Hi-Hi上田浩二郎のツカみよければ全てよし【連載初回】

Hi-Hi上田浩二郎のツカみよければ全てよし【連載初回】

更新:2021.11.28

『リストラ芸人』というショッキングなタイトルの自伝書を著した漫才コンビHi-Hiの上田浩二郎。フリースタイル書評バトル第2回「出版芸人」で優勝した褒賞として、連載がスタートしました! Hi-Hiの漫才といえば「最近どう?みんな、パスタ巻いてる?」というユニークなツカみでお馴染みの方も多いでしょう。そこで本連載では「ツカみ」に心をグッと持っていかれるような本を厳選し、魅力をドッと語ってもらいます。

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死ぬかもって時には、ふつうフライパンじゃない?『無人島に生きる十六人』

どうもね!最近みんなどう?本パラっといってる? 困ったことに上田です。なんだかんだで本をすすめることになってしまったことを感謝するとともに、今後のみなさまの発展を祈りつつ一発目!こちらのBOOKをド~ン! 『無人島に生きる十六人』読んでみ~!

……で終われたら楽なのですが、この歳で怒られるの嫌なのでもう少し具体的にすすめてみます。僕が本を選ぶ時に大事なのは、ツカみの部分に当たるタイトル。だって興味がまったくない字ばっかりの紙、金出して欲しいと思わないでしょ?

そんななか、この「無人島なんたら」は引っ掛かった。だって無人島で16人よ!少ないんだか多いんだかわからなくね?島のデカさにもよるし。無人島で生きるにあたっての多い少ない論はどうでもいいとして、まず最初にこの本は都会を出て仲良し16人で流行のキャンプでもしながらみんなでのほほ~んと暮らそうぜ!的な話かと思いきや大間違い。

著者
須川 邦彦
出版日
2003-06-28

明治時代に海の調査に出かけて漂流してしまった、のほほ~ん暮らしとは全く真逆の話。言うならば「十六日本男児おっさん漂流記」、しかも本当にあった話。僕はこのノンフィクション系が大好物。何しろこの16人。何があろうがめちゃくちゃ勇敢で前向き。1人もくじけない。

当時まったく仕事のなかった僕はこの話に勇気づけられた。あまりにもダイナミックでハラハラする展開に、もはやハリウッドのアクション超大作か!とツッコミを入れながら一気読みしてしまってた!

まず何がすごいって、船が岩に砕かれ命が危ないぞって時に、「ただ漂流して10年後とかに帰ったんじゃ恥ずかしくねぇ?少しでも勉強して帰るぞ。」ってなことで船に積んでる本持っていくぞ!ってなる。えっ!本持ってく?1番いらねぇ~よね?フライパンとかだよね?死ぬかもって時に、船バキバキいってる時にもう帰ること考えてる、ここがすごい。もはや「前向き」って言葉じゃ足りないレベル。何度も言うけどこれ本当にあった話だ。

命からがらある小さな島にたどり着いた16人。何個かのルールを決める。 そのなかのひとつに「愉快に過ごそう」ってのがある。これもすごく好き。命の保証も帰れるかもわからない絶望的な時に、しかもこれ島に着くやいなやの話。まさにas soon as。

しかもこの島、珊瑚の島で水は出ないわ、木は無いわ、到底人間が暮らせるような島じゃない。だけどこの人らにかかれば関係ない。亀の油であんどん作ったり、その辺の草で腹痛治したり、アザラシをペットにしたり。なんだか読んでるうちに不謹慎にも「ここにいたい」と思っちゃった。しかし家族同然に生活してきたアザラシにある理由で大変なことをしないといけなくなるんだけど、そんな後半はまさに涙なしには読んでいられない展開。本当にあったこの16人の生きざまをぜひ読んでみ~。 


編集追記(編集者より)

いかがでしたか?こちらの連載は、毎月第3水曜の18時に更新予定です。今後も、小説を中心に「ツカみ」の面白い書籍を上田さん自身に選んでご紹介いただきます。ときにはホンシェルジュがピックアップした本を押しつけ、ツッコミを入れながら語ってもらう回もあるかも⁉ぜひ楽しみにしていてください!

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