ゲームが好きで、時間があればゲームをしていたい。将来の仕事だってゲーム関係だったらいいのにな。ゲーム好きの学生の方のなかには、そう考えたことがある人は多いのではないでしょうか。しかし「ゲーム業界で働く」といってもさまざまな職種があります。 ゲーム業界での就職を考える学生の方向けに、ゲーム業界ってどんなところ? どういう仕事があるの? ということを分かりやすく解説します。なりたい職種によっては、学生時代からスキルをつけておいたほうがよいものもあります。ぜひ進路選びの参考にしてください。
「ソシャゲ」と呼ばれるようなアプリ内課金システムを前提としているスマホゲームもあれば、ソフト買い切り型の筐体ゲーム、パソコンからインターネットにアクセスして遊ぶオンラインゲームなど、「ゲーム」と呼ばれるものの種類は実にさまざまです。
コンピューターゲームだけでなく、アナログのゲームも加えればバリエーションはさらに増えます。このようなゲームを作っているゲーム業界はどのような構造になっているのでしょうか。
「ゲーム機」の筆頭格は家庭用ゲーム機です。スマホでゲームが遊べる現代においても、大手メーカーのゲーム機は人気商品の地位を保っています。
家庭用ゲーム機の新機種が発表されるのは早くて数年単位、スパンが長いメーカーだと10年単位になります。ただしその期間も、新機種の開発や既存デバイスのアップデートなどがおこなわれています。
また、ゲームセンターなどに設置されているゲーム機もあります。「アーケードゲーム」と呼ばれるものです。これは家庭用ゲーム機とは異なる業界になっており、ソフトを入れ替えることができる「汎用筐体」や、特定のソフトのために開発されるゲーム機などさまざまです。
任天堂のようにゲーム機とゲームソフト両方を作っているメーカーもあれば、ソフトのみ作っているというメーカーもあります。「どうしてもゲーム機が作りたい」という人には向きませんが、「ゲームそのものを作りたい」と考えている人にはソフトのメーカーが向いているでしょう。
ゲーム機向けと同様にソフトではありますが、別市場として成長しているのがスマホ向けゲームです。スマホ向けゲームはアプリ内課金システムがあることや、スマホのOSごとに必要になる技術が異なることなど、やや特殊な事情があります。
一方で参入障壁が低い分、大手のゲームメーカー以外でも手がけることができるのが魅力です。IT系企業やベンチャーが多いのも特徴です。また、個人でゲームを作って販売することも比較的簡単にできます。
参考:せかいのどこかで綴りつづけるひと | Made with Unity
ゲームのデバイスに指定がなく、インターネットに接続して遊ぶオンラインゲーム。多くは既存の家庭用ゲーム機でも遊べますが、画像処理の都合などからメモリやグラフィックボードを増設した専用パソコンを使って遊ぶユーザーが多いジャンルです。
オンラインゲームというとRPGの印象が強い人もいるかもしれませんが、それら以外にeスポーツの競技種目に取り入れられるゲームもあります。
ゲーム業界の構造を簡単に紹介しました。では実際にゲームやゲーム機を作るとき、どのような仕事が発生するのでしょうか。
ゲームがどのように進行していくのかを決めたり、ストーリーがあるゲームのシナリオを書いたりするのがプランナーやシナリオライターの仕事です。ゲームの骨格を作る重要な仕事です。この職種に就く人はゲームがもともと大好きで、趣味でゲームを考案してしまうような人が多いようです。
ストーリーやシナリオがゲームの骨格だとすると、肉付けになるのがビジュアル面です。特に世界観やキャラクター像はゲームの印象に大きな影響を与えます。
たとえば任天堂の採用ページを見てみましょう。デザイナーだけでも「地形」「キャラクター」「CG 」「UI」「エフェクト」など、細かい業務ごとに募集がされています。「人物は苦手だけど背景を描くのは好き」「キャラデザを考えるのが得意」など、得意分野によって手がけるデザインが変わってきます。
また、アプリ内課金でガチャができるタイプのスマホゲームでは、キャラクターごとにイラストレーターへデザイン・作画を依頼することもあります。ゲームメーカーに就職しなくてもゲームに携わることができるかもしれません。
デザイナー・イラストレーターになるには、専門学校や美大へ進学するのが一般的なコースです。それ以外の学校から就職することも可能ですが、会社によっては出身校で採用を決めるところもあるので注意しておきましょう。
ストーリーやデザインを動かすにはエンジニアリングが必要です。コンピューターを使ったゲームの場合、プログラミングでキャラクターを動かしたり、音楽を流したりします。
プログラミングにはさまざまな言語があります。ゲームを作るにはC言語系がよく使われますが、それ以外にも使用するコンピューターに合わせて言語を覚える必要があります。
プログラミングは、まずひとつの言語をしっかりと覚えるのがよいと言われています。プログラミング自体がある程度できるようになれば、新しい言語も応用として覚えることができるからです。独学も不可能ではありませんが、専門学校や工学系の大学に進学すると体系的に学ぶことが可能です。
上にあげたのは専門的な職業で、ある程度の経験が必要になってきます。しかしメーカーによっては未経験のアルバイトを採用していることもあります。「学生のうちにゲーム業界を覗いてみたいな」と考えている人は、そのような求人を探してみるのもおすすめです。
ゲーム業界で働く人の年収は企業によって異なるというのが実情です。「業界動向サーチ」の調査結果を見る限りにおいては、業界内シェアの高い企業ほど年収が高めになるという傾向があるようです。
ただし、プランナーなのかエンジニアなのかといった職種の違いや、コンセプトやストーリーに関われる制作の上流工程を手がけるのか、下流工程を手がけるのかといった役割の違いでも収入に差が出ます。
平均年収が高い企業だからといって必ずしも高額な給与が出るわけではないということに留意しておきましょう。
- 著者
- 廣瀬 豪
- 出版日
「ゲームのストーリーを考えるのが好きだけど、実際に自分で作ることまでしたくなった」「プログラミングが得意なのでさらに極めたい」こういったゲームを実際に作りたい人向けの書籍はたくさん販売されています。
そのなかでも今回はPythonという言語にフィーチャーした書籍『Pythonでつくるゲーム開発』を紹介します。
PythonはAIなどの分野にも使われていて、現在人気の高い言語です。Pythonが使えると比較的エンジニアとしての年収が高くなる傾向もあり、これからエンジニアを目指す人は覚えておいて損がない言語といえます。
- 著者
- 佐々木 智広
- 出版日
「このゲーム、こうなっていたらいいのに」「こういうシークレットがあったら面白い」「自分でオリジナルキャラクターを作るとしたら……」そんなことを考えるのが好きな人はプランナーやシナリオライターに向いているかもしれません。
しかし、実際に1からゲームのシナリオを書いてみようとするとどうすればよいのか分からなくなったりしませんか?
そんなときは『ゲームシナリオの書き方』を手に取ってみてください。実際にたくさんのゲームを作ってきた著者による的を射た解説が人気の書籍です。面白いシナリオを書くにはどうすればいいか? が詳しく解説されている1冊です。
- 著者
- J.R.R. トールキン
- 出版日
ゲームのなかでも特にRPGにいえることですが、人間以外のキャラクターが多数出てきたり、複数のメンバーでパーティを組んでストーリーを進めたりします。
このようなRPGの基本ともいえる部分に大きな影響を与えたのが『指輪物語』です。
RPGによく出てくるエルフ・ドワーフといった種族の造形は、ほぼ『指輪物語』を参照しているといっても過言ではありません。RPGに関心がある人は一度読んでおくことをおすすめします。
『指輪物語』自体も北欧やギリシャなどさまざまな地域の神話などを下敷きにしてできあがっている物語です。芋づる式に知識を得ていくと、実際にゲームを作るときのストーリーやキャラクター造形の助けになるはずです。
1つゲームに対して、たくさんの職種の人が関わって作られているゲーム業界。ゲームの根幹となるシナリオ書きや、世界観を決定づけるデザイナー、実際にゲームを動かすのに欠かせないエンジニアなど、ゲーム業界に必要な職種は細かく分けられています。それぞれ必須の資格などはありませんが、時代によって変化する最新技術や、大衆に受け入れられるデザインなど、自ら情報を得て、常に勉強をし続ける必要があります。しかし技術や知識も大切ですが、一番必要なのは「ゲームが好き」という気持ちかもしれません。
ゲーム業界で働く上でなりたい職種は見つかったでしょうか? ゲームが好きな気持ちを大切にしつつ、紹介した書籍もぜひ読んでくださいね。