毎日の授業から入試まで、社会情勢の影響を最近大きく受けている教育。公教育だけでなく、教育に携わる業種にも波及しています。本記事では「最近の教育業界ってどうなっている?」という解説と、これからの教育業界について考えるための書籍を紹介していきます。 2020年における教育業界のホットトピックス、変わりゆく教育業界に携わるにはどんな仕事があるかなども詳しく解説しています。教育業界に興味がある 、教育現場が今後どう変化していくのかを知りたい方はぜひ一読してみてくださいね。
社会事情の影響を大きく受けている業界はたくさんありますが、教育業界もそのひとつです。2020年現在、ホットになっているトピックにはどのようなものがあるか調べてみました。
休校やそれにともなうさまざまな変化で、大きな注目を浴びたのがeラーニングです。公教育でも取り入れる動きがありますし、すでに導入を進めていた塾や通信教育の需要は今後さらに深まっていくことが考えられます。
教育産業が展開しているeラーニングはタブレットで進めるものが人気です。手持ちのタブレットを使えるサービスもあれば、専用タブレットを購入する必要があるところもあります。対象学年や教材の内容もそれぞれ特色があるので、年齢や目的に合わせて選ぶことができます。
2020年は会議ツールのZOOMが注目されましたが、今後同様のサービスが増えていくことが予想されます。現在教育に携わっている企業だけでなく、IT業界など別業種からの参入も出てきそうです。
2020年から小学校でのプログラミング教育が始まっています。始まったばかりでまだ教材も十分でなく、教育現場では試行錯誤の真っ最中だと言われています。
この流れを受けて、学校外での習い事としてのプログラミングも人気が出てきています。これまでに成人向けプログラミングスクールを運営していた企業や、塾などを経営する企業の参入が始まっています。
また、大手IT企業がCSRの一環として子どもたちにプログラミングの機会を提供することも増えてきました。2021年からは中学校でもプログラミング教育が始まることが予想されますので、学びの機会や教材としての需要は今後も増えていくことが予想されます。
プログラミング教育と同時に、英語の授業も変わりました。小学校では3年生から英語を授業に取り入れることができるようになり、5年生からは必修となります。
小学校では書いたり読んだりするだけでなく、聞いたり話したりする学習も重視されます。昨今大学入試制度改革で取り沙汰されることも多かった「4技能」がこの「読む・書く・聞く・話す」です。
授業の内容だけでなく、試験制度にも影響のある変更であるだけに注目度が高まっています。今後学校の成績などの評価軸が定まってくるにつれ、それらに合わせた教材や習い事などの開発が進んでいくでしょう。
プログラミングや英語教育の大幅な変更は、国の学習指導要領が改定されたことに基づいておこなわれています。新しい学習指導要領は幼稚園で2018年、小学校が2020年、中学校が2021年、高校が2022年から適用されることになっています。
現在は、教職員に向けた学習指導要領解説などが多く出版されています。改定によって授業や評価の方針が影響を受けますので、教育業界全体にとっても大きな変化のタイミングとなっています。
参考:実施事例一覧 | 未来の学びコンソーシアム/学習指導要領「生きる力」:文部科学省
ここまで大きく「教育業界」とくくって考えてきましたが、具体的にはどのような仕事があるのでしょうか。業種ごとに見ていきましょう。
教育産業と言われると塾や家庭教師が思い浮かぶ人は多いのではないでしょうか。日本は少子化が進んでいるため、塾などの対面で教えるスタイルの業態も規模は縮小傾向にあります。個別授業をうたったり、対面とオンラインを組み合わせたりと、各事業者が工夫を凝らしています。
2020年はやむなく休業せざるを得なかった塾も多かったので、今後は直接対面でなくても授業を進められるようなシステムが導入されていくことが予想できます。また、情勢によっては入試にも本来想定されていなかった変更が出るかもしれません。予測不能な事態になったときの子どもの精神的なケアも塾に求められていく可能性があります。
最近の通信教育は、紙の教材を使うだけでなくオンラインで授業や課題を進めたり、部分的には実際に対面して授業をしたりと、さまざまな手段を上手に使って学習ができるようになっています。
通信教育が特に選ばれる理由には、オリジナルの教材が優れているという点があるでしょう。各社が工夫を凝らして教材開発をしています。特に低年齢層向けの教材は飽きさせないこと、継続することへモチベーションを持たせることなどに重点が置かれています。
単に教材としてよいだけでなく、楽しい、面白い、集めたいと思う射幸心に働きかけるものが作られています。そういった意味では、マーケティングに興味があるという人にもやりがいのある業種かもしれません。
上記以外でもさまざまな教材が作られています。塾や通信教育をのぞくと、もっとも教材を作っているのは出版社でしょう。ただし、一部の通信教育は独自の出版社も持っています。
書店で参考書のコーナーを見てみると、たくさんの出版社が教育産業に携わっていることが分かります。教育関係を専門にしている出版社もあれば、大手出版社に教育関連の部門があるということもあります。
ここまでは主に子ども向けの業態を見てきましたが、成人向けの事業ももちろんあります。大きなものとしては生涯学習があります。趣味の習い事から資格取得までさまざまな学びが含まれるため、参入している事業者も多岐にわたります。思いがけないところで教育に携われる可能性があるので、ぜひ調べてみてください。
- 著者
- ["つくば市教育局総合教育研究所", "赤堀 侃司", "久保田 善彦", "つくば市教育局総合教育研究所"]
- 出版日
「学校でプログラミング教育といっても、できることなんて限られてるんじゃないの?」と疑問に思う人もいるかもしれません。
確かに機器の準備や子どもごとの習熟度の違いから「何をどうやって教えるのか」に戸惑う学校も多いようです。
このようなときに参考になるのが、独自に授業開発を進めている学校の事例です。『これならできる小学校教科でのプログラミング教育』は、茨城県つくば市の事例をもとにしています。公教育の現場であればほかの自治体が参考にできることも多いので一読の価値があります。
- 著者
- 合田哲雄
- 出版日
いま現在塾や家庭教師などでアルバイトをしている人の中には、学習指導要領改訂について会社から解説を受けた経験があるかもしれません。
「でも結局何がどう違うの?」「どう授業や評価に影響するの?」ということを自分でじっくり考えたくなったときは、解説書を読んでみましょう。
『学習指導要領の読み方・活かし方』は2019年に出版されて、ある程度評価が定まっている解説書です。実際に教職員向けの研修教材としても使われているようです。
- 著者
- 三田 紀房
- 出版日
- 2003-10-22
教育業界を目指す人は、「人の役に立ちたい」「可能性を引き出したい」というポジティブな気持ちを持っていることが多いのではないでしょうか。日々忙しくしていると、そのような初心を忘れそうになってしまうこともあるかもしれません。
そんなときには熱い気持ちを取り戻せる漫画がおすすめ。『ドラゴン桜』はもはや定番中の定番ですが、実は原作を読んだことがないという人もいるのではないでしょうか。この機会に、ぜひ手に取ってみてください。
教育業界の今について解説しました。
グローバル化が進み、テクノロジー技術が発展し、英語やプログラミングの知識は今後を生きる上で必須になりつつあります。教材も紙からデジタルに移行している学校も多く、従来の教育現場で働いていた方は変化についていくのが大変なことも多いようです。
しかしこうした教育業界の変革はスタートしたばかり。現段階で教育業界に携わることはやりがいも多くありそうです。
解説とともに、これからを考えるのに役立つ書籍を紹介しました。教育業界に興味のある方はぜひ参考にしてみてください。