【30万部突破】『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の要約

更新:2021.11.23

「多くの人はAIについて誤解している」そう語るのは、国立情報学研究所の教授を務める新井紀子さん。 そんな著者から学ぶ「AIの基礎知識」と「AI時代に必要な力」について。本記事では、AIについての認識が大きく変わることになる内容をわかりやすく解説していきます。

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『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の概要とあらすじ

「AI」の実力と今後の進化、AI時代に求められるスキルについて紹介した一冊です。

そもそもAIとは何なのか、今後AIはどのような仕事を担い、これから社会がどのように移り変わっていくかについて学ぶことができます。 
 

実態調査の結果をもとに中高生における読解力の低下を指摘している内容などから、AIに興味がある人あもちろん、子供を持つ親からも支持されています。

来るべき「AI時代」に向け、世の中はどう変わっていくのか知りたい人にもおすすめですが、 子どもの将来を不安に思う親はもちろん、教師など教育現場に携わる人にも読んでほしい一冊です。

本書は30万部を超えるベストセラーになっており、「2019年ビジネス書大賞」を受賞した作品でもあります。

著者は国立情報学研究所・教授の新井紀子

著者は、国立情報学研究所の新井紀子教授です。彼女は「教育のための科学研究所」の所長でもあります。

AIの可能性と限界について研究するため、「ロボットは東大に入れるのか」と名付けられた人工知能プロジェクト「東ロボくん」を主導しました。

この研究から読解力や意味理解の能力が重要になると考え、現在は中高生読解力向上のための活動もしています。

AIとはなにか?

AIとはなにか?

「AI」と聞くと、人間の能力を超える万能な機械とイメージしている方も多いのでは。

しかし著者は、一般的に知られているAIと本来の意味でのAIはまったく別物といいます。 本来の意味での「AI」とは、人間の脳が行っている知的な作業をコンピューターでおこなうことを指します。

また、定義も曖昧で「どのようなものがAIか」という明確な判断もできておらず、現状のAIは「このパターンであるからこうする」という計算機でしかありません。

AIにできること、できないこと

先ほど説明したようにAIは計算機であるため「計算」は得意です。 計算といっても理論から結果を予測する「確率」とデータの分析で仮説を見つける「統計」の2つだけです。 

たとえば、囲碁や将棋などで相手がこう動いたからこう動く計算をしたり、この商品を買う人はこちらの商品も一緒に買う可能性が高いと提案します。

しかしAIにも欠点があり、文章の意味を理解することはできません。つまり読解力がないということです。 

AIは計算結果を導き出す機械であり、人間のように意味を理解して判断することはできません。

現在のAIと同様に中高生も読解力がない?

AIにはなく、人間が持つもの「読解力」。

ところが著者が行った調査の結果、教科書が読めない=「読解力」が身についていない子どもたちが多いことがわかりました。

AIは文章の意味を理解することができませんが、中高生も同じように読解力がなく、現状のAIに負けていると言っても過言ではないと本書では述べています。

また、読解力を高める方法は今はないと言い、本を読む習慣があるかないかも関係がなかったそうです。 著者は、子どもたちに意味を理解する「読解力」の向上こそが、大人のやるべきことだと考えます。

この先AIと共生するために必要なこと

現在の教育では読解力が身に付かないとされており、読解力が低いと教科書や説明書が読めず内容を理解することができません。

また、情報をもとに確率で答えを出すことができる仕事に関して、読解力がない人間はAIに仕事を奪われてしまいます。 

そんな事態に陥らないためにも、文章の意味を考え理解することが重要であり、生活の中で不便に感じていることや困っていることを探すことが大切だと著者は考えます。

これからの時代に求められる人間は、AIにとって苦手な「意味を理解する力」を持つ者で、その力こそがAIに奪われない仕事を生み出すことにつながるのです。

『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』おすすめ関連本①

『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の続編であるこちらは、AIが不得意な「読解力」を人間が身に付ける方法が書かれています。 

著者
紀子, 新井
出版日

今後の教育に対する著者の思いや、大人も必要な読解力について詳しく解説しています。現代の教育に関しても触れている内容のため、教育者だけではなくビジネスマンにも読む価値ある一冊です。

『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』おすすめ関連本②

『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の著者が、子ども向けに「AI」の基本的なことから最新情報まで分かりやすく解説しています。

AIと人間の違いや将来の仕事はどうなるかなど、マンガも交えて説明しているためAIの現状について学びたい大人もおすすめです。

著者
紀子, 新井
出版日

『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』おすすめ関連本③

他の著者がが考える「AI」について知りたい人はこちらの一冊がおすすめ。

著者
["ポール・R・ドーアティ", "H・ジェームズ・ウィルソン", "保科 学世", "小林 啓倫"]
出版日

AI時代における人間の役割や、人間とAIが共存する未来にむけての心持ちについて著者なりの考えを紹介しています。 

人工知能をどう活用することが現在の社会にとってベストかを考えるきっかけにもなります。

いかがだったでしょうか。本記事を読んでAIの実力だけでなく、日本社会の抱える課題を理解できたかと思います。

あなたにとって本書は、自分のあり方を考えさせてくれる一冊になります。

実際に読んでみる時には、「AIと共存する未来」では自分はどうなりたいかを意識すると将来によい影響をもたらすかもしれません。この記事を読んで、本を手に取っていただけたら嬉しいです。

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