5分でわかる旅行業界!転職や就職を考える方向けに業界の動向を解説

更新:2021.12.6

「ホテルで働くのが夢だから、ホテルの専門学校に行きたい!」「記憶に残るような旅行プランを考えたい」など旅行業界を目指す人は、かなり早い段階から目標を決めて頑張っていることが少なくありません。 しかし、「今後は旅行業界は心配じゃない?」と周囲から言われてしまって不安になっている人もいるのではないでしょうか。旅行業界に就職したい人向けに、今はどんな状況? どんな仕事がある? を解説していきます。旅行業界での就職を考える際に役に立つ書籍も紹介しますので、関心のある方はぜひ一度手にとってみてください。

ブックカルテ リンク

旅行業界にはどんな業種が含まれるの?

旅行好きならいつもお世話になっている旅行業界ですが、あらためて業種を分けてみるとどのようなものが含まれるのでしょうか。代表的な業種を見ていきましょう。

旅行代理店

JTBやH.I.S.など、窓口で旅行の予約ができる旅行代理店。一度くらいは利用したことのある人が少なくないのではないでしょうか。個人の旅行はもちろん、修学旅行などの団体客や運転免許合宿など、幅広い取り扱いがあるのが特徴です。

旅行代理店のなかでもインターネット上でのみ業務をおこなうものをOTA(オンライントラベルエージェント)と呼びます。楽天トラベルなどが代表格です。対面の接客はありませんが、さまざまな予約を取り扱っています。

旅行代理店の営業には法律で課せられた決まりがいくつかあります。そのうちのひとつが、「旅行業務取扱管理者」という有資格者の設置です。各店舗に最低ひとりは在籍している必要がある資格であるため、取得するとキャリアアップが見込めます。

ただし資格を保有しているだけで基本給が上がるというものではなく、ステップアップのための1段階目という認識でいるのが良さそうです。求人サイトである「求人ボックス」で有資格者の給与は月20万円代〜となっていました。

宿泊業

泊まりがけの旅行で欠かせない宿泊業。ホテルもラグジュアリーからビジネスまで、用途に合わせて多様な種類があります。そのほかにも温泉旅館、民宿、ペンション、ゲストハウスなど、業態はさまざまです。

ホテルに就職を希望している人は、「ホテルビジネス実務検定試験」などの民間資格を持っていると有利です。海外からの旅行客が多いホテルや、複数の国に拠点のある外資系ではTOEICの点数も重視されるようです。

宿泊業の給与は事業者によってまちまちですが、「基本給はあまり高くなく、残業で稼ぐ」という経験者の声が多いようです。

運輸業

旅行中の足となる運輸業。航空・鉄道・自動車など業態はさまざまで、求められる資格や適性もそれぞれ異なります。航空業界であれば英語力が求められますし、それ以外の業態でもパイロット・運転士になるためにはそれぞれ国家資格が必要です。目指したい職業に合わせて準備をする必要があるでしょう。

旅行業界、今後の見通しは?どんな人が向いている?

新卒採用を中断している企業も

運輸業の花形ともいえる航空業界では2021年度の採用を見合わせるなど、日本の旅行業界は世界情勢の影響を強く受けている業界でもあります。「本当は航空会社に入りたかったけれど、一旦は諦めてまずは別業界に就職する」という学生もいるようです。

今後、場合によっては「○○での就職を希望していたけれども、いざ就職活動をしてみたら求人がほとんどない」という業種が増えるかもしれません。これから進路を選ぶ人は、このような可能性も念頭に置いておくことをおすすめします。

今後大幅なビジネスモデル変更もありうる

旅行代理店大手のJTBは、対面での接客や集会が難しい情勢の中で企業向けバーチャルイベントのコーディネートをおこなったそうです。これにより商談が進んだ企業もあるとのことです。

一方、オンラインで開催するバーチャルイベントの場合、旅行代理店の主な業務である旅行手配が発生しません。これはある意味では大幅なビジネスモデル変更であるといえます。これはJTBだけが特別なのではなく、旅行業界の各事業者は、今後自分たちの得意なこと・できること・持っているリソースから新規事業を考案していくことが増えていくと考えられます。

参照:トラベルボイス

旅行業界で働くのはどんな人が向いている?

総括すると、旅行業界は全体的に「数年後の未来がよくも悪くも見通しにくい」現状であるといえます。

そのため、「どうしてもホテリエになりたい」「鉄道会社意外には就職したくない」という強い思いのある人が、逆に困難を感じることもあるかもしれません。

生き残りをかけて大幅な業態変更をおこなう企業が増えることが予想されるため、自分がまったく希望していない職種しか選べなくなっていたということが起こりうるためです。

そのため、今後数年間の旅行業界は「いろいろあっても柔軟に対応してみよう」という変化に前向きな人が向いているでしょう。

変化に対応する自信があまりない人は、別の業界に就職してから、転職という形で数年後に旅行業界を目指してみるのもよいかもしれません。

また就職してから自分の本当にやりたい仕事とはかけ離れた内容だったということも十分にあり得ます。そういった事態を出来るだけ避けられるよう、旅行業界について本などで詳しく知っておくのはいかがでしょうか。

観光の未来を考える1冊

著者
大羽昭仁
出版日

どうやったら地域は「稼げる」のか? をデータをもとにして考える書籍です。

旅行業界では、これまでと観光や旅行のあり方が変わってくる可能性が高い今だからこそ、実現可能性のあるビジネスモデルが求められています。

地方を盛り上げる、地方で働く若者の人口を増やすために一度観光にきてほしいという考え方は一般的ですよね。しかし地域ごとの経済を回すには観光以外の方法も多くあるはずです。

観光だけでなく、地域活性などまちづくりに関心のある人にもおすすめの1冊となっています。

観光業の目線から学ぶ「本の読み方」

星野リゾートの教科書サービスと利益両立の法則

2010年04月05日
中沢康彦
日経BP

日本だけでなく、バリやハワイ、台湾など地域にあわせた業態で次々と人気宿泊施設を生み出してきた「星野リゾート」。

その星野社長がどうやってビジネスを学んできたか、そして今も学んでいるかが分かる本が「星野リゾートの教科書」です。

古典と言われるビジネス書を読み込んで、一言一句違わず実行することを目標としている星野リゾート。読み方もそうですが、「どの本を選ぶのか」でも参考になる1冊です。

困難に出会った時、星野社長は本に答えを求めて読むのだそうです。しかし本の中に、本当に求めている答えが書いてあるわけではありません。答えを求める読書をする上で大切なことは、どんな目的意識を持つかということ。そうすることで自ずと読むべき本に出会えるはずです。

 

旅した気持ちになれる旅雑誌

著者
ユーフォリアファクトリー
出版日

旅行業界を目指す人の中には、自分自身が旅行好きという人が少なくないはずです。しかし、旅行に行きたくとも、なかなか出かけられない時もありますよね。

そんな人におすすめなのが旅行雑誌です。雑誌を買う習慣があまりない人もいるかもしれませんが、写真の美しい雑誌は動画やSNSとも違って味わい深いものです。

写真の美しさでは『TRANSIT』に定評があります。毎号一定の地域を特集していますので、好きな場所・行ってみたい場所の号を探してみてください。

旅行業界の概観と今、そして今後の見通しをご紹介しました。 
ホテル業や宿泊業などを含んだ旅行業界は世界の情勢からの影響をダイレクトに受けるため、時には厳しい状況にも陥ることもあります。そういった意味では、転職や就職などをためらう人もいるかもしれません。 
しかし、学んだこと、好きで吸収したことは無駄にはなりません。後悔のない進路選択ができるよう、いろいろ調べたり、本を読んだりして考えを深めてみてください。

自分の適正年収をアプリで診断
  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと見る もっと見る