「伝わりやすい話し方」のハウツー本!『1分で話せ』の要約と解説

更新:2021.11.23

あなたは人前で話すことは得意ですか? 「相手が聞いていないような気がする」「間違って伝わっていないか心配」このような「伝える」ことに悩んでいる人のために、今回紹介するのはプレゼンテーションの講師が書く『1分で話せ』。 本記事では、伝えることの目的から、実践で使えるテクニックまでわかりやすく解説していきます。

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『1分で話せ』を読んでほしい理由と、読者からの評価

こちらの本はプレゼンテーションでの話し方をメインに、「伝わる話し方」について基礎から応用テクニックまで解説しています。

著者は、ヤフー・アカデミアという企業内大学の学長であり、またプレゼンテーションの指導をする講師も務める「伊藤 羊一」さんです。

ビジネスシーンで実際にありそうな場面を想定して解説しているため、かなり実践的な内容となります。 プレゼンでは何を話せばいいのかわからない、人前に出ると頭が真っ白になってしまう人にぜひ読んでほしい一冊です。 

30万部のベストセラーを記録している本書は、プレゼンが苦手な人からは「コミュニケーション力を身に付けることができる」と支持され、人前で話すことに自信がある人から「新たな気づきを得ることができた」というきっかけを与えています。

人間は基本的に人の話を聞いていない

『1分で話せ』インパクトのあるタイトル。

1分で話す必要があるのは「相手が話を聞いていない」からだと著者は言います。 前提として知っておくべきは、「人間は相手の話を80%聞いていない」ということです。 

誰もが、人の話を聞いている時に「休みは何をしようかな」など、その場において関係のないことをつい考えてしまった経験があると思います。 これは自分が話す立場になっても同じであり、「相手は自分の話を聞いていない」と理解した上で話すことが必要です。 

相手に伝わるように話すために著者は、短時間であれば相手が話を聞いてくれる確率は高くなることから、「1分で話がまとめられるように話を組み立てる」ことを勧めます。

伝える目的を間違っていませんか?

次に話す目的について考えてみます。

会社で上司に報告するときに、結論にたどり着くまでの「自分の頑張ったこと」を伝えてしまっている人がいます。しかし、上司が聞きたい事柄は「結論」とその結論の「根拠」の2つです。 

相手に伝えるのは「行動を起こさせる」ためにあると著者は考えます。

伝え方の基本

では、「相手を動かすため」に伝えるにはどうしたらよいのでしょうか?

著者は、「伝える」ための基本事項として以下の2つを挙げています。

1.どんな人に話しているのかを把握する

2.ゴール(相手にどう動いてほしいか)を設定する

先ほども説明したように、伝えることは「理解してほしい」が目的ではなく、「相手を動かす」ことが目的です。

まず最初に、「相手がどんな性格であるのか」、「どの程度の知識があるか」など、伝える相手のことを理解します。 そして次に、自分に何が求められ、相手に何をしてほしいのかを考えることが大切なのです。

1分で伝える方法

本書では、1分で話すために「ロジカルなピラミッド」で話を組み立てることが有効とされています。

ロジカルなピラミッドとは「結論→根拠→具体例」の3段のことで、この順で話を組み立てることで、相手に伝わりやすい文章ができるというものになります。

初めに「〜だから、〜だ」で意味が通じる自分の主張、結論を述べます。 続いて、「なぜなら〜です」で自分の主張の根拠、結論に至った理由を付け加えます。 最後に、根拠や理由の具体例を出して相手にイメージしてもらうのです。 

このようなピラミッドを作ることができれば、相手に伝わりやすくなります。

そして、ピラミッドを強化し、より伝えやすくするためには「例え」を意識する必要があります。 「例え」が重要になる理由にも、「理屈や論理を納得しただけでは人間は動かない」という人間の特徴が関わってくるのです。

1分で伝えるのに役立つポイント

 

1分で話すのに役に立つコツを3つ紹介します。

・無駄な言葉を削る

話が長くなってしまい相手に何を伝えたいのか、ぼやけてしまうことを防ぐことができます。

そのためには、相手が必要としていない情報は伝えず、言葉をなるべく短くして伝えたいことだけを話します。

・相手が頭で想像できるか

相手の立場に立って考えることで「どう話せば理解しやすいか」「気持ちよく聞いてもらえるか」が想像しやすくなり、より説得力が増した説明ができるようになります。

説明する際、セリフや資料にも難しい言葉を使わず、「中学生でもわかる」ような内容にすると、相手も内容を把握しやすくなるでしょう。

・自分の主張を客観的に見る

主観的に見ていると、「相手にどのように伝わっているか」を理解することができません。「自分は相手にどう伝えようとしているか」の客観的な視点が重要となります。

客観的に見るためには、話す内容を録音して自分で聞いてみる、伝えたいことを紙に書き出してみることが有効です。

そうすることによって、主張が間違っていないか、必要な情報は抜けていないかなどの確認ができます。

人前で話すときに気を付けるべきこと

最後に実践で活用できる4つのポイントについて解説します。

・視線

スライドや資料を見ながら話すのではなく、聞き手を見て「あなたに話していますよ」という雰囲気を作ります。

「視線の配り方」次第で目の前で聞いている人、全員を巻き込むような話し方ができるようになります。

人間は3~5秒、目が合うと「自分に話してくれている」と認識するといいます。日本語の一文が約5秒といわれているので、一文をそれぞれ一人ずつ話しかけるように目線を配ることに意識しましょう。

・動き

棒立ちで話すこともいけません。手を動かし伝えたいことを表現するようにしましょう。ジェスチャーを使うことで話しの印象を深めることができ、それらしい雰囲気を作ることもできます。

動きを入れるタイミングをあらかじめ決めておき、メリハリを付けた動きを意識することで聞いている人の注目を集めやすくなるのです。

・声

場面に応じて声の出し方、声の高低を変えることで、より効果的な伝え方ができます。著者は声を出すよりも「声を相手に届ける」というイメージを持つことが大切だと語っています。

自分の声に自信がない人でも、意識して声を変えてみることで伝わり方が大きく違ってきます。腹式呼吸や滑舌の改善をおこなうことも「いい声」を出す方法です。

・間合い

伝えたいことを一気に話してしまうと、相手が話しに付いてこれません。話しの区切りで普段より間を取ることで相手に合わせます。

「たとえばこういうことなんです...」と3秒くらい空けると、聞いている人が一拍置いて考えてくれます。

意味のあることを伝えたときには、約3秒間合間を空けることを意識して話すことが大切です。

『1分で話せ』おすすめの関連本①

同じ著者が書いたこちらは、考え過ぎて行動に移せない人に向けた、行動力と直感を磨く方法を紹介しています。

著者
伊藤羊一
出版日

確信がない中で動かないといけない状況で、「みんながついていきたくなる」ようなリーダー的な存在になりたい人は読むべき一冊です。

『1分で話せ』おすすめの関連本②

こちらも同じ著者が書いた書籍になります。仕事を通じて自己を成長させていくポイントを解説した内容です。

 

著者
伊藤 羊一
出版日

自分の過去を見つめ直し、自身の価値観見つめ直すことの大事さについても語っています。夢や目標がなく、ただ就職して働いている人にはとても共感出来る一冊です。

『1分で話せ』おすすめの関連本③

他の著者が考える「話し方」について知りたい人はこちらの一冊。

 

著者
永松 茂久
出版日

話し上手になるための三原則から、人間関係が良くなる話し方をまとめたものになります。 「話し方」だけでなく、「人との接し方」まで掘り下げているため、コミュニケーション全般を学ぶことができます。

いかがだったでしょうか。今回はプレゼンテーションの講師から学ぶ「伝える技術」ついてお伝えしました。

本書が理解できれば、「話が長い」などと言われなくなること間違いなしです。 
仕事以外の日常のちょっとしたお願いにも使ってみることも練習になります。

この記事を読んで、本を手に取っていただけたら嬉しいです。

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