5分でわかるコンサルティング業界!今後はテクノロジー分野のコンサルティングが重要に

更新:2021.12.5

バリバリ働いて、やりがいもあって、収入もよい。そんなイメージでコンサルティング業界に憧れている人はいるでしょうか。扱う分野が幅広いコンサルティング業界ですが、どのような構造になっていて、どんな仕事があるのでしょうか。またコンサルティング業務のなかでも注目を集めているデジタル・テクノロジーコンサルタントについて詳しくご紹介します。テクノロジー分野に興味のある人、最先端技術を用いたサービスの開発から実行までを一貫しておこないたい人には要チェックですよ! コンサルティング業界の概要を解説しつつ、業界を知るのに役立ちそうな書籍も紹介します。記事とあわせてぜひ手にとってみてくださいね。

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コンサルティング業界。どんな分野の仕事がある?

「コンサル」と聞いて想像する仕事内容は、実は業界によって異なるかもしれません。実はさまざまな分野があるコンサルティング業界、どのような見取り図が描けるのでしょうか。

得意分野などで分類することがある

少しコンサルティング業界について調べたことのある人は「○○系コンサルティング」という言い回しを目にしたかもしれません。この「○○系」というのは、該当するコンサルティングファームが得意な分野をピックアップして呼ぶものです。以下に代表的なものをあげていきます。

戦略系

戦略系と呼ばれるコンサルティングファームは、主に「経営戦略」を立案することに携わります。立場としては経営者目線で、大局を見て企業の経営方針を決めたり、事業の拡大・縮小などの課題に対応します。

コンサルティング業界全体の歴史を見ると、この戦略系がコンサルティングファームの先駆けと言われています。経営者だけでは対応できない課題が認識されるとともに、コンサルティングファームの需要が増えてきました。

参考:コンサルティング業界を知る | 新卒採用 | アビームコンサルティング

シンクタンク系

調査研究に強いのがシンクタンク系ファームの特徴です。大手のシンクタンクは官公庁からの受託研究・調査を請け負っていることも少なくありません。自治体の条例制定などのプロセスにも関わることができます。社会の仕組みについて関心の高い人には非常にやりがいを持てる分野だといえるでしょう。

総合系

日本で総合系と呼ばれるのは、大手の会計事務所を母体として立ち上げられたファームです。「Big4」という言い方を聞いたことがある人もいるかもしれません。
 

<4大会計事務所>
・デロイトトーマツコンサルティング(DTC)
・PwCコンサルティング合同会社(PwC)
・KPMGコンサルティング
・EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング

「総合系」という呼び名の通り、手がける内容が幅広いのが特徴です。経営戦略立案もおこないますし、実際に現場に入って業務改善に取り組むこともあります。

IT系

現代で最も日進月歩で専門知識が必要とされるIT系に特化したファームもあります。大規模なシステムの導入・改善などはもちろんですが、ITを活用した業務改善なども扱います。IT技術の浸透にともない、扱う案件にどんどん幅が出てきているのがIT系ファームの特徴ともいえるでしょう。

コンサルティングに就職したらどんな仕事をするの?

「いろいろやっているらしいのは分かったけど、具体的に見えてこない……」という感想を持っていることでしょう。続いてはもう少し踏み込んで、コンサルティング業界の業務内容を見ていきましょう。

企業の業務改善サポート

コンサルティングファームに依頼をする企業のことを考えてみましょう。業績は横ばいか、やや右肩下がりです。自社でさまざまな取り組みをおこなってみたものの、いまひとつめざましい成果が出せなかったとします。

「やり方に問題があるのか」「知識が足りないのか」などという課題が考えられます。このような課題を解決するために、プロであるコンサルティングファームに依頼をするのです。

コンサルティングファームに求められることはいくつかあります。完全な部外者として、客観的に会社を見ることができること。同業・他業種を問わずさまざまな企業を見てきた経験から、事例と対策について引き出しを多く持っていること。それらを総合して、該当の企業に適切な対策を立案できることなどです。

財務目線でのアドバイス

特に総合系ファームが得意なのが、財務を足がかりに考える業務改善です。帳簿が分かる、貸借対照表が読めるなどの知識と経験が必要です。

ただし、財政健全化ばかりを気にして業務改善をおこなうと、その企業の根幹となっている事業を縮小してしまったり、現場のやる気を削いでしまったりすることがあります。バランスの取れた目配りも欠かせません。

専門的な調査研究の委託

シンクタンク系に多いのが調査研究です。行政からの委託もありますし、民間からの場合もあります。調査研究して報告書を提出するだけでなく、その結果を活かした施策の立案に取り組むこともあります。

自分の住んでいる自治体でいま作られている条例案や計画案に携わっているコンサルティングファームもあるかもしれません。興味を持った人はぜひ調べてみましょう。

ITの導入・開発

IT系というと非常に大きなくくりで、具体像が見えにくいと感じる人もいるでしょう。たとえば社内システムの構築や業務の自動化など、企業全体に大きな影響を与える課題に取り組むことをイメージしてみてください。

単にシステムを選んで導入すればよいだけでなく、それが本当にクライアント企業のためになるのか。逆に導入して困ることはないのか。といったことについて考える必要があります。

これはコンサルティング業界全体にいえることですが、クライアントから丁寧な聞き取りをして、納得してもらえる成果を納品することが大切です。

今後重宝される。テクノロジーコンサルタントの仕事

コンサルタントと聞くと「経営」「戦略」「財務」などのイメージが強いはず。これらのコンサルティング業務はもちろん今後も必要とされる機会は多いでしょう。

しかし今後、必要とされていくコンサルタントの職種の中に「テクノロジーコンサルタント」があります。IT専門調査会社IDC Japanのレポートによれば、2022年にはビジネスコンサルティングの約半分がデジタル関連のコンサルティングになると予測されているんです。

では日本国内でテクノロジーのコンサルティングに特化した会社はどのようなものがあるのでしょうか。その特徴をご紹介していきます。

アクセンチュア

アクセンチュアは世界最大級の総合コンサルティングファームとして知られています。アクセンチュアではストラテジー、コンサルティング、デジタル、テクノロジー、オペレーションズの5つの領域のサービスを展開していますが、なかでも注目されているのがデジタル、テクノロジー領域なんです。

業界、職種に関わらずデジタルとの関係が切り離せない現代では、他業界×他業界の新しい取り組みが多くスタートされています。アクセンチュアでは戦略立案から実際のものづくりまでをサポートできるため、今までにもデジタルやテクノロジーの領域でさまざまな支援の実績を残しています。

最先端の技術が好き、最先端技術を使った新たなサービスを支援する仕事がしたいという方は、アクセンチュアの採用情報をのぞいてみてもいいかもしれません。

参照:アクセンチュア

pwcコンサルティング合同会社

Big4のひとつである「pwcコンサルティング合同会社」には、テクノロジーコンサルティング部門が設置されています。テクノロジー分野の技術を使った新規事業開発や、新規事業の提案をおこなう業務などがあります。

AIやビッグデータなど最新テクノロジーを中心にコンサルティング業務をおこなうので、最新技術の知識は常にアップデートをしておく必要があります。

またそれぞれのテクノロジーをどうビジネスにしていくかを考えるのがコンサルティングの仕事ですから、ビジネス関連の知識や情報は欠かせません。

実際に働いている人は意外にも文系が多いのが特徴です。理系じゃないからテクノロジーコンサルティングはできないかも……と考えていた人もぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

参照:MY FUTURE CAMPUS

デロイトトーマツコンサルティング合同会社

アクセンチュアと同じくテクノロジー分野での採用を進めているのが、デロイトトーマツコンサルティングです。4大会計事務所のひとつとして知られています。

デロイトの特徴として、サービス領域が広いことがあげられます。総合系ファームと呼ばれている通り、経営戦略立案からテクノロジー系、人事領域まで幅広いサービスを網羅しています。

デジタル・テクノロジーの革新が進む現代は、既存のコンサルティングの知識では辿り着くことが難しい未知の領域に足を踏み入れつつあります。デロイトは専門性を深堀りしつつも、各領域の専門家とチームを組んで、新しい価値を生み出すことに重きを置いているのです。

中長期的に働き、コンサルタントとしての専門性を高めていきたい人にはおすすめのファームといえるでしょう。

参照:デロイトトーマツコンサルティング合同会社

コンサルティング業界の構造が変わりつつある

従来、コンサルティング業界は市場の棲み分けがされていました。主に、戦略に特化したファーム、経営に特化したファーム、ITに特化したファームの3つです。しかし、デジタル・テクノロジー領域での案件増加により、この構造が変化しつつあるのです。

今まで、デジタル・テクノロジーは戦略を実行するツールとしての認識でした。しかし革新が進むにつれ、どの業界においてもデジタル・テクノロジーが主となるサービスの開発が必須になりつつあります。

そうしたなかでコンサルティングの業務は、戦略立案から実行にいたるまでを一貫しておこなう必要がでてきているのです。そのため、より高度で専門的なデジタル・テクノロジーの知識が求められていることはいうまでもありません。

 


 

コンサルティング業界についてより詳しく知る

一言でコンサルティング業界といっても、領域はさまざまです。またコンサルティングの業務は奥が深く、やりがいのある仕事です。そうしたコンサルティング業界についてより詳しく知るための書籍をいくつかご紹介します。

コンサルタントの仕事を知ろう

著者
大石 哲之
出版日
2014-07-30

コンサルティング業界は、全体的に激務であることで知られています。もちろん社風や部署によっても違いはありますが、第三者として組織に入っていくことの大変さは知っておくとよいでしょう。

体力や気力だけで仕事ができるわけでもありません。『コンサル一年目が学ぶこと』では、コンサルタントとして必要な考え方の枠組みや事例について分かりやすく解説されています。

コンサルティング業界の入門書としてぴったりな1冊ですが、内容としては社会人1年目の人にも、社会人10年目の人にも十分おすすめすることができます。

仮説思考や成果物からの逆算、自分の意見を持った仕事の仕方など、ビジネス基礎力を学ぶことができる良書です。

シンクタンク系は白書やレポートも豊富

著者
野村総合研究所IT基盤技術戦略室
出版日

専門性を持って仕事をしたい、特定分野の調査研究に関心がある……。そういうタイプの人は、シンクタンク系ファームが出している白書やレポートを読んでみるのも勉強になります。

『ITロードマップ』は野村総合研究所が毎年発行しているレポートです。これは一例で、さまざまな出版物が各ファームから出ていますのでぜひ調べてみてください。出版物を見ていると、ファームごとの特徴も何となく見えてくるはずですよ。

国際的な政治経済の潮流を読み解く

著者
["村上 芽", "渡辺珠子"]
出版日
2019-06-15

コンサルティング業界全体にいえることとして、世界的に課題として認識されていることや、社会的な潮流に対してアンテナを張っておくことが重要です。特に政策的な議論は最終的に法律の一部となり、企業にとっては達成すべき目標になることも少なくありません。

最近でいうと、SDGsがよい例でしょう。実務のなかで経験を積んでおくのはもちろんですが、「知識が薄いな」「分からないな」と思ったら積極的に書籍を当たって勉強する癖が重要です。

そのためには『SDGs入門書』のような本をひと通り網羅しておきたいところです。

自分の適正年収をアプリで診断

とにかく仕事量が多い、扱う分野が幅広い、忙しい、というコンサルティング業界。やりがいや収入を求める人にはぴったりですが、常に情報を取り入れて咀嚼していかなければいけない業界でもあります。 
しかし、自分の専門性を身につけつつ、心身を休める方法も上手に学んでバランスの取れた生活が送れるように体制を整えていくのは、コンサルティング業界の今後の課題のひとつでしょう。 
コンサルタントの業務は奥深く、仕事の一つひとつが個人の成長にも繋がります。文系、理系問わず活躍できる業界でもあるので、興味のある方はぜひいろいろと情報を収集してみてください。

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