1968年に出版され、50年以上経った今も売れ続けているロングセラービジネス書『道をひらく』。著者は「経営の神様」と呼ばれ、現在のパナソニックの創業者である「松下幸之助」です。 本記事では、「身も心もゆたかな繁栄の社会を実現したい」と願う著者の思いで、素直に生きること、謙虚であることの大切さを綴った本書から、特に重要なメッセージを紹介し、解説していきます。
『道をひらく』は「パナソニック」を創業した松下幸之助が書いた本です。 1冊の本として執筆したのではなく、松下氏が月刊誌『PHP』に連載してきたエッセイをまとめたものになります。
「身も心もゆたかな繁栄の社会を実現したい」と願った松下氏の思いをこめた内容から、「よりよく生きるために」や「自信を失ったときに」など読者に寄り添って後押ししてくれます。 職業や年齢、性別関係なく、数多くの人の「人生の教訓」として読まれています。
松下氏が1,000万部の普及を目指して出版した本書は、2013年に500万部を突破した記録もあります。
人生に迷いが生まれたとき、仕事に行き詰まりを感じたとき、新しく挑戦するときなど、自身の悩みや不安に合わせて読む箇所を選べるのも本書が支持される理由の一つです。
この記事では、本書の11項に分けられたテーマからそれぞれ1つずつメッセージを厳選し解説します。
今自分が歩んでいる道は、どんなものであろうとも本人だけしか歩めない道です。 たとえどんなに辛く激しい道のりでも、自分だけに与えられているかけがえのないものと著者は言います。
休まず進むと必ず新たな道がひらけ、そこから喜びを得ることができるのです。 何らかの理由で自分が望んでいた環境でないところにいたとしても、そこで終わりだとは考えず、その環境でも精一杯の力を出すことによって新しい可能性が見えてきます。
常日頃からありのままの自分の気持ちを観察し、間違っていることがあれば改めることを著者は推奨しています。
また、著者は「人間は素直さを失ったとき、逆境は卑屈を生み、順境は自惚れを生む」と考えています。
素直に謙虚な心持ちで学び、成長し続けていくことが自分の道をひらくことになります。 しかし、どんなに努力しても自分の力では、どうしようもできないこともあります。 そんな時は深く悩まず、「今回は運が悪かっただけ」と切り替えることも重要なポイントです。
人間関係において信頼はとても重要なものです。 その信頼を得るためには、礼儀や道徳を守ることが第一です。
もし、友達と待ち合わせしている日に、相手が1時間も遅刻をしたら嫌な気持ちになりますよね。 どんな関係でも道徳心があってこそお互いに相手を想うことができ、よりよい人間関係を築くことができるのです。
決断をする際、いつまでも迷ってしまい決められないことは誰しもあります。 ですが、先延ばしにするほど状況は悪くなり、早く決めれば良かったと後悔することになります。
そうならないためにも「間違えてもいいや」くらいの気持ちで決断し、行動しながら考えることが大切です。
問題が生じたときは、「なぜそうなったか」を自問自答し解決策を考えます。自分で解決できない問題については、悩むよりも素直に人に聞くことが大切と著者は語ります。
自分の力では乗り越えることが難しい場面に遭遇しても、ゲーム感覚で楽しむことが困難を成長に変換するコツです。
なにかに挑戦する時、周りから批判されることもあるでしょう。その時は、怒りをぶつけるのではなく、謙虚に接することを心がけ、決して希望を失わないように志を高く持つことが大切と著者はいいます。
逆境を自分との勝負と捉え、乗り越えるときがくるまで辛抱強く戦いましょう。
転んでもただで起きないような勢いを持って生きることが大切です。失敗したときも、そこから何かを学び、次の挑戦に活かすくらい真剣に生きるべきだと著者はいいます。
成功に絶対はありません。困難に直面した場合は大きく成長するチャンスだと考え、順調に物事が進んでいるのであれば感謝すべきです。
ここにおいても人間の「素直さ」がカギとなり、成功への後押しをしてくれます。
長年同じ仕事をしていると、慣れが生まれ手を抜いてしまうことがあります。 仕事を楽にする工夫は効率化においても重要なことですが、手を抜くことはプロとして失格だと著者は考えます。
仕事はプロの自覚を持って、念入りに素早くおこなうことで一人前になるのです。 また、自分には才能がないからといって止めてしまう人がいますが、著者は才能よりも必要なものは「熱意」だとしています。
一日一日ベストを尽くし、やるべきことに対して謙虚に誠実になることが仕事を向上させることにつながるのです。
著者は「商売は宗教のように尊いもの」として、売り上げは社会的に正しい方法であげるべきといいます。 シェアを奪い合うライバル企業がいてこそ互いに切磋琢磨し、よい商品・サービスが生まれます。
経営においても才能よりも「熱意」であり、経営者として引退まで走り抜くこと。 また、会社に雇われている立場であっても経営の視点を持つことによって、社会的に正しい判断を下すことができるのです。
どんな出来事でも他人事だから関係ないと考えてしまうと、そこから得られるものは何一つありません。 何事も自分事することによって、自身の成長のきっかけになります。
また、責任転嫁をしないと心に決めることで、どんな大変なことでも立ち向かう勇気が湧いてきます。
自分が恵まれた環境にいることを知り、感謝を忘れず自分の地位に驕らずに気持ちを引き締めることも大切です。
人を師匠として、習うためにその人の行動全てを真似するような人もいますが、注意しなければならないのは、師と自分の違いを自覚することです。
人には得意不得意があるため、その人には簡単にできることでも自分にとっては難しいことだってあります。そのような場合に無理して真似をしようとするとかえって逆効果になってしまいます。
真似をしたい人と自分の特徴を見きわめて、行動を選んでいきましょう。
会社は素早く反応できる組織であれば、時代の変化に対応し生き残ることができます。 しかし、対応が遅くお客様が不安を抱き続ければ、どんどん顧客は離れてしまいます。
これは国も同じことです。組織の構造をなるべく簡素化し、素早く対応することによって国民の不満もなくなり、平和が保たれるのです。
また、政治や政治家が国民から尊敬されるような国をつくり、国民への奉仕を最大限におこなうことで国の繁栄につながると著者は言います。
本記事で取り上げた『道をひらく』の続編になります。
- 著者
- 松下 幸之助
- 出版日
12章で構成されており、各章ごとに季節感のある文章を楽しめる内容になっています。日本国と日本人の将来に対する著者の思いを知ることができる一冊です。
こちらは政財界に多くのリーダーを輩出した、著者が運営する「松下政経塾」の塾生たちに伝えた思いをまとめた書籍になります。
リーダーになる人に知っておいてほしいこと
政治・経営において、戦略・戦術以上に大切なことが学べる内容であり、リーダーを目指す人なら必読の書です。
他の経営者の人生の哲学について知りたいあなたはこちらの一冊。
- 著者
- 本田 宗一郎
- 出版日
本田技研工業(ホンダ)創設者である「本田宗一郎」が、自身の体験を元に情熱と経験について語った内容です。著者が思う、人生で必要な法則を学ぶことができます。
いかがだったでしょうか。今回は、パナソニックの創業者・松下幸之助氏が考える「運命を切りひらくため」「日々を新鮮な心で迎えるため」などの人生の教訓について解説しました。
経営の神様からのメッセージは、自然と勇気が出てくるものばかりです。著者からの教えを今日から実行することで、あなたの道が開けてくることでしょう。
この記事を読んで実際に本を手に取っていただけたら、嬉しく思います。