アパレル業界のプレスは、業界の花形ポジションともいえる仕事です。最近では雑誌やテレビでも特集されることも多く、会社の顔でもあるため、プレスへの就職や転職を考えている方は社内外ともに多くいます。 華やかな仕事と、日々の細かな業務と仕事は多岐にわたり、多忙なことも多いです。しかし大手アパレルメーカーであれば年収の水準も高く、やりがいとともに収入の満足度も高いでしょう。 今回はプレスの仕事内容や収入、必要とされるスキルについて解説します。プレスになりたい方はもちろん、ファッション業界への就職を考えている方も、ぜひ参考にしてみてください!
「プレス」の元々の意味は「よい関係づくり」
現在、アパレル業界で使われている「プレス」という言葉は、広告・宣伝・PRという意味をもちます。PRは「public relations(パブリック・リレーション)」の略で、元々は戦後のアメリカから入ってきた「よい関係づくり」という意味の言葉でした。
現在にいたるまでに、広告・宣伝と同じような意味で使われるよう変化したといわれています。
プレスとは、アパレル業界における商品のイメージアップ・認知拡大・販売促進をおこなう仕事です。具体的には下記のような多岐にわたる業務をおこなっています。
ファッション業界を目指す学生からの人気も高く、アパレル業界の花形といえるポジションでもあります。しかし華やかに見える反面、日々の業務は細かくおこない、表に出る際はブランドのイメージを維持できるような対応などが求められる根気の必要な職業です。
最近では、ファッション雑誌やWEB記事内で「△△プレス○○さんのコーディネート特集」といった、各ブランドのプレスにフォーカスした特集記事が組まれることも少なくありません。自らがファッションモデルとなり、自社ブランドの広告塔の役割を果たすこともあります。
またそれ以外にも基本的なPCスキルや、アパレル業界のトレンドの情報収集力なども必要となってきます。狭き門ではありますが、職業としてとてもやりがいを感じられることは間違いないでしょう。
プレスの月給はおおよそ18〜26万円と言われています。アパレル業界では、業界での経験が重要視されるため、未経験での初任給は一般的な新卒と同程度の額になります。
年収にすると300万〜500万円程となります。大手求人サイトでプレスの求人を見ても300万〜500万円程度に設定されている求人が多く見られます。
またその求人の多くが「アパレル業界でのプレス経験3年以上」などの経歴を求めていることも分かります。なかにはアパレルでの販売経験のみでもOKというところもありますので、未経験でも就職できるかどうかは最初にチェックしておくとよいでしょう。
大手アパレルメーカーのプレスになると、年収500万円以上稼げることもあります。しかし、入社してすぐにプレスに配属されることは少なく、店舗スタッフや他の部署で経験を積んだあとにプレスへと配属されるケースが多いようです。
ですので最初は大手アパレルメーカーのプレスではなく、小さなアパレルメーカーのプレスから経験を積んで、転職でキャリアアップ・年収アップを目指すのもよいのではないでしょうか。
プレスとして働くために、持っていなくてはいけない資格はありません。持っていることで優遇される資格などはあるかもしれませんが、そのどれもが必須ではないのです。
優遇されうる資格としては、下記のものがあります。
働きたいと考えているアパレルメーカーが海外展開を目指している場合などは、語学力を証明できる資格があることで優遇されることもあるかもしれません。
しかし、本気でプレスを目指すのであれば、最低限のスキルは持っておくべきでしょう。
自らメディアに出たり、イベントなど大勢の人が集まる場で人と接する機会も多い職種のため、マナーやセンスに長けており、清潔感のある人が望ましい傾向にあります。
また、他業種からアパレル会社のプレスに転職希望の場合、ファッションに関係のない企業に勤めていたとしても、PR・広告・宣伝の実務経験があれば就職活動の際に有利になることもあります。もしくは、SNSなどでインフルエンサーである、といった影響力を持つ人もプレスとして採用される可能性があります。
そして基本的なPCスキルは、プレスだけでなく社会人としてもきちんと身に付けておきたいところです。プレスの仕事は事務作業も多いので、ExcelやWordなどは使いこなせるようになっておくとよいでしょう。
しかしどんなスキルを完璧に持っていたとして、楽しく仕事をしていけるかどうかはまた別の話です。業務をおこなうにあたって、以下のような要素を持つ人はプレスに向いているかもしれません。
この他にも、情報をわかりやすく人に伝えるのが得意、情報の取り扱いが早い、言葉の選び方やアピールが得意である、といった人はプレスに向いているかもしれませんよ!
ファッションへの愛があり、トレンドにも敏感で、人と話すことも好き。しかし特徴に当てはまっていても、プレスの仕事は経験値が何よりも重要視されます。
ですので未経験からいきなりプレスになることは、より狭き門となるでしょう。アパレル業界での経験がない場合は、まず職種は問わずアパレル業界での経験値をためることがプレスへの最も近道になるのではないでしょうか。
現場での販売経験や、より商品に近い本社で働くなど、さまざまな選択肢があります。そのなかで人脈を築いたり、ファッションの知識を深めることできっとプレスへの道が開けるはずです。
- 著者
- 福田 稔
- 出版日
年々、生き残りが難しくなっているアパレル業界。この先10年でこの業界に何が起こるのか。どんな企業が生き残り、また消えていくのか。
ファッション業界を目指す人なら誰しも気になる内容に、業界内トップクラスのコンサルタントが徹底解説してくれます。
業界の動向は、プレスを目指す方なら知っておくべき情報です。難しく考えがちですが、ユニクロやZOZO、無印良品といった聞き馴染みのある企業を例に話が進んでいくので、学生にも読みやすいビジネス書となっています。
就職先を選択する際の材料として、どの企業が生き残るかを予想しながら読んでみてはいかがでしょうか。
- 著者
- 奥ノ谷 圭祐
- 出版日
「マーケティング術」と聞くと難しく考えてしまいがちですが、この本はなるべく読者に伝わるような言葉や言い方で書かれているため、マーケティング初心者にもおすすめです。
今もこれからも、切っても切り離せないプレスとSNSの関係と、その活用方法を学ぶことができます。SNSを利用して自分のブランドを立ち上げたいという方にもおすすめの1冊です。
またSNSの活用方法はさまざまな仕事で活かすことができます。自分のブランドを立ち上げたい方だけでなく、これからの働き方・マーケティング技術を身に付けたい方にも興味深い内容になっています。
- 著者
- 山口 路子
- 出版日
シャネルはデザイナーとしてだけでなく、自らがメディアや社交の場でシャネル製品を身につけることで世間からの注目を集め、女性から羨望の眼差しで見られていました。
そんなプレスとしての役割も担っていた彼女のファッションに関する戦略や信条について知ることができます。プレスを目指す方は読んでおいて損はない、シャネルの一生の物語です。
同じ女性としても、ココ・シャネルの姿勢から学べる部分が多くあります。
今回はファッション業界で「プレス」と呼ばれる仕事にフォーカスし解説しました。
業務の内容も多岐にわたり、自分のセンスも磨き続けなければいけないという多忙を極める仕事です。しかし、自分の存在に憧れて入社してくる後輩がいたり、世間に与える影響の大きさから得られるやりがいは、とても大きいといえるでしょう。
センスは生まれ持ったものではなく、磨くことができるもの。プレスを目指している方もそうでない方も、自分の持っている素質を活かせる仕事を他にもたくさん見つけてみてください!