最低限の金融に関する知識は、生きていくために必要なもの。詳しく仕組みを知って自身の生計管理ができれば、より豊かな生活を送れるでしょう。学ぶなら、なるべく早いうちが得策です。この記事では、中学生でも理解できる初心者向けの入門書を中心に、金融に関するおすすめ本を紹介していきます。
日本では、どこか「お金は汚いもの」「お金について話すのは下品」という認識があり、高校で金融について学ぶ機会はほとんどありません。
一方のアメリカでは、多くの高校生がお金の基礎教育を受けているそう。10歳の子どもが株を運用することも珍しくありません。その際に手にするのが、本書です。
- 著者
- ["アンドリュー・O・スミス", "桜田直美"]
- 出版日
2019年に日本で翻訳出版された、アンドリュー・O・スミスの作品です。作者は学生時代から投資や資金計画のアドバイスをし、アメリカ初の大学投資クラブのひとつを設立支援したことでも知られる人物。本書は彼が自身の若い親戚に向けて書いた手紙がもとになっているそうで、親身でわかりやすい内容が受けてロングセラーとなりました。
ローン、投資、キャリア設計、税金、法律、金融詐欺からの身の守り方など、生きていくうえで必要な金融の知識が網羅されているのが特徴。翻訳本なのでアメリカの制度や法律が中心ですが、日本の皆保険など日本人向けの記述も加えられています。
若い読者のために多くのアドバイスが記されていて、シンプルで的確な内容に心打たれます。一生モノの基礎知識が身につく万人におすすめの一冊です。
豊富なイラストとわかりやすい解説で、お金の仕組みを解説する作品です。
世の中のお金のまわり方や金融用語から教えてくれるので、金融について何を知らないのかもわからない人でも大丈夫。まさにゼロからスタートできる内容になっています。
- 著者
- 伊藤 亮太
- 出版日
2019年に刊行された、ファイナンシャルプランナーの伊藤亮太の作品です。イラストを見るだけでサクッと学べる「見るだけノート」シリーズのひとつで、見開きにイラストが7割、解説が3割という構成になっています。
たとえば出産にはいくらかかるのか、住宅や車の購入で気をつけること、会社勤めのメリットとデメリット、老後資金の増やし方など、とりあげているテーマはどれも身近なもの。本書を読むと、お金や金融に関する知識は生活に欠かせないものなのだと実感できるでしょう。
イラストを見るだけでおおまかな内容を理解できるよう工夫されているので、中学生以上から読むことができます。予備知識ゼロの初心者におすすめです。
お金の稼ぎ方、増やし方、使い方の基本を学べる金融の入門書です。
子どもから質問された時にうまく説明できないという大人にもおすすめです。
- 著者
- ["デヴィッド・ビアンキ", "関 美和"]
- 出版日
日本では2016年に翻訳出版された、デヴィッド・ビアンキの作品です。作者はアメリカで長年弁護士として働き、「ロイヤー・オブ・ザ・イヤー」にも選ばれたことのある人物。13歳になる息子に、金融の基礎知識を教えるために書いたものがもとになっています。
翻訳者の関美和は、MBAを取得し、クレイ・フィンレイ投資顧問の東京支店長などを務めた金融のエキスパート。日本人読者に向けてアメリカとの違いにも触れつつ、わかりやすく翻訳してくれています。
多くの日本人が「この知識を13歳の時に知っていれば……」と思ってしまうような充実した内容。最初の一歩でつまづきたくない初心者におすすめの一冊です。
1970年代以降の12の経済・金融事件を時系列に解説しながら、お金の仕組みを理解していく現代金融の入門書です。
事件の現場にいた作者の筆致は生々しく迫力があるもの。金融史の全体像を把握することができるでしょう。
- 著者
- 倉都 康行
- 出版日
- 2014-10-18
2014年に刊行された、国際金融アナリストである倉都康行の作品です。倉都は東京大学の経済学部を卒業し、旧東京銀行、チェース・マンハッタン銀行などを経て、金融シンクタンクを設立。国際経済と金融のプロフェッショナルだといえるでしょう。
まずとりあげているのは、1971年のニクソン・ショック。そして日本のバブル崩壊、アジア通貨危機、リーマンショック、ギリシャ危機など、世界の金融事情のターニングポイントとなった事件の背景や要因、その後の対応を整理していきます。
多少の専門用語は出てきますが、読み物としても面白く、金融のメカニズムを具体的な事例とともに理解するのにもってこいの良書でしょう。時間をかけてじっくり読んでみたい人におすすめです。
古代から近代までの世界史を、金融視点で考察した作品です。
難解な印象ですが、作者が「金融史とはお金に形を変えた人間の欲望の歴史でもあります」と語るように、金融を人間の欲望に変換して考えてみると理解しやすくなるでしょう。
- 著者
- 板谷 敏彦
- 出版日
- 2013-05-24
2013年に刊行された板谷敏彦の作品。作者は国内外の証券会社で活躍し、投資顧問会社を設立した人物。金融と歴史にまつわる著作も多く発表しています。
まだお金が存在していなかった紀元前から現代のファイナンス理論まで、金融の成り立ちと辿ってきた歴史を一冊で知れるのが魅力的。さまざまな戦争が株式や債券を生み、文明が成熟していった過程を理解できるでしょう。
また時代ごとの国際的な勢力図も興味深いところ。文章も易しいため、読み物として楽しめる作品です。
現代の金融システムを解説した入門書です。
学問としてではなく、ビジネスとしての金融の本質にフォーカスしています。
- 著者
- 池尾 和人
- 出版日
- 2010-02-10
2010年に刊行された、経済学者である池尾和人の作品です。作者はバブル崩壊後の不良債権処理の提言や、日本版金融ビッグバンの土台作りなど、金融システムの安定化や改革に取り組んできた人物。本書は1996年に発表された同タイトルを全面改定しています。
前半は信用創造のメカニズムや金融政策の目標、効果など、金融取引や銀行システムについて。後半は証券化の光と影、サブプライム・ローン問題など 記憶に新しい近年の話題へ進んでいきます。
それぞれの事象について、本質を論理的に説明することに注力していて、中身は濃厚。金融全体のメカニズムをしっかりと整理できる、読みごたえのある一冊です。