5分でわかる逮捕後の流れ!刑事事件を起こしたらどうなる?送検、起訴などを解説

更新:2020.8.18

何らかの容疑で逮捕された場合、一体どうなってしまうのでしょうか。日本では刑事訴訟法で具体的な手続きが定められています。この記事では逮捕後の具体的な流れや、送検、起訴などの処分、裁判などについてわかりやすく解説していきます。

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逮捕後の流れを解説①送検と勾留の期間は?

 

日本では、犯罪者を処罰する手続きは「刑事訴訟法」で定められています。同法には適正かつ迅速に刑罰法令を適用する基準だけでなく、捜査や裁判によって基本的人権が不当に制限されないよう、被告人や被疑者などの権利保護に関する規定がされているのです。

では刑事訴訟法を参照しながら、逮捕された人がどのような処遇に置かれるのか確認していきます。

刑事訴訟法第246条には、

司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。

と定められています。何らかの犯罪が発生して捜査がおこなわれた場合、証拠物や関連書類は速やかに検察官に送られます。この手続きが、一般的に「送検」と呼ばれるものです。

送検には、被疑者を逮捕して身柄ごと検察に送致する「身柄送検」と、被疑者を逮捕せずに書類や証拠物だけを検察に送致する「書類送検」の2種類があります。

逮捕された場合、まず被疑者の身柄は警察署内の「留置所」に留め置かれます。ただ長期間理由もなく身柄を拘束することは人権侵害となるため、刑事訴訟法第203条では次のように定められ、48時間以内に「身柄送検」をおこなうことが決められているのです。

司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、(中略)留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。

「身柄送検」された被疑者を引き受けた検察官は、あらためて被疑者に捜査をする「検事調べ」をおこないます。検察官の捜査の期限は、送検後24時間以内です。

この時に検察官が必要ないと判断すれば被疑者は釈放されますが、たとえば被疑者が容疑を認めない場合や、証拠隠滅、逃亡の恐れがあると判断した場合は、裁判所に「勾留請求」をします。

つまり逮捕されてから送検と検事調べを経て、勾留されるか否かが決まるまでの期限は72時間(3日)以内です。

裁判所が勾留を認めた場合、被疑者は最大で10日間、引き続き身柄を留置場に留め置かれることになります。この勾留期間中に、実況見分や家宅捜査などの取り調べがされるのですが、捜査が長期化すると勾留期間が20日まで延長されることもあるそうです。

一方で被疑者も、弁護士を通じて、裁判所に勾留の取り消しを求める裁判を起こすことができます。これは「準抗告」と呼ばれるもので、準抗告が認められると勾留が取り消され、釈放されるのです。

 

逮捕後の流れを解説②起訴、在宅起訴、不起訴、起訴猶予をそれぞれ説明

 

検察官は、被疑者の勾留期間が切れるまでに、捜査を踏まえた処分を決定をします。

逮捕されてから勾留されるまでの期間が最大72時間、そして勾留期間が最大20日間なので、逮捕から最大でも23日以内に処分が決まるということです。

処分は、被疑者の状況や捜査の進展によって「起訴」「在宅起訴」「起訴猶予」「不起訴」に分かれます。ではそれぞれどのようなものなのか解説していきましょう。

起訴

刑事裁判を起こす手続きのことです。起訴された場合、被疑者は被告人と呼ばれ、裁判所で裁かれることになります。また判決が下されるまで、基本的には「拘置所」で身柄を拘束されます。

被告人の勾留期間は2ヶ月ですが、必要に応じて1ヶ月ずつ期限を延長することが認められていて、判決が確定するまでは勾留され続けることに。しかし長期間社会から隔離されると被告人の生活基盤が破壊されかねないため、刑事訴訟法第88条では次のように定められています。

勾留されている被告人又はその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹は、保釈の請求をすることができる。

被告人は弁護人などを通じて保釈請求をおこなうことができ、請求が認められれば、保釈金を支払い身柄が解放されます。

在宅起訴

被告人の起こした事件が軽微であったり、逃亡や証拠隠滅の恐れがないと判断されたりした場合は、在宅起訴の処分が下されます。

起訴された時と同じように裁判はおこなわれますが、被告人の身柄は拘束されません。起訴処分と比べると、日常生活に与える影響が少ないといえるでしょう。

不起訴

さまざまな理由で起訴が妥当でないと判断された場合に下される処分です。たとえば冤罪など被疑者に罪がないことが明らかな「嫌疑なし」も不起訴処分になります。

一方で、疑いは十分に晴れてはいないものの、立証する証拠も存在しない「嫌疑不十分」や、犯罪を犯したことは明らかでも、「大赦」や後述する「起訴猶予」のように、別の要因で起訴されない場合も。

不起訴になった場合は裁判はおこなわれず、被疑者もその時点で釈放されます。被疑者は被告人になっていないため、前科がつくこともありません。ただし捜査の対象になったという「前歴」は残ります。

起訴猶予

不起訴処分のひとつです。刑事訴訟法第248条には次のように記されています。

犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。

起訴すれば有罪が間違いなかったとしても、犯罪を犯した後の反省の度合いや、年齢、境遇などにより、検察官があえて起訴しないと判断した場合に起訴猶予処分となります。

起訴猶予処分になった場合も、ほかの不起訴処分と同じように被疑者は釈放され、裁判もおこなわれないため被告人になることもなく、前科がつくこともありません。ただし、やはり捜査の対象になったという前歴は残ります。

 

逮捕後の流れを解説③起訴された後は裁判に

 

起訴された場合は、その罪状や刑罰をめぐり、裁判がおこなわれます。

先述したとおり、起訴後の最初の勾留期間は2ヶ月。そのため起訴から2ヶ月以内に公判期日が設けられ、裁判が開かれるのが一般的です。

裁判は検察官が原告となり、最初に事件に関する罪状認否があります。被告人が罪状を認めた場合、公判は1回だけで終わることがほとんどですが、罪状を認めない場合は証人喚問などがおこなわれ、複数回にわたって公判が開かれることになります。

裁判で争点となるのは、有罪・無罪の判決や、刑罰の度合い。検察官が「論告」として意見を述べた後、「これだけの刑罰を与えるべき」と「求刑」をし、これに対して弁護人も「弁論」をして、双方の主張を踏まえて裁判官が判決を下す流れです。

 

逮捕後の流れを解説④控訴と上告とは

 

刑事裁判の場合、軽微な事件は簡易裁判所、そうでない事件は地方裁判所で最初の裁判がおこなわれます。最初に裁判をおこなう裁判所が「第一審」です。

日本では「三審制」といって、ひとつの事件に対して3回まで裁判を開くことが認められています。「第二審」「第三審」は、「第一審」より上級の裁判所がおこなうのが一般的。

たとえば「第一審」が簡易裁判所だった場合、「第二審」「第三審」は高等裁判所がおこない、「第一審」が地方裁判所だった場合は、「第二審」「第三審」は高等裁判所や最高裁判所でおこなわれるといった具合です。

「第一審」の判決に対する不服申し立てを「控訴」と呼び、「第二審」の判決に対する不服申し立ては「上告」と呼びます。ただし「控訴」「上告」ともに控訴事由が限定されていて、理由のない「控訴」「上告」は棄却されます。

 

実際に誤認逮捕された当事者が経験を語る

著者
["Satoki", "國部 徹"]
出版日

 

本書の作者は、2012年に誤認逮捕され、留置場に勾留された経験をもつ人物。当時の経験を踏まえ、逮捕されるとどうなるのか、万が一逮捕された場合はどのようにすればよいかのかをまとめています。

逮捕から勾留までの具体的な過程はもちろん、警察の取り調べの様子、国選弁護士以外にも当番弁護士制度を利用できることなど、意外と知られていない状況を細かく知ることができるでしょう。

普通に暮らしていても、自分や知り合いが逮捕されてしまう可能性はゼロではありません。自分の身を守るためにも、知っておきたい内容です。

 

小説で学ぶ逮捕後の流れと刑事訴訟法

著者
中根 敏勝
出版日

 

新人弁護士が刑事事件を担当した、というストーリーの小説を通じて、刑事訴訟法のポイントを紹介している作品です。

物語を追いながら自然と刑事訴訟法の内容に触れられるため、具体的なイメージを抱きやすいのが魅力。法律を専門に学んでいない人でも楽しめるでしょう。

一方で小説とは別に「ポイント解説」が設けられ細かい補足をしてくれているので、刑事訴訟法の内容を専門的に学びたい人にとっても役立つ内容になっています。

 

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