5分でわかる医師!平均年収は800万円ほど。資格取得までの道のり、転職事情を解説!

更新:2021.12.4

医師について最初にイメージするのは、外来やクリニックで、患者さんの診察をしている姿でしょう。私たちが日常生活を送る上でもっとも身近な医師の姿だとおもいます。現在の世の中でも、医師になるのは非常に難しく、医学部受験、医師資格などは並大抵の努力ではなしえません。専門知識を持ち、患者さんに合わせて使う頭脳、体力や精神力はもちろん、体育会系のような根性と、礼儀や礼節などその求められる能力は多岐にわたります。そのぶん、安定して高い年収を維持できて、就職や転職でも困ることはないでしょう。今回はそんな医師たちの実態調査の報告を含め、おすすめの書籍とともに徹底解説しちゃいます!

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医師の仕事にはさまざまな専門分野がある

医者とは患者の回復・健康増進を促す仕事

医師とは、ということを考えたときに、外来で患者さんを診察している姿や、ドラマでよく見かける手術執刀している姿など、患者さんの命や健康に直接かかわる仕事をしている印象があるのではないでしょうか。医師の仕事を簡単にいうと「患者さんの疾患を治療し、回復を促す。健康増進を促す」ことになります。

臨床医と研究医の違いは?

医師の仕事はいわゆる、診療をおこなう「臨床医」と、現在ある医療を研究する「研究医」にわけられます。

医師として働いている人たちの95%が臨床医であり、残りの5%が研究医といわれています。医療の発展を担う仕事なのに少ないように感じますよね。

  • 臨床医:病院やクリニックで患者さんを診察、疾患を治療し、健康維持をサポートする
  • 研究医:大学や大学院で、いま現在活用されている治療法の改善や、未知の疾患、治療法に対して研究をしている医師。研究医はひたすら英論文にて研究を重ね、時間をかけて成果を見出していく

研究医が実際に患者さんと接することは少ないですが、研究の成果が大きく医療を発展させた場合、より多くの患者さんを救うことにつながります。

研究医不足が叫ばれている

2016年に厚生労働省が公開した研究医養成との関係という資料をみても分かるように、医学系大学院進学者における基礎系の割合は、2008年の77%から2016年には89%と増加しているものの、依然として研究医不足が叫ばれている現状を読み解くことができます。

ただ近年は、大学院に所属しながら非常勤医師として民間の病院で勤務している兼業医もいます。週の数日だけ臨床で勤務する、というスタイルをとっている医師もいるようです。

外科医と内科医にはさまざまな専門分野がある

さらに医師には、提供する診療技術の分類として「外科医」と「内科医」にわけられます。

  • 外科医:外科的処置(手術)を要する治療をおこない、患者さんを治療する
  • 内科医:薬物による治療をメインとした、診療スタイルを提供する

しかし、外科医、内科医と一口で言ってもその専門分野はさまざまに分かれています。

臨床医のなかには「勤務医」と「開業医」がいる

臨床医には「勤務医」と「開業医」がある

臨床医のなかには、「勤務医」と「開業医」がいます。

  • 勤務医:医局に所属しているか、個人医師として民間の病院に就職し、診療をおこなう医師のこと。雇用主がいて、雇用契約したうえで給与所得を得ている。
  • 開業医:自分で病院やクリニックを開業し、自分自身も診療をおこないながら、経営もおこなう。医師としての診療業務のほかに、経営者としての側面も持ち合わせる必要がある。

簡単な違いは上記のようになりますが、ここからはその仕事内容と年収を詳しくご紹介していきます。

勤務医の仕事内容は?

勤務医としての実際の仕事内容は、その診療科によって異なりますが、基本的には3つです。

  • 外来診療
  • 病棟回診
  • 手術

そのほかに、救急当番日の日直と夜間の宿直や待機が、勤務交代で割り当てられます。担当日でなくても、医師は医療用の携帯電話が支給され、病棟の入院患者さんに異変があれば、当直の看護師から症状報告や指示を受けるのための電話が入ってきます。

まさに医師の仕事は365日年中無休です。家庭を持っていても、家族のために使える時間が得られるようになるのは、それなりの年齢と立場になったときです。フォローしてくれる後輩医師が育ってきた段階でやっと作ることができるようになります。

開業医の仕事内容は?

開業医の仕事内容は、どのような施設を選択するかによっても変わってきます。基本的には下記のような業務をおこなうのが一般的です。

 

  • 診療
  • 経営に関するマネジメント
  • スタッフの管理・育成
  • 施設維持のための業務

 

基本的には、自分が診療してきた診療科を専門として開業をするケースがほとんどですが、まれに両親が開業医で、その経営しているクリニックや病院を引き継ぐ形で、二世開業医となる場合もあります。

勤務医の年収は最低でも800万円程度と言われる

勤務医の年収は最低でも800万円程度

勤務医の年収は、その勤めている施設、地域、年齢などによって差がありますし、さらにアルバイトなどをしているかしていないのかによっても変わってくるので、かなり個人差があるといえそうです。ここではアルバイトをしていないことを前提としています。

 

  • 一般的な勤務医の平均年収:1230万円(2017年)
  • 新米医師の平均年収:800万円前後
  • 40代、50代のベテラン医師の平均年収:1800万〜2000万円

 

年齢関係なく見た場合は、1500万円前後が平均値と言われています。

過疎地や離島医師の年収はその倍以上

さらに、都市部の大学病院であれば、この最低値の800万程度というのはよくあるのですが、過疎地や離島医師であれば、同じ年齢でも年収が倍以上もらっていることはよくあります。

これは、医師1人当たりに対しての担当患者数が必然的に多くなることに含め、診療対応するべき診療科の範囲が広くなることが理由としてあげられます。逆にいうと、都市部の大学病院であれば、医師の人数が充足し、1人当たりの担当患者数が多くなく、自分の診療科目に集中できるのです。

また、大学病院よりも、民間の病院のほうが100万~200万程度年収が高い傾向があります。その理由として、大学病院と比較すると、1診療科に対する医師の数が少ないので、医師1人当たりの患者対応数が多くなることが理由といえます。

開業医の年収は勤務医の倍のケースも多々ある

患者さんが定着し、経営が安定するまでは不眠不休で働くことも多く、かなりハードではありますが、そのぶん勤務医と比較しても倍以上の年収を得ているケースも多々あります。

開業医の多くは町医者と呼ばれる「クリニック」を開業しています。まれに老人保健施設や高齢者住宅などの福祉関係や、美容整形外科クリニックなどの、完全自由診療領域の分野で開業するケースもありますよ。

医師国家試験の内容と合格後の道

医師国家試験は例年2月におこなわれる

医師国家試験は例年2月に2日間かけておこなわれ、厚生労働省が定めた受験資格者のみが受験することができます。

試験地は以下の全12都道府県となっています。

北海道、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、熊本県および沖縄県

医師国家試験の内容は?

試験内容は「臨床上必要な医学及び公衆衛生に関して、医師として具有すべき知識及び技能」とされており、一般問題、臨地実習問題、必修問題、禁忌問題などが構成要素です。

  • 必修問題を除いた一般問題、および臨床実地問題:217点以上/299点
  • 必修問題:158点以上/197点
  • 禁忌肢問題選択数:3問以下

ここで医師国家試験のポイントのひとつとなっている「禁忌問題」ですが、これは、医師として当たり前に保有しておかなくてはいけない知識や、医療従事者として当たり前に求められる態度などが問題となっています。

4問以上間違ってしまうと、ほかの回答が全問正解でも試験は不合格となるほど重要な問題なのです。
 

医師国家試験は難しいといったイメージがありますが、先ほども書いたように合格率は案外高く、2020年には既卒・新卒を含めた92.1%の合格率となっています。

もちろん誰でも合格できるほど簡単ではないですが、受験資格保有者にとっては難しい試験ではないことが伺えますね。

医師免許取得後は研修医として働く

医師国家試験に合格し、医師免許を取得して晴れて「医師」となり、実際に医療行為ができるようになります。しかし、取得後すぐに臨床行為をおこなうことはできません。研修を受ける必要があるのです。

  • 2年間の前期研修(初期臨床研究)
  • 3〜4年間の後期臨床研修

▶︎前期研修

まずは法律で義務づけられている2年の前期研修をこなします。その研修先は、大学病院内であったり、臨床研修の指定病院にておこないます。基本的には2~3か月かけてひとつの診療科で研修を終えて、次の診療科に移動します。そうして2年間ですべての診療科の研修をします。

これは、自分自身に何が合っているか、向いているかの見定めにも役立ちますし、医師は基本的にすべての診療科に対応できることを求められるので、その基本の部分はしっかりと押さえておけるようにするためです。

▶︎後期研修

その後、3〜4年ほどかかる後期課程に入ります。後期研修は法律で義務づけられてはいませんが、ほとんどの医師が認定医や専門医取得のために受けています。

自分で選択した診療科に所属し、先輩医師に指導されながら知識や技術の習得を目指します。また、新しく入ってきた研修医に基本的な指導をするのも後期課程研修医の仕事です。

研修医の仕事はとてもハードです。日々の診療から回診の介助はもちろん、手術の立ち会いもおこないます。そのような日々の業務の間に、上役の医師から私用や書類整理などの雑務を押し付けられ、病棟や外来の看護師からは処方を出してほしい、診察をしてほしいなど、細かい仕事の依頼があるたびに呼び出されます。

本当にそれこそ、寝る間も惜しんで業務に従事しています。研修医は自宅に帰る暇もなく、お風呂にも入れないほど忙しいのです。

研修医期間の収入はどうなっているの?

さらにその間は、給料があまり高くはありません。厚生労働省の2011年の臨床病院における研修医の処遇という資料によると、1年次と2年次の平均年収は以下のようになっていました。

 

  • 1年次は約435万円
  • 2年次は約482万円

その後、大学の医局に所属し、精進して医局内での昇進を目指すか、医局を退局し、民間の病院で一個人の医師として勤務する道を選択していくことになります。
 

医局内にとどまることで、たくさんの症例数を経験することができるようになったり、人員が潤沢にあることによって、ひとり当たりの担当患者数が少なく、負担が少なくなったりというメリットもあります。

ですが指示された派遣先には必ず行かなくてはならないため、プライベートに制約や支障が出やすいというデメリットもあります。

医学部受験、卒業がなぜ難しいと言われるのか

今回、この記事を執筆するにあたって、2人の医師にお話を伺いました。その医師は、日本最高峰といわれている東大理三出身の医師と、私立医学部最高峰といわれているの慶応医学部卒の医師です。

医師国家試験より医学部受験の方が大変

最初に筆者自身が長年考えていた「医学部受験と医師国家試験はどちらが大変か?」という疑問を率直にぶつけてみました。その時の医師の回答が以下でした。

国家試験なんて簡単ですよ。普通に過ごしてたら受かる。医学部受験と留年をせずに卒業することの方が、はるかに大変です。

過去3年の合格率を見ると難しくないと言いきれるのも納得です。例年90%前後の合格率で推移していることが分かります。

 

  • 2018年:90.1%
  • 2019年:89.0%
  • 2020年:92.1%

やはりエリートぞろいの花形職業、医師。そもそも受験する人たちが、優秀な方々だというのが理由のようです。

医学部をストレート卒業するのは難しい

また、大変な思いをして医学部に合格したとしても、留年や退学をせず、ストレートに卒業するのも大変なようです。

実際に文部科学省が公開した各大学の医学部医学科の入学状況及び国家試験結果等の資料を見ると、そう言われているのも納得です。4年制大学の卒業者が90%以上と言われているなか、医学部医学科の卒業率は国公私立大学の累計でみても84.9%(2019年)と低いことが分かります。

医学部は、1つでも単位を落とすと留年します。職業として人の命を扱うので、当然といえば当然なのですが、在学中もしっかりと勉学に励み、単位の取得にいそしむ努力が必要です。

さらに5・6年時には臨床実習が入ります。実際には医師免許を保有していないので、実技をおこなう機会は少ないですが、実習態度によっては単位を取得できず、場合によりそのまま放校処分となることもあります。

医学部合格をして、懸命に乗り越えた6年間の勉学や実習、研究を経て卒業、もしくは卒業見込みとなり、初めて医師国家試験の受験資格をもらえます。

医師は転職の多い職業

医師は他の職業と比べて転職回数の多い職業です。国家資格があれば全国どこでも働くことができ、転職回数が多くても不利になりにくいため、大体の医師が数回は転職しています。

年収アップのための転職

年収アップを目的とした転職は、医師の世界でも起こりうるケースです。

医師の年収は、地域での医師の充足度により差があります。つまり、医師の数が少ない地域ほど年収が高く設定されているのです。より高額の年収を取得したい方は、都市部ではなく郊外への転職も視野にいれるとよいでしょう。

また大学病院、国公立の病院、市中の病院など施設による年収の違いもあります。勤務する施設にこだわりのない方は、施設を変更して年収をアップする方法を検討するのもおすすめです。

キャリアアップや専門資格取得のための転職

より高度な症例を学びたい、専門資格を取得したいなど、キャリアアップを目的とした転職をする方もいます。その場合は、大学病院や国公立の病院への転職がおすすめです。

それらの施設では指導医が在籍していたり、専門的資格取得の環境が整っていたりします。また海外留学を検討するのもよいでしょう。海外の症例や、医療技術からさまざまなことが学べるはずです。

転職のミスマッチを防ぐことがポイント

医師の転職では、選択肢が多いことが失敗する原因になることがあります。なんのために転職をするのか、一番の目的をはっきりさせておくことで、転職のミスマッチを防ぐことができるでしょう。

その他、自分が譲れない条件を3〜4つほど明確に決めておくことで、数ある転職先の中から、自分の希望にあった転職先を絞ることができるはずです。

医師国家試験の対策をしたい人におすすめの1冊

著者
国試対策問題編集委員会
出版日

医師国家試験の問題の多くは過去問から出題される傾向がありますので、過去問をしっかりと解いていれば合格できる内容だと言われています。

高い合格率をほこり、受験をする医学生そのものが優秀な人たちが多いので、医師の国家試験対策での基本的な勉強方法は「過去問を解いていく」ことになります。その際におすすめなのが『クエスチョン・バンク 医師国家試験問題解説2021 vol.1』です。

こちらの2021年版は、Vol1~Vol4までの構成となっており、医師国家試験の過去問の内容を解説付きで網羅しています。過去問を解きながら国家試験への出題傾向などの感覚をつかみ、慣れるのには最適のシリーズです。

日々の授業や、実習中にしっかりと知識を習得していれば、多くの受験生が合格できる内容になっていますが、自分自身で国家試験への合格へのボーダーラインを見極めるのにも一役かってくれそうです。

勤務医の仕事内容を詳しく知りたい人におすすめの1冊

著者
["WILLこども知育研究所", "WILLこども知育研究所"]
出版日

実際に、勤務医の1日を参照するのにおすすめの書籍が『医師の一日 (医療・福祉の仕事 見る知るシリーズ)』です。第1弾として発売された本作は、第17回学校図書館出版賞を受賞し、内容の理解しやすさや充実度はお墨付き。

文章だけではなく、イラストや写真付きでわかりやすく解説されているので、小さなお子さんでも理解しやすい内容となっています。

まずは簡単に勤務医の仕事内容を知りたい人や、子供と一緒にいろいろな職業について知りたい人にもおすすめの1冊です。

 

開業を考えている医師におすすめの1冊

著者
["田浦 俊栄", "小泉 暁之"]
出版日

開業し、経営の部分は初心者の医師たちにおすすめなのが『コンサルが教えてくれない 医師の開業5つの落とし穴 』です。医療機関専門の税理士が、医師が陥りやすい注意点を簡潔にまとめている書籍です。

とくに、これから開業を考えている場合の初心者向けの内容としては、非常にわかりやすい内容となっています。クリニック経営についての導入指南書としておすすめの1冊となっています。

開業医は保険診療の施設であるか、美容外科のような自由診療の施設かによっても実情は大きく異なります。実際の経営に関する考え方や方針、スタッフマネジメントなども大きな違いがあることがわかります。

数ある職種のなかでも、あこがれや羨望の的になる医師。実態はイメージとかけ離れている部分もあり、優秀なだけでなれる職業ではなく、体力や精神力、気合・努力・根性など、人として数多くの優秀さを求められる職業です。本当に大変な職業ですが、そのぶんやりがいと責任感はあり、一生職に困ることもないでしょう。医師という職業に興味がある方、これから目指す方は、ぜひ一度おすすめした書籍も手に取ってみてくださいね。

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