センスを感じる仕事ぶりのインテリアデザイナー。限られたスペースをよりよく見せる、快適に過ごせるようにするための知識と技術をもったプロフェッショナルです。一度は興味をもったという人は多いのではないでしょうか。 しかしインテリアデザイナーの仕事内容についてそこまで知らないのが本当のところ。どんなやりがいや達成感、難しさがあるのでしょうか。インテリア業界やデザイン関連の勉強や仕事をしてみたいと思った方に向けて、インテリアデザイナーのなり方や仕事内容、資格の有無について解説していきます。インテリアデザインを知るうえで役に立つ本も紹介しているのでぜひ最後までご覧くださいね。
「安心できる温かい家がいい」「雰囲気が明るい家がいい」など、インテリアに関する悩みを抱える方はたくさんいます。インテリアデザイナーはそんな依頼主の要望にこたえ、家具やカーテン、壁紙などを総合的にプロデュースするお仕事です。空間を魅力的に見せる演出家といってもいいかもしれませんね。
対象となるお客様は個人宅のみではありません。学校や病院、旅館などあらゆる場所でインテリアデザイナーは活躍しています。あなたの普段利用している素敵なレストランも、インテリアデザイナーが試行錯誤してつくりあげたものかもしれませんね。そう考えるとインテリアデザイナーという職業は、わりと身近な存在といえるでしょう。
業務内容は、室内空間の企画・設計です。お客様のイメージや要望に沿って考え、スケッチやCG、模型などを使ってインテリアデザインの提案をします。
すでにある家具のなかで要望に合うものがなければ、インテリア用品のデザインをすることもあります。
両者の違いを一言でいうと「どの段階で空間づくりに関わるか」です。インテリアデザイナーはゼロから空間づくりや設計に関わるのに対し、インテリアコーディネーターはすでに存在するものをデザインします。
ただ、どちらもお客様の要望にこたえてすばらしいものを演出する仕事なので、対話力や相手のニーズを汲み取る力は必要になってきます。
インテリアデザイナーの休暇は雇用形態や企業にもよりますが、基本は土日です。ただ依頼者から急な予定変更があったり、大きなプロジェクトの最中だったりすれば、休めないこともあります。しかし、大きなプロジェクトも終われば連休がとれることもあるので、まとまったお休みが欲しい方にはよいかもしれません。
残業も、企業や個人、時期によりさまざまです。知識や技術など覚えることが多いため、はじめのうちは特に苦労します。また、大きなプロジェクトのあるときは案を出したり試行錯誤したりしなくてはならないため、残業時間も多くなります。
インテリアデザイナーの年収は人によって違いがあります。はじめは20万~25万円ほどが一般的のようです。残業が多い分、他業種よりも比較的高い給与水準となります。年収は400万円台におさまることが多いようです。
ひと通りの業務ができるようになると、インセンティブという成功報酬が加算されるようになります。そこで案が通ればば給与水準もあがりますし、案が通らなければ給料はあまり上がらないと考えてよさそうです。
また、インテリアデザイナーにはフリーランスとして活躍している人が多くいます。もちろん案件の規模や取引先によって金額は異なりますが、よい案が作れる人は年収1000万も夢ではないでしょう。
インテリアデザイナーの世界は実力主義。そのためお客様とよくコミュニケーションをとり、要望通りかそれ以上のものをチームで作り上げた成功の経験が年収に直接影響してきます。
インテリアデザイナーの就職先は非常に多岐にわたります。大きく分けるとインテリア業界や、建築業界で就職する人が多いでしょう。また、企業に就職したのち、独立する人もいます。
建築設計や空間デザイン事務所、ゼネコン、リフォーム会社、ハウスメーカーなどが建築業界にあたります。こちらは、お客様の要望に応じて企画や設計をおこないます。
家具メーカーや、インテリア事務所などがインテリア業界にあたります。こちらは、お客様の要望のインテリアが既存の商品にないばあい、インテリアデザイナーが企画や設計をゼロから手掛けることもあります。
前述した通り、インテリアデザイナーの資格を使える仕事は多いです。最近では家の内装やインテリアを工夫することで安心感や自分らしさを求める方が多く、要望に合う提案をしてくれるインテリアデザイナーは重宝されます。
しかし、インテリアデザイナーの需要が高まる一方で、ひと通りの業務ができる人は不足しているという声もあります。需要と供給が合っていないというのが現状です。
また、インテリアデザイナーは経験を積み重ねてひと通りの業務ができるようになるので、資格を取っても即戦力となるには努力に加え、時間も要します。
インテリアデザイナーの仕事はとてもやりがいを感じられる部分が多いでしょう。
案件に対して長い期間取り組むため、依頼者とコミュニケーションをとる機会が多く、要望通りのものができたときには依頼者から笑顔や感謝が得られることでしょう。自分がデザインしたものが利用される点についても、とても魅力的に感じられるのではないでしょうか。
また、インテリアデザイナーは依頼者とだけかかわる仕事ではありません。建築士や大工などさまざまな人と力を合わせて完成させていくことから人とのつながりを多く感じます。人と協力してひとつのものを創りあげたいと考えている方には向いている仕事といえそうですね。
インテリアデザイナーの大変なところは、締め切りなどの納期がいつもついてまわることです。また、知識や技術など覚えることも多く、依頼者の要望に応えようとするあまり残業が多くなります。
どの仕事でも納期はありますが、インテリアデザイナーの場合、アイデアが浮かばないと案件に取り掛かれないので大変ですね。しかし、その大変さを乗り越えた達成感はすごいですし、プロとしての自信にもつながります。
インテリアデザイナーは無資格でもなることはできます。しかし、知識や技術の証明として「インテリアデザイナー」の資格を持っていたほうが仕事の幅や年収も上がることは間違いありません。
「インテリアデザイナー」資格は日本デザインプランナー協会の民間資格であり、在宅での受験が可能です。受験資格はなく誰でも受けることができ、例年2月、4月、6月、8月、10月、12月と2カ月ごとに試験がおこなわれています。
合格率は約30%前後なので難しい資格といえるでしょう。試験内容は詳しくは明かされていませんが、インテリアに関する商品知識の他、販売や技術などの幅広い基礎知識を身につけてから試験にのぞむ必要がありそうです。
内装の設計にいちから関わる仕事としてインテリアデザイナーと並ぶのが、インテリアプランナーという資格試験です。仕事内容は同じところもありますが、インテリアプランナーの場合は空間のインテリアデザインの他に、設計図の作成、工事管理などの業務も含まれます。
「インテリアプランナー」の資格は、建築技術教育普及センターがおこなっています。資格保有者の約80%は建築士ですが、受験資格はなく誰でも受けることができます。試験内容は下記の通りです。
・学科試験:50問(2時間30分)
・設計製図試験:建築物における空間の使われ方、生活のイメージが判るようなインテリア設計(6時間)
試験内容からすでにその難しさが分かりますね。合格率は令和元年235%、平成30年度281%、平成29年度269%と例年20%台となっています。建築士と協同して働くことが多いために建築に関する基礎知識や、デザインの専門知識などが必要なため、試験対策はしっかり身を入れておこなう必要があるのです。
また、インテリアプランナー以外の資格としては「色彩検定」や、「カラーコーディネーター検定」をとる方も多くいます。こちらは難易度も高くないため、導入として最適でしょう。
インテリアデザイナーになるために決められた学部・学科はありません。ただ、新人期間はとにかく多くの知識や技術を身に付けるため、大学や専門学校などで勉強をしているほうが有利ではあります。また、同じ志を持った仲間がいたり、その業界の就職に強かったりと就職するうえでもアドバンテージがあります。
そこで、おすすめの学科が建築学科、インテリア学科、美術学科、空間デザイン学科などの住まいやデザインに関係する学科です。
建築学やデザイン学を受講できる学校は多くあるため、力を入れたい分野はどこなのかを考えて学校選びをするといいでしょう。
- 著者
- ["Aiprah", "河村 容治"]
- 出版日
インテリアデザインの対象ってなに? インテリアを構成する要素って? インテリアに使われる素材にはどんなものがあるのだろう?
インテリアデザイナーになりたいと思っても、そもそもどんなことをするのか疑問だらけですよね。
そんな初めてインテリアデザインを学ぶ方におすすめなのがこちらの1冊です。一級建築士であり、日本インテリア学会理事でもある河村容治氏が書いた『超図解で全部わかるインテリアデザイン入門 増補改訂版』です。
この本ではインテリアデザイナーの仕事内容や、専門知識、表現方法を1冊に集約しています。また、図や絵をつかっているので、わかりやすい入門書となっています。
資格本ではないため、インテリアデザイナーに興味があってまずはどんなことをするのか知ってみたいという方はぜひ手に取ってみてください。学生にもおすすめですよ!
- 著者
- 仁史, 森
- 出版日
みなさんは「ジャパニーズ・モダン」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
この言葉はインテリアデザイナー業界のパイオニアともいわれる剣持勇氏が世に知らしめた日本のスタイルです。
剣持氏は商工省工芸指導所(現在の経済産業省)に入社したのち、アメリカへのデザイン視察へと抜擢されます。そこで得た学びを生かし、帰国後、仲間とともに「日本インダストリアルデザイナー協会」を立ち上げました。
さらに、1955年には「剣持勇デザイン研究所」を設立し、世界にジャパニーズ・モダンを広め、こんにちでも多くの人から愛されています。
そんなインテリアデザイナー界のパイオニアである剣持氏のデザインが気になった方はぜひ、こちらの森仁史著作・編集『ジャパニーズ・モダン―剣持勇とその世界』という本を手に取ってみてください。
剣持氏の「和」の世界観が伝わるのではないでしょうか。
- 著者
- ["齋藤 裕子", "垣田 玲子"]
- 出版日
インテリアデザインをこれから学ぼうとしている方などデザイン未経験の方が、インテリアデザインの門を叩く前に取得しておきたい資格が「カラーコーディネーター」の資格です。
カラーコーディネーターはインテリアや商品デザインの配色や色彩についてアドバイスするカラーの専門家のことです。試験は年に2回で、開催される年にもよりますが合格率は3級で60%前後と比較的簡単な資格といえるでしょう。
カラーコーディネーター資格対策におすすめの本がこちらの『一発合格!カラーコーディネーター3級完全攻略テキスト&問題集第3版』です。
こちらはオールカラーの本となっていて図や写真をつかってわかりやすく解説してくれるため、タイトル通り一発合格が狙えます。
カラーコーディネーターはインテリア業界のみならず、アパレル業界やwebデザインにも役に立つので持っていて損はありませんね。ぜひ、デザインの導入として取得してみてはいかがでしょうか。
インテリアデザイナーのイメージは掴めたでしょうか。インテリアデザイナーの魅力はひとつのものを依頼者やほかの職種のひととともに創りあげる達成感でしょう。また、それまでの知識や経験、身に付けた技術などを総合的に発揮することができるため、一つひとつの仕事にやりがいを感じやすいはずです。「人と協力することが好き!自分のデザインしたものを作りたい!」という方にはぴったりの仕事だと思います。インテリアデザイナーの仕事に興味がわいた方はぜひ学んでみてくださいね。