ニュースなどで華々しい活躍をしているプロゴルファー。プレーすることが仕事のゴルフのプロですが、実は「ツアープロ」と「ティーチングプロ」の2種類の資格があります。ツアープロはトーナメントに出場し、賞金やCM契約で収入を得ている人。一方ティーチングプロは、ゴルフ場や練習場に所属し、ゴルフを教えることで収入を得ている人のことです。 本記事ではプロゴルファーになる方法や資格の有無などについて解説します。あわせてプロになるまでにかかる平均的な費用、年収なども掘り下げていきますよ。
日本では宮里藍選手や古閑美保選手、石川遼選手、2020年現在では渋野日向子選手など、多くのプロゴルファーが活躍しています。
近年ではその目覚ましい活躍に、ニュースなどでも取り上げられる機会が増え、ゴルフ自体に興味ある人は少なくありません。
しかし職業としてのプロゴルファーについて、その仕組みはあまり知る機会がありません。たとえばプロゴルファーには2種類あります。
プロゴルファーとは、ゴルフの競技におけるプロフェッショナルである方のことを指します。プロゴルファーになるには、日本プロゴルフ協会のプロゴルフ試験に合格することが最短距離と言われていますが、資格の保有は必ずしもプロになるための必要条件ではありません。
ゴルフにおいてのプロフェッショナルとは、ゴルフで報酬を得ているかどうかです。アマチュアでもトーナメントに出場し、好成績を残して報酬を受け取った時点で「プロ宣言」をすることができます。
プロゴルファーには「ツアープロ」と「ティーチングプロ」の2種類があります。どちらもゴルフという競技を通して報酬をもらっていますが、活動の仕方が異なります。
◾️ツアープロ
その活躍や成績がニュースで華々しく取り上げられるのがツアープロです。ツアープロは、ゴルフのトーナメントツアーに参加する権利を持ち、試合の賞金などで生計を立てることができます。
ツアープロとして活躍できる選手はほんの一握りです。日本プロゴルフ協会が認定しているツアープロは、2009年時点で約3800人しかいません。
◾️ティーチングプロ
ティーチングプロとは、ゴルフを教えるプロフェッショナルのことです。主にアマチュアの方にゴルフを教える他、なかにはプロを指導するティーチングプロもいます。
日本プロゴルフ協会が認定しているティーチングプロは約2200人ですが、全国にはおよそ1万人ほどのティーチングプロがいると言われています。認定者数と全体の数に違いがあるのは、ティーチングプロは資格がなくてもゴルフを教えることができるからです。
ニュースで見たり、実際に会場に見に行ったり、またゴルフを体験してみたりしてプロゴルファーに憧れる方は少なくないでしょう。
プロゴルファーになるにはどんな方法があるのか。資格の有無やプロテストの合格率、プロになるための学校選びについて解説します。
プロゴルファーの資格として最も有名なのが、日本で唯一プロゴルファーの認定試験を実施している「日本プロゴルフ協会」で資格を取得することです。前述した通り、資格には2種類あります。
トーナメントに出場するツアープロを目指すなら「PGA資格認定プロテスト」を受験し、ゴルフ指導をするティーチングプロを目指すなら「PGAティーチングプロ資格認定」を受験する必要があります。
しかし実はどちらの資格も取得が必須なわけではありません。資格がなくてもトーナメントに出場する権利を勝ち取り賞金を受け取ることができればプロになれますし、ティーチングの資格がなくてもゴルフ指導することは違法ではありません。
しかしひとつの証明としてそれぞれの資格を取得する方は多いようです。
トーナメントを目指すプロゴルファーは、「PGA資格認定プロテスト」を受験しましょう。男子の場合は日本プロゴルフ協会(JPGA)、女子は日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が認定するプロテストを受験します。
プロテストは下記のような流れになっています。
しかし、男子の場合はプロテストに合格したからといってトーナメントに出場できるわけではありません。これはトーナメントを運営する協会とプロ認定をする協会が別の団体だからです。
トーナメントに参加するには、日本ゴルフツアー機構(JGTO)が開催するクォリファイングトーナメントと呼ばれるツアー予選会を通過しなくてはなりません。
予選会はファーストからはじまりファイナルまでの4段階で構成されています。ファイナルまで勝ち進み、好成績を収めたプレーヤーがツアーメンバーとして認められ、実績に応じてトーナメントに出場する機会を得られるといった仕組みになっています。
以下は男女別の2019年度のプロテスト合格者数と合格率です。
男子は10%弱、女子に至っては5%をきる結果となっています。プロテストの受験者は、小学校や中学校時代からしっかりトレーニングを積んでいるような選手ばかりですから、非常に高いレベルで争われていることがうかがえます。
狭き門であることは間違いないので、日ごろのトレーニングからテストを意識した工夫をしておくとよいでしょう。
アマチュアおよびプロへの指導をおこなうティーチングプロを目指す場合、「PGAティーチングプロ資格認定制度」を受けることを検討してもよいでしょう。
2015年より受験資格をオープン化しているため、「PGAティーチングプロ資格」は2020年現在では誰でも受験が可能な資格となっています。
資格を取得するための費用は約70万円ほどです。内訳は下記の通りになっています。
またティーチングプロ資格にはB級と、上級資格であるA級の資格が存在します。A級を取得するにはB級の取得が必須となりますので、まずは資格取得の流れを見てみましょう。
ここまでがB級資格取得の流れです。数々の厳しい審査があるだけでなく、講習会は前期が16日(120時間)、後期が9日(77時間)と長期間しっかりと勉強する必要があります。
またB級資格取得後、A級資格の取得を目指す場合は「ティーチングプロA級講習会」を受講しなければなりません。講習会はA級専門科目を16日間のスケジュールで組まれています。
ツアープロだけでなく、ティーチングプロの資格もかなり難易度が高いことが伺えますよね。
合格率はあまり高くなく、40〜50%台となっています。過去の数字をいくつか見てみましょう。
2019年:約50%
2018年:約48%
合格の肝となるのが実技審査です。ティーチングプロはアマチュアだけでなくプロを指導することもありますので、まずはゴルファーとしての実力がなければまず合格は難しいと考えてよいでしょう。
賞金ランキングでは億単位を稼いでいる選手のニュースなどを見かけますが、実際のところプロゴルファーの平均年収は約800万円ほどと言われています。
2019年の賞金ランキング70位のプレーヤーの年間賞金額は、男子が約1200万円、女子が約1400万円です。ツアープロでも年収が3000万円を超えているトッププロは、上位30人程度とされています。
もちろん賞金ランキング上位に入れば1億円プレーヤーも夢ではないですし、石川遼選手や渋野日向子選手のように人気が出ればCM出演料が入ったり、スポンサー契約料が上がったりするため、さらに収入は増えます。
厳しい世界ではありますが、会社勤めではなかなか稼げない金額を見ると、夢のある仕事なのは間違いないでしょう。
ゴルフはお金のかかるいう印象が強いスポーツのひとつです。
実際ゴルフには、ゴルフクラブやウェアの購入費やグリーンフィー、ゴルフ場に行くまでの交通費などさまざまな費用がかかりますが、プロを目指すプレーヤーであればその額はさらに大きくなります。ほかにどのようなお金がかかるかをしっかりチェックしましょう。
これは一例であり、主な支出のみを抜き出しています。合計で約350万円ほどですが、これ以外にも学費や用具の費用などもあるため、家計への負担は決して小さくありません。プロを目指すには家族の協力なしでは目指すことが難しいのです。
プロゴルファーを目指す人のほとんどは、厳しい環境に身を置いて研鑽を積むためにゴルフの強豪校に進学しています。強豪校の専門的なトレーニングを積んだり、同じ夢を持つ仲間やライバルと切磋琢磨できたりする環境に身を置くことは、プロになるための近道なのでしょう。
ちなみに渋野日向子選手は岡山県の作陽高等学校、宮里藍選手は宮城県の東北高校の出身です。大学であれば東北福祉大学がゴルフ強豪校として有名で、松山英樹選手などを輩出しています。
また国内の学校ではなく、海外へゴルフ留学し現地のゴルフアカデミーに入学するといった選手も増えており、アメリカやオーストラリア、ニュージーランドが人気の留学先です。
高校や大学で鍛錬を積む以外には、プロゴルファー養成スクールに通うのも選択肢のひとつです。
日本プロゴルフ協会には研修生や練習生を募集しているスクールが一覧で表示されています。まずは養成スクールに通いゴルフの基礎を学びながら、高校や大学などの進学先を選ぶというのも考えてみてもいいかもしれません。
参照:日本プロゴルフ協会
- 著者
- 池 努
- 出版日
プロになるためには目標を決め、それに向かい日々努力する必要がありますが、間違った目標設定の仕方では上達は見込めません。
この本の著者は、日本代表選手、Jリーガー、プロ野球選手、プロゴルファー、競艇選手などのトップアスリートを専属サポートするプロメンタルコーチです。そんな著者が実体験から学んだ「トップ1%のアスリート」になるために必要な目標設定方法がたくさん詰め込まれています。
ステップ・バイ・ステップで順序だてて学べるため、分かりやすく実行しやすいのが特徴です。
- 著者
- 井上 透
- 出版日
『「ナイスショットの正対」科学で解き明かす』『スイングとミスの因果関係を科学する 』『 スイングにおける個性を科学する』。これらは本書に書かれているテーマ(見出し)です。
文章からも分かる通り、この本ではスイングを科学的に解析しています。「よいスイング」とは何なのかを知っておかなければ、スイングのフォーム改善のやりようもありません。
経験を積んでもなかなかうまくいかなくて悩んでいる方はぜひ一読してみてはいかがでしょうか。理論としてのスイングを学べる1冊です。
- 著者
- ["ジオ ヴァリアンテ", "Valiante,Gio", "豊, 白石"]
- 出版日
ゴルフはメンタルのスポーツと本文でも記述しましたが、そんなメンタルを鍛えるのにもってこいの1冊。
本書では世界最先端のメンタルトレーニング理論によってフロー(能力を120%発揮させる究極の集中状態を指す。ゾーンとも称されます)に入る方法を習得できます。
PGAのトッププロの経験なども紹介されており、信用性は確保された内容になっています。練習では実力が出せてもここ一番で結果が出ない人は、この1冊を読んでメンタル強化のトレーニングを積んでみるとよいかもしれません。
ツアープロになるためには本人の努力に加え、費用といったハードルもあり、実際にプロになることができるのは、ほんの一握りです。しかもツアープロになったとしても平均年収は800万円ほどと、飛びぬけて高収入ともいえません。それでもツアーで優勝すれば多額の賞金が入りますし、ランカー上位になれば1億円プレーヤーも夢ではありません。なによりゴルフ好きであれば、プレーすることが仕事になるわけですから魅力的な職業であることは間違いないでしょう。
プロゴルファーになるためには、技術やメンタル強化に加え、正しい目標設定も必要です。今回紹介した3冊はそれらについて詳しく学べる内容になっています。ぜひ参考にしてみてください。