ドラッカーの「マネジメント」が簡単にわかるまとめ!関連おすすめ本も紹介

更新:2021.4.26

マネジメントの重要性を説いたP・F・ドラッカーの名著『マネジメント』は、世界で一番読まれた経営学書であり、マネジメントに関する書籍の中で最もベーシックな本です。映画化やアニメ化もされた『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』の題材となったことでも有名ですね。本記事では、『マネジメント』の基礎的な内容を解説するとともに、押さえれば内容を理解しやすくなるポイントをわかりやすく説明していきます。

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「マネジメント」の言葉の意味や役割、定義とは

まず最初に「マネジメント」という言葉自体の意味からお伝えしていきます。

「マネジメント」は直訳すると「管理」「経営」などの意味を持つ単語です。 具体的には、組織の目標を決め、目標を達成するために業務だけでなく、お金や人といった経営資源を取り仕切るという役割を持ちます。 

現在ではずいぶん馴染み深くなったこの「マネジメント」という言葉ですが、実はこの言葉自体、ピーター・ドラッカーが生み出したといわれているんです。彼はさらにこの言葉を「組織に成果をあげさせるための道具、機能、機関」と定義しました。

この単純そうで実は難しい「マネジメント」の本質を理解するには、まずはドラッカーの著書『マネジメント』の概要を押さえることが必要になります。 本記事では『マネジメント』の内容を簡単に、かつわかりやすくまとめていますので、どうぞ最後までお付き合いください。

ドラッカー著『マネジメント』ってどんな本?

 

『マネジメント』は、細かいテクニックをまとめたものではなく、ドラッカー本人が考える企業マネジメントとは何か、ということを中心に語った本です。ドラッカーは本書において、『マネジメント』は、世界で最初で唯一のマネジメント総合書であると語っています。

経営者が問題に直面したときの参考書として、専門家や科学者が組織とマネジメントを知る上での教科書として、『マネジメント』は愛読されてきました。マネジャーや新入社員、学生の入門書として用いられることもあります。 また、今日の社会と経済を知るために、企業や組織などの、マネジメントに直接関わりのない人たちにも浸透しています。 

『マネジメント』の発売後に発売された経営書が扱っているテーマの多くは、すでに本書が明らかにしていたものであり、これを理解すれば世に出ている数多くのビジネス本を理解したと言っても過言ではないでしょう。

『マネジメント』の内容は、大きく3つのパートに分けられています。

  1. マジジメントの使命
  2. マネジメントの方法
  3. マネジメントの戦略

本記事では、それぞれの内容をわかりやすくまとめていきます。

 

著者
ピーター・F・ドラッカー
出版日
2001-12-14

『マネジメント』理解のポイント!「マーケティング」と「イノベーション」

第1パート「マネジメントの役割」の序盤で、ドラッカーはマネジメントにおける「マーケティング」と「イノベーション」の重要性について述べています。これはドラッカーのマネジメント論の基盤となる考え方なので、しっかりと押さえておくべきポイント。下記にその要点をまとめました。

組織のマネジメントにおいて最も重要なことは「マーケティング」と「イノベーション」の2つを機能させること

ドラッカーは、あらゆる組織は社会を動かす一つの仕組みであるとし、組織は社会全体から個人まで様々な人からの要望に応えなければならないと指摘しました。 その実現のために存在するのが、ドラッカーの言う「マネジメント」です。ドラッカーは、組織のマネジメントにおいて最も重要なことは「マーケティング」と「イノベーション」の2つを機能させることだと主張しました。

ここで、組織=企業に置き換えてみると、「社会全体から個人まで様々な人」というのは「顧客」ということになりますね。

 「マーケティング」とは、顧客の要望を元に製品やサービスを提供する働き。一方で「イノベーション」とは、顧客の新しい満足を創り出していく働きです。 このマーケティングとイノベーションという二つの軸をうまく機能させて、企業を目標達成(=顧客の創造)へと導いていくことが、マネジメントの最も重要な命題なのです。

このことをふまえて読みすすめると、『マネジメント』の理解がより深まるでしょう。

①マネジメントの「使命」!内容の簡単まとめ

 

ここでは、1パート目「マネジメントの使命」の内容を簡単にまとめていきます。

ドラッカーは、マネジメントの使命、つまり役割は、大きく分けて下記の3つであるとしました。

1.組織が果たすべきミッションを達成する

組織は社会に貢献するため、それぞれが持つ特有の目的とミッションを把握し、使命を果たさなければなりません。 本業と関わりのない業種を手広くおこなうことで、本業が何だったのか分からなくなることは悪い例です。マネジメントによって成果を上げ、組織の維持・発展を目指すことが重要です。

2.組織で働く人たちを活かす 

組織は、働く人たちに仕事を通じて自らの力が発揮できる機会を与えることによって、個人の強みを活かし成果を上げていきます。 個人に役割を与え、その個人の成果から組織の目標をも達成していく、という流れになります。 働きやすい環境を整えることも、マネジメントの一つのアプローチです。

3.社会の問題解決に貢献する

組織は、果たすべきミッションを達成し、最終的にそれを社会貢献につなげていく必要があります。 その上で、ミッションを設定するときには「われわれの事業は何か。何になるか。何であるべきか」を考えることが大切です。提供するサービスが元々は利益のためであっても、最終的に社会から求められているものになれば社会貢献になります。

 

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②マネジメントの「方法」!内容の簡単まとめ

 

パート2では、マネジメントの方法について論じられています。なかでも重要なのは、マネジメントをする人=マネージャーがどうあるべきかについてです。

 

マネージャーとは?

学校の部活などで馴染みがある「マネージャー」は、主役を支える裏方という意味合いが強いかもしれません。 しかし、ドラッカーはマネージャーを「組織の成果に責任を持つ者」と定義しています。 

また、マネージャーの能力は全て後天的に身に付けることができるが、何事にもひたむきに真剣に取り組む姿勢、つまり「真摯さ」が資質として必要だとしています。個人が組織内で働きやすいように動機づけするなど、組織で働く人達とひたむきに向き合い続ける姿勢が大事なのです。

マネージャーに必要な能力とは?

続いて、マネージャーが身に付けるべき能力についてです。

・目標を設定する能力

何のために行っている仕事なのか分からなければ、モチベーションは上がりにくいものです。組織内の人材ひとりひとりに目標を設定するということは、彼らが目標を達成するための強い動機付けとなります。 その際に注意するポイントは、彼らの専門である分野において、知識と経験が生かされるように設定していくことです。 

・組織化する能力

個々の集まりから全体を創り上げていく能力も、マネージャーには必要です。それぞれの個人から強みを引き出し、組織に貢献していけるかどうかが、よい組織であるかそうでないかの分かれ目にもなります。情報収集をして分析することが得意な人と、分析を元に新しいアイデアを出すことができる人がいて、はじめて革新的なイノベーションが生まれます。 組織化するにあたり、成果と機会に標準を合わせておくことも必要です。 

・コミュニケーション能力

コミュニケーションを成立させるには、「受け手が受け止めることができる内容なのか」を最初に考えることが大切です。具体例を出すなど、相手が理解できるレベルに合わせて伝えることで、よりスムーズなコミュニケーションが行えます。 また、コミュニケーションは耳を傾けることが前提であり、受け手とされる人からスタートしなければならないことも重要なポイントです。 

・評価測定能力

強い組織になるためには、個人の持つ強みを見極めて、その強みを伸ばすことが大切です。 成果についてフィードバックをおこなうことも有効な手段となります。一人ひとりが強みを活かせる環境があれば、それは結果として強い組織になっていくことにつながるのです。 

・人材開発能力

人材は、企業にとって重要な経営資源となります。 人材を育てることで企業は目標を達成しやすくなるため、組織にとって人材育成は何よりも重要とされます。好成績の人にはより大きな仕事を任せるなど、スキルアップの機会を与えることも人材育成のひとつです。

 

③マネジメントの「戦略」!内容の簡単まとめ

 

パート3では、組織の戦略方法・マネジメントの種類について書かれています。マネジメントの種類には、下記のようなものがあります。

・規模のマネジメント

組織の規模の誤りは組織にとって体力を消耗させるので、規模の大きさではなく規模の適切さを指標とすることが適切です。 小さな組織にはできても、大きな組織にはできないことがあり、逆に大きな組織にはできても、小さな組織にできないことがあることを心得ておくことが大切です。適切な規模を知るにあたっては、従業員数、売上高、市場などから判断することができます。  

・多角化のマネジメント

組織は単純であるほど明快であるので、多角化していないほどマネジメントしやすいことが前提です。ただ、 多角化に成功する条件もあります。それは「市場、技術、姿勢の一致」がなされていることです。価値観が合わないなど、どれかが欠けてしまうと、お互いにストレスが生じ成功は難しくなります。 

・グローバル化のマネジメント

国際的な取り決めをもって問題を解決することが、グローバル企業が目標を達成する唯一の道であり、これらの問題は政治的、法律的な問題です。 日本でいくら素晴らしい成果を出している企業でも、他国では規制等により同様の成果を出せないこともあり得ます。しかしながら、これらの問題について考えることこそ、グローバル企業のトップマネジメントの責任であり機会でもあるといえるでしょう。 

・成長のマネジメント

当然ながら成長は勝手に起こるものではありません。成長には準備が必要です。 たとえば、マネジメントチームを編成したり、常にアンテナを張っておいたりすることです。 また、組織が大きくなること自体に価値はなく、よい組織になることが正しい目標であることも忘れてはいけません。

 

『マネジメント』の著者:ピーター・ドラッカーはどんな人?

「知の巨人」「マネジメントの父」の異名を持つ彼は、 1909年オーストリアで生まれ、大学卒業後、経済記者、銀行アナリスト等の職を経験しました。 最終的にはアメリカにて大学教授に就任し、執筆や教育、コンサルティング活動を続け、2005年にこの世を去っています。 

政治、行政、経済、経営、歴史、哲学、心理、文学、美術、教育、自己実現……など様々な知識を持ち合わせ、多方面の分野に大きな影響力を持っていました。そんなドラッカーの最大の関心事は「社会的存在としての人間の自由と平等」。そのために社会、組織、企業はどうあるべきか、一人ひとりの人間は何をなすべきかを問い続けたそうです。

ちなみに、ドラッカーは室町水墨画をコレクションしていたくらいの親日家だったことでも有名です。

『マネジメント』の関連おすすめ本①:社会現象にもなった『もしドラ』

著者
岩崎 夏海
出版日
2015-11-28

『マネジメント』の教えをもとに甲子園出場をめざす高校生たちの青春小説。映画化やアニメ化もされた、日本の大ヒット書籍です。

野球部の女子マネージャーである主人公の川島みなみは、都立程久保高校の野球部を「甲子園に連れていく」と決めました。でもいったい、どうやって?世界で一番読まれた経営学書『マネジメント』の理論を頼りに、みなみは野球部を変革して行きます。「真摯さ」とは何か、顧客は誰か、組織の成長とは……。ドラッカーの教えを実践し、甲子園出場をめざして奮闘する高校生の痛快な青春物語です。

『マネジメント』の関連おすすめ本②:徹底的にかみくだいた解説書

著者
二瓶 正之
出版日

原書の内容を40年近くも徹底的に研究した著者による、ドラッカーを正確に理解するための解説書です。

133ページの薄さに最初はびっくりするかもしれませんが、『マネジメント』のエッセンスをぎゅっと閉じ込めているうえ、説明は丁寧で明快。初心者はもちろん、以前にドラッカーを学んだ人は一つ一つを噛み締めながら読んでみてください。よりいっそう理解を深めることができるはずです。

『マネジメント』の関連おすすめ本③:ドラッカー著の変化の時代の必読書!

著者
["P.F.ドラッカー", "上田 惇生"]
出版日

ドラッカーの他の書籍も気になる方は、変化の時代の必読書であるこちらがおすすめ!『マネジメント』のキーワードでもある「イノベーション」について、誰もが学び、実行できるように体系化された実践書です。

本書では、イノベーションを見出すためにはどのような組織マネジメントが必要なのか?ということにも触れています。ぜひ『マネジメント』と一緒に読んでほしい一冊です。

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今回は、「世界で一番読まれた経営学書」とも言われるドラッカーの『マネジメント』について紹介しました。経済学書というと、難解でとっつきにくいイメージがあるかもしれません。しかし、押さえるべきポイントを理解してしまえば、理解することはそんなに難しくありません。この記事を読んで実際に本を手に取っていただけたら、嬉しく思います。

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