ドラマや映画の主人公として見ることの多い刑事。警察のなかでも花形の職種と言われているため、憧れている方は多いでしょう。命の危機に直面することもあるため、年収はほかの行政職に比べて水準が高く、手当もしっかりしています。 しかし刑事に就職するのは狭き門。というのも警察官からキャリアをスタートさせ、実績を積み、上司の推薦を経てやっと刑事への道が開けるからです。 本記事では、そんな刑事の仕事について解説しています。憧れの刑事はどのような仕事をしているのか、仕事をする上で大切なこととは。記事の最後には参考となる書籍もご紹介しましたので、機会があれば手にとってみてくださいね!
ドラマや映画のなかには刑事を主人公にした作品が数多くあります。明晰な頭脳と行動力をもってさまざまな難事件を解決するその姿に、いつしか憧れを抱いていたという方は少なくないでしょう。
そうした映像作品のなかで、警察官と刑事は区別されて出てきます。しかし、刑事とは警察の一種です。
刑事以外には「刑事警察」と呼ばれることもあります。
私服やスーツ姿でさまざまな事件現場におもむき、事件解決のために日夜、地道な捜査をおこなっている犯罪捜査のプロフェッショナルが刑事なのです。
刑事の仕事といえば、事件現場に残った証拠や被害者からの証言などをもとに犯人を捜索・逮捕するというイメージですよね。そうした逮捕の瞬間はニュースで報道されるので、目にしたことがある方は多いでしょう。
しかしそのような捜査にもいくつか種類があります。
所属する警察署や課によって担当する捜査業務は異なります。また配属は人によって1年ごとだったり、変わらなかったりと違いもあります。これは所属する警察署によって動きに差があるようですね。
ドラマや映画などでは、ひとりの捜査の天才とも呼べる刑事が犯人を追いつめていきます。そうした描写から、刑事になるには頭がきれていることが第一条件のように思えますが、ほかにも刑事の仕事をする上で大切なことはさまざまあります。それは「スピード感」「考えつづける」ことです。
たとえば盗犯捜査では、なによりもスピードが大事です。現場に残された痕跡は時間が経つと消えてしまうので、最初に感じた違和感を見逃さず、徹底的に確認していきます。犯人が次にどんな行動を取るのか、数手先を読みながら行動する姿勢も問われます。
そして捜査の種類に関わらず大事なのが「考えつづける」ことです。犯罪の種類は同じでも、その方法や犯人の思考はひとつひとつ違うため、ひとつとして同じ事件はありえません。そのため、この場合ならどうするか、こういった犯人なら次はこんな行動を取るだろうと考えつづけることが、事件解決への糸口となっていきます。
そしてなにより行動をすることを忘れてはいけません。「事件は現場で起こっている」という有名な台詞があるように、署内でじっと考えているだけでは犯人を検挙することはできません。あらゆる可能性を見落とさず、間違っていたとしても行動しつづけること。これが刑事の仕事の上で大切なことです。
事件は日夜時間を問わず起こります。そのため場合によっては早朝・深夜に駆り出されることもあります。しかし刑事は公務員ですので基本的には土日祝日はおやすみであり、また1日の働く時間も7時間45分と決まっています。
例として、ある刑事さんの1日のスケジュールをみてみましょう。
こちらが一般的なスケジュールとなっています。突発的な事件でもない限りはこの時間で動き、日よって残業もすることになります。
刑事は地方公務員に属し、給与に関しては「公安職俸給表」に基づいて支給される決まりがあります。警察官の等級はいくつかにわかれているため、昇級ことでその給与額は変動していきます。
ちなみに刑事は以下の等級のうち、巡査以上に該当します。
実際に等級ごとに、平均の給与額を見ていきましょう。
警部からぐっと全体の人数も少なくなり、反して給与額はあがります。月の給与額にくわえて住居手当や地域手当、通勤手当、扶養手当など諸手当もきちんともらえるので、全体の支給額はもう少しあがることになるでしょう。
基本的に刑事を含めた警察官は、国民の安全や命を守る職務をになっていることから優遇措置がとられ、ほかの行政職員より月給が高い傾向にあります。またボーナスにあたる期末・勤勉手当もや、年1回の昇給制度も設けています。
仕事の危険度を考慮した上での金額になっているんですね。
実際に刑事として務めることになったら、最初の給与額は気になりますよね。一例として、北海道警察のモデルケース(令和2年1月1日時点)をご紹介します。
採用時の給与額はこちらですが、採用から1年後にはそれぞれ約1万円ほど給与額があがります。さらに諸手当が加わった額が、月に支給される金額となります。
刑事になるには、まず各都道府県が実施している警察官採用試験に合格しなければなりません。採用試験に合格すると、警察学校での基礎訓練を経て警察官となります。
警察学校で訓練を受ける期間は、大卒は6カ月、高卒は10カ月です。
警察官の採用試験は筆記試験と体力検査、そして面接の3つで構成されています。まず筆記試験の内容から見ていきます。
知能や知識に関する問題は、ほかの公務員試験同様、教養の分野となっています。問題数が多く、問題文をしっかり読み込まなければ解けない問題になっているので、きちんと対策をおこなう必要があるでしょう。
また論作文の試験においては、警察官としての心構え、犯罪に対する意識が問われます。決められた文字数のなかで、文章構成力や思考力、表現力をフルに使わなければなりません。教養試験の対策とは別に、論作文を書く練習はしておいた方がよいですね。
警察官・刑事の仕事は体力勝負の部分もあります。そのため体力検査では、どの程度の体力があるかを検査します。この場合、体力が優れている必要はなく、ごく一般的な体力があると分かる成績を残せば問題ありません。
警察官として採用された誰もが刑事になれるわけではありません。上司から推薦を受け、刑事講習や書類審査、面接を通過してやっと刑事になることができるのです。
刑事になれるのはほんのひと握りであり、かなり狭き門であるといえるでしょう。実際にどんな方法で刑事を目指せばよいのかを解説します。
まず警察学校や、警察官として優れた実績を積んでいくことから刑事への道はスタートします。上記の条件を多く満たすことで、刑事への最初の関門がひらけます。その後は以下のようなルートを辿るのが一般的です。
まずは直属の上司に、刑事になりたいことをアピールしておくことが大切です。そのうえで検挙実績がよければ、あるタイミングで推薦を受けることができるからです。
しかし最終の捜査専科講習を受講し、卒業試験を通過してもすぐに刑事になれるわけではありません。刑事課には定員があるため、欠員がでなければ刑事になることはできないのです。欠員が出るまでは、今までの業務をこなして待つしか方法はありません。
そのような意味でも刑事になるのは狭き門であり、努力と刑事という仕事への情熱がなければ刑事になることは茨の道といっても過言ではないでしょう。
刑事に必須の資格は以下の2つがあります。
警備や捜査など、刑事は移動することの多い職種です。また場合によっては車ではなくバイクを使うこともあるため、自動二輪免許の取得も必須となります。
警察学校での研修期間中に取得することもできますが、就職する前に取得しておくのがおすすめです。
警察署のパトカーを見れば、東京都以外○○道警・府警・県警と書かれているのに、東京都だけ警視庁なのか。素朴な疑問に対して経緯など写真入りで解説しています。
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ブックインブックでは、2021年に開催が延期となった東京オリンピックに向けて、テロ対策のための組織や訓練の様子も紹介されています。
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刑事ドラマを見ている人にとって、あのドラマの○○はどの階級に属していて、他のドラマの刑事と比べるとどちらが階級が上なのか気になることもあるでしょう。そんな刑事ドラマのファンにとって、登場人物の階級を比較する手助けにもなります。
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- 古野 まほろ
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警察官の交番勤務を経て刑事を志望している学生に推薦したい本です。
警察官を志望する学生にとって、採用担当者のインタビューがあるのでどのような警察官が必要とされているのか分かるでしょう。論述試験が載っているので試験対策にも使えます。ほかには警察学校の1日のスケジュールについても掲載されています。
また警察学校のカリキュラムが気になる方も、参考となる内容になっているでしょう。
今回は刑事について紹介しました。
刑事になるには警察官の採用試験に合格し、交番勤務での勤務実績と上司からの推薦が必要不可欠。そこからさらに試験をいくつか合格して、やっと刑事になることができます。はっきり言って狭き門ですし、一筋縄ではいきません。
記事の最後にご紹介した本は、警察官や刑事を目指す方にとって参考になっていればと思います。また将来刑事を志望する読者だけでなく、刑事の世界に興味のある方や、マスコミの報道を聞いて疑問に思った方にもおすすめですので、気になる方はぜひ手にとってみてくださいね。