もうすぐクリスマスですが、まだプレゼントが決まっていない方、特に彼氏など男性に贈るものに迷っている方は、本をプレゼントしてはいかがでしょうか。今回は、クリスマスプレゼントとして男性にあげたい本をご紹介致します。
1956年にトルーマン・カポーティが発表し、クリスマスシーズンになると、アメリカのあちこちで朗読される短編の物語です。
身寄りのない少年バディとおばあちゃんはお金持ちの親戚の家にひきとられています。彼らのクリスマスの楽しみは日々コツコツと貯めたお小遣いでたくさんのフルーツケーキを作ること。そしてそれらをその年お世話になったり、どこか気になったりした人にプレゼントするのです。
- 著者
- トルーマン カポーティ
- 出版日
- 1990-11-25
この物語は二人の過ごした最後のクリスマスが回顧劇として語られます。子どもの頃過ごした素朴で温かみのあるクリスマスが、センチメンタルに語られることで、きっと自分自身の幼い頃のクリスマスなど、大切な時間を思い出せるはずです。
この物語の魅力は何と言ってものフルーツケーキが美味しそうに描かれていること!ひとつひとつの材料や工程、ストーブの様子などはまさにその場にいるように香りや温度を感じられます。
そしてケーキが美味しそうに感じられるのは細密な描写だけではなく、二人の人を思いやる気持ちがとてもまっすぐなものだから。純真無垢な気持ちにさせてくれる本です。なんでもない、ただ素朴なクリスマスが大人になると、特別な1日だったとおもわせてくれるでしょう。
今年1年の感謝の気持ちを込めて男性へプレゼントしたい1冊です。
ディケンズのこの小説は、金の猛者となり強欲極まりない生活をしているスクルージを主人公に物語が進みます。共同経営者であったマーレイが亡くなった時も、彼は大して涙を見せませんでした。それどころか、人々がマーレイのためにとくれたお布施を自分のものにしてしまうほどの守銭奴です。
- 著者
- ディケンズ
- 出版日
- 2011-12-02
クリスマスイブの夜、スクルージと同じように金も亡者だったマーレイの霊が現れて、過去の霊、現在の霊、未来の霊を連れてきます。
過去の霊は子供時代のスクルージの生活を見せてくれました。家族と過ごす楽しいクリスマス、そして純粋だった子供時代、唯一の恋人だったベル……。
現在の霊はせっかくパーティに誘ってくれた甥を邪険にした様子や、スクルージのもと、安月給で働くクラチットの貧しくも明るい食卓風景を映し出します。
そして未来の霊は……。
スクルージが改心し、周囲の人々へ優しさをもって繋がるようになる物語です。誰しも自分の今年や今までを振り返って後悔することは多いはず。この物語はその苦い気持ちを洗い流してくれるような美しい物語です。まさにクリスマスの奇跡とも言える感動的なファンタジー。大切な人にそんなここと温まる体験をプレゼントしてみませんか?
とあるところに大変貧しい夫婦がおりました。明日はとうとうクリスマスだというのに、1ドルと87セントしか持ち合わせていません。夫にプレゼントを贈りたいがために、妻のデラは大切にしていた美しい髪を切ってしまいます。そして夫が大切にしている金時計にぴったりの上等なチェーンを買いますが……。
- 著者
- Oヘンリー
- 出版日
- 2014-11-28
お互いがお互いのために大切なものを捨て、相手にプレゼントを買う。こんな気持ちほど尊いものがあるでしょうか。結局無用になってしまうそれぞれのプレゼントですが、世界のどこを探しても、彼らほどの賢者はいません。
プレゼントの内容よりも、値段よりも、何より大切なのはかけがえのない愛と、相手を思いやる尊い気持ちなのです。どんなに高価なモノより、大切な恋人を思う気持ちは何にも勝ります。
この本を読んだ後、お金では買えない愛の尊さや素晴らしさを再確認することでしょう。ものだけでは伝えきれない想いをこの本にのせてプレゼントしてみませんか?
星新一著のショートストーリー集です。この本は、クリスマスに関わらず面白い話が集められているのですが、ひとつクリスマスにぴったりのお話があります。「ある夜の物語」という1編をご紹介します。
とある青年をスタートとしてサンタクロースは人々を訪ね歩きます。
- 著者
- 星 新一
- 出版日
- 1982-08-27
最初の青年は恋人もいなく、狭い部屋で寂しいクリスマスを送っています。彼の元に現れたサンタクロースは、世界で一人だけ望みを叶えることができると言い、青年に望みを尋ねます。
最初はあれこれと自分の欲しいものを思い浮かべる青年。しかしはたと望みを叶えてもらえるだけの資格が、自分にはあるのだろうかと考え始めます。青年は自問自答し、申し出を断ります。自分よりもっと困っている人がいるはずだと。
そうしてサンタクロースは次の人の元を訪ねますが、申し出を断られてばかりです。限られた時間の中、サンタクロースは人々の願いを叶えるべく訪ね歩きますが、タイムリミットが迫ってきて……。
見知らぬ誰かが幸せになってくれるのなら、自分は願いを叶えてもらわなくてもいい。実際に目の前になんでも願いを叶えてくれるサンタクッロースが現れたら、そんな気持ちになれるでしょうか。
コミカルなサンタクロースの様子と、人々のあたたかい気持ちに、皆が幸せなクリスマスを享受できますようにと、願わずにはいられません。見知らぬ誰かの幸せを願うことの素晴らしさに気づけるでしょう。
また、ショートストーリーですので、あまり本を読まない方にも気軽にプレゼントできる1冊です。
クリスマスイブの夜、光が消えた東京で起きる一夜だけの奇跡の物語です。
2005年に映画にもなったことで有名です。小説の中では映画では描かれなかった背景もきちんと描かれていますので、読み応えがあるでしょう。
- 著者
- 源 孝志
- 出版日
大停電になってしまったクリスマスイブの東京。12人の男女が真っ暗な中でそれぞれの真実を見つけていきます。様々な登場人物が登場するので、自分の好きな話がきっとあるはず。
大停電となったために繁盛するキャンドル店、出産を間近に控えた妊婦、そして癌のため手術を明日に控えた女性……。一見ばらばらに見える彼らの物語が、1つに繋がっていく様が面白い1冊。ロマンチックな夜にぴったりのラブストーリーです。
今回は毛色の異なる様々なクリスマスにまつわる本を紹介させて頂きました。クリスマスにプレゼントを贈りたいけれどもマンネリ化が続いてしまうとお悩みの方にも、本はお薦めです。
どの本も読んでいて、心温まるストーリーですが、ストーリー展開や系統が違いますので、タイプに合わせて選んでいただければと思いますクリスマスシーズンはもちろんのこと、それ以外の季節に読み返しても、大切な誰かのことを思い出す、そんな素敵な本たちです。