5分でわかる証券アナリスト!資格試験の内容は?勉強方法や年収など要点を絞って解説

更新:2020.8.8 作成:2020.8.8

鋭いデータ分析能力や深い金融知識に加え、誠実な判断をするための論理的思考能力も必要となる証券アナリスト。給与水準は高く、分析結果がメディアなどで取り上げられることなどもあり、社会的にはいわゆる「できる人」として見られる職種です。 証券アナリストは専門性の高い証券投資分野のプロですが、資格は国が定めたものではなく認定資格となります。資本市場が高度に発達した近年では、証券アナリストの重要性が高まっているため、取得しておくと役立つ資格でもあるでしょう。 本記事はそんな証券アナリストをテーマに掘り下げていきます。仕事の種類や内容、資格や勉強方法など幅広く解説します。

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目次

3つの証券アナリスト。それぞれの仕事内容について

証券アナリストとは?

「アナリスト」には分析家という意味があります。そして、国および業界、企業の財務や業績の分析をおこなうのが証券アナリストですが、業務の領域はそれだけではありません。

投資価値の評価をおこない、投資助言や投資管理サービスを提供をするなど多岐にわたります。現在は専門化が進み以下のような3つに分類されることが多いようです。

証券アナリストの3分類

◾️リサーチ・アナリスト

業界や企業調査をもとに個別証券の分析・評価をおこなう調査の専門家です。顧客とのミーティングに参加し投資助言をおこなうこともあります。財務分析のスキルのほか、特定業界についての深い知見や高度な数学的思考力・分析能力などが求められる専門性の高い職種です。

■ポートフォリオ・マネジャー

銀行や保険会社で、株式や債券などのポートフォリオを運用する職種です。投資目的に合った証券を組み合わせて総合的な資産運用に携わります。ファンド・マネージャーと呼ばれることもあります。

■投資ストラテジスト

企業や業界、経済動向などを分析し、投資に関する戦略や方針を立案・提案する専門家のことです。産業や企業の動向や市場トレンドなどの情報を集め、マクロ・ミクロな視点で分析し、投資戦略などを決定します。金融の専門知識に加え、高い情報分析力が必要となります。

資格を取ってからも続く、証券アナリストへの道

証券アナリストになるには?

証券アナリストには、日本証券アナリスト協会が実施する認定検定があります。

法律上の規定はないので資格を取得しなくてもアナリストとして証券に関する仕事には従事できます。ただし多くの証券アナリストが働いている証券会社や資産運用会社に就職するには「証券アナリスト」の資格は持っておいた方が有利でしょう。

ここでは試験の概要について解説し、効率的な勉強方法も紹介します。

証券アナリスト資格の概要

証券アナリスト(日本証券アナリスト協会認定アナリスト)の資格を得るには、下記のような流れが定められています。

 

  • 証券アナリスト通信教育講座第1次:通信講座、試験
  • 証券アナリスト通信教育講座第2次:通信講座、試験
  • 証券分析の実務経験が3年以上と認定された方

 

第2次の講座を受講し、試験に合格した人で、かつ証券分析の実務経験が3年以上と認定された後、晴れて証券アナリストの資格を取得することができます。

長い道のりのように感じますが、証券投資を扱う企業で働きながら資格取得を目指せば、そんなに取得が困難な資格ではないでしょう。

証券アナリスト試験の内容

証券アナリスト試験は、1次と2次からなります。受験資格を得るために「日本証券アナリスト協会」が実施する講座を受ける必要があります。講座と試験の内容は以下の通りです。

 

  • 1次講座:
    ①証券分析、ポートフォリオ・マネジメント(180分)
    ②財務分析(90分)
    ③経済(90分)
  • 1次試験:
    ①証券分析、ポートフォリオ・マネジメント(180分)
    ②財務分析(90分)
    ③経済(90分)
  • 2次講座:
    ①証券分析、ポートフォリオ・マネジメント
    ②財務分析
    ③市場と経済の分析
    ④職業倫理・行為基準
  • 2次試験:
    ①証券分析、ポートフォリオ・マネジメント
    ②財務分析
    ③経済
    ④職業倫理・行為基準

 

証券分析とポートフォリオ・マネジメントは、証券アナリストの教育科目のなかで最も重要なポイントとされています。なぜならこの2つは証券アナリストとしての基礎であり、必要不可欠な知識を網羅していないと証券アナリストとしての活躍が厳しくなるからです。

科目には計量分析や統計学、個別資産の分析などの計4つからなっています。計算が必要になるため苦手意識が強い人も多くいますが、講座を通して経験を積むことで少しずつコツが掴めて来るはずです。

財務分析では、その名の通り財務諸表から企業の活動状況を読み取る技法を学びます。簿記を含む会計学の知識が必要となりますが、他の講座と比べて比較的簡単だと言われているのが財務分析です。

経済では、証券アナリストとして活動していくのに不可欠な経済の基本的な知識を学びます。ミクロ経済、マクロ経済、金融と財政、国際経済の4分野を学習することで、さまざまな視点から現状を読み取る能力をつちかっていきます。

証券アナリストの試験は少しクセがあると言われています。そのため、講座の内容をしっかりと把握しつつ、試験に向けた独自の対策をしていく必要があるようです。

参照:日本証券アナリスト協会

証券アナリスト試験の難易度は?

 

  • 1次試験の合格率:約50%
  • 2次試験の合格率:約45%

 

近年の合格率は決して低くはないですが、試験内容は難解なため勉強は早くから始めるほうがいいでしょう。

効率のよい勉強法

「試験までの期間が迫っていて間に合うか心配」「忙しくて勉強に割ける時間が少ない」という人のために効率を重視した勉強法を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

■1次試験の勉強法

1次試験では、証券分析とポートフォリオ・マネジメント、財務分析、経済の3科目から出題されます。科目ごとに合否があるため、特定の科目を捨てるといった選択はできません。1次試験は基本的な知識が身に付いていれば解ける問題なので、まずは基本知識をインプットしましょう。

また過去問を解くことも大切です。例年似たような問題が出題されることが多ため、多くの過去問に接しておけばそのぶん解答できる確率が高まります。

■2次試験の勉強法

2次試験は1次試験と異なり科目ごとの合否はありません。証券分析とポートフォリオ・マネジメント、コーポレート・ファイナンスと企業分析、市場と経済の分析の合計点と、職業倫理・行為基準の点数で合格が決まります。

試験科目のなかで配点ウェイトが最も重いのは証券分析です。そのため当科目を重点的に勉強することが試験を突破するカギになります。満点の5割ほどの点数が合格ラインとされているため、苦手な科目より得意科目を確実に解けるように対策したほうがいいかもしれません。

証券アナリストのよい面・大変な面を知る

証券アナリストになれる人材は将来を期待されたごく一部です。そのため生活面や仕事面でメリットになることは多くのあります。ただし証券アナリストであり続ける大変さも忘れてはいけません。ここではよい面と大変な面について解説します。

証券アナリストのよい面

まずは高収入であることでしょう。20代で年収1000万円を超えるといったケースも少なくありません。

ジュニアアナリストからシニアアナリストへと昇進すればさらに給与は高くなり、外資系の場合は2000万~3000万円もの年収を得ることもできます。

また、さまざまな仕事に生かせる分析能力が身に付くことも大きな魅力です。ファイナンスに限らず戦略を考える時も仮説を立てる時も分析能力というのは重宝されるスキルです。転職または他部署への異動時にその効力を存分に発揮するでしょう。

証券アナリストの大変な面

大変なところは、やはり成果が出せない時でしょう。株価などは経済状況、政策、国際情勢などさまざまな影響を受けて変化するわけですから予想は簡単ではありません。

しかし予想が外れれば投資家に損をさせてしまい、自分の評価も下がります。外し続ければ減給にもなるでしょうし、信頼をなくして仕事自体が減っていく可能性もあります。

証券アナリストの可能性。どんなキャリアパスがあるの?

証券アナリストのキャリアパスについて見ていきましょう。

投資資料の読み取りや市場や企業分析ができる人材は重宝されますが、特にそのスキルを存分に活かせる金融業界は実際に転職者も多いようです。

証券アナリストの主な転職先

  • 証券会社
  • 投資運用会社
  • 銀行
  • 信託銀行
  • 生命保険会社
  • 調査・研究所
  • 損害保険会社 など

このほかコンサルティング会社や大手企業のIR部門なども転職先の有力候補です。

証券アナリストの資格保有者のうち約4分の1は金融業界以外に勤めているというデータもあり、証券アナリストがいかに幅広いフィールドで活躍できるかを証明しています。

証券アナリストの仕事を1から学ぶ人におすすめの1冊

著者
["金子 誠一", "佐井 りさ"]
出版日

証券アナリストに必要な高校数学レベルの知識と演算力が学べる1冊です。文系出身だけど証券アナリストを目指したいという人にもおすすめできる内容になっています。

数列、対数などの数学の基礎のほか、統計学についても解説されています。「説明→演習→練習問題」という形式で学習でき、知識や解き方の定着を早めてくれます。過去問の問題集が付録でついているのもうれしいポイントですね。

しかし高校数学の内容を学んでいない人にとっては少し厳しいかもしれません。そうした場合には、まず中学の数学にざっと目を通してから読むと内容の理解に繋がるでしょう。

過去問を厳選してつくった問題集

著者
TAC証券アナリスト研究会
出版日

「証券アナリスト」の資格の1次試験は過去問を多く解くことが合格への近道です。

本書は出題傾向を分析し、出題の可能性の高い問題を収載。勉強時間があまりとれず効率よく学習できるテキストを探している人にとっておすすめの1冊です。

各章「Point」「例題」「解答および解説」といった並びで構成されています。そのため「Point」で学習した内容を「例題」と「解答および解説」で再確認することで、着実に力をつけていくことができます。

そのほか「経済」「財務分析」のシリーズもあるので、1冊ずつ学習していくことをおすすめします。
 

成果を出し続けるために読むべき1冊

著者
野﨑 浩成
出版日

証券アナリストは実力主義の厳しい世界と言われています。「業界の先行きを分析し結果をレポートしたが予想は大外れ……」なんてことが続けば信頼を失います。精神的なダメージも相当でしょう。

本書には、証券アナリストとして成果を出し続けるコツが書かれています。情報格闘スキルの基本から企業分析などの実践法、マインドセットに至るまで、現役トップアナリストが実際におこなっている技法を網羅しています。

大きな成果を上げたい人や伸び悩みを感じている人は、ぜひ手に取ってみてください。自分がどんな証券アナリストとして活動していきたいか、具体的なイメージにも繋がるかもしれません。

証券アナリストになるには努力が必要です。勉強して資格を取り、希望の証券会社や投資運用会社に入ってもまだゴールは先です。厳しい道のりはまだ続きます。ただし証券アナリストになれた場合、その努力に見合うだけのものは得られるでしょう。「しっかり稼ぎたい」「投資家や経営陣を驚かせたい」といった志がある人はぜひ挑戦してもらいたいです。 
今回は証券アナリストになる前に役立つ本と、なってから助けになってくれる本の計3冊を紹介しました。その挑戦を大いにサポートしてくれる内容になっているので、ぜひ活用してください。