プロサッカー選手は、幼い頃からエリート街道を歩んできた人や、飛び抜けた才能が備わった人しかなれない職業ではありません。なかには努力と苦労を重ねながら、大学や社会人を経てプロになった選手もいます。プロになるためのルートはいくつかあるのです。 今は億の年収を稼ぎ出すトップ選手も、スタートはみな同じ。自分を信じて日々の努力を惜しまないことが活躍への近道です。 今回は、そんなプロサッカー選手について解説します。プロ引退後の気になるセカンドキャリアにつても解説しますので、興味関心のある方はぜひ最後まで目を通してくださいね。
サッカーにおけるプロとは「お給料をもらっている選手」のことを言います。日本のサッカークラブには、J1・J2を合わせて約1000人のプロサッカー選手が所属しています。
試合で活躍しチームに勝利をもたらすのはもちろん、現役でいる限りはオフシーズンでも体づくりや戦略の勉強を続けなければいけません。特に体づくりは日々のトレーニングも重要ですが、栄養面や健康管理といった細かなコンディションにも気を配ることが求められます。
大きな怪我や病気は選手生命を絶ってしまう可能性もあるので、そういったリスク対策もしておかなければ、将来の生活が苦しくなってしまうことも考えられます。現役でいる以上、気の抜けない生活を送ることはイメージしておいた方がよいでしょう。
プロの他にもクラブチームには「練習生」と呼ばれる枠が存在します。練習生は、試合に出ることはできませんが、契約したクラブチームの練習に参加できる権利があります。
そして実力が認められれば、プロと一緒に練習することができ、さらにクラブチームから声がかかることがあれば、プロ契約を結べるチャンスが到来するのです。
しかし、練習生はクラブチームに所属はしているものの、交通費や他にかかる費用は一切支払われません。もちろんお給料も出ないため、無給です。元サッカー選手の中澤裕二さん(横浜F・マリノス)が、ヴェルディ川崎(現:東京ヴェルディ)の練習生出身という話は有名です。
練習生は基本的に副業(アルバイト)をしながら練習に参加し、プロを目指す日々を送ります。遠くからクラブチームまで通い、空いた時間には自己練習と副業をこなす、なかなか辛い経験をすることも多いようです。
クラブチームにはスポンサーがついています。そのスポンサーの広告にキャラクターとして出演したり、ポスターに使われたりすることもあるため、サッカー選手のなかには芸能活動のようなことをしている方も多くいます。
バラエティ番組に選手が出ていることもありますよね。もちろんプロサッカー選手としての実力ありきの話ではありますが、ルックスや経験を活かして本や写真集を出版している選手もたくさんいます。
プロサッカー選手になって活躍したら、一体どれくらい稼げるのだろうと考えている方も多いのではないでしょうか。例として有名なプロサッカー選手の年俸を見ていきましょう。
どの選手も今では年俸は億を超えるサッカー選手ですが、チーム契約時の年俸は300万円台からのスタートでした。そこから実績を積み、移籍を経て世界基準のプレーを学び、億単位の契約をするほどの選手になったのです。
また日本人選手ではありませんが、アルゼンチン代表:リオネル・メッシ選手(バルセロナ所属)は、年俸・ボーナス・広告収入などを合わせて、年間で162億円を稼いだ年がありました。他にも数々のプロサッカー選手が億単位での年俸を稼いでいます。
世界で活躍するトッププレイヤーともなると、年俸だけで100億円を超えています。想像つかないほど高額ですが、とても夢のある話ですね!
プロへの道としてよく耳にするのは、以下のような流れでしょう。
また「全国高等学校サッカー選手権大会」などの大きな大会で活躍する、といったものがあげられます。実際に、これまでこのルートでプロへの道を切り開いてきた選手がたくさんいます。王道ルートと言っても過言ではないでしょう。
ユースチームにも入っておらず、大きな大会でも特に結果を残せなかったとしても、まだプロへの道を諦めることはありません。
なぜなら、スカウトからプロデビューすることもあるからです。各クラブチームのスカウトマンは非常に見る目のある人物が多く、掘り出し物のお宝選手を見つけてくることに長けています。これまでにも多くの選手が中学・高校時代にスカウトされ、サッカー選手として大成しています。
彼らがダイヤの原石を見つけるのは、何も大会の場だけではありません。全国の学校に出向き、日常の練習を見ていることもよくあること。どんな時も気を抜かずにサッカーに取り組んでいれば、スカウトの目に留まることだってあるのです。
実際にスカウトマンが見つけてきた、お宝選手を2人ご紹介します。
安部選手は広島瀬戸内高等学校の出身で、親元を離れ寮生活を送りながらサッカーに打ち込んでいました。全国高校総体ではチームをベスト8に導くなど活躍を見せましたが、これが選手として全国出場した最初で最後の機会でした。
しかし、彼の素質を見逃さなかったのが鹿島アントラーズのスカウトチームでした。2017年、高校卒業と同時に鹿島アントラーズに入団。活躍も華々しく、2019年にはリーガ・エスパニョーラのFCバルセロナBへ完全移籍を果たしました。その時の移籍金は、なんと110万ユーロ(日本円で約1億4千万円)と言われています。
小学校・中学校と無名だったサッカー少年が、スカウトの目によって世界に羽ばたいていきました。
続いては、一度は社会人として働きに出た後にプロ入りを果たした藤本選手です。
彼は、小学校・中学校とガンバ大阪のジュニア・ジュニアユースで過ごし、その後サッカーの名門校「青森山田高校」に進学しました。全国高等学校サッカー選手権大会に出場するも、結果は残せずに卒業。近畿大学に進学し、そこでサッカーを続けました。
大学を卒業した後は、佐川印刷という会社のサッカーチームに所属し、アマチュア選手として午前は練習・午後は本の包装の仕事をしながらプレーを続けました。そこでの活躍もありJ3の鹿児島ユナイテッドFCからオファーをもらい、プロ入りを果たします。
2018年には大分トリニータ・2019年にヴィッセル神戸へと移籍。2020年1月1日におこなわれた天皇杯・決勝では、圧倒的に有利と思われていた鹿島アントラーズ相手に、全得点に絡む大活躍。チーム初のタイトル獲得に貢献しました。
無名だった学生時代からは考えられないような人生。まさにシンデレラストーリです!
サッカー選手の引退は想像以上に早く、平均年齢は26歳だと言われています。他の競技に比べ、プロとして活躍できる期間が圧倒的に短いのがサッカーの世界なのです。
しかしなかには三浦知良選手のように、プロサッカー選手として30年以上も活躍している方もいますし、長友佑都選手や本田圭佑選手は2020年11月時点で34歳ですが、まだ現役として活躍しています。
ただ彼らのように長期で活躍する選手は少数であり、多くの選手が20代後半に差し掛かると引退していきます。そのため、セカンドキャリアを考えることはプロサッカー選手にとってとても大切なことなのです。
プロサッカー選手引退後の就職先はさまざまです。
プロとして活躍していた経歴を活かし、サッカー関係の仕事に就くことが多いのかと思いきや、現実は意外と厳しく、それらの職に就くことができるのはひと握りと言われています。
引退した多くの方は、サッカーとは関係のない仕事に就職しているという現状があります。
- 著者
- 内田 篤人
- 出版日
プロ選手になるにあたって「サッカーに集中できる環境だから」という理由で、18歳で茨城県の片田舎である鹿島へ行くことを決意。考え方ひとつとっても、彼のストイックさにファンは惹かれるものがあるのでしょう。
彼の抱えた苦悩や葛藤も記述されており、強い意志を感じさせる考え方や若者へのメッセージで溢れています。クールな外見とは裏腹に、情熱に溢れた若きサッカー選手の心に触れることができる1冊です。
- 著者
- 平野 勝哉
- 出版日
プレーする側の選手には一見かけ離れた知識のように感じますが、こちらを読めばスカウトマンがどんな人材を求めているのか、自分に足りないものはなにかといったことが分かるでしょう。
プロサッカー選手になる機会を逃さないようにするためにも、スカウト目線を知っておくことも大切です。
- 著者
- 中村 俊輔
- 出版日
何度となく挫折を経験しながらも、日本代表のトップ選手まで上り詰めた中村俊輔選手の著書です。
メンタルコントロールを必要とする場面は、サッカーに限ったことではありません。社会人として働く上で、メンタルコントロールの重要性は大きいもの。
一瞬の判断が勝敗を決するサッカーの世界で必要な「察知力」について、課題の発見・課題をクリアするための方法・アウトプットする方法などが書かれており、ビジネス書ともいえる濃い内容になっています。
すぐに落ち込んでしまう、何が失敗の原因かわからないといった悩みをお持ちの方におすすめです。
現在、現役でサッカーをプレーしている人は、どこでスカウトの目に留まるかわかりません。
非常に競争率が激しい世界ではありますが、努力を重ね続けた結果、夢を叶えた選手がこれまで何人もいます。「プロサッカー選手を目指したい」という強い意志をお持ちの方は、今回ご紹介した書籍も参考にモチベーションを高めてみてください!