5分でわかる地球温暖化!原因やメカニズム、現状と影響をわかりやすく解説

更新:2021.11.22

さまざまな環境問題を抱えている地球。その代表的なものとして、地球温暖化が挙げられるでしょう。この記事では、原因や気温上昇のメカニズム、現状、今後の対策などをわかりやすく解説していきます。

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地球温暖化とは。原因は?

 

二酸化炭素に代表される「温室効果ガス」の量が増えることで、地表の温度が上昇する環境問題を「地球温暖化」といいます。

18世紀に「産業革命」が起こってから、人類の経済活動によって排出される温室効果ガスは増え続けています。その影響を受けた地球環境のバランスが崩れ、さまざまな問題が深刻化していると危惧されているのです。

地球温暖化にともなう具体的な問題として、農作物の発育不良や、干ばつ、洪水などの自然災害の増加などが挙げられます。また北極圏や南極大陸の氷が溶けることで海水面が上昇し、海抜の低い島国が水没してしまう可能性もあるのです。

こうした問題を防ごうと、国際社会は1992年に「環境と開発に関する国際連合会議(地球サミット)」を開催。これを皮切りに、温室効果ガスの排出削減を義務付けた「京都議定書」や「パリ協定」を採択するなど地球温暖化の防止に取り組んできました。

その一方で、地球温暖化そのものに懐疑的な立場も存在します。また温室効果ガスの排出削減義務をめぐって先進国と発展途上国が対立する局面も。地球温暖化防止の足並みは乱れがちで、各国が協力して取り組む体制を築くことが課題となっています。

地球温暖化の気温上昇のメカニズムを解説

 

では、地球温暖化の主要原因と考えられている温室効果ガスの作用について解説します。

そもそも温室効果ガスとは、赤外線の一部を吸収し、その後に再び放出する作用をもつ気体のことです。代表的な温室効果ガスの種類としては次のようなものが知られています。

  • 二酸化炭素
  • メタン
  • 一酸化二窒素(亜酸化窒素)
  • フロン

さて、地球の表面を取り囲う大気は、太陽の放射エネルギーを熱として取り込み、その熱を宇宙空間に放射しています。夜になると日中よりも気温が低くなりますが、もし仮に温室効果ガスが存在しない場合は、地表の平均気温は放射によって大幅に低下するといわれています。

気象庁のHPによれば、温室効果ガスが存在しなければ地表の平均気温は-19度前後になるとのこと。実際の平均気温は14度前後です。温室効果ガスが赤外線を吸収し、宇宙に放射する熱量を減らして気温が下がるのを抑えています。

このように、温室効果ガスは地表の温度を適切に保つ重要なもの。地球上で私たち生命が活動するうえで、必要不可欠なのです。

しかし、産業革命にともなう工業化の進展により、温室効果ガスの排出量が増え続けています。それにともない宇宙に放射される熱量が減ると、地表に残る熱量が増え、気温が上昇してしまうのです。

地球温暖化の現状

 

2019年3月に世界気象機関(WMO)が発表した「2018年地球気候の現状に関するWMO報告書」によると、2018年の世界の平均気温は14.68度。これは歴代でも4番目に高い観測記録で、産業革命以前の基準とされる1850年から1900年の平均気温と比較すると、1度ほど高くなっているそうです。
 

また同報告書の指摘によれば、平均気温が高かった年を順番に並べると、上位20位がこの22年間に集中しています。ちなみに1位は2016年の観測記録で、以下2015年、2017年と近年の観測記録が続く状態です。

これを受けてWMOは、近年になるほど平均気温は上昇しており、地球温暖化に歯止めがかかっていないと警鐘を鳴らしています。

ほかにも気象庁のHPによると、1898年から2019年までの日本の観測記録を比較すると、平均気温が100年あたりおよそ1.2度の割合で上昇しているようです。

気象庁は熱帯夜や猛暑日が増えた一方で冬日が減少していることや、1日の総雨量が100ミリ以上の大雨が長期的に増えていると指摘。地球温暖化が影響している可能性があると述べています。

地球温暖化の対策と今後の影響

 

ではここまで解説してきた状況に対し、国際社会はどのような対策をとっているのでしょうか。

今日の取り組みの出発点となったのが、1992年にブラジルで開催された「環境と開発に関する国際連合会議(地球サミット)」です。この席上で、現在の世代の幸福と将来の世代の幸福を両立させる「持続可能な社会」の構築が目標に掲げられ、地球温暖化を防ぐための基本的な枠組みとして「気候変動枠組条約」が調印されました。

この条約にもとづき、1997年に気候変動枠組条約の締約国会議(COP)として「地球温暖化防止京都会議」が開催。ここで採択された、温暖化防止の具体的目標を定めた協定が「京都議定書」です。

「京都議定書」は、先進国に温室効果ガスの排出削減を義務付けています。2005年に発効され、日本も温室効果ガスの6%の削減を目指し、さまざまな取り組みに着手してきました。

ただ「京都議定書」に参加した国は限られていて、発展途上国や、アメリカ・中国・インドのように多くの温室効果ガスを排出している国も参加していません。アメリカは当初は参加していたものの、2001年に離脱を表明しました。

そのため「京都議定書」は地球温暖化防止の枠組みとしては不十分で、ポスト京都議定書の枠組みとして、2015年に「パリ協定」が採択されることになりました。

「パリ協定」は、「京都議定書」の反省を踏まえ、発展途上国を含む197の国と地域がそれぞれ温室効果ガスの削減目標を掲げ、対策に取り組むことが決められています。日本が掲げた目標は、2030年度の温室効果ガス排出量を、2013年度から26%削減するというものです。

しかし現在「パリ協定」もさまざまな問題に直面しています。

まずアメリカが2017年6月に「パリ協定」からの離脱を表明。2020年11月に、正式に離脱する見通しです。

ほかにも、「パリ協定」の排出削減目標に対し、主に発展途上国から自国の産業発展を阻害すると批判が生じています。そもそも「パリ協定」が掲げる削減目標は、その達成が義務付けられていません。地球温暖化を防ぐために、各国が目標を遵守して削減に取り組むかどうか、まだまだ予断を許さない状態です。

人類はどのような地球環境のもとで暮らしてきたのかがわかるおすすめ本

著者
中川 毅
出版日
2017-02-15

 

本作は10万年単位で地球の気候変動を振り返り、人類がどのように暮らしてきたかをまとめたものです。

作者は、中立に近い立場から科学的に立証されたさまざまなデータを提示していきます。そのなかには、地球温暖化を裏付けるものだけでなく、地球史レベルでは温暖化はそれほど問題でないと指摘するデータも含まれます。

巻末では今後の展望に関する作者の見解もまとめられていて、読みごたえのある内容です。本作を読むことで、地球温暖化問題を理解するために必要な、幅広い知識を得ることができるでしょう。

地球温暖化問題に対し、具体的な対策を提言したおすすめ本

著者
["ウィリアム・ノードハウス", "藤﨑香里"]
出版日

 

本作は経済学の観点から地球温暖化問題について考察し、「持続可能な社会」と温暖化対策を両立させる方策を提言したものです。

作者が指摘するように、過度な地球温暖化対策は経済発展に悪影響をおよぼし、別の問題を深刻化させる可能性があります。また各国の協調が保たれないと、自分は対策せずに利益だけを受け取る「ただ乗りのインセンティブ」が生じかねません。

そこで作者は、地球温暖化の被害を回避するために必要なコストを試算。コストに見合った適切な対応策を検討しているほか、「ただ乗りのインセンティブ」をなくすための方策として全世界での炭素税導入を提言しています。

それぞれ具体的な数値を用いて主張が展開されていて、その内容は説得力のあるもの。地球温暖化の対策を考えるうえで大いに参考になるでしょう。

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