5分でわかる宅地建物取引士!転職にも有利な資格の概要、平均年収や転職事情を解説!

更新:2021.12.4

不動産取引において、高度な専門知識を持ち重要な役割を担っている「宅地建物取引士」。「宅建」の略称でも知られ、毎年20万人以上が受験をする人気の高い国家資格です。不動産取引をおこなう際には、この資格を持っていることが必須条件になります。この記事では、仕事内容や試験の難易度、宅地建物取引士に興味を持った方に役立つ書籍3冊を、わかりやすく紹介していきます。

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宅地建物取引士とは

宅地建物取引士(宅建士)の仕事とは

宅地建物取引士(宅建士)とは、ひとことでいうと「不動産取引の専門家」。「宅地建物取引業法」に基づき、1958年に定められた国家資格です。不動産における宅地や建物の売買・交換・貸借の取引において関係者の利益を保護し、円滑で安全な取引が行われるように契約業務を実行する職業です。

不動産の取引には定められた法律が多く、その取引金額も大きいもの。

「マンションを購入したのに、設備状況が悪かった」「賃貸物件の更新時にかかる費用を知らなかった」「購入した土地に、希望の物件を建てられなかった」など、少しの誤解や説明不足で、大きなトラブルにつながることもあります。

そこで不動産に詳しい宅建士が当事者間に立ってサポートし、安全な契約締結をサポートする必要があるのです。

宅地建物取引士にしかできない業務がある

不動産業(宅地建物取引業者)を営む会社は、社員5人に対し1人以上の割合で専任の宅建士を設置することが義務付けられています。なぜこのように義務付けられているかというと、宅地建物取引士の資格がないとできない「独占業務」というものが存在するためです。独占業務の内容は下記の3点になります。

  1. 重要事項の説明:売買や賃貸・委託契約の際に、契約に関する重要事項を取引者に説明する
  2. 重要事項の説明書面への記名・押印:取引者が内容を確認した上で重要事項説明書へ記名・押印をおこない、宅建士の説明が重要事項説明書の内容と一致していることを証明する
  3. 契約書への記名・押印:契約書の内容に間違いがないかを確認し、記名・押印をおこなう

どれも公平な取引をする上で大事な業務であり、これらは宅地建物取引士でなければおこなうことはできません。宅地建物取引士は、不動産業において重要な役割を担っているのです。

宅地建物取引士の就職先。活躍の場所は

宅地建物取引士の活躍できる業界

宅地建物取引士の資格を持っていると、就職や転職に有利であるといわれます。その一番の理由は、不動産業界では宅建士が在籍していないと仕事が成り立たないためでしょう。資格を持っていることで毎月「資格手当」が支払われる会社もあるので、年収アップを考える上でも有利な資格といえます。

営業活動やコネクションに強い方であれば、宅地建物取引士として独立開業するという道もあります。安定的な収入は得られませんが、軌道に乗れば会社に所属するより高い年収を得られる場合もあります。

不動産業界以外に、自社物件を販売する建築業界や、融資の際に不動産の担保価値を評価する金融業界においても活躍の場があります。また、自社で不動産を運用している一般企業でも、財務や経営企画の部署で必要とされることが多いようです。

宅地建物取引士の年収。営業成績次第で大きく変わる

多くの宅地建物取引士が働く不動産業界は、基本給+歩合給で収入が決まることが多いです。そのため同じ資格を持つ宅地建物取引士であれ、年収には大きな差があります。

一般的に言われている平均年収は400万円〜500万円ほど。年収のボリュームゾーンは400万円より少し下ですが、なかには好成績で1000万円以上をもらっている方もいるため、平均するとこの額になるのです。

資格取得後すぐや新卒の場合の収入は300万円程度です。難易度の高い資格のため、資格保有者は資格手当をもらえたり業務の面でも重宝されることもありますが、取引する額が大きいため簡単に成約はとれません。経験値によって基本給が変わると考えてよいでしょう。

宅地建物取引士に向いている人の特徴

論理的に考えられて慎重な人

不動産業界で働く際、宅建士は重要事項の説明書を作成し、当事者にその内容を説明する責任があります。取引に潜むさまざまなリスクを検討し、間違いのないようにアドバイスをするには、論理的思考と慎重さが求められます。

プレゼンやコミュニケーションが得意な人

宅建士は、不動産に関する難解で多岐にわたる知識を、一般の人がわかるように噛み砕いて説明することも求められます。普段から人に何かを説明するのが得意な人は、宅建士の特性があるかもしれません。

また、不動産取引は大きな金額が絡むので、信頼感を損ねないように円滑なコミュニケーションをとることも大切。プレゼン力やコミュニケーション能力が高い人が向いています。

とはいえ、宅地建物取引士が関われる仕事内容は多岐にわたります。資格を持っていれば、特性に関わらず仕事の幅が広がることは間違いありません。

宅地建物取引士になるには?資格試験の内容、合格率

宅地建物取引士試験の内容

宅地建物取引士試験は、例年20万人前後が受験する人気資格。2019年は27万人以上が受験しています。受験資格は設けておらず、年齢や学歴・経験を問わず申し込みをすれば誰でも試験を受けることができます。就職を控える学生だけでなく、すでに働いているさまざまな業界の社会人の方も多く受験しています。

試験は全問マークシート方式の4肢択一式で、所用時間は2時間です。試験問題は全50問で構成され、不動産取引に関する下記の4分野から出題されます。

  • 「宅建業法」 20問
  • 「民法(権利関係)」 14問
  • 「法令上の制限」 8問
  • 「税・その他」 8問

宅地建物取引業従事者のみを対象とした登録講習の修了者には、講習終了試験の合格日から3年間、例年46問〜50問に出題される試験問題の一部(下記5問)が免除されるルールがあります。講習修了後に試験に申し込む流れのため、希望者は早めの申し込みが必要です。

  • 宅地および建物の需給に関する法令並びに実務に関する科目(3問)
  • 土地の形質、地積、地目および種別並びに建物の形質、構造および種別に関する科目(2問)

 

宅地建物取引士試験は合格率15%の難しい試験

試験の合格率は、2009年から2019年の10年間で15~18%程度で難易度は高めだといえるでしょう。基準となる合格点は問題の難易度によって変わりますが、50点中31点~37点の間となっています。

個人差はあるものの、通説では250~350時間程度の勉強が必要だと言われています。独学で取得することも可能ですが、専門性も高いため、スクールに通う方が多いようです。

不動産業界を目指す人に読んで欲しい本

著者
幸一郎, 磯村
出版日

宅地建物取引士について調べている方の多くは、不動産業界に興味があるのではないでしょうか。そんな方にまず読んでもらいたいのがこちらの1冊です。

不動産業界をめざす学生や転職を考えている社会人、関連業界で働く人を対象に、基礎知識や仕事のしくみ、大手デベロッパーの戦略、今後の動向などについて分かりやすく解説した業界入門書です。

不動産業界勢力図、関連業界団体等一覧、上場不動産会社一覧、代表的未上場不動産会社一覧なども付いており、この1冊で不動産業界の実態や全体像、今後の展望などを知ることができます。

頼れる一冊!宅地建物取引士におすすめのテキスト

著者
滝澤 ななみ
出版日

宅地建物取引士試験の出題範囲である「宅建業法」「権利関係」「法令上の制限、税・その他」を網羅した本書。フルカラーの図解やイラストを使い、重要ポイントや分かりにくいポイントをわかりやすく解説しています。「魔法のようによくわかる」という説明通り、初心者にも理解しやすい1冊になっています。

単元ごとに本を3冊に分解でき、問題演習の「例題」はスマホ学習にも対応しているのが特徴。外出先のスキマ時間活用に便利な設計になっています。「例題」には重要論点・頻出論点・ひっかけなど実力アップに役立つ問題を厳選し、基礎から応用まで幅広く学ぶことができると好評です。

漫画で理解を深める!宅地建物取引士の世界

著者
["日建学院", "小沢カオル"]
出版日

宅地建物取引士の試験に必要な知識を、楽しみながら学ぶことができるおすすめの漫画です。重要テーマごとに項目が分かれており、項目の最初で要点を述べた後にマンガが続く流れになっています。ストーリー展開や内容が面白いため、苦になることなく勉強を進めることができます。

参考書と併用すれば、モチベーションを下げることなく勉強に取り組めそう。こちらの「宅建業法編」のほか、「権利関係編」「法令・税その他編」と3冊構成になっています。まずはこの1冊を読んでみて、気に入ったら続刊も試してみてください。


宅地建物取引士は、不動産取引の際に重要な役割を担うやりがいが大きい仕事です。専門性や取得難易度が高く、独占業務もあるため、その活躍の場は多数。まずは宅地建物取引士への理解を深めるためにも、ぜひ本を読んでみてください。

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