本を1番読みたいと思いましたか?
あなたの1票で、連載の権利を獲得する芸人が決まります。
投票はこちらから、6月26日(金)12時50分まで受け付けています。(※既に終了しました)
(おひとりにつき1票まで。Twitterへのログインが必要になります。)
たくさんの投票、ありがとうございました。
投票結果と、それぞれの本が誰のおすすめだったのかを発表します!(敬称略)
皆さんの執筆者の予想は当たりましたか?
ということで、優勝者は、三四郎・相田周二さんでした!
優勝した三四郎・相田さんには、コラムの連載を依頼します。
連載開始は7月中旬の予定です。お知らせはホンシェルジュのTwitterやnoteでおこないます。こちらをフォローしていただくか、honciergeのトップページでもチェックできます。どうぞお楽しみに!
今回ご紹介いただいた本はどれも面白そうなものばかりでしたね。気になった本は、この機会にぜひ手に取ってみてください。
そして、ご参加いただいた芸人の方のラジオももちろんとても面白いので、まだ聞いたことがないという方も一度耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
第2回は7月中旬の予定です。記事への感想がありましたら、Twitterにてハッシュタグ「#フリースタイル書評バトル」をつけてツイートお待ちしております。定期的な開催を予定しておりますので、「次はこの芸人さんにオファーをしてほしい」などの声をお寄せいただけますと嬉しく思います。
フリースタイル書評バトル
毎月4名ほどの芸能人が本のおすすめバトル!どの本を読みたくなったか、投票で参加していただけます。